リンダキューブ

登録日:2010/09/15(水) 11:43:19
更新日:2024/04/10 Wed 19:44:47
所要時間:約 10 分で読めます




PCエンジンSUPER CD-ROM用及び、他機種への移植を含めたRPG。ゲームデザインは桝田省治

ジャンルは公式では「サイコスリラー&ハンティングRPG」

元はPCエンジン用のソフトなためにグラフィックはお世辞にも綺麗とは言えない。SFC並みかそれ以下。しかし奇抜なゲームシステムとストーリーで今なお根強いファンがいる。

対応機種によりタイトルや内容が多少違ったりするがストーリーは同じ。

  • リンダキューブ(PCエンジン版)
  • リンダキューブ アゲイン(PS版)
  • リンダキューブ 完全版(SS版)

以上の3タイトルがあり、PS版は現在ゲームアーカイブスで購入出来る。


■ストーリー
地球に良く似た惑星、ネオ・ケニアは八年後に巨大隕石が落下し壊滅的なダメージを受けることになる。主人公ケンは恋人のリンダと共に突如現れた箱舟と呼ばれる宇宙船のクルーとなり、ネオ・ケニアが壊滅するまでに可能な限りの動物を雌雄一対の「つがい」で収集しこの星から脱出することとなる。

上記のような本筋のストーリーを元に用意されたA、B、C(PS、SS版ではDも)のストーリーの全く異なるシナリオの一つを選びゲームを進めて行くことになる。
ゲームの特徴としては、

  • 主人公は勇者ではない
  • 魔王やそれに類する世界の脅威となる「敵」が存在しない。*1
  • 惑星の滅亡を阻止する事が出来ない。

と言った点で主人公の目的はあくまで「動物を集めて星から脱出する」ことである。A、Bはボスがいて難易度が低くストーリー重視、C、Dボスは存在せず難易度が高い。
難易度が低いのは全てのエリアを行き来できるC、Dとは異なって、A、Bでは行けるエリアが制限されているためであり
それぞれ行けない理由も劇中で語られており、Aではとある指名手配犯抹殺のために核兵器を使ったために汚染されているため。
BではAでキーとなるグリーン製薬が事故によって未知の細菌をばら撒いてしまい該当地域住民が全滅したためと説明されている。
そのため片方で登場した重要キャラがもう片方では影も形もない。

A、Bどちらも鬱なシナリオが展開される*2が、その2つをクリアしてからプレイすることを推奨*3されているシナリオCは
2つをやってこそ良さが光り、物語の核心に迫る話もあるので大人しく従うことをオススメする。
ちなみにDはタイムアタック的なシナリオであるが設定上は結婚していちゃついていたら残り1年になってしまったというなんともアレな話である。

ただしどのシナリオでも重要なところがぼかされていることが多くその辺りはプレイヤーの想像にゆだねられている。
ちなみに小説版が存在するがよりにもよってBを元にしたシナリオなためかなり鬱な展開が繰り広げられている。


■システム
プレイヤーが遊んでいる時間の経過と共に自動的に進むセミリアルタイム形式で、8年の間に設定された数の動物のつがいを集めればクリア。(設定される数はシナリオごとに違う)

要は「動物を集めまくれ」と言うこと。
しかし中には強い動物もいたり、逆に自分達が強くなりすぎて動物を粉々にしてしまい捕獲出来ないなど計画的に収集しなければ簡単に詰んでしまう。
特に高難易度なシナリオでは一挙一動が命運を分けると言っても過言ではない。
動物収集の手段も様々で戦闘で倒すだけに留まらず、卵を入手して孵化・ハンターを雇って代行・オークションで落札
依頼をこなして報酬として貰う・特定のイベントをこなすことでのみ入手可能など様々である。

また、時間が進むにつれネオ・ケニアの住民は星から脱出していき最後の年にはほとんどの住人がいなくなり、買い物も出来なくなるなど変にリアル。これらの点も考慮しながら攻略しなければならない。
これは動物でも同様で数年経つと全滅してしまう種もあるためなかなかシビアである。


