勇者の追撃!天空にそそりたつ巨人!!

登録日 :2012/09/18(火) 23:59:57
更新日 : 2017/07/20 Thu 18:51:30
所要時間 :約 7 分で読めます





勇者の追撃!
天空にそそりたつ巨人!!
(あのナレーションで)

超人機メタルダー』の11話。
脚本は扇澤延男。監督は小西通雄。


【あらすじ】

裏社会からの経済支配による世界制覇を目論む悪の秘密結社「ネロス帝国」。
そこに所属する軍団員たちは出世を狙い、日夜功名争いを繰り広げている。
そして今日も、戦闘ロボット軍団の若き軍団員・軽闘士ブルキッドが帝国最大の脅威たるメタルダーを打倒する事で出世を果たそうとこれに挑戦するがあえなく敗れてしまった。

治療のために修理室に運び込まれたブルキッドは、修理屋の老ロボットと出会う。
その名はビックウェイン。実は彼は、かつて軍団のNo.2である豪将の地位に立ったほどの男だった。

強くなるために彼への師事を望むブルキッドだったが、ビックウェインは戦闘ロボットとして生まれながら戦いだけを繰り返す人生に虚しさを覚えていた。


「心が呟く……戦う事に嫌気が刺したワシには、このネロス帝国のどこにも居場所はない。いたくない……と!」


そしてある日、ついにビックウェインは帝国からの脱走を図る―――――。


【主な登場人物】

◎メタルダー/剣流星
太平洋戦争末期、決戦兵器として生み出されたロボット人間。
ネロス帝国の野望を阻止すべく、開発者・古賀博士の手により、40年余りの眠りから目覚めた正義の超人機。

◎元・豪将ビックウェイン
かつて「伝説の巨人」の異名を轟かせた歴戦の戦闘ロボット軍団員。
数々の国の歴史を裏で書き換えたほどの武功を誇る重鎮だったが、ある日突然引退を宣言、無階級の修理ロボットに身を落とす。

それは繰り返す戦いに虚しさを感じての事だったが、自身が修理をしたロボットがまた戦場に戻りスクラップとなっていく様にますます虚しさを募らせついに帝国からの脱走を図る。

◎爆闘士ゴチャック
格闘技を得意とする戦闘ロボット軍団の俊英。
かつてメタルダーへの刺客1号に抜擢されるも敗れ、一度は破壊されたが軍団長バルスキーの一存で強化復活した。
ビックウェインは戦闘のなんたるかを全て教わった師匠であり、彼が地位を失った後も尊敬の念を抱き続けていた。
それだけに、今回の脱走劇に愕然とした心境を隠せないでいる。

◎軽闘士ブルキッド
軍団最底辺の身分にある若き戦士。
出世を狙ってメタルダーに挑むもあえなく敗れ去る。
当初、ビックウェインの正体を知らず悪態をついていたが、その名を聞かされてからは強くなるために伝説の勇者である彼の指導を受けることを望むようになる。

凱聖バルスキー
戦闘ロボット軍団長。
「責任は俺が取る!」が口癖の部下想いな好漢だが、帝国の戦闘ロボットとしての本分を忘れた者には厳しく接する。
ビックウェインに関しても常々その身勝手な引退に憤りを感じており、さらに脱走を図った彼に対して堪忍袋の緒が切れた模様。激しい怒りを見せる。


※以下ネタバレ注意※



かつては軍団のNo.2を勤めた身でありながら脱走を図ったビックウェインに帝王ネロスは激怒。
四軍団総出の捕縛を命じるが、バルスキーが自らの軍団の不始末ゆえに戦闘ロボット軍団のみでの追撃を嘆願、航空戦力を持つ機甲軍団の協力を条件にネロスもこれを許す。

ビックウェインはかつてお気に入りの場所であった洞窟に逃れるが、それを知っているゴチャックにあっさりと発見されてしまう。
しかしゴチャックは、師の引退の理由こそ理解できないが今でもその偉大さは変わらないとし、ビックウェインの逃亡の手助けをした。

ビックウェインを逃がしたゴチャックはバルスキーに嘘の報告をするが、一部始終を同軍団の雄闘ジャースに目撃されており逃亡幇助を告発され、激怒したバルスキーは銃殺刑を宣告する。

一方、ビックウェインへの弟子入りを望むブルキッドはゴチャックの足に付着した硫黄からその逃走経路を割り出し、ついにビックウェインを発見した。

自分をバルスキーに引き渡し初手柄にするよう告げるビックウェインだが、ブルキッドはあくまで自分を弟子にしてほしいと食い下がる。
戦いを捨てた自分が教えられる事は何もないと断るビックウェインに、ブルキッドは力づくでもと襲いかかった。

