コモドオオトカゲ

登録日: 2011/09/22(木) 04:48:00
更新日:2023/12/24 Sun 14:00:24
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コモドオオトカゲとは、爬虫網有隣目オオトカゲ科オオトカゲ属に分類されるトカゲのこと……否、ドラゴンのことである。
孤島で独自の進化を遂げたドラゴンのことである。


◆概要

和名コモドオオトカゲ/英名コモドドラゴンは、名前の通りインドネシアのコモド島、及びいくつかの周辺島に住む固有種のことを指す。
現棲数はおよそ5000頭で絶滅危惧種に指定されているが、1991年にコモド島は国立公園として世界遺産に登録されたため、事実上その心配はなくなった。
理由は勿論コモドオオトカゲを保護するため。たった一種の生物のためになされた措置としては異例のものである。

史実では今から約100年前(1911年)に、偶然コモド島に不時着した蘭人飛行機パイロットが彼らを発見。
世界に【速報】コモド島に恐竜が生き残ってた件【大発見】(意訳)と報告したことで存在が知られるようになったとされている。

またこの報告は多くの西洋人にリツイートされ、「伝説のドラゴンktkr」「古龍観測所がアップを始めました」などと話題になった。
しかし翌年に調査兵団が派遣されたことで、「恐竜でもドラゴンでもなくオオトカゲ科の新種でした」…という形に落ち着いたようである。
(一応以前から現地民はコモドの存在を示唆していたのだが、当時は「それは まぎれもなく ワニさ」と思われていたらしい)

こういった経緯もあってか、普通なら従来のオオトカゲのように英名がコモドモニターとなるところを(英:モニター=和:オオトカゲ)、
本種はモニターではなく“ドラゴン”の名を冠されることとなった(コモドモニターと呼ばれることもあるが)。
現地ではOra(=兄弟の意)と呼ばれている。


◆基礎形態(ステータス)

存在が明確になる以前のサイズは5mや7mといった誇張表現がなされていた。
しかし実際の全長は2m~3m、体重70~90kg程である。
それでもトカゲの仲間としては最大級で普通にデカいが。
ちなみに発見された中で最大の個体は全長3m13cm、体重166kgであったらしい。

一応現生のトカゲで最大の個体はパプアニューギニアのハナブトオオトカゲ(4m75cm)。
しかし種としての平均サイズはコモドと大差なく、同じ大きさの場合体重はコモドに軍配が上がる。
故に一般的には本種が世界最大のトカゲと認識されている。

ただ、体の大きさも驚きだが、コモドは身体の各器官のスペックが高いのも特徴といえる。以下羅列。

◇眼

1km先のものまで視認することが可能。

◇耳

草木を分けるような音や口笛など、特定の周波数にはかなり敏感に反応する。

◇鼻

息をするだけ。

◇口(舌、牙)

普段は閉じて先割れの舌をチロチロ出し入れしている。
この舌に匂いの粒子を吸着させて口内の器官で分析することでニオイを嗅いでいる。その精度は4~5km先の血の匂いまで感知出来るほど。
口内は粘性の高い唾液まみれ。おまけに数種~数十種の細菌(バクテリア)だらけ。
これは腐った死肉を平然と喰らうコモドの食べカスから生まれるもので、勿論毒性もある……のだが、なぜかコモドは平気。
また数cmの鋭い牙が生えており、一本を拡大してみると反しの部分が鋸のようにギザギザになっている。
まあ当然火は着かないが、下にはあるギミックが備わっている(後述)。

◇躯

皮膚は厚い鱗に覆われ、四肢は太く鋭い爪を搭載している。
走る速度は時速10~20kmと速くはないが、スタミナ(持久力)はかなり高い。
しかし変温動物なので気温(体温)の変化には弱い。そのため朝はひなたぼっこをして体を温めてから活動開始となる。
また逆に激しい運動を続けるとオーバーヒートしてしまうため、全力で格闘できる時間はそれほど長くない。

◇臓器

胃は一度に自身の体重の80%分まで入るという驚異のキャパシティを誇る。
変温動物特有の燃費の良さもあって、ある程度満たされれば一ヶ月や二ヶ月は何も食べなくても問題ない。
むしろ食べ過ぎるとすぐに太り、内臓疾患に陥る。オッサンか。
喰らうのは動物系のものなら何でも。幼体は昆虫や小さなトカゲ、成体になると猪や鹿、水牛なども襲う。当然人も襲う。
また状態も問わないため、人間の墓を掘り返し埋葬された遺体を喰らうといった例まであったらしい。悪食ってレベルじゃねーぞ。
もちろん細菌さんもしっかり常駐。

◇尾

獲物に攻撃するための武器であり、栄養を蓄える貯蔵庫でもある。水を掻き海を泳いで渡ることも可能。
我々が知るトカゲのような“自切”はしない。する必要がない。
こちらも残念だが火は着かない



とまあこんな感じ。デカさだけが取り柄ではないのだ。

さらに寿命は50年を超えるという説まである(飼育歴が浅いため、正確なデータがない)。


意外と温厚な一面があるのか動物園などで飼育されている個体は何をされても無抵抗だったり、擦り寄って来たり。苦手な人が寄れば自分から逃げるとも言われていたり。
かなり賢いようで、幼体の頃から飼えば一緒に散歩できるくらいに懐く。

