立直(麻雀)

登録日:2009/10/20(火) 13:45:22
更新日:2023/11/12 Sun 01:11:57
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立直(リーチ)とは麻雀における役の1つである。

テンパイしている状態で、『リーチ』と宣言して1000点棒を卓に出す。

いわば、『私はテンパイしていますよ』という事を他家に教える事で付く役である。

飜は一飜。
条件は3つ。
  • 門前のみ可能、鳴いている場合はできない。(暗槓は可能)
  • まだツモることができる状態であること。つまり、自分のツモが1回もない順目(=山が残り3枚以下)時にはできない*1
  • 供託料(俗にリーチ棒、リー棒などとも呼ばれる)として千点棒を卓に出す*2必要がある。この千点棒はその局でアガった人のものになる。流局時は次の局に持ち越される。

供託料については、箱割れのルールを採用している場合、細かい取り決めの違いがあるため事前によく確認しておく必要がある。
  • 持ち点が1000点未満の場合は許可されないケース
  • 1100点以上なければ許可されないケース
  • 1000点ジャストでのリーチの可否
  • 1000点ジャストでのリーチは許可されるが、その流局(全員聴牌)および他家和了時(振込orツモ以外)にトビ扱いになるか
……など。

0点ジャストをトビ扱いせず対局を続行するルールの場合は、単に持ち点が1000点以上あれば許可される。
最後の例でトビ扱いになるケースは、"供託料を出した時点では持ち点はまだ1000点でトビ扱いせず、終局時に持ち主の手を離れた時点でトビとする"という解釈。
このルールでは"0点になった時点でトビだが供託棒は持ち点に含める"というルールだと言い換えることができる。

暗槓に関しては若干条件があり、『槓によって面子構成を変化させてはいけない』と言うものがある。

面子構成を変化させないとは、アガリ牌が変化しなければいいということとイコールではないので注意が必要。
例えば、『11122333m東東』……というような待ちの場合、槓をしても待ち(二萬と東)は変わらない。
……が、二萬については嵌張(カンチャン)待ちとも取れ、槓をすると二萬の嵌張待ちが消滅するため、このケースでは一萬でも三萬でもリーチ後の槓は認められない。
もしこの手牌でリーチ後に(一萬or三萬で)槓をしてアガってしまった場合は(指摘されれば)チョンボとなる。

まぁ三元牌ならガンガン槓すれば咲になれるんじゃねーの?

