麻雀

登録日:2009/10/20 Tue 22:49:37
更新日:2024/04/10 Wed 21:05:52
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室内用ぼっち駆逐対戦ゲーム。大本は中国のカードゲームで、時代とともに麻雀へと進化を果たし世界中に飛散した。
その後日本では独自のルールが発展、定着してきた。ここではその日本特有の「立直麻雀」について解説する。


◆はじめに

咲-Saki-福本伸行作品で麻雀を知った!でもルール解説してくれないよぉ……何やってるかわかんないよぉ……。そんな幼女は多いと思う。
そんな幼女たちのため、まずはざっくりとした概要から解説していこう。

麻雀ってどんなゲーム?一言で言えば、複雑化したポーカーである(正確にはポーカーよりもっと近い「ラミー」というゲーム種が有りボードゲーム系専門書などでは麻雀は「ラミー系ゲーム」と分類されている)。
ほぼ用語解説だけの記事に「所要時間60分以上の記事」タグが付いてる時点で色々察して欲しい

トランプのポーカーが4カテゴリー各13枚合計52枚+αのカードで役を作るのと同じように、3カテゴリー(数牌)各36枚+7カテゴリー(字牌)各4枚合計136枚で役を作るのだ。
物凄い膨大な数に見えるが、それぞれを分類して覚えていけば意外とすんなり覚えられる。たぶん。

◆麻雀牌の種類は?

麻雀は上記で触れた136枚の象牙・プラスチック・紙などで作られた「麻雀牌」と呼ばれるもの(一応大半の物はキューブタイルと言った所か)でプレイする。
数自体はたくさんあるが、ひとつひとつ順番に覚えよう。
中国で生まれたものなので読みが日本語に馴染みのないものばかりであるが、頭の中ではなんて呼ぼうが関係ない。
ちなみに日本の麻雀では使われていないが、ポーカー内における「ジョーカー」の役割を持つ牌も存在する。

<数牌>

数牌と書いてシューパイと読む。ただ「かずはい」と呼ばれることも珍しくない。3カテゴリー各36枚。
おそらく最も目にする機会の多い麻雀牌。でかでかと◎がひとつ鎮座してたり鳥っぽいのが書かれてたり一とか二とかの漢数字が書かれているもの。
萬子(マンズ)筒子(ピンズ)索子(ソーズ)の3種類があり、それぞれに「1~9」までの数字が割り振られたものが4つずつ。
つまり、ゲームが始まれば、その卓の上には「萬子の2」は必ず4つ存在することになる。
なお数牌は2~8の牌を総称して中張牌(チュンチャンパイ)、1,9の牌を老頭牌(ロウトウハイ)と呼ぶ。
中張牌・老頭牌(≦幺九牌)という概念は、符計算や役の条件に絡んでくるため頭に入れておきたい。

牌の読み方は「数字+種類」の形で読む。
数字の読みは、(イー)(リャン)(サン)(スー)(ウー)(ロー)(チー)(パー)(チュー)
例えば"一萬"なら読みは"イーワン"or"イーマン"。別に"いちまん"と呼んだって日本人には通じるが。
"二筒"なら"リャンピン"、"三索"なら"サンソー"or"サンゾー"……という具合。
例外的な読みとしては、"七索(チーソー)"を"チャッソー"、"八索(パーソー)"を"パッソー"と言う人も一定数いる。各々好きに呼べばいい。
「九」については、入門書などでは正式な読み"チュー"が先に書かれているが、口頭では日本式の読みで"キュー"と発音する場合が多い。
ちなみに、「二」を"アル"と読まずに"リャン"と読むのは序数と量数を区別しているからである。要するに2nd(second)と2(two)の違い。

ルールによって「5」の牌だけ一枚赤文字の牌が混ざることがある。
この牌を使ってアガることができれば得点が増える。

萬子(マンズ)
漢数字+萬の組み合わせで書かれた牌。
正式にはワンズと読むが、マンズの呼称も一般的で決して間違いというわけではない。体感ではどちらの読みも半々くらいの割合で聞く。
こんなのが麻雀牌の上に書いてある。萬子の2なら二萬、3なら三萬といった具合。なお5は「五萬」ではなく大字を用いて「伍萬」になっている。

筒子(ピンズ)
麻雀牌の上に◯が書かれている。この数が数字を表す。これもひと目で分かるだろう。ちなみに動物のお医者さんの主人公家では筒子の3は「ダンゴ」と呼ばれているとか。
本来は"トンズ"と読むのだが、日本では"ピンズ"の名が定着し"トンズ"の読みは廃れてしまった。
なおルールとは関係ないが、「麻雀牌の中で上下対称な模様の牌は何種類あるか?」と聞かれたらこの項目を見ている人は恐らく六筒・七筒以外の筒子の牌はこの条件に当てはまるのではないかと思うだろう。しかし実はこの条件に当てはまっている牌は実は二筒と白の2種類しかない
会社ごとのデザインにもよるが一般的に二筒以外の筒子の牌は〇の中の5枚の花弁の様な模様が上下非対称になっており、上側に花弁が出ている方を上とする。(二筒のみ花弁が6枚で上下対称になっている。)

索子(ソーズ)
緑色の棒状の何かがたくさん。初心者が「これなんだっけ」になるのはおそらくこれ。緑の棒は竹を意味している。紐や竹串に通した小銭の束だという説もある。
牌に書かれた何らかの棒の数が数字を表す。
なぜか索子の1は鳥。また、1・5・7・9は緑だけではなく赤い竹も混じっている。これが後々役を覚える際に面倒になる。
ちなみに先ほど出た上下対称な柄の話だが、索子の竹はよく見ると先が飛び出ている方と窪んでいる方に分かれておりもれなく上下非対称で、先が出ている方が上となっている

<字牌>

7カテゴリー各4枚。その名の通り文字しか書いてない。大きく分けて2種類ある。また、これもそれぞれ4枚ずつ存在する。
どちらの種類も特殊な役割を持つ状況があり、地味に初心者泣かせかもしれない。
なお、1,9の数牌と字牌は合わせて幺九牌(ヤオチュウハイ)、あるいはそのままの表現で「一九字牌」と言う。

風牌
「東」「南」「西」「北」と方角の字が書かれたもの。ちなみに(トン)(ナン)西(シャー)(ペイ)と読む。
なんで東西南北って馴染みのある順番で書かないの?と言われれば、これは中国における方角の順序であるから。五行思想由来と深読みすることもできる。麻雀プレイの順番もこれに倣って進行する。
太陽(月)の運行(東→南→西+北)をイメージすると覚えやすい。が、この覚え方だと自分の風がわかりにくくなるかも知れない。
この風牌も役に絡んでくるものなのだが、その説明は後ほど。

三元牌
(ハク)(ハツ)(チュン)の3種類。正式には白板(パイパン)緑發(リューファ)紅中(ホンチュン)という。
このうち白は麻雀牌の上に何も書かれていない、トウフのような真っ白な牌。手抜きでも不良品でも予備の牌でもない。
何も彫られていない牌すなわちはえてないゆえに、初心者でも盲牌*1で簡単に判別できる。(※盲牌および先ヅモ*2はルール違反なのでやらないように。)
また、發は緑色で書かれている、ここのちのち重要。
この三元牌は同じ種類を3枚集めるだけでひとつの役を作れるスグレモノ。
ちなみに白には特殊なルールを追加した牌である「白ポッチ」というものも存在するが、滅多に使われない。

<花牌>


花牌と書いて、ファパイと読む。普通に「はなはい」と言われることが多いが。
数牌・字牌が1種類ごとに4枚あったのに対して花牌は1種類ごとに1枚しか存在しない。日本の麻雀では滅多に使われない牌だが、ローカルルールなどでは利用されることもある。この場合136枚の中に加えて使うので牌の枚数が140枚、もしくは144枚に増えることになる。
一般的な物は「梅」「蘭」「菊」「竹」と書かれ、対応する植物が描かれた牌、もしくは「春」「夏」「秋」「冬」と書かれ、その季節に対応する花が描かれた牌、あるいはその両方が多い。(後者はその牌の名前から「季節牌」と呼ばれることも。)
麻雀牌セットの中で上記の数牌・字牌以外に妙な柄の牌が4枚(または8枚)あって「何だこれ?」と思った人もいるだろう。
1種類しかない上に順番などもないのでこれ自体は何の面子にも使えないが手牌から晒すことでドラ1として嶺上牌から新たに1枚ツモることが出来る、所謂「抜きドラ」としての役割を持つ。
この牌がドラ表示牌になった場合は「他の花牌」がドラになる為、抜きドラとして晒すことでドラ数が1つ上乗せされる。
また花牌全てを自分の抜きドラにして上がった場合に役が付く事もある。


以上の麻雀牌をテーブルに載せてゲームは始まる。一般的なルールでは、花牌以外はひとつでも欠けたらプレイできないので無くさないようにしよう。


◆簡単なルールとゲームの進め方

麻雀は4人でテーブルを囲み行うゲームである。
はじめに全員にそれぞれ13枚の手札(手牌)を裏側で配り、残りの麻雀牌を裏側にして山札(山)を作る。
自分の番がくるたびに山から1枚引き、手牌と引いた牌を見比べていらないものを1枚捨てる。
※一番初めに「山から引いて、捨てる」をする人を親と呼び、残りの3人を子と呼ぶ。ちなみに最初(東一局)の親を起家(チーチャ)と呼ぶ。
※山札から1枚引くことを「ツモ」と呼ぶ。また、捨て牌は個々人でまとめて置く。別の人のと混ざらないよう注意。
親には東風、残りの子には南・西・北の「風(=方角)」が割り当てられる。
※自分の席から見て左側を上家(カミチャ)、正面を対面(トイメン)、右側を下家(シモチャ)と呼ぶ。これはあくまで自分から見た場合なので、自分の右に座る人から見た自分は上家である。
東→南→西→北→東の順で行動を起こす。この時、東家の右側に座る人は南家、南家の右側に座る人は西家になる。自分が西家の場合、南家が上家になる。
※なぜか南北の位置関係が実際の方角とは逆になっているので、慣れるまでは少々ややこしく感じるかも知れない。
※北側(北家)を正面に見た場合、自分は南家で、対面は北家だが、上家(左側)が東家(親)で、下家(右側)が西家……となる。
※東家(親)を基準に、反時計回りに南→西→北と機械的に並べて覚えておけばおk。
自分の番が来たら、まず山から1枚ツモ。リーチ・ツモアガリの宣言はここ。その後、自分の手牌とツモった1枚を加味し、どれか1枚を捨てる。捨てた際になんの宣言もなければ下家の番になる。
※自分が捨て牌をした際、他プレイヤーから「ポン」「チー」「カン」「ロン」の宣言がされる場合がある。これらの宣言をされたら、捨て牌を宣言した人に渡そう。
※同様に他プレイヤーが捨て牌をした際、「自分の手牌でそれを加えれば刻子になる時」にポンを、「自分の手牌でそれを加えれば順子になる時」にチーを、「それを加えれば役が完成する時」ロンを宣言することができる。
ただし、チーは上家が捨て牌をした場合のみ。ロンはあくまで役が完成する場合のみ。
山を引ききる、または誰かが和了るまでこれを繰り返す。これがワンセット。このワンセットを局と呼び、一局、二局と推移していく。
※親(東)のみが点数を得た場合、または誰も点数を得られなかった場合、連荘(レンチャン)と呼ばれるボーナスステージに突入する。もう一度同じ風で同局を繰り返す。親にとっては点数を稼ぐチャンス!

