スパイダーマン(東映版)

登録日 :2009/09/03(木) 20:09:18
更新日 : 2017/07/29 Sat 13:42:39
所要時間 :約 8 分で読めます




1978年(昭和53年)5月17日から1979年(昭和54年)3月14日にかけて全41話が放送された作品。劇場版も製作されている。
東映とマーベル・コミックスの「3年間に渡り、お互いのキャラクターを自由に使用してよい」という契約がきっかけで生まれた。

当初は現代にタイムスリップしたヤマトタケルを主人公とし、脇役としてスパイダーマンを登場させる作品を作る予定であったが、紆余曲折を経た結果、スパイダーマンを主役にした現在の形に仕上がった。


原作者のスタン・リーからは好評で、このようなコメントを残している。
「世界各国でスパイダーマンが製作されているが、日本のものは特に(特撮技術が)すばらしい。レオパルドンは別として…」

唯一批判的なレオパルドンに関してもスパイダーマンに出したことが気に入らなかっただけらしく、
レオパルドンそのものには 「とてもかっこいいロボットだった」 とこれまた好意的なコメントをしている。
そのインタビューの最後には日本版スパイダーマンが登場、リー氏も 「Oh,my son!(息子よ!)」 と熱い抱擁をかわすニクいシチュエーションを見せた。

長い間、東映が勝手に考えたレオパルドンの設定にマーベルスタッフが激怒した…という話が都市伝説的に信じられてきたが、
実際は商業的に成功させる為に必要な要素として、そこそこの理解はされていたという。
そして、実際にレオパルドンは商業的に大成功を納めた訳である。

またマーベル側もCG技術が完成していなかった時代にスパイダーマンのイメージをほぼ完璧に再現してみせたと絶賛している。
ちなみに本家でよくやる腰を深く落とした印象的なポーズは、実は 東映版からの逆輸入 である。


先述の契約期間が切れたこともあって、版権の都合上ソフト化されたことが今まで殆ど無かった。
が、近年ついにBOXセットが発売され、好評を博した。
しばらくマーベルの公式サイトで無料配信されていたが、残念ながら現在は配信終了してしまっている。


実は、東映のお家芸、巨大ロボ+等身大ヒーローの元祖でもある。
レオパルドンの成功を受けて、後年作られた『バトルフィーバーJ』などのスーパー戦隊シリーズでもいわゆる 「巨大戦」 が取り入れられることとなり、
レオパルドンに存在した様々な問題点(後述)も現場の知恵と経験によって徐々に改善されていった。



◆ストーリー

スピードレーサーの山城拓也は、高名な宇宙考古学者の父を鉄十字団に殺され、自らも命を狙われる。
崖から落ち、半死半生の状態になっていた拓也は偶然スパイダー星人・ガリアに出会い、手当てを施してもらった結果スパイダーマンとして復活。
スパイダー星は鉄十字団に滅ぼされた星であり、命の恩人のたっての頼みで、拓也は復讐のために鉄十字団と戦うこととなった。



◆この作品におけるスパイダーマン

山城拓也が強化服・スパイダープロテクターを身に着けた姿。
手当ての際に投与してもらったスパイダーエキスの影響で体質が変化し、垂直の壁に張り付くことや、そのまま昇り降りすることが出来るようになった。
また、常人の約3倍の力を発揮する事が可能であり、スパイダー感覚で敵の動きを察知できる等、人間離れした能力も有する。
が、クモの生態に準じた「寒さに弱い」などの弱点(スパイダーエキスによる副作用的なもの)も存在する。

ちなみに変身は腕のスパイダーブレスレットから射出されたスーツが一瞬で拓也の身体に装着されるというものだが、
背中のチャックは最後に自分で閉める

武器はスパイダーブレスレットから放つスパイダーストリング(糸)とスパイダーネット(網)。
登場時の多彩な決め台詞は有名で、いずれも強烈なものばかり。


―[主な例]―

  • 地獄からの使者、スパイダーマッ!父とガリアの復讐はこの俺が果たす!
  • 地獄から来た男、スパイダーマッ!
  • 鉄十字キラー、スパイダーマッ!
  • HAHAHA…FUHAHAHA!FUHAHAHA!すりかえておいたのさ!鉄十字キラー、スパイダーマッ!
  • 親の愛に泣く男、スパイダーマッ!
  • 復讐に燃える男、スパイダーマッ!
  • 約束に命を懸ける男、スパイダーマッ!
  • 犬笛にむせび泣く男、スパイダーマッ!
  • 冷血動物、マシーンベム殺し!スパイダーマッ!
  • 母と子の愛の絆を守る男、スパイダーマッ!
  • モンスター退治の専門家、スパイダーマッ!
  • 血は人間の絆。愛の証!愛のために血を流す男、スパイダーマッ!
  • よくも哀れな子供の親を殺したな!情け無用の男、スパイダーマッ!
  • 家なき子供達のために涙を流す男、スパイダーマッ!


