ゾイドジェネシス

登録日:2010/01/25(月) 11:48:53
更新日:2024/04/11 Thu 18:38:09
所要時間:約 6 分で読めます




惑星Zi───

そこには、優れた戦闘能力と自らの意思を持つ
金属生命体「ZOIDS(ゾイド)」が存在した。


ZOIDSとは、すなわち生きた機械なのである。






【概要】

トミー(現:タカラトミー)から発売されていたプラモデルシリーズ『ZOIDS』を題材にしたアニメ作品。
2005年4月から2006年3月まで放送された。全50話。

無印新世紀/0フューザーズに続く4作目のアニメ作品である。
玩具展開等ではタイトルを『機獣創世記ゾイドジェネシス』としている。

従来の作品やバトルストーリーとは様々な面が異なる、シリーズ屈指の異色作。
舞台はこれまでと同じく惑星Ziだが、その世界観は本作独自のものとなっている。
キャラクターデザインは民族の文化を感じさせるものとなっている。

ストーリー前半は主人公達の旅を中心としながらも、敵であるディガルドの非道さを描いていく。
中盤からは主人公達がディガルド討伐軍を組織し、それを率いてディガルドと戦っていく戦記物となっていく。

物語の中心に戦争が描かれたのはゾイドのアニメは意外にも本作のみとなっている。
無印も物語の背景に戦争があるが、あくまでも主人公の冒険や戦いが中心であった。

今までのシリーズから世界観が大きく変わったことや「萌え」を組み込んだ一部商品展開、展開や設定の都合で従来の恐竜型ゾイドがリストラされたことで、これまでのファンからは否定的な意見も見られた。
しかし、現在ではシナリオ面を中心に再評価もある程度進んでいるようである。

【作風】

物語の展開の丁寧さやハードさに定評がある。
ガラガの仲間たちが野戦病院で怪我に苦しむシーンなど戦いの悲惨さが伝わる場面は多い。ディガルドによって占領された村では、住人が徴兵され厳しく訓練させられたり、その教えを叩き込まれたり、強制労働に従事させられるなど過酷なシーンが描かれ、敵国に侵略されるというのはどういうことなのかという面がまざまざと描写された。

ラ・カンが仲間を募るために隣国に檄文を届けるための使者を送るなど、単なる個人ではなく一国の指導者として行動を起こすという場面も見られた。

中盤で討伐軍を立ち上げる際に、
当初の旅の目的である、村のジェネレータを直せる職人を探す事を一端止めてしまう事を、
村に伝え謝るためにわざわざ1話使っているのは本作ならでは。ルージが旅でディガルドの横暴を目にしたことによる心境の変化を物語っている。

また、戦争も仲間を集める宣伝効果を期待しての首都奇襲や、わざと空爆させて帰還直後を狙った電撃戦、
対籠城戦にゾイドの特徴を生かした作戦を用いるといった戦略的な展開が見られる。

活躍するサブキャラも多く、そのおっさん率が高いのも特徴的である。
トンチキな集団である「無敵団」は、勝てる相手としか戦わず、旗色が悪いと見るや否やすぐに逃げ出すなどセコい連中で、ハードな物語の中では異質ともいえるほどの清涼剤として親しまれた。だが、そのような立ち回りはゲリラ戦での王道に忠実であり、コミカルながらも意外と侮れない存在でもある。

【あらすじ】

『神々の怒り』と呼ばれる大規模地殻変動で旧文明が滅びた数千年後の世界。

ミロード村に住む少年ルージは、いつもの様に、
大人達と海からゾイドの引き上げ作業をしていたのだが、そこに謎の銀色のゾイドが襲撃してきた。

そのゾイドは「バイオゾイド」。

最近近隣国を侵略している『ディガルド武国』の物だった――。



【設定】

◆世界観

「神々の怒り」という大破壊で旧来の文明が破滅してから数千年、その中で新たな文明を築き上げてきたのが本作の世界である。
ジェネレータと呼ばれる木にも似た巨大な物体の周りは自然の回復が早く、街や村はジェネレータ脇に作られている。

文明レベルとしては一部を除き現実世界の中世に近い。

◆ゾイド

本作のゾイドは旧文明の遺産となっており、発掘したり海中から引き上げる物となっている。
また、レッゲルと呼ばれるジェネレータから出てくる物質を燃料としている。

ゾイドに乗るには個人個人で違うゾイドへの適性が必要で、大型になるほど乗れる人間は限られる。
また、名前は初めて乗った人の脳裏に自然に浮かんだりと謎も多い。

基本的には先祖が残してくれた便利な乗り物といった感覚で使われている。

バイオゾイド

ディガルド武国が運用する謎のゾイド。
流体金属で全身をコーティングされた恐竜の骨格のようなフォルムをしており、従来のゾイドとはかなり印象が異なる。
基本「ナンバー」と呼ばれる人工知能・機械兵士を搭載して自立稼働するが、将校クラスが搭乗する専用機もある。

