メロスピ/メロパワ

登録日:2011/10/09(日) 16:55:38
更新日:2024/02/20 Tue 14:23:13
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メロスピ/メロパワとは音楽ジャンルであるヘヴィメタルのひとつ。

概要

それぞれ
『メロディック・スピード・メタル』
『メロディック・パワー・メタル』
の略称。

因みにこれは日本固有の呼び名で、海外では単に『パワーメタル』と呼ばれる。

大まかに、
  • メロディック・スピード・メタルは、テンポが速く疾走感を重視したもの。
  • メロディック・パワー・メタルは、重低音やグルーヴを重視したパワフルなもの。
といった違いがある。

だが、境界線が曖昧で明確な定義が無い為、この項目ではまとめて説明する。

音楽性としてはその名の通り、オーソドックスなヘヴィメタルをよりメロディアスにし、
バンドによってはオーケストラやコーラスの導入で勇壮さや荘厳さを増加させたものである。
シンセサイザーを導入してポップやディスコなどを影響を感じさせる物もある。

テンポはデスメタルに勝るとも劣らない高速な物も多く、メロスピの場合だとそれが顕著。
また、歌詞やアートワークが中二病全開ファンタジックなものが多く、指輪物語やRPG的な世界観が異様にマッチする。


その聴きやすさ、ファンタジックな世界観からか、普段メタルを聴かない層でも取っつきやすくハマり易いジャンルである。
特に歌詞やメロディが重視されがちな日本では人気が高く、このジャンルがメタル入門となったメタラーも多いだろう。
メロディアスで熱さを演出しやすい為、アニメやゲームのBGMや主題歌に採用されるケースも多い。

クドいまでに耳に残るメロディや高速なテンポ、中二病ファンタジックなアートワークや歌詞から、
「クサい」「ダサい」「クサメタル」と言われることも。 だが、これらは誉め言葉なので問題ない

90年代後半から00年代前半にかけて隆盛を極め、様々なバンドがデビューするが、シーンが飽和状態になりブームは収縮。
最近は新興勢力のメタルコア/デスコア等に押されている。
現在でもスウェーデン・フィンランド・ドイツ・日本などから毎年多くのバンドが現れるが、
アルバム1~2枚をリリースして消えていくバンドが多いのが現状である。

一時創作、二次創作問わず同人メタルにも多く見られ、アニソンや東方Projectのメタルアレンジはメロスピを意識したものが多い。
ぶっちゃけ言えば、ツーバスをドコドコ踏みっぱなし&ギターをピロピロピロピロと早弾きすればそれっぽく聞こえる。


レーベル

日本盤の発売元レーベルは“メタル・フロンティア(キング・レコード)”、“サウンドホリック(徳間ジャパン)”、“アヴァロン(ビクター)”が有名。
メタル・フロンティアとアヴァロンは、リリース数も多ければ同時にハズレも多く、マニアには特にサウンドホリックが人気と安心のレーベルである。
しかし、そのサウンドホリックは2010年に事業閉鎖してしまった。
近年は新興レーベルの“ルビコン”が注目されている。
また、レーベルではないが、輸入販売店は“ディスクヘブン”がマニア御用達となっている。


各パートごとの特徴


☆ボーカル
所謂ハイトーンボーカルの人が多く、メロディーも重視される為、高い歌唱力が求められる。
声楽やオペラのバックボーンがあるボーカルとの相性も良い。
髪型がフサフサロングかスキンヘッドと両極端(ハンズィ・キアシュやロイ・カーンという例外もいる)。


☆ギター
メロディを重視する音楽性という事もあり、ボーカル同様にメロディをきちんと演奏できる事が重視されるパート。
疾走感を演出する為に素速い刻みや速弾きも求められるので、ある程度の技量が必要。


☆キーボード
ギターと同じくメロディを司る重要なパート。
ギター同様速弾き等を要求される場合が多い為高い技能が必要である。
キーボードがいないバンドも多いが、いるバンドのクサさは異常。
後述の通り、オーケストラやコーラスを取り入れるバンドが多い為、
クラシックやオーケストレーションの知識があると重宝される。


☆ベース
あんまり目立たない。もはや音圧稼ぎで呼んで来てるでしょ?て思うくらい目立てない。
だがAngraやHibria等、超絶過ぎて目立つ人達も。


☆ドラム
速いBPMで叩くので技術体力ともに高いレベルが求められる。
Angraの神々しい名前の人とか、DragonForceのMacさんとか大変な事になってる。