…断っておくが、本当は勿論「スパイダーマン!」と言っている。
が、発音の都合上「ン」が聞こえず、スパイダーマッと聞こえてしまうのだ。
では、もう少し紹介しよう。


  • あどけない子供の命を脅かす鉄十字団、許せんッ!少年の友達、スパイダーマッ!
  • 悪のカラクリを粉砕する男、スパイダーマッ!
  • 物言わぬ動物の愛に泣く男、スパイダーマッ!
  • 親の心、子の心。大切な心を守る、スパイダーマッ!
  • 爆弾魔を退治しに来た男、スパイダーマッ!
  • 亡き兄に復讐を誓う姉弟に、心打たれる男!スパイダーマッ!
  • キノコ狩りの男、スパイダーマッ!
  • 大東京の停電を阻止する男、スパイダーマッ!
  • 野生の少女に味方する男、スパイダーマッ!
  • カメラのレンズは真実を見る瞳!曇りなき瞳を信じる男、スパイダーマッ!
  • 少年の勇気に希望を見た男、スパイダーマッ!
  • 不死身の男、スパイダーマッ!
  • 孤独な少年のために戦う男、スパイダーマッ!
  • 100メートル先に落ちた針の音をも聴き取る男、スパイダーマッ!
  • 少年探偵団の友情を信じる男、スパイダーマッ!
  • 格闘技世界チャンピオン、スパイダーマッ!
  • 地獄からの使者、デッドプール! ←違うっつーの


劇伴は、『秘密戦隊ゴレンジャー』や『メタルヒーローシリーズ』を始めとする数多くの東映特撮ヒーローを手がけた渡辺宙明が担当した。

オープニング主題歌『駆けろ!スパイダーマン』、エンディング主題歌『誓いのバラード』はヒデ夕樹が絶唱。どちらも名曲である。



◆登場人物

◇山城拓也/スパイダーマン(演:香山浩介(現:藤堂新二))
プロオートレーサー。スパイダー感覚で鉄十字団の動向を感知することができる。22歳。
父とガリアの復讐のために鉄十字団と戦うが、周囲の人間を巻き込まないように正体を隠し、普段は三枚目に徹している。
復讐という目的意識にブレは無いが、子供達のためのサーカスを作る資金を集めようと盗みを繰り返す怪盗を諭して自首を促したり、
事故で瀕死の子供を救う為にあらゆる手を尽くすなど、ヒーローらしい優しさも持つ。
その後、ハイド怪人になりバトルフィーバー隊と戦いベーダー一族の将軍を経て、暗黒世界の帝王としてネロス帝国を興す(中の人的な意味で)。


◇佐久間ひとみ(演:三浦リカ)
フリーカメラマン。拓也の恋人。20歳。


◇山城新子(演:大山いづみ)
拓也の妹。山城家を切り盛りする。18歳。
山城家の財布は彼女が握っているため、拓也は彼女に頭が上がらない。


◇山城拓次(演:矢葺義晴)
拓也の弟。7歳。


◇ガリア(演:西沢利明)
スパイダー星人。
400年前、故郷を滅ぼした鉄十字団への怒りを胸に抱き、彼らの次なるターゲットである地球を訪れるが、
モンスター教授の罠にはまって毒蜘蛛の洞窟に幽閉されてしまう。
人格的には立派な人物だが、凄まじい執念を秘めている。
拓也にスパイダーエキスを注入し、彼をスパイダーマンにした張本人でもある。
それからはクモの姿に身を変え、拓也に助言を与えるなどしていたが、長年の疲れが祟ったのか序盤で死んでしまっている。


◇間宮重三(演:仲谷昇)
インターポール秘密情報部の捜査官。
拓也がスパイダーマンであることを調べ上げ、協力を要請した。


【鉄十字団】
銀河系を荒らし回る侵略者集団。

◆モンスター教授(演:安藤三男)
鉄十字団の首領。
400年前にスパイダー星を壊滅させた後、地球に飛来。地球征服を狙う。
人間の血を命の源とする。
最終話ではビッグモンスター(書籍によっては巨大モンスター教授)に巨大化し、愛用の杖を振り回し左目の義眼から光線を発射してスパイダーマンが乗るレオパルドンに立ちはだかる。

「鉄十字団は不滅だ~!!!」と叫ぶも、力及ばず爆死した。

演じた安藤三男氏は『ジャイアントロボ』のドクトルオーヴァ、『人造人間キカイダー』のプロフェッサーギル、『イナズマンF』のガイゼル総統、『宇宙刑事シャリバン』の軍師レイダーなどを担当した東映特撮の名バイプレイヤー。


