サソリとカエルの寓話

登録日 :2013/5/28(火) 20:50:00
更新日 : 2016/09/22 Thu 10:24:09 2016/09/22 Thu 10:24:09
所要時間 :約 3 分で読めます




ある森に一匹のサソリがいた。
サソリは川の向こう岸に行きたかった。しかしサソリはカナヅチだった。

そこでカエルに向こう岸まで運んでもらうように頼んだ。
「カエルくん。俺を背負って向こう岸まで泳いでくれないか」

カエルは断った。
「いやだよ。サソリさんを背中に乗せたらきっと僕を刺し殺すだろう」

なおもサソリは食い下がる。
「君を刺したら俺まで溺れ死んじまう。そんなに馬鹿な事はしないよ」

これに納得したカエルはサソリを背負って川を泳ぐ事にした。
川の流れは穏やかでサソリ一匹背負っても問題なく泳ぎきれそうな距離だった。

しかし半ばまで泳ぐとカエルの背中に激痛が走る。
後ろを見遣るとサソリが尻尾を突き立てている。

薄れ行く意識の中でカエルはサソリに質問をした。
「サソリさん。何故僕を刺したんだ?
 これでは君も死んでしまうだろう」

サソリは最期に答えた。
「仕方が無いさ。何故なら俺はサソリだから」

解説

作者は不明。ベトナム戦争を象徴する話として生まれた。
サソリの代わりにヘビが出てくるバージョンもあるらしい。
人の性を端的に表す寓話として世界中で愛されている。

サソリは今の生活を投げ出してまで新天地を求めた。それは一世一代の夢だったのかも知れない。
カエルは疑いつつも見返りも求めずにサソリを運ぶ事を了承した。以前から友人だったのかも知れない。
何よりサソリに自殺願望など微塵も無かった。

それでもカエルを刺してしまった。それがサソリの性だから。
それが身の破滅に繋がろうとも無防備なカエルの後姿を無視する事が出来なかった。
夢も友人も自分の命も捨てる結果になってもサソリはサソリである事を選んだ。

サソリが死守したものはアイデンティティか、それともただの悪癖か。一体どちらなのだろうか。

サソリとカエルの寓話が作中に関わってくる作品

  • クライングゲーム(映画)
  • サイボーグ009(漫画)
  • 悪魔のミカタ666(ライトノベル)
  • エデンズボゥイ(アニメ)
  • 世紀末博狼伝サガ(漫画)
  • NOBELU -演-(漫画)
  • ヤング ブラック・ジャック (アニメ)

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