★代表的なバンド★


☆Helloween
このジャンルの始祖とも言われるドイツのバンド。ただし作風も多岐に渡るためパワーメタルには含めない人もいる。
特にマイケル・キスクカイ・ハンセンの両名がいた頃の名盤『Keeper Of The Keys Pt1&Pt2』はメロスピを確立させるとともに、
ヘヴィメタルの名盤として語り継がれている。
ただし彼らは非常にバラエティー豊かな楽曲を持つバンドであり、このアルバム自体も様々なタイプの楽曲がある。


☆Gamma Ray
1989年にHelloweenを脱退したカイ・ハンセンが立ち上げたバンド。
3rdアルバム『Insanity and Genius』まではJudas Priestのロブ・ハルフォードを思わせる鋭いハイトーンボーカルを得意とするラルフ・シーパースがボーカルを担当していたが、4th『Land of the Free』以降は初期Helloween同様カイがギター・ボーカル兼任となる。
バンドのマスコット「FangFace」はかつてHelloweenの『Walls of Jericho』までのアルバムに出てきていたが、同バンドのギタリストのマイケル・ヴァイカートが「Iron Maidenのエディ・ザ・ヘッドに似ていて嫌いになった。」と言う理由でクビになりGamma Rayに移籍したと言う経緯がある。


☆Angra
ブラジルの至宝。
業界最高峰の凄腕が揃った鬼バンドで、クラシックやラテンやブラジルの民族音楽を取り入れた音楽性で、
Sepulturaぐらいしか知られてなかったブラジルメタルシーンの代表格になる。
大きくアンドレ・マトス期とエドゥ・ファラスキ期に分かれるが、どちらも名曲揃いなのでぶっちゃけ好みの問題である。
個人的にはエドゥ期『Temple Of Shadows』がオススメ。超高クオリティ過ぎて笑っちゃったのはいい思い出。
最近、神々しい名前のドラマー脱退やエドゥのハイトーン無理ぽ発言等あったが、キコ様と天使様のやる気があるなら大丈夫。


☆Stratovarius
フィンランドを代表するヘヴィメタルバンド。
爽やかさと哀愁感が程よく漂い、キャッチーなピザなメロディとあいまって広い層から支持されている。
メタル新参者にもオススメ。
ギタリスト兼メインソングライターのティモ・トルキ(通称:大ティモ)、バンドの推進力となったヴォーカリストのティモ・コティペルト(通称:小ティモ)という2人のティモがバンドの顔だったが、
大ティモが脱退してしまう。
2005年より加入したベーシストのラウリ・ポラーはフィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウスの曾孫として有名。


☆Dragonforce
超ハイスピードな楽曲と過剰なまでのメロディが特徴の言わずと知れたメロスピ界の人気者。
メロスピといえばこのバンドの名前を挙げる者も多い反面、そのやりすぎな曲調は評価が分かれる面も。
そしてなんといっても、メタル界随一のイケメンが在籍するバンドとして知られる。
その名は ハーマン・リ
香港生まれの長髪でイケメンかつ様々な不思議エフェクトと速弾きを得意とするイケメンである彼、 ハーマン・リ と、
多くの曲を手掛ける酒好きのサム・トットマンのツインギターのスーパーピロピロオナニータイムのせいで大体曲が7分台と長い。(ボーカルがZPサートからマーク・ハドソンに変わってからのアルバムでは短くなっている)
デスメタル出身の鉄壁の鬼ドラマーにやたら跳ねるキーボード、黒髪イケメン(ただしハーマン以下)とアクが強いメンバーが多い。
そして非常に前衛的なライブパフォーマンスが有名(最近は随分改善)。
2018〜22年にかけてメンバーの加入・脱退が続き、キーボードがいなくなったりベースが女性になったりした。

☆Rhapsody(of fire)
壮大なオーケストラを導入し、ファンタジー世界を卓越したテクニックで曲にするメタルバンド。
「シンフォニックメタル」に分類されることもある。
1st~5thアルバムまでが『エメラルド・ソード・サーガ』
6th~9thアルバムが『ダーク・シークレット・サーガ』
という1つの物語になっている。
なので歌詞に『Sword』とか『Dragon』とか『Holy』とかがやたら出てくる。分かりやすく言えば「剣と魔法の世界」をメタルにしてる。
ただし、それを歌うのがオペラ出身の超絶ヴォーカリストの為説得力がハンパない。そして演奏陣もハンパない。


