檄!帝国華撃団

登録日 :2012/05/09(水) 21:12:27
更新日 : 2017/04/18 Tue 22:46:11
所要時間 :約 7 分で読めます





走れ 光速の 帝国華撃団
唸れ 衝撃の 帝国華撃団


人気ゲームサクラ大戦シリーズの主題歌。通称『ゲキテイ』。

作詞は総合プロデューサー広井王子、作曲は田中公平、メインボーカルは真宮寺さくら(横山智佐)。


初代サクラ大戦から始まりシリーズを重ねる間に様々な形で歌われ、
サクラ大戦2~君、死にたもうことなかれ~サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~やOVA、舞台などで、
他の帝国華撃団メンバーがボーカルを務める改バージョン『檄!帝国華撃団・改』や、
サクラ大戦4~恋せよ乙女~において大神一郎がボーカル、帝国華撃団と巴里華撃団がコーラスを務めた『檄帝~最終章~』、
更にはサクラ大戦TV版EDにて歌われた『ゲキテイ音頭』、歌謡ショウではパラパラ用に作られた『ユーロ・ゲキテイ』、
さらにキャラクターごと出身地の方言や母国語で歌う『お国自慢』シリーズなど多様なゲキテイが生まれた。

物語の要であり主人公達が所属する帝国華撃団の使命に燃える様を熱く表しながら、
人々に夢を与える帝国歌劇団の少女達の心情もうまく歌い上げるキャッチーなこの曲は当時ゲームをプレイしたことのない者の耳にも今も強く残っている。

今で言うキャラクターソングのはしり的存在と言われ、声優がキャラクターになりきって歌う曲は当時は珍しく画期的なものであった。


【ゲキテイが生まれるまで】


広井王子『なんかさぁ、宝塚みたいのやりたいね』
田中公平『面白そうだねー』



1990年代初頭、セガの新作ゲームの企画会議に広井が自信満々で出した企画書があった。タイトルは『サクラ大戦』。
一冊のバインダーに収められた企画書は、『企画』らしからぬ細かな時代背景、キャラクターデザイン、設定やそれまでにない斬新な切り口で出席者達を唸らせた。
広井の長年温めてきた虎の子だった。

だが誰もがそれに見入る中、次々とある声があがる。
『よくわからない』


『太正』『蒸気型都市』『主人公ではなくヒロインがストーリーの中心』『シミュレーションでアドベンチャー』
常にゲーム業界の未来、そのまた斜め上を十歩だけリードしてきたSEGAの各部門トップの面々にも新しすぎたその企画は、
『開発側がイメージが掴めない』ため通らなかった。


しかし諦められない広井はひとしきり思案を巡らせた後、一人の友人とのかつての会話を思い出した。

『面白そうだねー』
面白そうだねー
面白ソウダネー
オモシロソウダネー
オモシロソウダネー(エコー)




広井は田中公平を訪ねた。




【困ったときの神(田中公平)頼み】

広井…あの企画固まりました。でも企画書にもっと説得力を持たせたい。ついては公平さん、〇月までに例の歌作ってください。

田中…いいよー。5曲?6曲くらい?

広井…50曲くらい。
田中…バカじゃねぇの死ね。いや、制作日数的に俺が死ぬ。

というやりとりを経て最終的に11か12曲ということで広井は渋々納得したという。



【どんな曲?】

広井の語る歌のイメージは『歌謡曲・青い山脈の戦隊モノ』というわけのわからない内容。
しかもまず広井が歌詞を考え、その後でそれに合わせた曲を創るといういわゆる『詞先』のオマケつき。

ちなみに現代の歌のほぼ100%が先に作った曲に歌詞を合わせる『曲先』。理由は簡単。詞先に比べ制作がグッと楽だからである。

とにかくしばらくして広井から歌詞が届いてしまった。



【とりあえず主題歌作ろう】

『引き裂いた』~『震える帝都に』

後に田中は実はこの出だし部分が一番悩んだと語っている。
広井の語る歌謡曲というのは『よなぬき』、いわゆる音階のファとシの二音を抜いたド、レ、ミ、ソ、ラの音で作るのが基本である。
ただ広井の考える『太正』に完璧に合わせようとすると、これにコブシを効かせた、それでいてポップスに近い、でも歌謡曲の歌ということになる。
しばらく考えた田中は『よなぬき』をやめ、まずわかりやすいテンポでスピード感を出し、歌謡曲特有の歯切れ良さを残すことにした。
さらに強拍を使い抑揚を抑えキャッチーに仕上げると、これで出だしの部分はスッと作れたという。


『愛の歌』~『踊り出る戦士達』

この部分は母音が多く、出だしを抑えて上昇するように調整してやるだけで簡単にAメロに出来たと語る。
わかりやすい序盤のヤマ場を作った最後に扇が閉じるように綺麗に結ぶのは歌謡曲の基本でもある。


『走れ』~『衝撃の帝国華撃団』

このラストにかけてのサビ部分にかけては田中公平はこう語る。



『完璧が降りてきた』

…と。


この部分に関しては全く考えていないのに指が自然と鍵盤を弾いていたらしく、
「全体としてメロディが『太い』から歌としても曲としても高度な技術は要らず、そのためキャッチーで力強い。
これは尋常じゃない『太さ』で、ボクの人生で後にも先にもこれ以上の太さは一度も出せていません。
最近の作曲では『地上の戦士』にはボクのありったけの技術を込めたんだけど、やっぱりゲキテイには及ばなかった。
あれは神のメロディだったんじゃないのかな(笑)」と後に力説しており、
またこの一発でサビを決めてから時計を見たら曲を作り始めて30分しか経っていなかったと語る。



こうして後、主題歌を手に入れた広井が再び企画会議で企画書とともに出したところ、
スタッフ達からは「曲を聞いたら検討もつかなかったこのゲームのイメージが『降りて』きた」という言葉とともにすぐにゲームの制作が決まったという。

これはかのゲームセンターCXにて有野が広井と会談した際にも語られており、
また広井をトップに据えた制作チームが作業スペースでそれを聞きながらゲームを作っていたことも当時のゲーム業界では革新的なことであった。


【テレビでは】

コスプレ格闘家として有名な長島☆自演乙☆雄一郎はCDデビューした際この曲を歌っている。

また日テレやテレ朝などは意外にもワイドショーやバラエティーでこれを時々使うことがあり、
某巨大掲示板の某スレでは聞き付けた一部のオッサン達が昼間っから狂喜乱舞するとかしないとか…

かつてCMソングで使われ、『夕げの買物の帰り道、手を繋ぐ母子がゲキテイを歌いながら商店街を歩く』バージョンや、
『声優・横山智佐と皆のアイドルせがた三四郎のキャッキャウフフ』バージョンなどを知るニッチな層にはウケが良いのだろうか。



サクラ大戦4のサントラが日本ゴールドディスク大賞のアニメーション部門を受賞。
2002年3月12日。都内のNHKホールにて授賞式及び番組収録が行われ、ステージには花組の各キャラクターに扮した声優陣が登場し「ゲキテイ」を熱唱。
コスプレをした声優たちが歌い踊る姿にお茶の間は実に微妙な雰囲気に包まれた…。


【ゲキテイ遍歴】

96年、日本ゲーム・ミュージック大賞に。98年、ゲーム・ミュージック大賞再び獲得。

2000年国立代々木競技場で開催されたavex パラダイス2000の大トリの曲に。

2007年、武道館ライヴでは帝国メンバーでトップ、ラストには全メンバーでトリに。現在はパチスロでも聴ける。






追記・修正おねがいします。

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