リーチをかける時には、捨て牌を横にする事で、『どの順目でリーチがかかったか』を他家が把握できるようにしなければならない。

また、リーチにはメリットとデメリットが存在する。

メリット
  • 他に役が無くても和了る事ができるようになる。
もしくは役はあるが確定しておらず、いわゆる片アガリの状態を解消する目的でリーチをかける場合もある。
まだ役を覚えていない初心者でも、とりあえず門前で手を作り、四面子一雀頭があと一枚で揃う状態(テンパイ)になった時点でリーチをかけておけば、一応アガれる状態にはなる。
「完全先付け」(ナシナシ)や「二飜縛り」のルールが採用されているときにも頼りになる。
  • 一飜を手役に上乗せできる。
点数計算上、一飜増える毎に打点は倍々になっていくので、単純に打点を上げる目的でリーチを打つこともある。
仮にタンピン(二飜)の手なら、ダマでは2000点だが、リーチをかければ(俗に言うメンタンピンなら)3900点になる。(※子のロン和了の場合。)
また、張った手があと一飜で満貫(5飜、40~60符4飜、70符以上3飜)、跳満(6飜)、倍満(8飜)、三倍満(11飜)、数え役満(13飜)の飜数の下限に届くとき、飜数を上乗せする目的でリーチを打つ場合がある。
例えば、高目なら5飜だが安目なら3飜というような手(だいたいは三色・一通絡み)で、安目満貫(≒7700/11600)および高目跳満を確定させたいときなど。
とはいえ、いわゆるノミ手(1000点)でリーチをかけた場合は、(一発、ツモ、裏ドラなど)他の役がつかなければ2000点にしかならないので、人によって基準は異なるが、一定以上の打点が見込める手でなければリーチのリスクに見合わないと考え、無闇な脳筋聴牌即リーチは控えてダマテンおよび仮テンに取ることも。
唐突に「ツモのみ」だの「平和のみ」だのをアガっている人を見かけたら、おそらくこのケースでアガリ牌が場に出たorツモってきた場合。
  • 一発や裏ドラで点数が跳ね上がることがある。
槓ドラ・槓ウラのルールが採用されている場合は、槓ドラの裏ドラも手牌にあれば乗る。
マンガなどでは積み込みor豪運によるドラ爆装置としてよく使われる。「リーチドラ8……親倍だ。」
ただし、現実に裏ドラが乗る確率はさほど高くはなく、最も乗る可能性が高い平和手でも1/3程度が関の山。
さらに平和手の場合は使う牌の種類が多い、すなわち裏ドラが乗る数も1枚の場合がほとんど。
アタマ(雀頭)に乗っても2枚止まりである。雀頭+順子の形でやっと3枚。
理論上は雀頭+一盃口の形での4枚使いの牌が裏ドラになる可能性もあり得るが、かなりレアな現象といえる。
刻子や槓子に乗ればおいしいのは言うまでもないが、使う牌の種類が減る分、相応に裏ドラが乗る確率も下がる。
よって過度な期待は禁物。裏ドラに期待するのは勝手だが、裏ドラがたくさん乗る前提でリーチをかけるようではさすがに厳しいと言わざるを得ない。
  • 他家をけん制し、仕掛け(副露)を躊躇させたり、手作りを遅らせたり、(ベタ)オリ(和了を諦め)させたりすることが期待できる。
特に先制リーチが有利だとされるのはこの意味合いが大きい。
リーチを警戒して攻める他家が減れば、他家の和了によって局を流される可能性が低くなり、自分は悠々と終局までツモることができツモアガリの可能性も上がる。
「ツモり四暗刻はリーチ」というのは、これと上記の裏ドラ期待も込みの格言である。
仮にアガれなかったとしても、他家がオリていれば不聴罰符のやり取りにおいても有利になる。
ゴミ手安手で脳筋聴牌即リーチをかけた場合は、アガった時(の見込み)の点数よりも多くの点がもらえることも。
また、リーチをかける巡目が早ければ早いほど、待ち牌の手がかりとなる情報が少ないため、他家は危険を承知で無筋の牌を切らざるを得なくなってしまうことも。
河の状態にもよるが、河の一列目(6巡目以内)でのリーチ後2~3巡程度であれば、比較的危険とされる中張牌での出アガリもそこそこ期待できる。
筋ひっかけも同様の理由で早い巡目のほうが有効で、安牌が少ない以上、捨て牌のスジ牌はたとえ生牌でも一枚出ている字牌の次くらいに切り出されやすい牌である。
七対子(単騎待ち)や三色、一通、チャンタ系の役で嵌張or辺張待ちに取る場合、ダマテンよりもひっかけリーチのほうがアガリやすくなるケースもなくはない。


デメリット
  • リーチをかけたら二度と手を変えられないので、アガリ牌以外は、どんな牌でもツモ切り(手に入れずに捨てる)しなければならない。
したがって、相手がどんなに高くなったとしても、どんな危険牌を持ってきたとしても、アガれなければ切らないといけなくなるため、他家が攻めてきた場合は無防備な状態になる。
  • 和了できなかった場合は1000点が無駄になる。
この千点棒は『供託棒』として保留される。
これは次にアガった人が取る、次にリーチでアガった人が取るなど地方によってルールが違う場合も。
基本的な役ではあるが危険性も孕んでいる。
例えば、門前で中(飜牌)のみでテンパイしてわずか1000点の手だったとしても、リーチをかけずに様子を見る方が好判断である場合もある。南場に入って40000点持っていてトップだが、一人はメンタンピンでしかも一通か三色が絡んだ可能性をあるリーチを掛けており、もう一方は混一色濃厚なリーチを掛けている。このとき場に中が一枚切れているなら、中の暗刻落としでとりあえず三巡凌ぐことができる可能性が高く、リーチを掛けなかった事が功を報し満貫〜跳貫クラスの手に振り込まずに無事に局を終えられるという展開も考えられる。
そうで無くても、例え4〜5巡で混一色をテンパイするような好展開になったとき、即リーチ+裏ドラ追加のことしか頭にない人間は本当の意味で麻雀において強くはなれないだろう。
麻雀を学ぶ上でリーチまわりの攻防は欠かせないものである。

簡単に言ってしまえば、『リーチは最大の攻撃の意思表示』。
麻雀で最もよく見る役の一つで、リーチをかけた事が勝因・敗因になることも多々あるのだ。



なお余談だが、4人が全員リーチした場合は流局となる。(ただしルールによってはそのまま続行する卓もある。)

ただし4人目のリーチを宣言した人が捨てた牌が和了り牌だった場合はロンして和了ることができる。

レアケースではあるが、順位がトップの人が和了ってもいい役にならない様な役でテンパイした時に、他の三人がリーチをかけている時にテンパイした際、高い役で和了られて逆転されるのを防ぐのと点数差をキープするために為にリーチをするなんていうことも出来る。