☆Blind Guardian
勇壮なコーラスが特徴的なドイツのメロパワバンド。
マイケル・ムアコックやJ.R.R・トールキン等の作品を題材とした幻想的な世界観を持つ楽曲が多い。
ライブでは曲の1パートを観客に歌わせるお約束があり、その大合唱は圧巻の一言。(特にThe Bird's Song - In the Forestはほとんど観客だけの大合唱になる)
ギターソロは手癖を元に作られる事が多いが、ギタリストのアンドレ・オルブリッチはギターソロを作曲して弾く為、印象的なギターソロが多い。
4thまでは疾走曲が多めだったが5th以降からは疾走感よりも複雑さや重厚さに重きをおいたスタイルにシフトしていく。耳を澄ませて作り込まれたその世界観をじっくり堪能するべし。


☆Sonata Arctica
北欧特有とも言われる憂いと冷ややかな熱気を帯びたバンド。
叙情的なメロディと疾走感溢れる1stと2ndで北欧系メロスピの人気バンドになると同時に、DragonForceと共に00年代を代表するメタルバンドに成長する。
3rd,4thと徐々にプログレ化していき5th『Unia』にてスピードチューンを封印。重厚なアレンジと甘美なヴォーカルを全面に推したサウンドで賛否両論を巻き起こす。
けど6thでちょっと戻る。


☆Kamelot
緻密な世界観と湿っぽい空気の上にロイ・カーンのエロい声が流れるアメリカのバンド。
メロスピ界には数少ないアメリカのバンドだが、アメリカンメタルのカラッとした分かりやすさややリズムは皆無で、
言われなければヨーロッパのバンドだと思ってしまう。
ヴォーカルのロイはRhapsodyのファビオ同様オペラ出身であり、歌唱力は折り紙付き。
シャウトを使用しない官能的な声にファンが多いが最近脱退してしまう。


☆Sabaton
パワフルな曲調に主に戦争やミリタリーを題材にした歌詞が特徴であるスウェーデンのバンド。
戦車などをあしらったライブセットを使ったパフォーマンスも評価されている。


☆Galneryus
超絶技巧派ギタリストSYUと、超絶技巧派キーボーディストYUHKIが中心となって創り出す、力強くもシンフォニックなメロスピナンバーが特徴的な日本のメタルバンド。
vocalが、太くて力強い声色のYAMA-B時代(2003〜2008)と、力強くも透き通ったハイトーンボイスの小野'SHO'正利時代(2009以降)に分かれているが、どちらも名曲揃いである。
「旗を掲げ、圧政者からの独立を求め戦う戦士」をモチーフにした曲が多く、大抵のアルバムに、曲名に「flag」が付く曲があるのがポイント。


☆Battle Beast
女性ボーカルを取り入れたフィンランドのメタルバンド。
パワフルでキャッチーなメロディで人気を博し、フィンランドを代表するバンドの一角となった。
このバンドの魅力を支えていたギタリストであるアントン・カバネンが解雇同然の脱退をするものの、メンバーチェンジを経て活動は続いている。


☆Beast in Black
Battle Beastのギタリストであったアントン・カバネンがBattle Beast脱退後に結成したメタルバンド。
1stアルバムは初期のBattle Beastを彷彿とさせるキャッチーなパワーメタルで、Battle Beastに勝るとも劣らない高評価を得た。
1stアルバムの歌詞とアートワークは、アントンがファンであるベルセルクの影響を受けている事でも知られる。


☆Twilight Force
2014年に発売されたデビューアルバム『Tales of Ancient Prophecies』が話題となった、スウェーデンのメタルバンド。
シンフォニックメタルとして要素も色濃く、底抜けに明るい壮大な曲調とファンタジーなアートワークで一躍人気となった。
2017年に初来日を果たし、2023年にも来日。


☆Stormwarrior
1998年にラーズ・ラムケ(Vo/G)を中心に結成。
Walls of Jericho時代のHELLOWEENのサウンド等から影響を受けており、同アルバムの持ち味であるゴリゴリした強烈でスピーディーなギターリフを中心とした無骨なサウンド、ヴァイキングや戦士をテーマにした歌詞、そしてカイ・ハンセンばりに癖の強い声で荒々しく歌い上げるラーズのボーカルが特徴。
ラーズをはじめとしたメンバーは皆カイの大ファンであり、初期2つのアルバムはそのカイが自らプロデュースを行った他数曲でゲスト参加している。
3作目「Heading Northe」以降はベテランのベーシストであるイェンツ・レオンハルトを迎え、よりベースラインが重厚になった他、いくつかの曲で勇ましいコーラスやボーカルを披露し曲を盛り上げている。
活動初期のメンバーは「Thunder Axe(ラーズ)」や「Evil Steel」等いかにもな芸名を用いていた。


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最終更新:2024年02月20日 14:23