◆アマゾネス(演:賀川雪絵)
女幹部。作戦の執行指揮や諜報活動を行う。変装が得意。
当初は雑誌「週刊ウーマン」の編集長・吉田冴子というもうひとつの顔を持っていたが、スパイダーマンに正体を知られたため変装を止めた。
劇中では中盤から何度も衣装が変わる。

太陽戦隊サンバルカン』のアマゾンキラーは別人。
間違えると「お前の血で墓場を染めてやる!」と怒られます、多分。


◆ベラとリタ(演:リエ・ラインハート(ベラ)/ティナ・マーゴ→ワニタ・ソマーボルド(リタ))
女ゲリラ。アマゾンの秘境で発見されたミイラを教授が改造して蘇生。
ベラは毒弓矢、リタは短機関銃を扱う。


◆マシーンベム
鉄十字団の主力となる生体兵器。デザインは生物と機械を合成したものが多い。
作戦ごとに製造され、作戦の遂行や用心棒的役割を果たす。
素体となる生物は教授自らが選別するなど、随所にこだわりが光る。
暴走獣や岩石男サムソンなど人間を改造したものもいる。

スパイダーマンとの交戦中に形勢が不利になってくると唐突に巨大化するが、
後年の戦隊シリーズなどとは違い、 何故巨大化できるのか?といった仕組みは劇中で一切語られない。


◆ニンダー
グレーの全身タイツを身に纏った戦闘工作員
主として集団行動。ショートソードや銃が武器。



◎スパイダーマンのメカ

◇マーベラー
元々はガリアが乗っていた宇宙戦艦。
全長48メートル、重量25000トン。
普段は地底に隠されており、スパイダーマンに呼ばれると地割れを起こしながら地上に姿を現す。


レオパルドン
マーベラーが変形した巨大ロボット。
全高60メートル、重量25000トン(資料によっては20000トンとも)。
主な武装はマーベラーカノン、アークターン、アームロケット。必殺武器はを投げつけるソードビッカー。
ほとんどの巨大マシーンベムを、バンク映像の組み合わせだけで難なく倒す最強ロボ。
その最強っぷりは第一話から発揮されており、 最終話のビッグモンスター戦すらバンク
変形すらしないでマーベラーカノンでマシーンベムを倒した回さえある。

こうなった理由は レオパルドンのスーツが可動性よりもプロポーションを重視した、激しいアクションに耐えられる代物ではなかったため。
劣化も激しく、様々なトラブルが重なった結果、とうとうスーツは再起不能となり最終的には映像の新撮すら出来なくなってしまった。
ちなみに、一部の話では肉弾戦を行うシーンもあるのだが、スケールが統一されておらずマシーンベムの方が背が低いなど出来栄えはよろしくない。

ソフト化にあたって、東映の公式サイトで「 特撮史上最強秒殺ロボ 」という煽り文句が掲載され、とうとう公式から最強認定されてしまった。
似たような特性を持つ『六神合体ゴッドマーズ』とはどっちが強いだろう……
というか、デザインした人が同じなので実力も互角かもしれない。

同じ秒殺のレオパルドンでも、秒殺される方のこいつとはえらい違いである。


コミックボンボンにて連載された『スパイダーマンJ』には、主人公の天野翔が飼っている猫のレオ・鳥のパル・犬のドンが登場する。

ついにクロスオーバーにてマーベル誌にも登場した。(後述)
まさかの敗北を喫するものの、敵にもコズミックパワーを使い果たさせての敗北なので、公式にコズミックパワーと同等の力を持つことが証明された。
一体なんなんだこのロボ

スパイダーマンJも登場しており、作者の山中あきら先生も喜んでいた。

『赤ずきんチャチャ』のアニメ版に登場するマジカルプリンセスは、
戦闘シーンがほぼバンクセルのみで構成されていたためファンから「レオパルドン娘」と呼ばれていた。



【最後に】

レオパルドンや名乗り口上など、いろいろとネタにされている東映版スパイダーマン。
しかしストーリーの大筋そのものは基本的に 本家以上に重い

最終的に明るいオチで締められる話もあるのだが、ほとんどのストーリー展開そのものはとてもじゃないがハードすぎて笑いの種にできない場合が圧倒的に多い。
というか救いのない話のみでまとめられた池上版とは違い、 なまじ明るく終わる話がある分だけ展開の暗さが相対的に跳ね上がっている
スパイダーマンに音波攻撃を仕掛ける為だけにミュージシャンを目指す若者たちを皆殺しにしてロボットに入れ替え たり、 アイドルを目指す少女を陰謀の為に利用した挙句に殺し たり……
有名な「ワシは宇宙塩を味噌鰤だぞ!」という空耳は実際には「ワシは宇宙ショーを見そびれたぞ!」と言っているが、
これも 宇宙から地球上のあらゆる都市に水爆ミサイルを撃ち込んで更地に変える という茶目っ気の欠片も無い物である。
鉄十字団は情け容赦無く罪なき人々を犠牲にしており、それゆえにスパイダーマンの怒りは尽きないのだ。