余談だが「装備品や道具などは、捕獲した動物を加工して作成する」と言ったシステムは過去に例がなく元祖とも言われている。

戦闘はターン形式でパーティは最大四人まで。魔法とかは存在しない基本的にはゴリ押し系。

以下ネタバレ含む




■登場人物
キャラクターの経歴や外見はシナリオによって異なる。

  • ケン・チャレンジャー
CV:矢尾一樹
無造作ヘアーが特徴的な主人公。Cシナリオでは事故に遭い、一年間寝たきりになる(故にCシナリオは時間が少なく難易度が高い)。絶倫。


  • リンダ
CV:高山みなみ
ケンの恋人でヒロイン。Aでは記憶喪失、Bでは腕を奪われ代わりに親父の腕をくっつけられてしまう可哀想な子。
活発で明るい性格だが、口が悪い。あと飯を美味そうに食う。エンディングではめちゃくちゃ子供を産んで相当長生きする。シナリオABCそれぞれで名字が違う。


  • ネク
CV:矢尾一樹
ケンとそっくりな青年。自称ケンの双子の弟。丈夫。不意に後ろから巨大ナイフで刺されたくらいじゃ動じない*4。報われない子。PCE版では獣人化する。
+ 詳細
ケンの生き別れの実の弟。
彼は幼い頃から闇の社会に生きており養母からの命令で死体を集める生活を強いられているため、表で幸せな生活をしている兄に嫉妬している。
そのために「死体は探すより作る方が簡単」という恐ろしい台詞を発言している。

リンダを催眠にかけNTRを計るが、何をしてあげても彼女は”ケン”の行動だと信じて疑わなかったため憤りを募らせる事に。そのため自身がケンとなるために彼の殺害を試みる。
が、直後に先述のナイフで刺される展開になるが、その加害者は…。
始めは涼しい顔で普通に会話をしていたがすぐさまメッタ刺しにされて絶命した。

彼なりのリンダに対する思いやりは確かにあり、最後はケンにリンダを守るよう託し、催眠を解くキーワードのヒントを与えた。

Bでは登場しないがなんと謎の細菌に侵されて死亡している
だがそれを発見したある人物によると他の人々が見るも無残だったのに対して、遺体の状態は良好だったようで彼の遺伝子を利用してあるものが生み出されている。

Cでは一転して事故で寝たきりになったケンの弟であると名乗りを上げて、輸血や治療費の援助をしておりケンに対し親身になって手助けしてくれるなどAでは考えられないような仲の良さを見せてくれる。*5
サチコに惚れており後に交際を始め結婚、その後双子の父親になるなどAでは考えられないほど幸せな生活を送っている。


  • エモリ・サチコ
CV:佐久間レイ
黒髪の美女。エモリ博士の娘。心優しい性格だがやけにエロい。
+ 詳細
シナリオAではホスピコの看護師として登場するが完全な脇役となっている、記憶喪失になっているものの新米看護師として努力しており、終盤ではあの有名な台詞でプロポーズをしていることが分かる。*6

シナリオBでは重要人物の一人として登場するが、いずれもサチコ本人ではなくクローンである。
本人はとあることでショックを受けて教会から飛び降りてしまいこれがエモリが狂い始めるきっかけとなった。*7

3、2、1、撃てっ!

ミナゴ襲撃の犯人であり仮面ライダーシンのような姿もBモードによる変身した姿である。
サチコは序盤から共に戦えるのだがこの姿で戦うことはできない、中盤のイベントを経て解禁されるが、あまりの強さに簡単に消し飛ぶため多用はできない。
Bの中心人物であるため元々鬱要素てんこ盛りのBでの最後は救いがない。

Cでは一転して幸せな生活を送っており、途中からネクと交際を始めて後に結婚。
更には双子の母親になったことが判明するなどBをやった直後ではその幸せぶりが眩しいほどである。