七対子「ひたすら攻めしかできない…まだまだ子供の証拠だな」
立直「どっちつかずの微妙な大人になるくらいなら、俺は子供でいい……さあリーチだ!」



●立直のバリエーション
  • ダブル立直

『ダブリー』などと呼ぶのが一般的。
飜数は二飜。

鳴きの入っていない1巡目でリーチすると、ダブリーが成立する。
狙って和了るものではなく、運よく偶然和了るタイプの役である。

1巡目でリーチしないといけないので、親の場合は配牌でテンパイしている必要がある。
子の場合は、配牌テンパイもしくは、配牌一向聴(イーシャンテン)からの第一ツモでテンパイする必要がある。
ちなみに『一向聴(イーシャンテン)』とは、あと1つ何か入ればテンパイという状態のこと。

注意することは、ダブリーをかける前に鳴きが入った場合は成立しないということ。


ちなみに元々ダブリー自体は1飜で、リーチと複合することで必然的に二飜となる性質の役であった。
現在ではリーチとの複合が省略されてダブリー自体が二飜役として扱われているので、当然リーチとの更なる複合は不可能である。

漫画などでは流れの変化の演出に一発ツモとセットになることが多い。

また性質上3,7の数牌が当たり牌であることが多い。


ダブリー「豪運の星の元に生まれた選ばれし者だけが私を使いこなせるのです」
天和「僕から見たらダブリーなんて残念な子だけど」
ダブリー「……」


A「ダブルリーチ!どや」
B「悪いな……地和だ」


余談になるが、現在のリーチは"途中"リーチであり、原義的にはダブリーこそが本来のリーチであった。
つまり、リーチは局の最初の捨て牌でしか宣言できないものだったのである。
やがて時代を経るにつれ、局の途中からでも張ったらリーチを宣言できるルールへと変わっていき、現在では基本役の地位になっているほど定着した。

二翻役になったのは、"途中リーチ"が当たり前になったことで最初の捨て牌でのリーチ(本来のリーチ)の価値を高め差別化するためと思われる。
経緯からすると、『ダブルリーチ』とは『"本来のリーチ"と"途中リーチ"の複合で二翻役』という意味だろう。


  • オープン立直
立直を宣言するとき手牌を公開する事で一翻追加するルール。略して「プンリー」。リーすら略して「プン」とも。当然二翻である。
ダブル立直とも複合可能だが、どちらも立直に一翻ずつ役を上乗せするので、合計値は三翻になる。
ローカルルールなので採用の可否については別れており、また採用する場合も「待ち牌のみの公開で良い」場合と「手牌全てを公開する」場合があるため都度確認する必要がある。
その性質上待ち牌が何であるのか丸見えなので当然ロン和了は出来ず、和了したければ自力でツモるしかない。
そのため大抵は順子の多面張など待ちが多くツモれる公算が高く、逆に捨て牌から筋を読まれやすい、フリテン状態でどのみちツモるしかない状況などで活きる。
なお、オープンリーチ後は他家はオープン立直に振り込むこと自体をルールで禁止される。(わざわざそんな高打点に自分から差し込む必要がある場面もまず無いとは思うが…)
万一当たり牌を切ってしまった場合(当たり牌を間違えていた、自分もリーチしていて切らざるを得なかった、副露した結果手牌が全て当たり牌になってしまった、タンヤオで立直したら相手が国士無双十三面待ちでオープンリーチしてきたなど)、役満直撃扱いという悲惨という言葉も生温い事態になるので注意。
また役満払いの場合、オープン立直自体を役満手と見なし他の役満と複合するかどうかについて見解が分かれているため事前に確認すべきだろう。
ルール次第では、オープンリーチがかかる前にリーチをかけた者については役満払いを適用せず、ロン和了でも通常通り二翻役として点数計算を行うケースもある。
しかし、副露している者に対しては容赦なく役満払いが求められる場合が多い。
最悪、裸単騎だとどうにもならない状況に陥りやすく、裸単騎の者がいればそのプレイヤーを狙ってオープンリーチを仕掛けるということすらできる。
そのため、この役が採用されているだけで副露に対して慎重にならざるを得ず手作りが窮屈になる。
それから、役満払いをチョンボで水に流すことを防止する目的で、オープンリーチを採用する際にはチョンボを役満払いとするルールがつけ足されることも。
採用するか否かでゲーム展開および戦術に与える影響がかなり大きい役なので、やはり対局前に確認しておくことが望ましい。





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最終更新:2023年11月12日 01:11

*1 ルールによってはツモがなくてもリーチを認めるケースもある。ただしその場合でも、ロンや槍槓の可能性すらもない最後の捨て牌でのリーチは不可能……というかそもそも無意味。

*2 自分の河の上側に横向きで置く。