局終了時に親が点数を得られず、子が点数を得た場合、全員の風が右にずれ(自分が南だった場合、東に)、次の局に進む。下記ノーテン罰符も参照。
そうやって最後の局(オーラス)まで勝負を続けて、後述するウマ・オカ・焼鳥などの点数変換を経て最終的な点で順位が決まる。
ちなみに点数が横並びだった場合は「起家に近い人から順位を決める」と言うルールになる。

試合形式はメジャーなものでは、東風戦(親番が1巡)、半荘戦(親番が2巡)、一荘戦(親番が4巡)の3つがある。
かつての麻雀は一荘戦が主だったが、時間がかかる(1試合約3時間。)為、今では半荘戦が一般的。
また特殊なルールとして東一局のみを行い、流局の有無に関わらず点数の結果だけで勝敗を決める「一局戦」と言うものもある。

ゲーム開始時にサイコロを2個使う。用意しておこう。

◆和了形(手牌の完成形)

麻雀ははじめに13枚の牌が配られ、1枚山札(単に山と呼ぶ)から引いて(ツモ)は河と呼ばれる場に捨てることを繰り返して手札を交換していくゲーム。
最終的に「条件の揃った13枚」に「手牌が完成する14枚目」を引き当てることで初めて和了が成立する。
そして、和了形の基本形は「雀頭(ジャントウ)」がひとつ、「順子(シュンツ)」または「刻子(コーツ)」が合計4つである。
これをまとめて4面子1雀頭と呼ぶ。中には例外となる和了形もあるが、4面子1雀頭を揃えることが麻雀の和了の基本。
この形を覚えないと役も覚えられないのでもうちょっと頑張ろう。
ただし、手牌が完成形になっていても役がついていなければアガれないというルール(一翻縛り)があるため、形だけ完成していても実際にはアガることができない。
ポーカーではブタ(役無し)でも引き分け以上にならないとはいえ勝負ができるが、麻雀ではチョンボとなり反則扱いになる。
複雑ポーカーである麻雀には、当然ながらさまざまな役があり、4面子1雀頭を揃えると同時に何らかの役を成立させなれけばならない。
初心者のうちは牌の揃え方(4面子1雀頭)だけは最低限覚えておき、下手に鳴かずに門前で手を進め、あと1枚(テンパイ)になったら立直をかけて役をつけるようにすれば紛れが少ない。


雀頭(ジャントウ)
同じ麻雀牌を2枚集めたもの。「萬子の3が2枚」「風牌の南が2枚」といった感じ。俗称では「アタマ」とも。
単に同種の牌の2枚組を指して「対子(トイツ)」とも呼ぶ。

順子(シュンツ)
数牌の内、同じ種類の数牌を順番に3つ並べたもの。「索子の456」「筒子の789」など。
「萬子の912」のように繰越しはできない。当然「筒子の913」のようなめちゃくちゃも出来ない。順番を作れないため、字牌も使えない。

刻子(コーツ)
同じ麻雀牌を3枚集めたもの。「索子の555」「三元牌の中中中」とか。
刻子には暗刻(アンコウ)明刻(ミンコウ)の区別があり、手牌(配牌とツモ)で作った刻子を暗刻、ポンで作った刻子を明刻と呼ぶ。(※下記用語の項で詳述)
槓子(カンツ)
面子の一種だが、これは同じ麻雀牌を4枚集めたもの。符点が高いことが特徴。
基本的に刻子と同じ扱いだが、1面子は3枚の牌で構成されるため、「槓」をしない限り牌を余分に持つことになりそのままでは面子として扱えない。
槓には特殊なルールが多いため後述。

順子と刻子の3枚一組は面子(メンツ)と呼ばれる。メンツが揃った、と耳にすることもあるだろうがこれが語源。
アガリ(和了(アガリ)と書かれることが多い)はこれらを組み合わせて行われる。雀頭・刻子・刻子・刻子・順子でもいいし雀頭・刻子・刻子・順子・順子でもいい。雀頭は必須。
この制約の中、さらなる制約をクリアしたものが役である。


◆少し複雑なルールや覚えておきたい用語

●山・手牌
カードゲームでいうところの山札と手札。どちらも裏側でプレイする(最初のドラ表示牌のみ表にしておく)。自分の手牌は当然自分だけが見ることができる。
山はゲーム開始時69枚。手牌は13枚。

●配牌
ゲーム開始時に最初に配られた手牌13枚(親は14枚)のこと。後述するサイコロの方式で決められた山の位置から2列4枚を東→南→西→北の順に取るのを3回繰り返し、最後に親が次の山の端と端から2番目の上側の牌を取り(俗にチョンチョンと言われる。)、南→西→北の順に残りの1枚を取ることでできる。
その後のツモ次第で手が変わっていくこともあるが、ぶっちゃけどんな役になるか、あるいはどういった役を狙うべきかはこの配牌の段階で6~7割ぐらいは決まると考えても大げさではない。
なお後述するように配牌の状態で決まる役もある。

洗牌(シーパイ)
ゲーム開始前、或いは一局終了後に山を崩して混ぜ、その後山を組む行為。要はカードゲームのシャッフルである。
全自動卓の麻雀であれば機械頼りだが、手積みの麻雀だった場合はこれがいい加減だと前局の手牌が固まった状態になり配牌に偏りが生じてしまうのでしっかり行う必要がある。
洗牌時に牌がぶつかり合う際に出る音は当人たちが思うよりも大きく、けっこうな騒音になる。特に深夜・早朝は近所迷惑になりかねないので要注意。学生寮などでは、惰眠安眠を妨害された他の部屋の住人(主に隣人と真上・真下の住人)が殴り込みをかけてきて訪ねてきて、いいからお前ら表へ出ろと苦情を言われリアルファイトに発展するなど、トラブルの元になりかねないので、徹夜麻雀はほどほどに。
ちなみに汚れた牌を洗う時にも「洗牌」というという単語が出るが、これは単純に洗牌(センパイ)と呼ぶ。

理牌(リーパイ)
洗牌を挟んだ後の手牌13枚を各自が並べなおすこと。
基本的に「萬子 → 筒子 → 索子 → 字牌」という並びが一般的。ただし理牌の方法にルールはなく、どう並べても問題ないし、この順番である必要もない。
極端な場合面子と雀頭がどうできているかが自分で分かっているのであれば、あえてメチャクチャな並びにするのもあり。一見すると何の意味があるか分かりにくいかもしれないが、捨てた牌の位置からその近くの牌がどうなっているのかはある程度想像できるため、それらが分かりづらくなる、あるいは裏をかくことができるなどといった利点がある。
ただしそういう場合もアガる際や流局時にテンパイとして見せる場合はちゃんとそれが判断できるように並べ替えてから相手に見せるのがマナーである。
オンラインやゲームでは自動で理牌されていることが大半。萬子の次が筒子か索子かはまちまち。オプションで理牌のオン(自動)/オフ(手動)を選べる場合もある。

●仮親/仮東/起家(チーチャ)
どちらもゲーム開始時に決める立場。
最初に4人のプレイヤーは東南西北の4枚の風牌をランダムに取り、この時「東」を引いたものが「仮親(仮東)」となり好きな席を決められ、その人物を基準に南(下家)→西(対面)→北(上家)の順で卓について順番が決まる。
その後仮親がサイコロ2個を振って出た目によって自分を「1」として反時計回りに数え、止まった人物が同じ処理をして止まった人物が最初の親、即ち「起家」になる。なお出る目の合計は2~12のどれかなので出目に対応する「止まる人物」の覚え方としては以下のように覚えればいい。

目の合計が「5・9」 → 自分 ※「自5」「自9」と略される。「自苦」などとは読まない。
目の合計が「2・6・10」 → 下家 ※「右2」「右6」「右10」と略される。
目の合計が「3・7・11」 → 対面 ※「対3」「対7」「対11」と略される。なお「対~」は対面(トイメン)の略なので「とい~」と読む。
目の合計が「4・8・12」 → 上家 ※「左4」「左8」「左12」と略される。

麻雀を長くプレイしていればいつの間にか覚えてしまうものではあるが、慣れないうちは"出目の合計を4で割った余り"をもとに数えるとラク。
余りが1なら自分、2なら下家(右)、3なら対面、0(4)なら上家(左)という具合。

●一度振り/二度振り
サイコロを振って手牌をとる山とその順番を決める際の方式のこと。
一度振りは親がサイコロ2個を振って自分を「1」として反時計回りに数えて止まった人物の前にある山17列から出た目の合計だけ右から数えた所(「(トン)」という。)で区切り、その左側から牌を取っていく方式。(例:親がサイコロ2つで10を出した時は下家のところの山を右から10番目で区切り、11番目から牌を取っていく。)
二度振りは起家を決めるのと同様に「親がサイコロ2個を振る」→「止まった人物がサイコロ2個を振る」という行程の後にそれぞれで出た目の合計だけ最後にとまった人物の山から数えて区切り、その左側から牌を取っていく方式。ただし4つの目の合計が17以上になった場合は17以降は止まった人物の上家側の人物の山の右端から数えて処理を行う。
二度振りはイカサマ等の防止のために牌を取る位置を複雑化させているのだが、全自動卓の普及が進んだことであまり使われなくなり、現在では単純に処理が行える一度振りが主流になっている。

●点棒
麻雀の持ち点を指し示す棒。これを一局ごとに上がりまたは流局のルールに基づいて移していき、最終的に点の合計が一番多かった人が勝ちになる。
100点単位で行っていく為棒は全て100の倍数の点だが、機械の点数計算の処理上の関係で手積みの麻雀と全自動卓の麻雀では使う点棒に以下の様な違いがある。

手積み用…100点(白色・黒点8つ)、1000点(白色・赤点1つ)、5000点(白色・赤点5つ)、10000点(白色・黒点2つ・赤点7つ)
全自動卓用…100点(白色)、500点(緑色)、1000点(青色)、5000点(黄色)、10000点(赤色)、-10000点(黒色、トビ用)
(ただし全自動卓用点棒の配色や点の有無は卓によっては異なる事も。)

手積み麻雀で全自動卓用点棒を使うのは特に問題はないが、全自動卓で手積み用の点棒を使う場合、一応ゲームそのものに支障はないが卓が点数処理できないという問題がある為、あまりおススメできない。
一般的な持ち点25000点の麻雀では手積みなら「1-2-4-10(10000点棒1本、5000点棒2本、1000点棒4本、100点棒10本)」、全自動卓なら「1-2-4-1-5(10000点棒1本、5000点棒2本、1000点棒4本、500点棒1本、100点棒5本)」といった点棒の配分でゲームが始まる。
持ち点が25000点よりも多いor少ないルールでは、1000点棒の増減*3で調整することが多い。(例えば27000点持ちなら1000点棒6本。)
また点数計算などで点数を支払えない時(「立直したいが手元に1000点棒がない」など。)には他家の誰かと点棒を両替えする。

●ポン/チー/カン
ポンとチーは、他プレイヤーがそれを加えれば刻子/順子を作れる牌を捨てた時宣言できる。手牌の2枚と捨てられた1枚を自分の手牌の右側に表側で公開し続ける。また、ポン/チーで作られたメンツは入れ替えたり出来ない。
なお誰から鳴いたのかをはっきりさせるために3枚のうち、相手の捨て牌1枚は横向きにして、自分から見て上家なら左端、対面なら中央、下家なら右端に置くようにするのが一般的。
ポンは誰からでもできるが、チーは上家からしか出来ない。そのためチーで晒す面子は必ず左端の牌が横向きになる。
カンについては後の「鳴き」や「(カン)」の項で述べる。

●鳴き/鳴く/サラシ/サラす/副露(フーロ)/仕掛け(る)
上述のポン、チー、カンのこと。ポン、チー、カンのコール動作から俗に"鳴き"、"鳴く"などと呼ばれる。
鳴いてできたメンツは手牌から外して自分から見てテーブルの右側に揃えて公開し続ける。ただし、よけられていても手牌として扱う。
手牌の一部を公開、つまり晒すことからサラシとも呼ばれる。副露という用語も似たような意。

完成したメンツを端に除けた後は、ツモったときと同じ要領で手牌から1枚捨てる。その際次のツモは鳴いたプレイヤーの次(下家)に移る。
また、鳴いてできたメンツは固定され、明刻子に対しての加槓以外の操作は出来ない。当然ながら捨て牌としても利用できない。

カンはミンカンの場合のみ門前を崩したものとして扱われる。
暗槓の場合は鳴きではあるものの、他家の捨て牌をもらったわけではないため門前は維持される。サラしたメンツが暗槓だけならリーチを打つことも可能。