しかし野生では獰猛そのもので、猛獣としての危険性は大蛇やワニ等と何ら遜色ない。むしろ攻撃力に関しては両者のいいとこ取りと言っていい。
現地で危険区域に侵入した漁師が噛みつかれて出血多量で死亡したり、
観光客のドイツ人少年(8歳)がトイレのために茂みに入ったところを襲われ、同じく失血死したといった例もある。
向こうにしてみれば見慣れない人間は獲物か縄張りに侵入した外敵扱いでしかない。野生のコモドは人食いのモンスターなのだ。
地元レンジャーの指示を無視することは命を投げ捨てることに等しい。



◆毒

コモドに噛み付かれて死亡した動物や人は、その死因の殆どが出血多量による失血死。
これは先に説明した細菌の中に敗血症を引き起こすヤツがいて、それが傷口を介して対象の体内に侵入し死に追いやるため……と考えられていた。数年前までは。

しかし最近の研究によってその説は誤りであり、実はコモドは下顎の牙と牙の間に毒管を持つ毒トカゲであることが判明した。
遠回しに歯が汚いと言われ続けたコモドは泣いていい。

複数の毒性タンパク質を含むこの毒は所謂出血毒と呼ばれ、血液の凝固機能の破壊、血圧の急速低下、意識の混濁といった作用を引き起こす(敗血症も似たような症状)。
中でも血圧低下作用を持つ化合物は、陸生で最強の毒蛇と言われるナイリクタイパンのそれに引けをとらない程強力なものだったという。
これにより一噛みでもされた獲物は血を流し続け、どこに行っても噛んだコモドどころか他のコモドにまで匂いを嗅ぎ付けられ、
意識の朦朧とする中、肉を裂かれ無惨に貪られるというワケである。

なお細菌説が提唱されるより前から「コモドは毒を持っている」とする説自体は存在していた。
そのため一見有毒説論者の逆転勝ちにも見えるが、一方で下記するように細菌自体がヤバいのも事実ではあるため、細菌説が必ずしも的外れだった訳では無い。


ちなみに上記したナイリクタイパンの毒には血清があるので、血清さえあればタイパンに噛まれても死ぬことは殆どない。
しかしコモドの場合、たとえ血清が作られたとしても安心はできないと言える。
理由の一つはコモドは蛇と違って牙自体の威力も高いということ。
針と鋸、どっちが危険かくらいはコドモでも分かる(毒牙も噛み付いて肉を引き裂くような動きで注入されるという仕組みの進化を遂げている)。
もう一つは細菌。これまで敗血症と誤認されていたのも納得するレベルの腐敗菌による感染症の恐れもあるためである。

なお現在はその血圧低下効果に着目し、高血圧を抑える薬を作ろうとする試みがあるらしい。まさに毒と薬はなんとやら、か。


◆生殖

繁殖期は5~8月。オスがメスの背中を引っ掻きアピールし、OKの場合は交尾に至る。が、当然オス同士が遭えば争いになる。
爬虫類の多くは“コンバットダンス”と呼ばれる直立での競り合いで勝負する。
やり方は種によって異なり、例えば蛇の場合は鎌首を擡げて激しく絡み合うため交尾をしているように見えたりする。その実♂×♂のガチバトルなのに…。


コモドの場合は1R数十分、インターバル10分程の激しい取っ組み合いを数ラウンド行う。
これらは前述のようにスタミナが高く、かつ熱に弱いため暴れ続けるとオーバーヒートして死に至ることに起因する。
またどうでもいいが、暑さに参って日蔭で休むコモドは必見。その姿は往年のたれぱんだを彷彿とさせる。


交尾によって生まれる卵は10~30個。産まれたコドモは体長40cmくらいで黄色い斑点や縞模様があり、すぐに樹上で生活をするためパッと見別のトカゲである。
そして樹上に行く理由は成体から逃げるため。コモドにとってコドモのコモドは、実の親からでさえも餌でしかないのだ。


そして2006年、コモドは生殖においても異例の存在であることが発覚。なんと単為生殖(♀のみでコドモを作ること)が可能なトカゲということが分かった。
…しかしこれだけなら他のトカゲでも例がある。では何がどう不思議なのか?興味のある方はこちらを参照。
コモドさんマジパネェっす。


◆コモドドラゴンをモチーフとしたキャラ

ブッドゥー(真・異種格闘大戦
スニゲーターキン肉マン)※形態の一つ
コモディラックス(ゴジラ・ザ・シリーズ)
コモドドラゴン(白猫プロジェクト
コモドドラゴン(けものフレンズ
コモドドラゴン(Runin)
仮面ライダーデストリーム コモドドラゴンゲノミクス(仮面ライダーリバイス)※形態の一つ
コドモドラゴン(ぷよぷよSUN
ガララワニ(トリコ

◆余談

  • 現地では人間の兄妹にまつわる伝説を持つ生き物とされている。

  • 周辺海域が急流なため、生物の進出と侵入が阻まれている。そのため隣島のパダール島にいたコモドは獲物を狩り尽くし、食べる物が無くなり絶滅した。

  • まだまだ謎な部分が多い。



(´・ω・`) これ以上謎が解明されても追記するスペースないよコモドさん。

(`・ω・´) 黙れ噛むぞ。

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最終更新:2023年12月24日 14:00