真・女神転生Ⅱ

登録日:2011/12/09 Fri 21:52:08
更新日:2024/01/03 Wed 23:38:51
所要時間:約 10 分で読めます




黄昏に神、堕ちる――。

1994年にATLUSから発売されたRPG。『真・女神転生』から、数十年後の未来を描いた続編。
神と悪魔と人間との壮大な戦いの結末を描いた初代シリーズ完結編である。
ゲーム的にはバグやら何やらであまりに完成度が低すぎて問題になった一方、思想的に極まったストーリーは今の目で見ても強烈。

†概要

頼るべき神も仏も皆殺しにした荒野で、人は自分で未来を決めるべきだという既存宗教にケンカを売るようなATLUSの危険思想が全面的に現れている恐るべき作品。
荒廃した東京がメインの舞台であった前作に比べ、
本作は「近未来都市」、「地下世界」、そして「魔界」など物語の舞台が非常に多様となり、
サイバーパンクファンタジーとでも言うべき独特の雰囲気を作り出している。
また登場悪魔についても、ルシファー陛下四大天使サタンマーラ様と、今も人気を博する連中の「メガテン的個性」は本作で固められた。
さらにはユダヤのトップである某唯一神が女神転生2以来の登場となりその分霊も引き連れてくるなど、いろんな意味で危険な奴らが大集合。
それら全員を巻き込んで突っ走るストーリーは、マジで行き着く所まで行ってしまった。

大司教こと鈴木一也氏がメイン参加した最後のメガテンでもある。いわば「第一期メガテン」の集大成ともいえる作品。
本作をもって神と悪魔と人間、法と混沌、悪魔召喚プログラムの物語は一段落し、次回作のif…以降は大きく空気感が変化する。

†ストーリー

20XX年、大破壊より数十年

無数の生と死をくり返しながら、人は生きのびていた
だが頼るもの、すがるもの無く、生きていけるほど
人は強くはない

人は明日への希望を探した

メシア教は神の救いを説き、信じた人が集い、街が出来た

かつてカテドラルと呼ばれた所に……

TOKYOミレニアム。人々は、理想の社会を築いたかのように見えた

しかし、いつのまにか社会には歴然とした階級の差と、上層部による厳格な管理体制が出来あがっていた

メシア教の謳う救世主と神が未だ現れない中、ヴァルハラに神憑った強さの戦士・ホークが現れる

しかし彼の素性を知るものは誰もいなかった。彼自身も含めて…

人々の願望が確立した神の街で

あなたは理想と現実を知る


†登場キャラ

ホーク/アレフ
主人公。救世主(メシア)。ロン毛。
記憶喪失で迷子になっていたが、岡本に拾われ戦士ホークとして育てられる。
サタンやルシファー、そして唯一神まで屠る超人。

◆ヒロコ
ヒロイン。元テンプルナイト。女王様っぽい刺激的なファッションの女性。
こう見えても処女で、母性的な優しさの持主。ある赤ん坊を探している。

◆ベス
サブヒロイン。テンプルナイト。俺の嫁。
センターがアレフのパートナーと定めた女性。絶対領域がまぶしい。
やや異常とも言えるメシア教の敬虔な信者で、救世主である主人公に献身的に尽くす。

◆ダレス
アンチメシア。上位5人に数えられる優秀なテンプルナイトだったが、自ら救世主を名乗り、アレフに何度も戦いを挑んでくる。
ちょっと間が抜けてる。よく見ると装備が前作主人公を彷彿とさせるベジータ。

◆ギメル
理想郷アルカディア・エリアを優れた知力で管理する、エロい服を着た美青年。
ただし出番は超少ないVR大王。強制イベントがほとんどないので見過ごされて終わる事もしばしば。

◆ザイン
センター最強のテンプルナイト。ただし頭はウド鈴木。
アレフと関わったことでセンターの動向に疑問を持ち、ミレニアム解放へと動き出す。なお正体は…?