その体表を覆う流体金属の装甲「ヘルアーマー」に一般的なゾイドの武装は通用せず、リーオで製造された武器でなければ正面からダメージを与えるのは困難。
それでも一応、リーオの武器ほど効率的ではないが「特殊加工されていない口の中を狙い撃ちにする」「大質量の攻撃で装甲の奥にまで衝撃を響かせる」「岩の下敷きにするなどして無理やり圧壊させる」「足場をマグマ化して沈める」等、一応は他の対抗手段もある。

◆リーオ

別名「メタルZi」。惑星Ziで最も硬い金属。
ムラサメライガーの等、この金属で作られた武器でなければバイオゾイドの装甲にダメージを与えることは出来ない。


【登場人物】

●ルージと旅の仲間達


ルージ・ファミロン
CV.平田宏美
使用ゾイド:ムラサメライガー
ミロード村に住む13歳の少年で本作の主人公。
礼儀正しく控えめな性格だが、責任感が強く言うべきことははっきり言う。
素直な性格ゆえに敵地への潜入には向いておらず、虐げられている人を見ると助けようとしてしまうこともある。
この戦いに巻き込まれなければ教師を志していた。
事実非常に明晰な知性の持ち主で、多くの知識を吸収し軍師としての地位を確立していく。

◆レ・ミィ
CV.こやまきみこ
使用ゾイド:ランスタッグ
ヒロイン&萌え要素その一。
野性味溢れる12歳のロリ少女。なんと第1話では裸で川に潜って魚をとるという衝撃的な初登場をやってのけた
かなりキツい性格。ツン9、デレ1のツンデレ
料理は丸焼きしかできず、それを本人も気にしている。
実はその正体は……

コトナ・エレガンス
CV.伊藤静
使用ゾイド:レインボージャーク
ヒロイン&萌え要素その二。
スタイル抜群の美少女で、お姉さんタイプのヒロイン。17歳。
お姉さんキャラでルージをからかう事もしばしば。
掴みどころのない女性だが、腕っぷしは非常に強く、ガラガ以上の威力の蹴りを放ったり複数の暗器*1を使いこなすなど、くノ一っぽいスキルの持ち主。
現在名乗っている名前は偽名で、真の名前は別にある。


◆ラ・カン
CV.松山鷹志
使用ゾイド:ソードウルフ
50歳の男性。姪のレ・ミィと共に旅をしていた。
冷静沈着でゾイド操縦ばかりか世知にも長け、世間知らずのルージに多くの知恵を学ばせてくれた恩人。
ジェネレーターを破壊されたルージの故郷を救うために「職人を探す」という対策を提案し、彼と同行することとなった。

かつてはキダ藩と呼ばれる地を治める立場にいたが、流血を厭うあまりディガルド武国との戦いを避け、結果的に当時以上の力を手に入れたディガルドの脅威が多くの災いを呼んでしまったことを後悔している。


◆ガラガ
CV.三宅健太
使用ゾイド:デッドリーコング
反ディガルドゲリラを率いていた大男。『雷鳴のガラガ』の異名を持つ。
ゾイドに乗っても降りても強い男ではあるが、長期的なヴィジョンを持たず、徒に反攻作戦を繰り返していった結果、深い痛手を負うこととなる。
ルージを弟分として可愛がっているほか、コトナにはべたぼれであり「彼女の本名を知る=結婚して身内になる」というルールを述べたのも彼。


◆ロン・マンガン
CV.谷山紀章
使用ゾイド:バンブリアン
ガラガのゲリラで参謀役だった青年。
メガネに「~ねぇ」という語尾が特徴。事情通で様々な情報を持つも
相手が頭に血が上っていたり傲慢だったりで合理的な提案を袖にされることも多い。
その正体は地上の動向を探るべく遣わされたソラノヒトのエージェントである。


◆セイジュウロウ
CV.津田健次郎
剣術に長け、侍の様な佇まいをした男。
青年に見えるが実は三十路は越している。一行ではラ・カンに次ぐ年長者である。
大型のゾイドを多く産出し、ゾイド乗り同士の腕比べが盛んな地の出身で、かつては最強と謳われるほどの凄腕のゾイド乗りだった。

しかし、試合中の事故で自らの弟子を死なせてしまったショックから「強さなど無意味」と強い悲観に囚われてしまい、物語登場時点では半ば世捨て人として孤独な生活を送っていた。
ルージにも当初は冷淡な態度を取っていたが…
コトナとは旧知の中。
現在もその技量は衰えていないが、治る見込みがない呼吸器系の疾患を抱えており、物語中盤までは死ぬ死ぬ詐欺要員でもあった。