打牌が行われた瞬間、その捨て牌に対してチーとポンorカン(明槓)が同時にコールされた場合、原則、ポン(カン)が優先される。
ルール上ポン(カン)優先なので、チーのコールはワンテンポ置き、ポン(カン)のコールがないかどうか確認する意味で少し待ってから行うとよい。
うっかり同時コールしてしまうと、捨て牌がもらえないばかりか自分の欲しい牌(後々アガリ牌になる可能性が高い)がバレるし。
また、(副露ではないものの)ロンのコールはあらゆる副露のコールよりも優先される。
……が、あまりにも宣言が遅いと認められない場合もあるので、ぼーっとせずすぐに反応しよう。

偶然役「一発」や「ダブル立直」「地和」「人和」の成立にも間接的に影響する。(いずれも条件を満たす巡目内で鳴き(暗槓を含む)があると消滅する。)

あるプレイヤーが、(場の状況や点棒状況などを鑑みつつ)能動的に鳴く判断(決断)をすることを指し、"仕掛ける"、"動く"などと表現することもよく行われる。

●食い替え
チョンボの一種で、手牌で既に完成している面子を意図的に崩すような鳴きをしてそのまま崩した面子からの余り牌を打牌する事。
ツモ順を意図的に操作したり、ドラを無理やり自分の手に収めたり、リーチ後の一発を鳴いて消したりすると言った行為を濫用させないためのルールである。
食い替えを認めるルールもあるが、その場合でも、もらった牌と同種の牌を捨てることは認められないケースがある。よく確認しよう。
なお大事なのは「鳴いた段階」ではまだルール違反では無く、「崩した面子の余り牌を切る」ことで初めて違反になる。つまりその場では崩した面子の余り牌を捨てずに一巡してから捨てればこの制約は回避できる。

競技麻雀や本家中国麻雀では、同種の牌も含め、副露後の打牌については特に何の制約も設けられていない。
むしろ食い替えを認めないルールこそが日本で独自に広まったもので、ある意味ローカルルール的な起源を持つ取り決めといえる。
ただし、一般的な採用率は食い替えなしのルールのほうが主流になっている。

(カン)槓子(カンツ)
同じ麻雀牌を4枚集めたもの。宣言しないとカン(槓子)として認められない。自分の手牌のみを使ってカンした場合暗槓(アンカン)、他人の捨て牌をポンの要領でカンした場合明槓(ミンカン)(大明槓)と呼ばれる。

これを行うと特殊な挙動が起きる。
カンの宣言→カンした4枚を手牌からよける→1枚足りなくなった分の手牌を王牌の補充ゾーンから1枚補充する。
晒し方は暗槓と明槓とで異なる。
暗槓は4枚見せた後に一部を裏返して4枚全てを縦にして置く(両端2枚or中央の2枚を裏返すのが一般的だが別の場所でも問題ない)。一方明槓はポンと同様に他家からの牌を横向きにして全て表にして置く。対面からの受け取りの場合は中央の2枚の内どちらか1枚を横向きにする(向きを変えるのはどちらでも良い)。

その後、暗槓の場合ドラの隣の牌をひっくり返してドラに追加する(その下の麻雀牌もドラになる)。明槓の場合捨て牌をしてからドラの隣の麻雀牌をひっくり返してドラに追加する。(最近は暗槓も明槓も即公開が多い)
本来1枚ずつのドラ・裏ドラが2枚ずつになる。
カンが行われると海底牌が王牌の1枚として扱われ、海底牌の直前の牌が海底牌として新たに扱われる(王牌は何が起きても14枚を崩すことはない)。
また、カンはその局中4回まで。ただしその4回のカン全てが同一人物によるものでない、つまり2人以上で合計4回のカンが起きた場合、その時点でその局は流局になる。(四開槓、あるいは四槓流れという。)ただしこれはあくまでカンの一連の処理を終えた後に流局するのであって、槍槓や嶺上開花の条件を満たしたり、カンの後に捨てた牌がアガリ牌ならばアガることができる。

王牌から補充する牌を嶺上牌(リンシャンハイ)と呼ぶ。嶺上牌で役を完成させた場合、さらに嶺上開花(後述)の役がつくが無理ゲー。咲ちゃんの必殺技。

加槓(カカン)
「小明槓」とも言う。すでにポンで出来ているメンツにツモした同じ牌を加えて明槓にする。その後、明槓と同じ挙動を行う。
晒し方はポンして横向きになっている牌の上にツモった牌を横向きで置くのが一般的。
なお、レアケースではあるが、他家が聴牌していて、加槓した牌がアガリ牌だった場合、「槍槓」という役がつきロンされてしまうというルールがある。

●n巡目/n順目
各家のn回目の「ツモ→打牌」あるいは「鳴き」の動作。
鳴きが1度も入らなかった場合を仮定すると、1つのゲームで各家に回ってくるツモの回数は東家・南家が18回、西家・北家が17回。
各家が「いつまでに聴牌を目指すか」、「他家がいつ何を捨てていたか」、あるいは「流局までにツモ番が何回来るか」を考える為の指標になる。
通常の場合は「東1巡目→南1巡目→西1巡目→北1巡目→東2巡目→…」と数えていけばいいのだが、鳴きが入ると少し分かりづらくなる。
例えば東家の4巡目の打牌に西家がポンをしたとすると、南家はツモ番を飛ばされる。では次に南家に来るのは何巡目か?
この場合南家の4巡目は消滅するのではなく「その巡目はスキップされた(何もしなかった)」と考え、次に来る南家のツモ番は5巡目になる。(なお暗カン・加カンの場合は他3人の巡目が飛ばされたと考える。)
なおこれらの鳴きの事情から純粋な巡目を考えるのが面倒という事で単純に「ツモ番が回ってきた回数」を順目として数える事も。しかしこれは厳密な巡目の意味とは異なるので注意。

王牌(ワンパイ)
麻雀をプレイする直前、4人の手牌13枚と山をつくるが、それとは別にこの7枚を2段に重ねた14枚の王牌を残さなくてはならない。ちなみに山の中で王牌でない牌の部分は壁牌(ピーパイ)と言われる。
王牌となった山に含まれた牌は基本的にツモることが許されず、次局までゲームに参加することはない。
王牌の内訳は、嶺上牌2列(4枚)、ドラ表示牌1列(2枚)、槓ドラ表示牌4列(8枚)……の計7列(14枚)。
嶺上牌は槓をすればツモることが可能だが、ドラ表示牌・槓ドラ表示牌およびそれらの裏ドラ表示牌はその局では手牌に加えることができず一切利用できない。
槓の項で説明したように、5回目の槓はルール上不可能なので、そのぶんの嶺上牌およびドラ表示牌となる王牌はない。4回の槓もまず起こらないが。
もしローカルルールで一局における槓の回数を増やすのであれば、同時に王牌の数も増やす必要がある。
表ドラ・裏ドラが常時2つある超インフレ麻雀「THEわれめDEポン」のルールでは王牌は8列16枚になっている。

●割れ目/ワレメ
局の開始時に、サイコロの出目によってどの山から牌を取り始めるかを決めるが、この作業を開門(カイメン)という。
このとき、山を二つに"割る"ことから、開門の位置もしくは開門の位置のプレイヤーを指して俗に「割れ目」と呼ぶ。
自分の山が開門の位置(割れ目)になること自体は、ゲーム展開には何ら影響を及ぼさない。せいぜい牌をツモるのがラクか面倒かという程度。

ところが、ローカルルールとして「ワレメ」のルールが採用されている場合には話が変わってくる。
このルールでは、「ワレメ」になったプレイヤーは点棒の収支が2倍になるというハイリスクハイリターンなルール。
なお、場の積み棒(~本場)による300点単位の加点や不聴罰符の支払い額は変化しない。

自分がアガった場合や他家に放銃した場合は単純に打点が2倍になるが、他家がツモアガリした場合は自分が支払う点数だけ2倍になる。
例えば、自分が南家で「ワレメ」のとき、北家の満貫(4000/2000)ツモの支払いの内訳は、東家(親)4000点、南家(自分)4000点、西家2000点……となり、本来8000点のアガリが10000点になる。
その一方で、親が「ワレメ」のときは、同様に子の満貫ツモのケースなら、親8000点、子2000点(x2)……で計12000点になり、誰が「ワレメ」になるか次第で同じアガリなのにトータルでの収支が変わってくる。
(実力と運が同程度と仮定すれば)麻雀では平均して4局中1回アガれる計算になるが、それはつまり、(流局を除けば)3/4の確率で自分ではなく他家がアガる(≒支払いが生じうる)ということであり、すなわち打点が上がるメリットよりも支払いが増えるリスクのほうが大きいルールといえる。

打点のインフレによって手軽に荒場を演出でき、短時間の対局であっても点差が開きやすくなったり逆転が起こりやすくなったりする。
そのため、少ない局数しか行えないときor東風戦で数をこなすときなど、短期決戦にスリルと興奮メリハリ大波乱や超展開を生む目的で採用される。
このことは赤ドラ(見方によっては一発、裏ドラ、槓ウラも)についても言えるが、「ワレメ」はこうした趣向をさらにエスカレートさせたルールである。
○ジテレビの麻雀番組「THEわれめDEポン」の"われめ"とはこのルールのことを指す。

(例えば接待麻雀やコンビ打ち等のイカサマがある賭場ヒラではない場などで)カモ対象の負け分を合法的(?)に増やすために悪用されるケースもしばしば。
諸々の理由・事情で、ワレメルールそのものをあまり好ましく思わない層もいるので提案する際は注意。

●ドラ/懸賞牌
王牌の上段のうち海底牌から3番目にある牌に関連するルール。
「ドラ」という単語は「ドラゴン」からついたものである。少々お堅い言い方をすれば「懸賞牌」だが、こちらの呼び方はあまり一般的ではなく廃れ気味。
この牌は表側で公開し、だれでも確認できる状態でゲームが始まる。この牌が「萬子の4」であった場合、「萬子の5」を絡めた手に1ハンのボーナスが付く。ただしドラのみでは役として認められない。
字牌の場合は東→南→西→北→東→…という順でドラが決まる。三元牌は白→發→中→白→…。
また、ドラの真下の牌を裏ドラと呼び、リーチで和了った場合にこれを確認してドラと同じように計算する。
赤い牌の混ざるルールではこれも「赤ドラ」として同様にドラ1として計算し、そしてその牌が通常のドラなら1枚でドラ2になる。
ただしこちらがドラ表示牌になっても特に特別な処理は行われない。
他にも特定の牌が来たらそれを相手に見せることでドラとする「抜きドラ」というルールもある。

ちなみにドラのルールは日本発祥で、日本ではごく一般的に採用されているが、実は中国麻雀やアメリカ麻雀にはドラはない

●海底/河底
王牌の一つ手前、最後にツモすることができる牌を海底(ハイテイ)牌と呼ぶ。また、この海底牌を引いたプレイヤーが捨てた牌を河底(ホウテイ)と呼ぶ。
海底牌・河底牌で役を完成させた場合、さらに海底摸月(ハイテイモーユエ)河底撈魚(ホウテイラオユイ)の役がつく。稀によくある。

●流局
河底牌を捨てた際に誰も和了しなかった時(荒牌平局、または荒牌という。)、その局をノーゲームとしてやり直す。連荘に入って本場の数が増え、立直のために出していた1000点棒は供託としてそのまま置いておく。
ただし、親が点数を得られず、子が点数を得た場合、流局しても次の局に進む。これは「親流れ」と言われる。
取り決めのバリエーションとしては、東場のみ不聴で流れ南場では不聴でも流れないとするルールや、聴牌/不聴に関わらず流局とするルールなどがある。

ちなみに通常の流局は上の場合だが以下のパターンになった時にも流局とする場合がある。採用していない場合もあるので事前に確認しておくといい。これらは「途中流局」と呼ばれ、連荘になるか親流れになるのかなどもルールによって異なるので要確認である。

A:4人全員が立直をした時。(四家立直)
B:鳴きの入っていない最初の一巡で全員が同じ風牌を打った時。(四風連打)
C:鳴きの入っていない最初の一巡で自分の手牌に一九字牌が9種類以上あり、なおかつそれを他家に公開した時。(九種九牌)
D:2人以上で合計4回のカンがなされ、最後のカンの後の打牌までで誰も上がらなかった時。(四開槓)
E:1人の打牌に対して他家3人が同時にロンした時。(三家和)
F:山を大きく崩すなどのゲーム続行が不可能になるレベルのチョンボが発生した時。(ただしこれは流局とみなさないのが一般的)