◆岡本
アレフを戦士として育てたジムのオーナー。
ハゲ頭に眼帯と、モデルはどう見てもジョーのあの人。

◆目加田
センターで働いていた研究者。花田と共に爆発事故を起こした犯人。
とある事情からセンターに反抗し、ヴァルハラに潜伏している。

◆花田
目加田と共にセンターにいたマッドな研究者。自称・大天才科学者で悪魔研究に異常な興味を示す。
魔界への門を開く事に成功するが詰めが甘いドジっ子。こいつのせいでヴァルハラ中に悪魔が蔓延ってしまう。

◆マダム
ヴァルハラの美しき管理者。コロシアムに出現させる悪魔を呼び出させていた花田を捕らえる為、アレフにケルベロスを貸す。
非常に謎めいた人物だがセンターよりも市民に信頼されている。ケルベロス曰く、強い人間だったらしい。

◆ケルベロス
マダムから借り受けることになる悪魔。
サマリカーム持ちでかなり頼りになるが、(序盤では)調子に乗って召喚し続けているとあっという間にマッカやMAGが尽きる。
GBA版のサブシナリオにて、前作に登場した『パスカル』ではないかとほのめかされている。

◆ナジャ
バンシーの幼女。アレフに好意を抱き、ボスと戦わずにダンジョンを脱出できる道を教えてくれる。
そんな幼女の純情な想いを、ATLUSはバグという形で無残にも踏みにじった。

◆アヌーン
エルフっぽい妖精の美少女。旧新宿で薬屋を営んでいる。もじもじしていてキャワイイが実はヤンデレ。狙った獲物はヤクで落とす。

◆ルイ・サイファー
謎の金髪スーツオッサン。各地のバーでたびたび酒を嗜んでいるが、ストーリー後半からはシリーズ屈指の活躍を見せる。
特にChaosルートではほとんど主人公置いてけぼりでこいつが喋り倒す。最もかっちょいい閣下。

◆STEVEN(スティーブン)
毎度おなじみ、車椅子の科学者。
ヴァーチャル空間に普通に出入りしたり、前作から全く姿が変わってなかったりと、未だ正体不明な存在。
アレフに悪魔召喚プログラムを託す。

◆元老院
センターを陰で操る最高権力者たち。中盤の終わりごろ、対面することになる。

†システム

前作から色々な部分がパワーアップしている。
  • コンフィグ機能導入
  • テキストにおける漢字の採用
  • 悪魔の特技と魔法欄拡張
  • デビルアナライズの容量大幅拡張
  • 前列、後列の区別
  • オートリカバー導入
  • E.Aインジケーター導入
  • 悪魔合体で魔法継承
  • ランダムエンカウントで敵悪魔が二種類出現
  • コマンドから仲魔に任意で特技を使わせることが可能 etc.


†世界観

【メシア教】
本作の世界を牛耳っている宗教団体。「センター」と呼ばれる上流階級による恐怖政治を強いている。
大災害後に人々を救い、吸収していくことで急速に勢力を伸ばし権限を掌握するに至った背景がある。
各エリアの生命維持まで管理しており、酸素供給をストップさせることさえ可能。

【ガイア教】
自然や混沌の中で生き残る事を美徳とし、力を至上とするメシア教と対極にある宗教派閥。
本作ではメシア教に追いやられ半ば密教となっており、センターに見つかれば処刑される。

【TOKYOミレニアム】
カテドラルを元とし、汚染され陥没した東京の上に作られた超巨大建造物。
メシア教直属のセンターが支配する街となっており、多数のエリアがある。

【ヴァルハラ】
主人公がゲーム開始時に生活している、マダムにより統治されているエリア。
比較的自由な気風のエリアで、コロシアムやカジノ、ディスコがある。センターからは問題視されている。

【アルカディア】
ギメルが管理している、センターが目指す千年王国のテストケースエリア。ここでは悪魔との戦いも人同士の争いもない。
住人は幸福に暮らしている……ように見える。旧ローマ時代を彷彿とさせる景色で、建物も見た目も全部統一されている。

【ファクトリー】
ミレニアムの食料などが生産されているエリア。強制収容所などがあるが、労働者は盲目的に仕事に満足している。
エリア中に絶え間なく不思議な歌声が流れ、ナンディを食肉用にしたデミナンディや、労働力として造られた人造悪魔のデモノイドなどがいる。

【ホーリータウン】
大教会を中心とした市街のエリア。センターが人々を集めようとして失敗した街らしい。
キングフロストら悪魔に荒らされているが、アレフ達により悪魔が退治された後は復興する。
真下には妖精の街と化した旧新宿がある。ヴァルハラが飲み込まれた後、ザインが反旗を翻す根城とした。

【地下世界】
ミレニアムの地下に追いやられた、旧東京の跡地。
ガイア教徒やミュータント、妖精や地霊といった悪魔など、ミレニアム側から迫害・排斥された者たちが住んでいる。

【魔界】
魔王ルシファーが治める世界。モチーフはセフィロト。様々な異世界や異空間に繋がっている。


【前作の結末とつながり】
公式回答はなし。そもそもⅠがマルチエンディングシステムなので仕方ない。
ただしシナリオ担当によるとロウエンドならそのままⅡに、カオスなら一旦はカオスが覇権とるが虐げられた人が集まりロウ復興とカオスが自滅のためⅡに、
ニュートラルルートではヒーローがロウカオスの首魁を粉砕しはしたが、人の自主性にまかせて導かなかったためにカオスと似た流れでⅡの世界観につながるとのこと。
ヒトの世界ってままならんね。