  • ヒューム・バーニング
CV:神谷明(オリジナル)/二又一成(アゲイン及び完全版)
リンダの父。筋骨隆々の黒人。「愛し合う2人はいつも一緒」が口癖。
Aではアンと離婚しており、Bでは一度離婚したもののより戻りして仲良くしていたが最序盤に殺されてしまう、Cでは夫婦仲睦まじい。
サンタコスが好きでみんなのトラウマ。
+ 詳細
というのも作中の振る舞いにかなりインパクトがあるため。

Aシナリオで実はラスボスとして登場。二重人格の様で父親としての顔とサイコな殺人鬼としての顔を持つ。
しかし殺人鬼の人格が妻のアンと常に一緒にいたいがために彼女の両腕と腰から下を切断し自分の胸に貼り付けていたのだが、父親の人格でこれを見た時に「愛し合う2人はいつも一緒だぁ!」と狂喜の声を挙げるなどこちらの人格も最早まともではない。この前後のやり取りはリンダキューブを代表するシーンの一つで、アニメーションが手掛けられている。
ちなみに彼が変貌した経緯はリンダが娘であるにもかかわらず、自分の血を引く要素が見当たらない*8ことから妻に疑心暗鬼になりDVの末に離婚、養育費を稼ぐために薬を服用して精神異常をきたしたためでもある。*9
なお彼との戦闘を無視してエンディングに行くことが可能だったりする。

Bシナリオでは上記の誤解が解けたことで本当に家庭円満でケンとリンダの婚約も祝福してくれるが、前述の通り最序盤で妻と共に身体中に風穴を開けられるという惨い殺され方をする。これまたアニメーション。
その後ゾンビとして復活してアンと共に戦わざるをえなく「リンダ…」と連呼する専用BGM*10も流れるなどBの鬱さを加速させている。

Cでは一転して不幸になることもなく仲睦まじく、とあるキャラに対してとんでもないセルフパロディをかましていたりする。*11


  • エモリ・ヤタロウ博士
CV:青野武
サチコでどうだ?!で有名な先生。生化学の権威で、パンハイム・ローズと並び「3人でネオケニアの平均寿命を10年は延ばした」と言われる高名な医者である。
全てのシナリオでヒューム・エリザベスと並んでその立ち回りが大きく異なっている一人でもある。
+ 詳細
シナリオAでは娘のサチコは登場するものの本人は影も形ないが、Bでの立ち回りや前述したエリア制限から死亡している可能性が高い。

Bにおいては黒幕として活動しており、とんでもないマッチポンプを展開している。
狂気に走ったのは前述のサチコの一件が原因であるがそれ以前から指名手配犯として逃亡生活を送っており、1億もの人命を奪った凶悪犯でもある。
だがそうなったのも元は妻を救うための資金欲しさに技術を売ってしまい、その結果指名手配されてしまった
とされる描写があるがこれも本人から真相については一切語られていない。
遂に後がなくなったエモリは自身も酷い名前のモンスターと化して襲ってくるが…

Cにおいては指名手配されておらず高名な博士として生きているが、中盤かつてのライバルに娘を誘拐され自身の最新研究と身代金を請求される。*12
ここでBの時とは正反対の発言をしており、その後サチコの結婚式でもとんでもないセルフパロディがさく裂している。
その後双子の孫が出来たことを喜んでおりいくつかの名前が挙がっているが…何歳向けのネタだよ


  • エリザベス・グリーン
CV:くればやしたくみ
製薬会社「グリーン製薬」の女社長で見た目は40代ほどだが、実年齢は相当な高齢であるとされている。
+ 詳細
Aでは表向きはケンの援助をしてくれると好意的に接してくるが裏では先住民族であるビースチャン搾取をしていたことが判明、実年齢に対して見た目が若かったのもビースチャンを犠牲にして作り上げた薬によって得た物であった。
ネクを養子としているが事実上奴隷のような扱いであり結果その報いを受けることとなる。
他の黒幕同様ある人物によってそうなった経緯が語られているが、この人物はエリザベスに好意を寄せており彼が彼女にその思いを告白したか否かが多くの人物のその後に影響していることがCで判明する。