なお4絡みの行為が多いのは「4=死」を連想させ、忌み嫌われるからとされている。三麻ではこの「4」要素が揃わないという観点で一部の流局条件が使用されないことも。

●頭ハネ/上家取り
どちらも同じ意味で1人の捨て牌に対して2人が同時にロンした場合に適用されるルール。放銃した人物から見て下家→対面→上家の順にアガったとして、最初にアガった人物にのみ点を与え、二番目以降のアガリとされた他の人物のアガりを無効にする。当然だがこのルールが適用されている場合、この状況になると放銃した人物から見た上家は絶対にアガることができない。
放銃した者からは下家側だが、アガった者からは上家側になるので「上家」取りになる。
例えば、自分と対面がテンパイしていて待ち牌に被りがあった場合、共通のアガリ牌でのロンアガリは、自分は上家からのみ、対面は下家からのみ成立するということになる。
ただしこのルールは採用しているかいないかはまちまちでダブルロン(ダブロン)やトリプルロン(トリロン)、即ち全員のアガりを認めるルール、3人のロンに関しては上の三家和による流局という場合もあるのでルールをよく見ておくといい。
ちなみにこの状況になった場合に供託棒などの扱いに関しては基本的には頭ハネがあるかないかによらず、頭ハネのルールでアガり者とみなされた人が総取りするというルールが一般的。

●n翻縛り
アガるのに必要な翻の数、つまりこれ未満の翻ではアガれないというルールである。なおドラはアガった後につくボーナスであるとみなすので翻には数えない。
通常は役がなければアガれない「一翻縛り」だが、本場が多くなってくる(5本場以降とするのが一般的。)と流局やのみ手での本場稼ぎを難しくするために1翻役だけではアガれないとする、「二翻縛り」へシフトすることがある。この状態だが前述した通りドラは翻に数えないため、「1翻+ドラで2翻」というのはNGになっている。

●完全先付け/完先/ナシナシ
和了時に役を確定させていなければアガれないとするルール。いわゆる片アガリを認めないルールと言い換えることもできる。
単純化して言えば、どのアガリ牌でアガっても役がつくケースでしか和了が認められないということ。違反した場合は当然ながらチョンボである。
副露している場合は、第一副露(最初の鳴き)が役に絡んでいなければならない。
プレイする上では、とりあえず"ノミ手では役牌から先に鳴かないとチョンボ"と覚えておけばOK。
俗に言う"役牌バック"*4をするとチョンボになる。
……ただし、役牌の暗刻を持っている(orツモで役牌の暗刻を完成させる)など、手牌だけで役が確定している(と主張できる)場合は別。
その一方、おのずと手牌全体が役に絡むことになる対々和や混一色の手ではアリアリと同じ感覚で鳴いて構わない。
また、例えばタンヤオ、三色、一通、チャンタなどのノミ手で両面待ちになり、役がつかないアガリ牌(安目)が存在するケース(片アガリ)でも和了は不可能。
こうしたケースでは、門前ならリーチを打つことで先付けの規則をクリアしてアガれない状態を解消することができる。
偶然役(嶺上、海底、河底、槍槓)のみによる和了も原則不可能だが、門前清摸和は門前であれば通常のツモで必ず成立するため和了が認められることが多い。(認めないグループもある。)
なお、得点計算の際には確定している役だけで計算するというわけではなく、偶然役などもちゃんとカウントされる。
手役を確定させること自体はあくまでアガリ条件として課されている制約である。

完全先付けのルールにはさまざまなバリエーションがあり、統一されたルールは存在しない。それゆえにトラブルの火種になりやすいという一面もある。
こうした完先の解釈の違いに起因するトラブルやクレームや細かい実装の手間を嫌ってか、オンラインやゲーム等で採用されていることは少ない。

完先は(主に門前での)手作りをじっくりと楽しむためのルールで、スピードや駆け引きを重視する現代の麻雀とは真逆の方向性ゆえに現在は減少傾向にある。
このルールを好むグループでは、「喰い断無し」(タンヤオが門前役扱いになる)と「二翻縛り」がセットで採用されていることが多い。
門前ではツモだけが頼りでどうしても聴牌が遅くなるため、先付けの制約により、門前でも鳴き麻雀に対して不利になり過ぎないようにしたルールだといえる。
赤ドラやワレメルールなど、俗に言うインフレ麻雀への忌避感も根強い。
……ざっくり言えば、"赤入りタンヤオドラ3"や(フリテン)"オープンリーチ一発ツモ"で満貫なぞ言語道断、といった主義・思想である。
また、フリテンリーチやフリテンツモに対して不寛容である(チョンボ扱いされる)傾向が強めなので、対局の際には注意されたし。

俗に「ナシナシ」(喰い断ナシ後付けナシ)と呼ばれるルールはこれ。対義語は「アリアリ」(一般的なルール)。「ナシアリ」と「アリナシ」もあるよ!
前述のように完先自体は下火だが、「ナシアリ」や「アリナシ」の採用率はそこそこある。(特に喰い断禁止の「ナシアリ」。)

聴牌(テンパイ)不聴(ノーテン)
14枚で完成する役の内13枚がすでに手牌に揃っており、残り1枚をツモするか誰かが捨てるのを待つ状態をテンパイという。逆になんにもなっていない場合ノーテンという。
なお「くっつきテンパイ」という単語があるが、これは3面子1雀頭が完成して残りの1面子が搭子でない状態(浮いている牌が2枚)で、実質的にはテンパイではなくイーシャンテンである。

●n向聴(シャンテン)
テンパイになるまでに必要な牌の枚数がn枚の状態。あと1枚ならばイーシャンテン、後2枚ならリャンシャンテンと言う。役の有無を問わずとにかくテンパイになるまでの枚数を見るシャンテン数と狙う役を決めてその役になる為に必要な牌の枚数で見るシャンテン数の2種類がある。
前者の場合は理論上だと最大で6シャンテンとなる。(手配に搭子が1つもない状態。七対子の6シャンテンになっている。)
なお数え方はツモっていない状態で手牌13枚の中にアガる上で不要な牌が何枚あるかがそのままシャンテン数になる。(不要牌が1枚もなければテンパイ。)

●有効牌/不要牌
有効牌はツモった、あるいは他家が捨てて鳴くことでシャンテン数が減る牌。あくまでシャンテン数しか見ないので役が付くか、高い役か安い役かなどは基本考慮しない。
シャンテン数の変化はこの牌が来るか来ないか、または手牌から必要牌を捨てるか捨てないかで起きる。
一方不要牌はアガりに無関係な牌。しかしカンに必要な4枚目の牌はアガりには影響しないが、不要牌ということはあまりない。
アガリを目指す上で邪魔になる牌だが、これらの処理をどういったタイミングで行うかなども意外に重要だったりする。

●裏目
意味としては慣用句である「裏目に出る」と全く同じであり、その時点での不要牌、あるいは不要ではないが捨て牌選択で選んだ方の牌を切ったが、ツモを数回重ねた結果切った牌が結果的に有効牌へと変化してしまい、アガりを逃したり遠のく、もしくはアガリ役が安くなってしまう事。
実際に直面するとかなり悔しいが、麻雀は運要素が強くそういった事も結果論としてだが往々にして起きてしまうので、直面しても肩を落とす事なく前向きに取り組んでいこう。

●浮く
意味としては2つあり、1つは「点数が対局開始時より高い状態」、関連した内容として「複数の対局を経ての総合点数での勝ち分」を指す。当然反対語は「沈む」である。
2つ目は「手牌の中で孤立した不要牌」の事であり、麻雀をやっているとよく遭遇する。その場ではアガリの邪魔なので切りたくなる牌だが、切った後にできる役が安くなりそうな時にはあえて捨てずに面子に育てる事も。

振聴(フリテン)
「ロン」はテンパイした状態で誰かが当たり牌を捨てた時に宣言できるが、ある特定の条件を満たしてしまうとこれを宣言できなくなる。ツモした場合は問題なく和了れる。
1つ目が、自分がその待ち牌をすでに捨ててしまっている場合。現在「東」を待っているが、テンパイに至るまでに1枚捨てている時など。俗に現物と言われる。
2つ目が、待ち牌が数種類ある場合、その内の1枚でも自分が捨ててしまっている時。「萬子の5か8」を待っているが、すでに5を捨ててしまっているなど。待ち牌が多いほどフリテンも起こりやすくなるため自分の捨て牌は良く考えよう。*5
3つ目が、同じ順の内に捨て牌されたもの。「東」を待っているが、下家が捨てたのを見逃してしまった。この時点でフリテンが発生し、次に自分が牌を捨てるまでロンできない。これは「同順内フリテン」と言われる。*6
但し、立直した者がアガリ牌を見逃した場合はその人物のフリテンは同順内どころか局終了時まで解消されなくなり、ツモアガリしかできなくなってしまう。知らずにやってしまうと痛い目を見るので覚えておくこと。*7

不聴(ノーテン)罰符(バップ)/形式聴牌
流局した時、全員にテンパイ・ノーテンの確認を取る。
テンパイなら手牌を(アガリのときと同じ要領で)公開し、ノーテンなら手牌を伏せる。
この時ノーテンだと、テンパイしている人に点数を支払わなければならない。
その合計点は3000点と決まっていて、ひとりだけテンパイなら全員から1000点ずつ、ふたりテンパイならそれぞれがノーテンのプレイヤーから1500点ずつ、3人テンパイならノーテンがそれぞれに1000点といった具合。
全員がテンパイおよびノーテンなら何も起こらない。
なお、オンラインやゲームではプレイヤーが流局時に手牌を倒す必要はなく、不聴罰符のやり取りは(その場の取り決めに従って)自動的に行われる。

親がテンパイでない(ノーテンである)場合、親番が流れるかどうかは取り決めによる。
東場ではノーテンで親流れ、南場ではノーテンで親流れなしという決めが多いが、流局時は親の手牌状況に関わらず一律で親流れ(or親流れ無し)とする決めもある。

役なしのテンパイ*8および空テン(※下記別項参照)をテンパイと認めるかどうかでルールが若干異なるケースがある。
テンパイとして認める場合は「形式聴牌あり」などという言い方をする。
地味なポイントながらアガリとチョンボ以外で点棒の授受が行われるやり取りなので、対局前にきちんと確認しておきたい。
ロースコアな展開になると、この不聴罰符の収支が最終的な順位に大きく影響することがある。
少額なようで地味に痛い出費(最大4000点の点差変動。)で、あまりにもノーテンの局が続くとジワジワとボディーブローのように効いてくる。

オフラインで卓を囲んで麻雀をプレーする際には、何らかの意図でテンパイなのにあえて手牌を公開せずに伏せておきノーテンを主張することも可能。(もちろん逆はNG。)
通常ノーテンを主張するメリットはほぼないが、例えばラス親でトップのときなど、半荘を終わらせて勝ちを確定させる目的でノーテンを主張することがある。
ややグレーな行為だがルール違反ではない。

闇聴(ヤミテン)・ダマ聴/聴牌即リー・棒点即リー
「闇聴」は門前でテンパイしている際に役の一覧で出てくる立直をかけずにアガリを狙う事。(単に「ダマ」といわれることも。)
「聴牌即リー」は逆に門前での聴牌になり次第すぐに立直をかけること。
当然だが手替わりを狙って一時的に立直を見送っているだけの状態はどちらにも該当しない。
詳しい話は「立直」項目参照だが、立直はメリットとデメリットがかなりはっきりしており、聴牌時にどちらを狙うべきかは状況によってかなり左右される。

●聴牌取らず
聴牌はしたものの、あえてそれを崩して一向聴まで降りて体制を整える事。ある意味闇聴・ダマ聴とは違った意味で、聴牌即リー・棒点即リーの対極に位置する戦略である。
そのまま降りる事もあれば、より高い役の形もしくはアガリを狙いやすい形へと切り替えていくために行う。手を固定しないので慎重かつ柔軟に受けられるが聴牌をあえて崩しているので当然アガりからは離れてしまう。