ネタ要素が有名な近作品だが、ぜひ一度実際に見てほしい。
マーベルスタッフが後に絶賛した、JACのアクターが命を張って撮影したワイヤーアクションはかなりの迫力である。
とある話ではゲリラ撮影のために通行人が唖然としてるシーンとかあるよ!

一度でも見れば分かる筈である、(音質が悪いバージョンを使った)無理な空耳でネタにされることもある主題歌に、
悪に対して永遠に燃え続けるスパイダーマンの正義の怒り がどれだけ歌詞に込められているかが。


スタン・リーが個人的に許したとはいえマーベル側からはタブー視されていたフシのある、東映版ダーマの存在…
だが、36年後の2014年。
これまたマーベルの公式コンテンツであり、東映アニメーションの制作した『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』にて ついに公式ネタにされた。

言ったのはスパイディじゃなくて俺ちゃんだけどねー!!



そして遂に、本家コミック『アメイジング・スパイダーマン』における 「スパイダーバース」 (平行世界のスパイダーマンがすべて集結して戦うという一大イベント)の12号で、 レオパルドンに乗った東映版スパイダーマンが参戦した

その際の口上は 「I am the emissary of hell! And I shall fight this great evil for the fate of all spiders!」
意訳すると 「俺は地獄からの使者、そして全ての蜘蛛のために巨悪に立ち向かう男、スパイダーマッ!」 といったところか。
(一応「Translated from the Japanese(日本語から翻訳しています)」と注釈がつけられている)

今回も開幕ソードビッカーを決めようとした が、出てくるや否やソーラス(スパイダーバースのイベントにおける敵の親玉)に腕をもがれてしまっている。
レオパルドン、公式戦初黒星。しかも瞬殺である。

だがレオパルドンに対抗するために、敵はスパイダーマンの一人(単純な能力では間違いなくスパイダーマン中最強のキャプテンユニバース・スパイダーマン)から吸収して奪い取っていたコズミックエナジー(要するにチート能力)を全て使い果たす羽目に陥り、その隙を突いて全てのスパイダーマンを安全圏まで逃がすという大金星を挙げた。

…ってことは万が一決まってたら瞬殺できてたのか?相手はコズミックビーイング級だぞ!?
そもそも全スパイダーマン抹殺を企み、大御所のスパイダーマン派生キャラが次々と抹殺されてる中でのこの活躍である。すげえ。
ちなみに、ソーラス自身はオモチャ呼ばわりしながらもレオパルドンがどれほど危険極まりないかは察していたらしく、コズミックエナジーを失うのを覚悟していた模様。


なお、レオパルドンこそ破壊されてしまったものの、
搭乗者である東映版スパイダーマンは無事に脱出に成功し、他の日本人スパイダーマン達と共にスパイダーマンチームに合流している。
「レオパルドンは俺の宿命の兄弟だった……」 とレオパルドンを失い、置き去りにしてしまった事を悔いる山城拓也に、
「君は一人なんかじゃない!」 という仲間たちの言葉はどれ程胸に響いたであろうか。

そしてスパイダーマン2099、スチームパンク・スパイダーガールによって回収、修理のついでで強化改造を施されて最終決戦に復活。
「レオパルドン、戻ってきたのか! やはりお前は無敵だ!!」
もちろんメインは本家スパイダーマンvsラスボス戦であるため、詳細な活躍は描写されていないが、
最終決戦後の全員集合絵に無傷で仁王立つレオパルドンは、相変わらずの強者っぷりを発揮した事が示唆されている。



他、変わったところでは映画化企画も進行している海外のSF小説『ゲームウォーズ』においてまさかの 主人公機 として参戦。

ウェブネットワーク中に隠された大富豪の遺産を巡って悪の大企業と闘いを繰り広げるオタク少年が、
あるゲームの賞品として「好きな巨大ロボのデータ1つ」をプレゼントされる事になり、
ガンダムやエヴァンゲリオンといった機体が並ぶ中、彼は 躊躇なく レオパルドンを選んで最終決戦へと赴くのだった。
なお、ちゃんと変形もしている。 「チェンジ、マーベラー!」


追記・修正世界チャンピオン、スパイダーマッ!

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