†バグ

SFC版とPS版の初期ロットは、異常にバグが多いことで有名ドミネーター。
元々SFC版からして、パッケージ内に「こういうバグがありますので気を付けて下さい」との旨が記された黄色い紙が封入されているほどの、凄まじいバグの嵐であった。
当然、全国のメガテニスト達はバグが修正された完全版を待ち望んだ。だからこそ、2002年に発売されたPS版への期待度は非常に高かったのだが……
蓋を開けてみれば、ドミネーターに代表されるどうしようもないバグの数々。
SFC版に勝るとも劣らない(というか劣る)酷い完成度に、数多のメガテンファンが阿鼻叫喚の怨嗟を上げた。

【バグの一例】
  • ナジャによるステータスUPイベントは、実際には効果がなく逆に無視すると上がる
  • 主人公だけ全体攻撃を2回くらう(正確には人間を左上にすると2回くらう)
  • なぜか出てくる謎の言葉「ドミネーター*1
    例「ホークはドミネーターを手に入れたドミネーター」
  • 勝手に仲魔がCOMPに戻る
  • マグネタイトがボス戦でしか入手できない
  • ステータス表記がぐちゃぐちゃ
  • 移動中にステータス異常になる
  • カジャ系(ステータス上昇)魔法をかけ過ぎるとオーバーフローでステータスが急激にダウン
  • スクカジャ系(命中上昇)魔法をかけると逆に命中がダウン
  • 敵のンダ系(ステータス減少)魔法や一部の物理攻撃は、パーティーの人数分くらう*2
  • 一部の「特定条件に当てはまるキャラ」をターゲットにした攻撃の対象が設定どおりでない
  • アイテムを入手したらアイテムが消える
  • セーブしたらマッカが消える
  • 戦闘中に7回以上、仲魔を召喚するとバグる
  • 敵悪魔に攻撃を反射されるとバグる
  • 敵に「じばく」を使われるとデータに大ダメージが入り、やがてバグで消える
  • アイテム増殖が可能(能力アップアイテム『~の香』も99個に増やせる)

これらのバグの多くは、意識せずとも発生させてしまう可能性が高く、しかも最悪の場合フリーズするので、ゲームの進行を著しく妨げること必至。
発生してしまったら、素直にリセットして再発しないように祈ろう。

なお、PS版はそのあまりの酷さゆえに急きょ修正版が製作され、2003年ごろまでは無償でドミ版と交換してもらえた。
……もっとも、その修正版にもバグはいくつか残っていたのだが。
怖いもの見たさにあえてドミ版を求める酔狂なメガテニストもいたとかいなかったとか。

その後発売されたGBA版は、特に目立ったバグは無く、さらに追加要素もあるので良移植との扱いを受けている。
だがGBA版は生産本数が少なく、今となっては中古で5000円以上もするプレミアソフトとなり、入手が非常に難しい。

バグに隠れてさほど言われないが、魔法の弱さがやり玉に挙げられる。*3シリーズの最強魔法「メギドラオン」を魔力Maxで放ってもダメージが微々たるもの。魔法の設定値か計算式にミスがあるらしいと言われるが…。
他にも、大ボスの回避率が高すぎる事、悪魔合体のバランスが壊れている事、ラストの舞台は戻れないのに仲魔の強化や作成材料が枯渇する事…等、バグというより練りこみ不足・調整不足が目立つ。
ちなみに「ライドウ・アバドン王」も計算式がおかしいとも言われる(こちらは、ライドウが高レベルになった頃に、レベルの低い悪魔のレベルの低い魔法が高い威力になるというもの。恐らく魔法のダメージが数値でなくパーセントで設定されてる疑惑)。



追記・修正よろしくドミネーターをおねがいしますドミネーター

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最終更新:2024年01月03日 23:38

*1 本来は作中に登場する銃の名前。メッセージを送るための「▼」が別の単語に変換されてしまい進行不能になるバグとされる。このバグがあまりにも印象的だったため、「ドミ版」という通称が生まれた。

*2 本作のンダ系魔法は5回まで重ねがけ可能なため、5人以上のパーティーだと一気に最低まで下げられてしまう。

*3 残念な性能なのはダメージを与える攻撃魔法ぐらいで「ムド」「ハンマ」による即死狙いは有用。