(ハン)(「ファン」とも)
役にはそれぞれハンと呼ばれる得点がついていて、これがその役の難しさの指標になる低い翻の割に難しいものもあるが。。このハンが高いほど上がった時の点数も高くなる。ハン自体は役ではないので注意。
ドラ・裏ドラ(たまに赤ドラ)を使用して役を作るとそれぞれ1ハンがつく。
これらのハンに場ゾロ2ハンを足したものが最終的なハン数である
なお4ハンまではハンの数と符の値で得点が計算されるが5ハン以降は符は計算せずに得点を出す。
5ハン以降はそれぞれ満貫(5ハン)、跳満(6~7ハン)、倍満(8~10ハン)、三倍満(11~12ハン)、役満(13ハン)と呼ばれる。

符(フ)
アガリ、その方法、メンツ・雀頭・待ちの形といった要素で決まる得点計算のもう一つの基準。
いわばその手牌の面子構成に与えられる点数(基礎点)のことである。
これらを全て足して切り上げて下一桁0として数える。
役のうち平和と七対子のみ苻数が固定されている。  

和了(アガリ)
テンパイした13枚の手牌にツモ・ロンした1枚を加えた状態。手牌を倒して全員にドヤ顔で公開しよう。
麻雀には役がないと和了れないというルールが存在する。ただ漫然と雀頭と刻子順子を集めただけでは和了れない。

●ツモ切り/手出し
「ツモ切り」は山からツモってきた牌をそのまま捨てること。「手出し」はその逆でツモ牌以外の自分の手牌から牌を捨てること。
ツモった牌がその人物にとって必要なのか不必要なのかを知る尺度になり、下の安全牌・危険牌の判断に役立てられる。しかし、ツモってきた牌と同じ牌が手牌にあった場合、そちらを切ったりしてごまかしたりすることもある。
また「小手返し」と言う、ツモった牌と手牌を指でサッと入れ替える事でツモ切りか手出しかを判別させにくくする小技もあり、上手い人だと非常に素早くかつ多くの牌を入れ替えられる。

●安全牌
捨てた時に他家にロンアガリされる可能性が全くない、あるいは低い牌。略して「安パイ」と言われる事も。
現物はフリテンのルールから捨てた人物は絶対にロンアガリできないのでその人物に対しては100%の安全牌となる。他にも捨て牌が一九字牌に偏っていればタンヤオの可能性が高いので自分の手牌の一九字牌もまた安全牌と見ることができる。
このように捨て牌などから推測していくのが基本的な安全牌の見極め方である。ちなみに自分以外の3人に絶対に通ることが客観的に確定している牌は「完全安全牌」と呼ばれる。

●危険牌
上記の逆で捨てた時にロンアガリ、あるいはアガらずとも役を確定させてしまう可能性が高い危険な牌。リーチした際に捨てた牌のそばなどはその周辺を狙ってくる危険がある。他にも場に出ていない役牌やドラ牌は集めている可能性が高いので非常にリスキーである。
なおこういった危険牌をあえて早めに処理する方針を好牌先打(ハオパイセンター)という。

生牌(ションパイ)
場に一枚も捨てられていないor見えていない牌のこと(ドラ表示牌を含む)。一般に生牌はいかなる牌であろうと危険牌である可能性が高いといえる。
しかしながら、スジ、カベや手役読みなどを駆使して、安全牌および危険牌の当たりがある程度ついていれば、生牌であろうとも強気に切っていくこともある。
例えば、刻子系の手役が濃厚な場合、孤立牌を切るよりは暗刻落としや対子落としのほうが危険度が低いということも。(単騎待ちに当たる可能性は残る。)

●通る/通す
自分の捨て牌でロンアガりされずに番が次の人に移る、または流局すること。上記の安全牌・危険牌の内容も通しやすいか通しにくいかという内容に還元されていく。
また「通し」という言葉もあるが、これはコンビ打ちをする者が予め決めておいたサインで捨て牌指示を出すイカサマで、まったく違う意味になる。*9

●放銃/振り込み/差し込み/直撃
自分が捨てた牌で他家に(ロン)アガリされること。
ツモアガリとは異なり、自分一人で全ての点棒を支払う必要があるためダメージが大きい。
麻雀で勝つためにはいかに放銃を避け支払いを減らすかが重要になってくる。
しかしながら、大物手や親の連荘を阻止したいときや、既に大差がつき早く局を進めたいときなど、あえて危険牌を切って他家の手に振り込むこともある。
こうした目的で意図的にわざと放銃することを差し込みという。(主に喰い断や役牌などノミ手と思しき他家に対して。)
コンビ打ちなどのイカサマ抜きでも、卓の点棒状況によっては普通に起こり得る現象である。

●降りる/オリ(る)/ベタオリ/回し打ち
自分のアガリを半ば諦め、放銃を避けることだけを考えて捨て牌を選択すること。
アガリに向かわずにその局の勝負を降りるという意味でオリと呼ばれる。特にアガリを完全に諦めてオリることをベタオリという。
回し打ちは、他家の立直がかかった瞬間など、一時的にはオリを選択するものの、その局でのアガリを完全には諦めていない場合を指す。
当然ながら、ベタオリよりも回し打ちのほうがリスキーではある。
他家がテンパイしている(ことが濃厚な)状況でどこまで放銃のリスクを冒しつつ攻める(アガリに向かう)のか、オリの判断も打ち手の個性が出る部分である。
なお、オリていながら安全に見える牌で打ち込むことを「オリ打ち」と言い、精神的にも点数的にも痛い。

●全ツッパ/手なり/早アガリ
全ツッパはオリとは真逆で相手の捨て牌やリーチなどの状況でもお構いなしに、ひたすら自分の手に集中する方針。俗に「全ツ」とも。
とにかく強気に打っていく事になるため、ツボにはまると強い。また相手の捨て牌を利用した仕掛けを思いっきり空振りさせるという副産物もある。
しかし、当然放銃する危険性も高まるかなり無謀な打ち回しになっていくので、考えなしにやっても上手くはいかない。要は使うタイミングが重要なのである。
手なりというのは、配牌のシャンテン数からそのまま最速のテンパイを目指して手作りを進め、自分の手がただひたすらアガり形に近づくように素直に自摸→打牌を繰り返していくこと。さすがに捨て牌考慮なしとまではいかないがアガりへ向かって素早く動く点は全ツッパと共通している。
当然点は安くなりやすいが、点数に関係なくアガりまでの最短ルートをとる場合、例えばトップ目のオーラスでさっさとゲームを終わらせてしまいたい場合や親で連荘に持ち込みたい場合などには有効である。
早アガリ狙いは必ずしも無謀な戦略というわけではなく、打点よりも(聴牌)速度や和了率(アガりやすさ)を重視し、他家の手が進む前に自分がアガってしまうことで局を流し、(潜在的な)放銃の機会そのものを減らすという狙いがある。

門前(メンゼン)
鳴いていない状態。門前であるかどうかは役に密接に関係するため覚えておこう。暗槓に限り、牌を晒しても門前を崩さない。

搭子(ターツ) (※表記揺れで「塔子」とも)
あと1枚で面子になる要素のことを指す語。搭子が残り1つになった(とみなせる)状態がテンパイである。
後述する「~待ち」の「~」の部分は、そのままその搭子の名称としても使われる。
搭子に欠けている(待ち)牌を指し示す言い方として、搭子名と牌名を組み合わせて表現することもよく行われる。
例えば「一萬単騎(待ち)」「嵌二筒(待ち)」「辺三索(待ち)」など。
なお、両面待ちおよび双碰待ちでは単に必要な牌だけを並べて言うことが多い。両面なら「四-七萬(待ち)」、双碰なら「九萬、東(待ち)」など。
複合形の場合も同様だが、待ち牌の組み合わせから手牌の形が想像できることから、搭子名は省略されることが多い。
嵌張+単騎なら「嵌二萬、三萬(単騎)」、辺張+単騎なら「辺七萬、八萬(単騎)」、両面+双碰なら「二-伍萬(両面・双碰)、白(双碰)」などと言う。

●単騎待ち
単騎待ちはテンパイして雀頭を作る特定の1牌のみを待っている状態。
アガリ牌は1種類で自分で1枚使っているため最高でも3枚しかなく好形とはいえないが、手役を崩さずに済む牌であれば待ち牌の変更が容易で融通が利くのが利点。
字牌など他家が利用しにくく捨てられやすい牌で待てることも強み。「単騎は西で待て」という格言があるが、他家が役として使えない風牌だと効果が高い、とされる。
残りの面子を鳴いて晒している時を裸単騎、場の捨て牌にすでに二枚出てる時の単騎を地獄待ちと言う。
厳密には単騎待ちではないが、国士無双の1種待ちも特殊な単騎待ちとして扱われる。

両面(リャンメン)待ち/筋/スジ
両面待ちはテンパイして順子が完成するどちらか1枚を待っている状態(萬子の34を持っている時、2と5の両面待ち)。
単独の搭子としては最も有利な形で、2種類最大8枚の牌を受け入れることができる。
テンパイ時になるべくこの形が残るように手作りを進めるのがセオリー。
ちなみに順子の外側の牌を1枚持っていて牌が4つ連なっている形を俗にノベタンおよび両面単騎という。
なお、ノベタンは待ちは2種類あるが、形としては単騎待ち(単騎+単騎)なので平和は成立しない。
似た形に両面待ちの内、片方が単騎待ちにもなるような待ちがある。この形は「亜両面待ち」と言われる。これは正真正銘の両面待ちなので平和と複合可能。ただし、両面待ちは符が付かず、単騎待ちには付くという特徴があるので、高点法のルールに従った場合、両面にも単騎にもなれる側の待ちに対して単騎待ちになるパターンもある。

スジ(の関係)とはこの両面待ちの待ち牌の組み合わせを指す。
1-4-7(1-4,4-7)、2-5-8(2-5,5-8)、3-6-9(3-6,6-9)の3(6)つがあり、それぞれ萬子、筒子、索子で9(18)種類ある。
例えば、4が捨て牌にあれば、フリテンのルールがあるため、テンパイ形が両面待ちであれば1および7でロンされることはあり得ない。
ただし、スジが通用するのは両面待ちに対してだけなので過信は禁物。
俗に言う"ひっかけリーチ"とはこのスジの関係を利用したもので、両面待ち以外の待ちで捨て牌のスジ牌による出アガリ(ロンアガリ)を狙う意図がある。
嵌張待ちおよび辺張待ちの可能性がない分、"4が切れているときの1"と"6が切れているときの9"は比較的安全といえる。
同じような理由で2・8は3・7よりは危険度が低い。
外の牌(1・7、2・8、3・9)が通っているときの4、5、6(俗に言う"中スジ")も比較的安全な部類。もちろん単騎やシャボで狙われることもあるが。
一方、片スジ(外側の牌1種のみ)はあまりアテにならず、無スジとさして変わらないくらいの認識でいい。
ちなみに「裏スジ」と呼ばれるものもあり、捨てた牌の隣での両面待ちによるスジの事を言う。見かけで分かるものではないが不要牌を整理する過程で出てくることがある為、こちらも頭に入れておくといい。

嵌張(カンチャン)待ち/辺張(ペンチャン)待ち
嵌張待ちは13や46など一つ飛びの数字の中央の牌を待つ形。辺張待ちは12や89など数字は連続しているが片側が1および9で片側の牌しか待てない形。
いわゆる悪形待ち、愚形待ちと呼ばれる形で、待ち牌は1種類しかなくアガリ牌の枚数は最大でも4枚まで。
嵌張待ちでは1、9の待ちは存在せず、辺張待ちでは3および7の待ちしか存在しない。
待ち牌の数は少ないものの、両面待ちよりは待ち牌を読まれづらい。スジを利用した"ひっかけリーチ"の際にはこれらの形になる場合が多い。

双碰(シャンポン)待ち
2組の対子を持ち、どちらかの牌が加われば暗刻(明刻)が完成しアガリとなる形。通称シャボ(待ち)。
ちなみに「碰」は"ポン"と読み、鳴きの「ポン」も同じ字である。
2種類の牌を待てる点は両面待ちと同じだが、自分で4枚も使っているため、アガリ牌の枚数自体は嵌張待ちや辺張待ちと同程度(最大4枚)しかない。
規則性がないため待ち牌が読みづらいメリットがあり、複合形のテンパイにも比較的なりやすい形。
対々和など、この待ちを警戒する際には場に2枚出ているor3枚見えている牌を切ればよいのだが、それ以外にこれといった対処法がないため、シャボに振り込んだら事故だと諦め半分に割り切って考える人もいる。