かたくなに戦いを避けようとしていたビックウェインだが、いざ戦いが始まると戦闘ロボットとしての本能が目を覚まし、
右腕のボウガンでブルキッドに致命傷を与えてしまう。
彼は全力で相手をして貰えた事への感謝を告げると、ゴチャックが逃亡幇助で銃殺されようとしている事を教え息を引き取った。
有望な若者の命を奪ってしまった事への後悔を胸に、愛弟子の命を救うためビックウェインは元来た道を引き返すのだった。

出頭したビックウェインにバルスキーはメタルダーを倒せばゴチャックの罪を帳消しに、負けても階級剥奪で済ますと取引をする。
ゴチャックは「自分如きのために生き方を曲げてはいけない」と叫ぶが、ビックウェインはもはや自分には戦いの道しかないと腹を括り「必ず助ける」と告げるとメタルダーに挑むため去っていった。


「本意ではない。が、ゴチャックのためだ。死んでもらう!」


ビックウェインの呼びかけにメタルダーが姿を現し、戦いが開始された。
右腕のボウガン、腹部のミサイル、そしてメタルダーの愛機サイドファントムすら投げ飛ばす剛力を武器に、メタルダーと激戦を繰り広げるビックウェイン。

一方、ゴチャックは自分を拘束する枷が緩められている事に気が付く。ビックウェインが密かに外していたのだ。
見張りを倒し、自分のために戦う師の下へゴチャックは走る。

ビックウェインは愛用のボウガンをメタルダーに破壊され、戦いは激しい組打ちとなっていた。
渾身のパンチをメタルダーの左肩に叩き込むビックウェインだが、その隙を突いたメタルダーのレーザーアームが無防備となったその胸に炸裂した。
火花を吹いて崩れ落ちるビックウェイン。

その亡骸に背を向け立ち去ろうとするメタルダーだが、背後から一本の矢が飛来する。
慌ててこれを払い落とし振り返ったメタルダーの目に映ったのは、全身から白煙を上げ何度も倒れながらもこちらに向かってくるビックウェインの姿だった。


(初めてだ……こんなに恐ろしい敵は……!)


「メタルダー……ワシが最期に出会った、最強の敵であった。な、永かった……全て……さらば……だ!」

ビックウェインがその戦いの一生から解放された瞬間と、ゴチャックが戦場に駆け付けたのはほぼ同時だった。
師の名を叫びながら駆け寄るゴチャックの前に残されていたのは、一輪の花の隣でくすぶり続ける機械の残骸のみ。
傍らに落ちていた折れ曲がった矢を手につぶやく。


「現役を退こうが、階級を無くそうが、貴方こそ真の闘士だった。俺は、貴方を忘れない……!」


そしてもう一人―――全てを見届けたバルスキーは、戦士として散ったビックウェインに敬意を表し、自らの命を賭けてでもゴチャックの助命という約束を守る事をその魂に誓うのだった……。


【余談】

  • 敵側の怪人それぞれ(あるいはメタルダーも含め)の決して交わる事の無い信念を中心にドラマが展開され、 主人公であるはずのメタルダーはビックウェインの相手役として登場 、さらに顔出しの俳優が一人も登場せず、メタルダーの声は流星の役者ではなく飯田道朗のため 着ぐるみだけで物語が展開する仮面劇 に仕上がっており『メタルダー』という作品を語る際、必ず話題に挙がる特撮界全体を見ても空前絶後の異色作である。
また前後して9話から14話、劇場版では流星の声も飯田道朗が吹き替えており流星役の妹尾青洸が当時、病気で入院中で出演できなかったためである。

  • 脚本の扇澤延男氏は本作が脚本家としてのデビュー作。
その後も怪人や犯罪者など敵側の心情にも力点を置いた作品を多く手掛けている。

  • その後ゴチャックは本当に階級を剥奪されたようで、戦闘ロボット軍団集合時の整列位置がしばらくの間最後尾となっている。
16話でまた元の爆闘士の位置に戻っているが、物語の枠外で手柄を立てたのだろうか。

  • ゴチャックがビックウェインの仇を討つためメタルダーにリベンジを挑む話が期待されるが、路線変更や打ち切りの煽りでついに実現しなかった。
しかしながら、38話で戦闘ロボット軍団全員のデータがインプットされたバルスキーが、ゴチャックの必殺技「ゴチャックロック」を披露。
またビックウェインの右腕のボウガンも使用している。




「wiki籠り……立て逃げとしてではなく、記事作成者として散ったな。見事だ。今後の追記修正については一切自分が責任を取る。たとえ、命をかけても!」

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