その他、ディガルド討伐軍(ゾイドジェネシス)の項目も参照されたし。


●ディガルド武国


ザイリン
本作のライバルキャラ。
ディガルドに占領されたザルツ村の出身だったが、ゾイド操縦に天賦の才能を発揮し若くして少将の地位にまで昇進。
現在も武国側のゾイド乗りとして最前線で戦うが、ルージの故郷のジェネレーターを迂闊に破壊してしまった*2ことから彼との因縁が生じ、何度となく激突することとなった。
ディガルドの手先として各地を侵略する冷徹な軍人だが、善良な人間性も多く持ち合わせており、彼の目線で進む回もあるなど、「敵側の主人公」とも呼べる人物。

ルージにはどういうわけか執着しており、彼の動向に興味を示す。



【登場ゾイド】

ムラサメライガー
ミロード村近海から引き上げられた青いライオン型ゾイド。
背中に“村雨”と彫られた大刀を持つ。
詳しくは項目参照。

◆ランスタッグ
白い鹿型ゾイド。
角とランスが主武装で両方リーオの武器である。
後に量産機も登場した。

◆レインボージャーク
孔雀型ゾイド。数少ない飛行タイプで偵察や運搬役が多い。
羽にリーオ製の刃『フェザーカッター』を持っている。

ソードウルフ
ラ・カンの愛機。詳しくは項目参照。

◆デッドリーコング
棺桶を担いだような装いの黒いゴリラ型ゾイド。
左腕にリーオの武器が仕込まれているが、使用するとゾイドが暴走するため、普段は包帯で巻いて封印している。
ゴリラに邪気眼という化学反応が楽しいゾイド。

◆バンブリアン
背中にミサイルランチャーを備えたパンダ型ゾイド。
修理に出していた為出番が遅れた。

◆ソウルタイガー
白いボディに赤いラインの走った型ゾイド
集光パネルと言う機器を持ち、光学兵器の攻撃を無力化する。


【主題歌】

◆OP

夜鷹の夢

◆ED

一期『Real Love』
二期『ありのままでLovin'U』
三期『握りしめたその手に』

『夜鷹の夢』はかなりの良曲で、DoAsInfinityファンからも名曲の1つに上がることも多い。
OP版では行軍歌のような内容だが、フルバージョンで聴いてみると……
詳しくは項目参照。

スーパーロボット大戦Kには『夜鷹の夢』、『ありのままでLovin'U』がBGMとして採用された。


【商品展開】

今回は過去のゾイドのリカラーと、メインキャラ用の新規・リデコキットのGZシリーズとバイオゾイドのGBシリーズが販売された。
ハウンドソルジャーとカノンフォート、ヘビーライモス、ギルドラゴンは、
リカラーとはいえ通常販売初の復刻だが、一部機体はアニメ未登場である。


また萌えを取り入れた展開がされ、二期と三期EDはヒロインが歌うキャラソンも兼ねている。
また、ヒロインを中心にした限定キットや、ドラマCD、編集版DVDにフィギュア等の展開も行われた。
こういう展開が放送中から積極的に行われたのはゾイドアニメでは初であった。

2009年発売のゲーム『スーパーロボット大戦K』に参戦し、スパロボ初参戦を果たしたゾイドシリーズとなった。
勇者王ガオガイガー』という先例があったとはいえ、スパロボを制作するバンダイナムコグループのライバル企業の看板商品の一つが参戦することは当時大きな衝撃を与えた。


【ゾイドジェネレイションズ -ZOIDS GENERATIONS-】

模型誌『電撃HOBBY』にてゾイドジェネシスと似た世界観で描かれたライトノベル作品。
主人公はミドリという少女で、主役機は蒼いライガーゼロ『ライガーブルー・ソウガ』。


【余談】

本来惑星Ziには月が二つある筈なのだが、
本編中に登場するは一つなので「『神々の怒り』はその何れかが落下した事により起こったのでは」と考察するファンもいる。


かつてコロコロコミック漫画機獣新世紀ZOIDS』を連載していた上山道郎の個人サイト『別冊兄弟拳』では、
ルージがバン(漫画版)と出会うオリジナル漫画『機獣超世紀伝説ゾイドXGクロスオーバー・ジェネレーションズ』が掲載されている。
あくまで上山氏の創作であり当然非公式。






ミィ「ルージぃ! 追記・修正しないと丸焼きよ!」

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  • ※日曜朝8時30分です。
  • 冒険活劇から戦記物へ

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最終更新:2024年04月11日 18:38

*1 スカートの裏などあまり見られたくない場所にも仕込んでいるようだ。

*2 ジェネレーターを破壊された集落は不毛の土地となり、手に入れても無意味なのでザイリンもこれを破壊してしまったことは後悔していた。