Bでは上記の様に事故を起こした影響で死亡したと考えられる。

Cでも登場するが黒幕2人ほどの絡みはない、A同様ネクを養子にしているがAのような悪行を行っていないためしっかりと育てている。
そのため年老いた姿で登場しているが若返っている時よりも幸福な人生を送っているようである。*13
ネクが結婚した後惑星移住のための寄付を行っており、予算問題が解決できるほどの額を寄付するなど善人として描かれている。


  • ベン・マクドナルド
CV:内海賢二
ネオケニアレンジャー隊の隊長で前隊長であるケンの父ジーンとは親友であるが同時にミームを巡って争った仲でもあった。
ケンを怒鳴りつけることも多いが要所で手助けをしてくれて、Aではヒュームにアンとの仲介人を申し出るなど知り合いには親身になって手助けをしてくれる。
でもBでの行動は流石にどうかと…


  • ミーム・チャレンジャー
CV:青木和代
ケンの母親、養子のケンを愛情を注いで育てており中の人がジャイアンの母親であることもあって肝っ玉母さんぷりが半端ない。
各シナリオでもその肝っ玉ぷりが披露され出番も多い、特にBでのサチコ関係での器の大きさは半端ない。
終盤ではリンダに自身が見つけた女のあり方を語っているがリンダはその通りの行動をしている。


  • ジーン・チャレンジャー
CV:石井康嗣
ケンの父親。写真以外での出番はほとんどなく、ベンやミーム以外からの情報も最年少でレンジャー隊の隊長になったことが荒廃したガレックスの新聞からうかがえる程度である。
唯一登場するシナリオではすべてのことを知った上で立場的に仕方ないとはいえ、ミームに幸せになってほしいと発言している。
そのシナリオで自身がその立場になったのは施設側の勘違いでそうなったと思っているが真相はおそらく…
とされるがこれも明確な回答は提示されていない、つくづく一部の人向けな作品である。


  • 箱舟
ネオ・ケニアに突如に突如出現した宇宙船。見た目はノアの箱舟だが、中身はクルーの認証に手形を必要としたり、捕獲した動物を保存する装置があるなど謎が多い。
またある地下の場所には無数の箱舟がところ狭しと鎮座している。またクルーの自室もあり、回転ベッドとかいろいろ改造できる。
物語の核心に迫るシナリオCにおいてとんでもない事実が判明する。


余談だがパーティにリンダがいる時に野営すると、アイテムのティッシュが一個減る。

声優をキャスティングする予算が限られていたために
メインヒロインを高山みなみにする以外は青二プロダクションが全て決める契約しかできなかったのだが
面白そうなシナリオならギャラの額に関わらず出たがるのが声優ってものだ と青二プロが返したそうで
前述の通り有名声優が多数出演している。

本作の小説版は現在かなりのプレミア価格が付いている。
シナリオBを基本として上手くアレンジを加えつつ、一冊でまとめた良作。
持っている人は大切にしよう。


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最終更新:2024年04月10日 19:44

*1 一応巨大隕石の「死神」がそれにあたるとも言えなくもない

*2 BはA以上に終始鬱な展開が繰り広げられるため尚更

*3 上記の通りCの難易度が高いので慣らしも兼ねてる

*4 養母に薬漬けにされていたため

*5 なお中盤双子らしいへまをやらかしている

*6 ただし相手については一切判明しない

*7 その後の本人については終盤に出会う3号から語られる

*8 先住民であるビースチャンの遺伝子の方が強く遺伝率はほぼ100%でネオケニアに移住してきた元地球人の遺伝子は劣化が始まっていて種の存続が危ぶまれており、ビースチャンとの混血により種の存続を図っていたという設定が存在する

*9 ただし終盤の隊員の説明ではその薬の反応が検出されなかったと有耶無耶になっている

*10 PCE版では初期生産品ではこのBGMが欠落しており回避方法はあるものの進行に支障をきたしている

*11 どちらも娘のためにおかしくなってしまったこともあり尚更印象に残る

*12 エモリは彼に技術を売った犯人と濡れ衣を着せられかけたと発言していることからこの人物がBのエモリになった元凶の可能性もある

*13 事実若返った夢を悪夢だったと言っている