●多面張(メンチャン)/n面張/その他
複数種のアガリ牌が存在する聴牌のことを言う。n面張という表現を使う際、nには待ち牌の種類の数が入る。(アガリ牌の枚数ではない。)
主に複数の聴牌形の複合形を指す語で、例えば5連続の数字(23456など)が続く形は両面+両面の形で、最も典型的な3面張である。
考え方にもよるが、仮に8999というような辺張+単騎というような形ならギリギリ多面張と言えなくもないが、通常、単独の両面待ちを指して多面張とは言わない。
その他、8面待ちだの13面待ちなんてのも存在するが、役に関係するのは両面待ち程度。最もポピュラーな役である平和に関係してくるため覚えておこう。なお2面の待ちになった場合、アガリ牌によって点数に差が出ることがあるが点数が高くなる方を「高目」、低くなる方を「安目」と呼ぶ。これは3面待ち以上も同じだが、この時は更に高目、安目の区分けが細かくなることがある。

●枯れる/空(カラ)/空テン/空リーチ
待ち牌がすでに山にない状態。当然だがツモアガりは出来ない。
狭義の「枯れる」はすべて河に捨てられたり鳴いて晒されるなどしてなくなっている場合で、待ちを変えるか事実上の形式テンパイと割り切って流局を待つしかなくなる。
相手がまだ持っている場合(本人からは分からないが、対局の様子を見ている人からは分かるという状態。)はまだロンアガりの目があるが、枯れるほどの巡目では持ち牌も基本的に面子の一部になっていることが多いので厳しいのは間違いない。
アガリ牌が枯れている状況でテンパイしていることを俗に「空テン」という。
「空テン」を実際にはアガれないという理由でノーテン扱いする取り決めも存在するが、たいていの場合はテンパイとみなされる。
しかしながら、自分で4枚使用した結果アガれなくなっている(自分一人で枯らしている)場合*10は、形式聴牌扱いにせずノーテンとする取り決めも少なくない。
同様に、アガリ牌が枯れている(と分かっている)状況で打つリーチを「空リーチ」という。
空リー扱いになるのは、自分の手牌、河にある捨て牌、他家の鳴き、ドラ表示牌だけで待ち牌が枯れていることが明白な場合。
他家の手牌と王牌の中身は見れないためここでは対象外。
ただし、空リーについてはルール次第ではチョンボ扱いになるケースもあるので注意が必要。
たとえ空リーであろうと、他家を牽制する効果は十分にあるので、こうしたハッタリ紛いの行為を嫌う取り決めといえる。
四家立直で流局になるルールの場合、空リーで流局に持ち込むことを抑止する意味合いもある。

暗刻(アンコウ)
ポンなどで公開していない、自分の手牌の刻子。逆に公開している刻子を明刻(ミンコウ)と言う。
前述した槓子も暗槓部分は暗刻、明槓は明刻として扱うこともできる。
またロン和了で刻子を作った場合は暗刻ではなく明刻になる。ツモで和了した場合は暗刻になる。どちらも後々重要になる。
順子も一応暗順子と明順子があるが、こちらはロン和了でも暗順子となり紛らわしい。もっとも、順子の符点はいずれも0符なので実用上区別する必要はない。
また、明順子と暗順子で刻子と違い役が変わることは(門前状態を別として)無い。

対子(トイツ)
同じ牌を2枚集めた状態のこと。ここから刻子にするもよし、雀頭にするもよし。14枚全て対子にすると七対子になる。

●場
意味としては2つあり、1つ目は所謂「〇何局」の〇部分の一局から四局までのひとまとまりの事を指す。勝負における一つの区切りになり、場風牌を決める要素にもなる。
2つ目は「1つの局内での牌の偏り方」を指す。簡単に言えば前の局での牌の混ざり方による「同じ牌の重なりやすさ」で、重なりやすい牌の並びだった場合は「対子場」、重なりにくい場合は「順子場」、どちらとも言えない場合は「混合場」と呼ばれる。どんな役を狙えばいいかを考える上での参考になる。
対子場・順子場というのはあくまで傾向の有無による分類だが、「順子が出来にくいか」「牌が重なりやすいか」「ポンやカンが多いか」などである程度は予想できる。

●色/染め(る)/染め手/一色手
数牌の萬子・筒子・索子の種類を指す。字牌の有無は関係ない(厳密には色の純度には関係ある。)
麻雀において色に関する単語はいくつかあり、例えば手牌から1種類の数牌を切っていくことを「一色消し」(「絶一門(ツェーイーメン)」とも。)、二色ならば「二色消し」(絶二門(ツェーリャンメン))、二色消しをさらに徹底して手牌に1種類の数牌しか残さないことを「染め」、混一色・清一色は「染め手」および「一色手」という俗称を持つ。
また待ちを一色手に見せかけるような捨て牌をするなどして捨てた種類の牌で待つなどのトラップを仕掛けることを「迷彩」という。

箱点(ハコテン)/箱下/箱割れ/飛び/ドボン
自分の持ち点が0またはマイナスになってしまうことである。基本的には持ち点がマイナスになった時点で「飛び」として即ゲーム終了なのだが、「箱下(ハコシタ)」を採用している場合はマイナスになってもゲームを続行する。しかし基本的には自分の持ち点が1000点未満ではリーチができないので依然厳しい状況である。
ここでいう「箱」とは、点棒(持ち点)を入れておく箱のことである。つまり箱=持ち点とすると、箱の下すなわち持ち点をまるまる失ったことの喩えである。
(手積みでやる際に)麻雀牌が収納されていた空き箱を点棒入れとして使うことに由来する。(全自動卓では卓に点棒入れが備え付けられていることが多い。)
少々まぎらわしい話になるが、「箱下」ありなら「飛び」なし、「箱割れ」ありなら「飛び」ありになる。
ルール確認の際には、「箱下」「箱割れ」という語は使わずに、単に「飛び」の有無と0点でも続行するか否かを聞いたほうが話が早いかも知れない。
ちなみに上記の「飛び」には別の意味・用法もあり、鳴きによってツモ番を抜か(飛ば)されたことを指す場合にも使う。

●トップ目/ラス目
それぞれ暫定1位、暫定4位を指す。
トップ目との点差ビハインドはどれくらいか、逆にラス目からはどれだけ点差でリードしているのかが、手役をどの程度まで育てればいいかの指標になる。

●アガり止め
オーラスで親がアガった、あるいはテンパイの状態で流局した場合に連荘するかどうかを任意に決められるルール。
トップ目で連荘をすれば、2位以下の子3人に追いつくチャンスを与えてしまうので、とっととゲームを終わらせたいときには有効。

●ラス確/アガラス
オーラスに4位の者が順位の変わらないアガリをしてゲームを終わらせてしまうこと。
対局終了後の点数のマイナスを軽減したり、コンビ打ちなどで4位でない方の順位を確定させるなどの理由で行うこともあるが、1位からの逆転を狙う2位3位の人にすればそのチャンスを潰されてしまうことにもなるのであまりいい印象を持たれないことも。
一応フォローしておくと、一発勝負の場ならともかく、連戦が前提となっている場合は負け分を減らすことにも大義名分意義があるため、変に委縮して遠慮する必要はない。*11
自分がアガりたければ好きにアガればいい。自分がアガラスしたくないなら連荘に期待して次局に賭ければいい。それだけの話である。

●ウマ
対局終了時に特定のルールに基づいて行われる点の移動。ルールとしては4位が1位に、3位が2位に点を払う「順位ウマ」(順位点とも)、原点を上回っているかどうかで払いが変わる「沈みウマ」、事前に取り決めた2人のうち下位の方が上位の方に点を払う「差しウマ」がある。
一般的に用いられるのは順位ウマで、例えば4位が1位に20000点、3位が2位に10000点なら「10-20」。Mリーグではそれぞれ30000点、10000点の「10-30」である。*12
沈みウマのルールの場合は、着順のほかに「原点を超えるかどうか」で結果が変わってくるため、オーラスの条件が複雑になりうる。*13
麻雀においては同点(起家に近い席順の者が上位になる*14)でゲームを終えても、このウマと下のオカで点差が必ず生じるため、順位タイという考えは存在しないのである。またどちらも「上位と下位の点差を広げる」ためのものであり、順位に変動はない。
また、むこうぶちで採用されている「ビンタ(配給原点ビンタ)」も差しウマの一種。全員が対象となる差しウマだが、沈みウマも組み合わせており原点未満の者は原点以上の者に支払う点数が倍となる。もし1人沈みなどしようものなら…御無礼、トビましたね?

●オカ
ウマと同様に対局終了時に特定のルールに基づいて行われる点の移動。事前に決められた基準点と自分の点の過不足を求めて、4人の不足分の合計から過剰分の合計を引いて出た点を1位の人物が総取りする。
一般的には最初の持ち点をA点、基準点をB点とした場合に「A点のB点返し」という形で明示される。メジャーなのは「25000点の30000点返し」で、1位がもらえるオカは30000-25000=5000点が4人分で20000点になる。

オカによるボーナス額はその卓の取り決めによる持ち点によってのみ決まり、対局の結果によって変動することはない
仮に箱割れなしで持ち点がマイナスになってもオカの増減はない。
例えば、25000点持ち30000点返しの場合、オーラス後の点棒状況が、トップ:65000点(+35)、2位:35000点(+5)、3位:15000点(-15)、ラス:-15000点(-45)……という結果だった場合、オカを加算したトップの収支は+55になる。
(物理的に)点棒は10万点分しか存在しない(25000点持ち)が、(机上での)収支計算では全員30000点持ちとみなす(30000点返し)ため得点は12万点分存在する。
したがって、オカを加算しない段階での全員の得点の合計は±0ではなく必ず-20(-20000点)になる。
オカとは、この-20を相殺する+20(20000点)をトップに加算しトップが総取りするという仕組みである。これで全体の収支が±0になる。*15

要するに、対局開始時の持ち点が30000点よりも少なければ、概ねこのルールが採用されていると考えて差し支えない。
配られた持ち点と30000点との差額x4が1位の者に"トップ賞"として加算されるということである(つまり持ち点が30000点ならオカ無しということ。)。
後述する西入および北入は、全員の持ち点がオカによる基準点よりもマイナスならば起きると思えばいい(ただしウマは加味しない。)。

西入(シャーニュウ)北入(ペーニュウ)/再東入/返り東
半荘戦の南四局終了時に全員の持ち点が基準点(主に30000点)未満だと、半荘ではゲームの決着がつかなかったものとみなし、場の風を「西」とする延長戦(西一局~西四局)へと突入する。このことを「西入」という。
流局時の親流れについては、延長戦という性格上、概ね南場での取り決めに準ずることが多い。
西場(西四局)が終わっても状況(全員基準点未満)が変わらなければ、同様にして場の風を「北」とする「北入」が行われる。
北四局終了時は、それ以上の延長戦は行わずに順位を決定するか、再び東場に戻って(返り東)延長戦を続行する「再東入」をするかに分かれる。
西入のルールが採用されていない場合は、(半荘戦同様に)基準点未満だろうと順位を確定させゲームが終了する。
西入のみ採用というケース、西入・北入を採用(再東入不採用)というケースもあり、このあたりの取り決めについては多少バラつきがある。
オフラインでは西入するかどうかその場でノリや眠気と相談して決めることも。
当然ながら、西入のルールが採用されていなければ、北入および再東入は起こり得ない。
また、東風戦のルールにおいて、東四局終了時に西入と同様の条件で「南入」or「再東入」することがある。
なお、持ち点と基準点が同じ(オカ無しの)条件下での対局では、西入の条件は全員が同点というかなりのレアケースとなる。

●チョンボ
いわゆる反則、もしくは反則を犯した者に対して発生する罰則(支払い)のことを指す。混同されがちだがイカサマなどの不正行為とは区別される。
支払いは満貫払いとされるのが通例で、親に4000点、子に2000点ずつ支払う。自分が親の場合は4000オールを支払う。
なお、和了ではない反則による点棒のやり取りで親と子で支払いに差が出るのは不公平なのではと見る向きもあり、一律3000オールとする取り決めもある。
競技麻雀の場合、その局をノーカウントとしたうえで、トータルポイントから減点、となるケースが多い。

基本的に誰かが指摘してチョンボが発覚しない限り、平常通りプレーを続行する。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ!
しかしながら、一度通ってしまった不正は暗黙の合意とみなされ原則覆らず、その場で指摘することが重要。何を言っても後の祭りである。
比較的多いのはフリテンロン(清一色などによる複雑な多面張での見逃しが多い)、リーチ後の暗槓ミス、ノーテンリーチ、単純な見間違いor勘違いによる誤ロン(ツモ)など。
初心者では多牌や少牌(捨て牌飛ばし、二度ヅモ、ツモり忘れなどで手牌の数が合わなくなる)、役なしでのアガリもちらほら見かける。
オンラインやゲームにおいては、そもそもルール違反となるような操作自体ができないようになっているので、さほど気に病む必要はない。*16

なお、多牌や少牌の場合は、点棒の支払いではなく"アガリ放棄"という罰則が課されるケースもある。
この場合、反則が指摘され発覚した場合、その局は一切の副露、和了が許されない。
捨てた牌は鳴きやロンアガリの対象になるし、アガリ放棄者が発声行為(鳴きや和了)をした場合はチョンボとなる。
要するに、その局に限って、アガリの権利を放棄したうえでベタオリをしなければならない…という形で反則のツケを支払うということ。
満貫払いではなくアガリ放棄の罰則が適用されることがあるのは、チョンボがゲームの進行や点棒状況および順位に与える影響を最小限にするためである。
もし仮に他家が(満貫以上の)大物手が狙えるような手牌だった場合(もちろんアガれる保証などないが)、それが反則によって台無しになってしまう。
極端な話をすれば、上家が大三元、下家が大四喜、対面が四槓子(いずれも役満)を確定させ(聴牌し)ているという非現実的な状況で、わざと反則を犯して満貫払いで済ませる……といったこざかしい行為を抑止する意味合いもなくはない。
(こういった故意のチョンボは厳罰扱いとなる場合もある。例えばMリーグでは通常のチョンボの3倍減点の上、参加資格が問われる、と規定されている。*17
また、単にゲームの流れが反則によって止まったり、その局が没収試合になったりすることを嫌うからという理由もある。
いずれにせよ、手作りや駆け引きなどの楽しみがチョンボによる中断(一応流局とは呼ばない…が、ルールによっては流局扱いすることもある。)により少なからず失われてしまうことを避ける意図がある。

ちなみにチョンボという語は、錯和(ツァホウ=誤ったアガリ)、または冲和(チョンフォウ=虚しいアガリ)から来ており、誤ロン(ツモ)が原義のようである。

(パオ)・焼き鳥
どちらも「責任払い」と呼ばれるもので、ルール違反ではないが局の中で特定の行為をしてしまったものに対する罰則。
「包」は自分の捨て牌を鳴かれることでで相手の役を確定させてしまい、かつその相手がアガってしまった場合に付く。今では鳴きで確定する役満、大四喜・大三元・四槓子に適用されるのがメジャー。この場合ツモアガりなら全額支払い、他家のロンアガリなら振り込んでしまった人と折半となる。(本人が振りこんだ場合は通常通りの処理をする)。ただし責任払いの対象は上記の三役のどれかだけで、例えば字一色や四暗刻などの役満との複合があっても責任払いするのはあくまで確定させた役の分だけである。また他には自分の捨て牌で相手が大明カン、そのまま嶺上開花で上がった場合に付くこともある。*18

「焼き鳥」は正確には「1ゲームの中で1度もアガることが出来なかった人」をさすが、その人物がゲーム終了後に規定の点数を他の人に支払う事を言うこともある。
対象者は1人あたりに10000点を支払うのがメジャーで、箱下になっていようがいまいが関係なく適用されることが多いため、かなり嫌なルールである。
このルールが入っていると、ゲーム開始時に「ヤキトリ札」を卓に出し、アガった者はそれをしまうと言う行為を踏むことがある。ちなみにこのルールには全員が焼き鳥を回避した場合に全員のヤキトリ札が復活する「焼き直し」、札をしまい忘れると焼き鳥回避が無効になる「焼き戻し」など、多くの派生ルールがある。
これもまた短時間の対局で点差を広げる目的で採用されるルールの一形態である。

三麻(サンマー)
「3人麻雀」の通称。麻雀は通常4人で行うゲームだが、人数が足りない場合にはこのルールで行うことができる。この呼称に対応する形で通常の麻雀を四麻(ヨンマー)と呼ぶ事もある。ルールは基本的には通常の麻雀と同じだが、以下の点が異なる。
A:三局で東場と南場が変わる。*19
B:「北」は他の字牌とは違う扱いをする。(後述)
C:萬子の2~8は使用しない。この時ドラハイに一萬が来た場合、ドラは九萬となる。
D:チーは出来ない。
E:ツモ和了りの場合の点数処理が特殊になる。(後述)
Bについてだが、北家がいないので北は全員共通の風牌もしくは客風牌にしたり、あるいは「抜きドラ」として晒すことで「ドラ1獲得+嶺上牌をめくる」と言う作業をすることもある。(この牌で和了った場合も「嶺上開花」が成立する。)抜きドラを採用する場合は、嶺上牌がカン用の4枚+抜きドラ用の4枚の計8枚になり、その結果ドラ表示牌が2幢ずれ、王牌も18枚となる。
Eについてはツモ和了りの際に4人麻雀における北家の支払い分をそっくりそのままチャラにする「ツモ損」方式、ツモ損方式に加えて減った分に各家1000点、計2000点を多くもらう「千点加符」方式、北家の支払い分を折半して他家に上乗せする(100点未満は四捨五入)「折半」方式、あらかじめ「親の和了りは子2人で 1:1 、子の和了りは 親:子 = 2:1 で点数計算する(100点未満は四捨五入)する「丸取り」方式などがある。
Cのルールの影響で三色同順は絶対に作れない。またDのルールもあるため、「タンヤオ系の役の難易度が上がる」「順子役より刻子役の方が作りやすい」などの特徴も出てくる。


◆役

ポーカーと同じく、特定の牌を集めた時に役ができる。その中でもハンの大小があり、1・2・3・6ハンのものがある。また、それとは別についたハンを無視して計算を行う役満というものも存在し、その場合は13ハンとして固定される。
ついたハンは無視されるので基本的に他の役と複合がされないのだが、役満が複合した場合は複合した数に応じてダブル役満・トリプル役満などと言った役にするルールもある。
役同士は重複する。例として、「立直」「門前清自摸和」「一発」「平和」の場合1ハンが4つで4ハン、ドラがあれば更に1ハン、裏ドラもあれば合計6ハンの役になる。
ただし、役の中には「役の難易度による上位・下位」が存在していることがあり、上位役が下位役を内包していることもあるが、麻雀においては「高点法」というルールが存在し、この状況になった場合は上位と下位の複合ではなく上位役のみで点数計算をするというルールになっている。
役には大きく分けて状況や行為で役が成立するもの、手牌の形で成立するものがある。
また、ポン、チーをすると消滅する役もある。
消滅しない場合もハン数が落ちることが多い。これを喰い下がりと言う。
鳴くときは役を想定して慎重に。

なお、ここで紹介するのは一般的なルールで認められている役のみ。
ローカル役満については役満(麻雀)の項目、役満以外のローカル役については他サイトを参照されたい。

<状況や行為で成立するもの>


1ハン

立直(リーチ)
鳴かずにテンパイの状態になった時に点棒1,000点を担保に宣言できる。なんの役も満たしていなくてもこれを宣言するだけでリーチの役がつくため和了ることができる。まだ役をあまり覚えていない初心者にとっては心強い役。
しかし立直をすると和了りの形を変更できなくなり、立直後に誰かが和了ると1,000点棒も没収されると言うリスクもある。
詳しくは項目で。この役が立直麻雀と呼ばれる所以で、中国麻雀には存在しない。

門前清自摸和(メンゼンチンツモホー)
略称は「メンゼンツモ」。単に「ツモ」とも。
自分が鳴かず(他家の捨て牌を利用せず)に、自前のドロー力で完成形にした時この役がつく。名前からも分かるが、門前役なのはもちろんツモアガりでしかつかない。「他家の捨て牌を利用せず」アガるので、暗カンはOKである。
要は「他人の牌に頼らずによく自力で14枚そろえたましたね。」という努力賞的な役である。門前役なのでリーチと複合する場面も多い。

一発(イッパツ)
リーチを宣言したあと、次の自分の牌を捨てる順番までにロンまたはツモした場合につく役。ただし、間に誰かが鳴くとこの役は消滅する。決めによってはこの役が採用されていないこともある。

●ダブルリーチ
親の場合配られた時点、子の場合最初のツモの時点で立直した場合つく役。ただしそこまでに鳴きが入ると消滅してしまう。通常のリーチも同時に宣言することになるので必然的に2ハンになる。

海底摸月(ハイテイモーユエ)河底撈魚(ホウテイラオユイ)
前者は海底牌で和了った時につく役。後者は誰かが海底牌をツモし、その後捨てた牌でロン和了をした時につく役。
自分が海底牌をツモって和了れなかった時、捨てた牌が誰かにロンされた場合、余分に1ハンがついてしまい大変なダメージになるので、最後に捨てる牌はノーテン罰符のことも頭に入れた上でよく考えて選ぼう。
衣ちゃんの必殺技だが、結構それなりの頻度でまれにときどき起きる。

嶺上開花(リンシャンカイホウ)
自分がカンをした時、ツモしたリンシャン牌で和了った場合につく役。
限られたリンシャン牌から1枚を引き当てる強運がなければ成立しない。できればラッキー。
咲ちゃんの必殺技だが、槍槓で阻止されることもなくはないです

<手牌の形や牌の種類で成立するもの>

1ハン

役牌/翻牌(ヤクハイ/ファンパイ)
三元牌、または自分の風と同じ風牌(自風)かその局の親の風と同じ役牌(場風)を刻子にした時につく役。
「役牌」と言った場合、この役を成立させる字牌そのものを指すことも。
自風と場風が被っている風(連風牌)はその一つの刻子で2ハンになり、「ダブ(連風牌)」と呼ばれる。(例:ダブ東)
たった3枚で、いや鳴きも可能なので実質2枚で作れる超お手軽役。その上ドラや混一色などと絡めることで打点も伸ばしやすい。
麻雀の駆け引きの要となる役であり、この役に関する用語は多くその使用頻度も高い。



平和(ピンフ)
  • 鳴かずにテンパイ(門前)
  • 面子は全て順子
  • 雀頭が役牌以外
  • 最後は両面待ち

が条件。詳しくは項目を参照。
一見ややこしくて初心者にはとっかかり辛いが、仕組みさえ分れば作るのは簡単。
手広く構えれば自然と出来る場合も多い、麻雀の基本となる役。

一盃口(イーペーコー)
同じ種類かつ同じ数字の順子を2つ作ることが条件。
鳴くと成立しないので注意。

槍槓(チャンカン)
他プレイヤーが加槓した時、その牌が自分の和了牌であった時に完成する。
1ハンだが、条件が特殊過ぎて下手な役満よりよっぽど難しい。

断公九(タンヤオ)
2から8までの数牌のみで構成する役。
喰いタン(副露して作る断公九)がありかどうかのルールは事前に確認しておきたい。

2ハン

対々和(トイトイホー)
通称トイトイ。
雀頭と四組の刻子だけで揃える役。刻子は暗刻でも明刻でも、更には槓子でも構わないため、ポンや槓をしても成立する。
ちなみに、門前でも鳴いていても二翻役のまま。
覚えやすく扱いやすい役の一つであり、初心者がよく狙う役である。
だが基本的に刻子よりも順子の方が作りやすく、役の複合もしやすいので熟練者はあまり好まない。
たまに「対々和はポンしないと成立しない」と間違えて覚えている者もいるが、対々和は門前でも成立するので間違えないように。
ちなみに門前で対々和を和了った場合、必ず三暗刻との複合になる。「四暗刻を逃した」とか思わないこと。
頭待ちやツモ和了りだった場合は問答無用で四暗刻(役満)になるので対々和のことは忘れよう。
複合は風牌、三元牌、タンヤオ、ホンイツと絡みやすく、上手くドラが乗ればドラ3、槓子だった場合はドラ4が確定するため、満貫や跳満も比較的作りやすい。
ただ下手のトイトイと言って、あんまり手牌がバラバラの時からポンポン鳴いてしまうと手牌がバラバラでリーチにも対応出来ず、他の役もつくかどうかわからなくなるので、ある程度手が整ってからポンはすべき。
また、ポンをするのを役牌のみにしておけば最低でも一翻は確定でき、手が進まなければ手を崩すこともでき、対々和であることもバレにくい。


三暗刻(サンアンコウ)
暗刻を3つ作る。難易度がやや高く出現率は低め。三の刻子絡みの役ではマシな部類だが。
使える牌の種類には特に制約がないため、複合可能な役の数自体は多い。トイトイホーと複合することもある。
前述の通りロン和了の場合はその刻子は明刻扱いなので、ツモでのみ成立するケース(双碰待ち)を指してツモ(り)三暗刻とか言われる。

一気通貫(イッキツウカン)
通称イッツー。
同じ種類の数牌で123・456・789の順子を作る。
見た目は綺麗だが、手牌9枚が「1~9を同じ種類の牌で揃える」という制約を受ける関係上、タンヤオ・チャンタ系の役と複合できない。
また、役を確定をさせようとするとカンチャン・ペンチャンなどの愚形になりやすく、かと言って両面待ちにすると安目を引きがちなのが欠点。
一方で4面子中3面子が同じ種類の順子で固定されるので平和や混一色系の役には向かいやすい。

なお、鳴くと1ハンになる(喰い下がり)。他の役と複合しづらく点数は低くなりがち。
しかし手牌の一部だけ晒すことでタンヤオ、チャンタ、ホンイツなど他の役と誤認させることができる(隠れ一通)。
出アガリしやすいのでかわし手としての運用なら十分アリ。

三色同順(サンショクドウジュン)
同じ数字の順子を萬子・筒子・索子でそれぞれ作った役。萬子・筒子・索子の345など。鳴くと1ハンになってしまう。
単に三色と言った場合はたいていこちらを指す。

三色同刻(サンショクドウコウ)
同じ数字の刻子を萬子・筒子・索子でそれぞれ作った役。三色同順と違い鳴いてもおk。
単に三色と言って略すことは少ない。
役満並に作りづらい割に値段が安いので自然にできてしまう時以外はあまり狙われない。

混全帯么九(ホンチャンタイヤオチュー)
通称チャンタ。使われている面子に全て1か9が関わっており、かつ字牌がある。鳴くと1ハンになる。
下記の混老頭とは複合しない為、この役でアガった際は手牌の中に最低でも1つ順子が含まれていることになる。
お世辞にも作りやすい役とは言えず、鳴くと安くなる為これ単体が狙って出されることはあまりない。最近流行りの赤5有り麻雀ではなおさら。
メリットとしては複合役はそれなりにあること、配牌が悪い時に作りやすいこと、オリに回る時に安全牌を多く持てると言った点があげられる。

混老頭(ホンロウトウ)
字牌+1か9の数牌のみの刻子で構成されている時につく役。対々和か七対子が同時に完成するため実質4ハン(満貫)。
チャンタの亜種・上位役(より条件を厳しくしたバージョン)と解釈することもできるが、こちらは鳴いても2ハンのままで喰い下がりがない。

小三元(ショウサンゲン)
白・發・中のうち2種類を刻子、残り1種類を雀頭にする。役牌が2つあるので混老頭と同じく実質4ハンの役になる。
しかも刻子2つのうちどちらかが暗刻ならば満貫が確定する手である。(どちらも明刻だった場合も1符でも付けば満貫になる)
さらには手牌の大半が字牌の刻子になるため混一色や対々和とも複合させやすく、その場合跳満は確定。他の役やドラ次第で倍満・三倍満も見える。
これが3種全て刻子ならご存じ役満・大三元になるが、この通り小三元でも十分な破壊力がある。

三槓子(サンカンツ)
その名の通り槓子を3つ作る。鳴いても大丈夫。出現率は大半の役満より低く、本当に2ハンかと思うくらいでない。
なお、役を構成する面子を全て暗槓で作れば三暗刻も複合する。

3ハン

純全帯么九(ジュンチャンタイヤオチュー)
通称ジュンチャン。全てのメンツ・雀頭に1か9が関わる。字牌は使えない。
つまり字牌なしのチャンタ。チャンタのレベルアップバージョンといったところ。鳴くと2ハンになる。
チャンタと違ってハン数が高く、三色同順とも複合させやすいため、あちらより格段に打点が高くなる。
特にリーチ三色純チャンは跳満確定の大物手であり、見た目も美しい。

ちなみに日本で生まれ定着した役で、比較的歴史が浅い新しい役。本家中国にも逆輸入されてるとかされてないとか。

二盃口(リャンペーコー)
一盃口の発展型。同じ順子を2つ作るまでは同じだが、更にこれをもう一つ作る。もう一つの順子は先に作った順子と数字が違っても構わない。
萬子の345をふたつ、筒子の678をふたつ、など。一盃口同様、鳴くと成立しない。
完成させると見た目七対子7種の牌を2枚ずつ持つ格好になるが、面子構成は七対子形ではなく順子4つ+雀頭の形。
難易度は一盃口の比ではなく、アガることができればかなりの大物手となる場合が多い。

混一色(ホンイーソー)
通称ホンイツ。同じ種類の数牌と字牌で作られる。数牌は順子と刻子が入り交じっていても問題ない。鳴くと2ハンになる。
「萬子の345・456・888と東が3と中が2」など。
鳴いていてかつこの役のみでアガった手は俗にバカボンバカホンバカモンと呼ばれる。染め手に向かうリスクの割に打点が安い(2,000点程度)ため。
また、門前でこの役をアガった手はメンホン、立てホン(牌を立てている=門前)、縦ホン(牌を横向きにしていない=鳴きがない)などと呼ばれる。
3ハン役の中では出現頻度が高く、使用する牌の都合上、前述の役牌や一気通貫と複合させやすいため、うまくいけば高打点に化ける攻撃的な手役といえる。
また条件も覚えやすい為、初心者の頃はこの役にお世話になった人も多いだろう。
どうしても満貫以上の手が必要なとき、多少無理があっても強引にこの役を狙っていくこともある。俗に言うムリホン。

4ハン

5ハン

6ハン

清一色(チンイーソー)
通称チンイツ。混一色の進化形。同じ種類の数牌のみで作られる。鳴くと5ハンになる。
こちらは鳴いても満貫以上が確定するためバカチンとは呼ばれない。
門前でこの役をアガった手は俗にメンチン、立てチン、縦チンなどと呼ばれる。他意はない。
門前で作ってしまうと待ち牌が非常に複雑になりやすく初心者涙目な役でもある。
順子・刻子の条件などがないので、6ハン役だがアガりの難易度は役全体でも比較的マシな部類。
なお清一色での6翻が役満以外で取ることのできる最大の翻数の為、(役満以外で)1つの役だけで作れるのは跳満までで、倍満・三倍満は他の役と複合しないと作れない。


役満

麻雀における究極のアガリであり打ち手のロマン。それ相応に難易度が非常に高くお目にかかる機会自体少ない。
得点は満貫の4倍で固定(親48,000点/子32,000点)。
基本的に役満は役満とだけ複合し、他に通常の役があっても点数計算では無視される。ドラも同様でドラがいくつ乗っていても点数は同じ。
しかしながら、役満も一般の役と同じように単に13ハンの役として扱うルールもある。
通常の役とドラを積み重ねて13ハンに届けば「数え役満」として役満と同じ点数になるルールもある。
「数え役満」のルールはわりと広く採用されているものの、あくまでローカルルールの一種なので、採用されていない場合は三倍満(満貫の3倍)が得点の上限となる。
また、鳴くと無効になるものもある。

四暗刻(スーアンコウ)
その名の通り暗刻を4つ作る。注意として、ロンした捨て牌で雀頭を作る場合は問題ないが、刻子を作る場合は三暗刻になる。
これは、あくまで暗刻はツモで作られるものだからである。
雀頭の単騎待ちの場合は四暗刻単騎と言う上位役になり、ロンで和了しても成立し、またダブル役満とされることもある。
牌の指定は一切ないので役満の中ではかなり作りやすい部類。

四槓子(スーカンツ)
四暗刻と同じく槓子を4つ作るのだが、大概は3回カンした時点で他プレイヤーが阻止しようと4回目のカンをしてしまう。4回のカンで流局となるため成立が非常に難しい。
鳴いても大丈夫。加槓もおk。できるものならな!全部暗槓ならば四暗刻単騎と複合する。

大三元(ダイサンゲン)
三元牌それぞれを刻子にする小三元の究極体。
制約されるのが14枚中9枚、即ち残りの5枚は自由に決められる事に加えてポン、チー、ミンカン自由なので出るときは驚くほど簡単に出る。
とは言え三元牌を2回鳴けば流石に相手も警戒して(リーチをしている場合などを除いて)残り1種類を出さなくなる可能性が高いので、出来る限り1つは手牌の中で完成させておくのが望ましい。

大四喜(ダイスーシー)小四喜(ショウスーシー)
ふたつまとめて四喜和(スーシーホー)とも。
どちらも風牌を使う。大四喜は風牌で刻子を4つ作る。小四喜は風牌で刻子を3つ作り、残った方角で雀頭を作る。
一応、大・小ともに同格の役満ではあるのだが、難易度の高い大のほうをダブル扱いにすることもある。
一見大三元と似ているが、あちらより遥かに制約が厳しく難易度は格段に高い。

字一色(ツーイーソー)
読んでそのまま、字牌のみで完成させる。原則刻子で作るものだが、字牌は7種あるので七対子系も可能(ただし難易度は刻子字一色より高い)

清老頭(チンロウトウ)
混老頭の強化版。手牌全てが1と9で構成されている。特性上、刻子のみになる。
しかも使える牌は6種類なので七対子の形が作れないため、かなり難易度が高い。

緑一色(リュウイーソー)
發と索子の2・3・4・6・8のみで構成されている。なぜこんな飛び飛び?画像検索していただきたい、1・5・7・9には赤い竹が混じっているのだ。伝統的に發がないと認められないとされてきたが、今ではそのルールも薄れつつある。
例として「索子の222 234 666 888 33」の形などがある。この役で順子を作る場合、「234」以外は作れないので注意。
使える牌は清老頭と同じく6種類なのだが、順子が作れる分こちらの方が楽……と思われがちだが、これが災いしてテンパイ形に高目安目が生じら可能性が出てしまい、安目を引くとただの混一色になってしまう危険がある。
また發以外はすべて中張牌である為に局の後半では手役の一部に組み込まれて出てこない可能性が高い。これらを考慮すると実は難易度はどっこいどっこいだったりする
この役の存在から索子は萬子や筒子、發は白や中より僅かに優遇されていると言える(ローカル役満ならば大車輪や加賀百万石もあるが)。

九蓮宝燈(チュウレンポウトウ)
別名天衣無縫(テンイムホウ)。同じ種類の数牌の1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつ、どれか1枚で完成する。完成形になってんのかこれと思うかもしれないが、実はなっている。
最後の1枚を7とすると、「111 234 567 789 99」となる。
この役は鳴くと消滅してしまう。手牌の形の上では1と9は暗カンが出来そうに思えるが、この役に関しては暗カンしても役が消えてしまう。
また、待ち牌が多くなる傾向にあるので純正以外はフリテンが発生しやすい。出した人がいたら帰り道を心配拍手しよう。
「1112345678999」というテンパイ系の場合、1から9のどれが来ても九蓮宝燈になる。この形からのアガりは「純正九蓮宝燈」と呼ばれ、ダブル役満とするルールがある。 

<特殊な和了形の役>

七対子(チートイツ)
完成形ではない形。対子を7つ集める(手牌が対子だらけになる)。同種の対子(カンが出来る状態)は認められない。役の特性上、鳴くことは出来ない。
なお二盃口はその性質上必ずこの形になるが、あちらは順子4つ雀頭1つとみなすのでこの役とは複合しない。
2ハンの役になる。また符計算も特殊で固定25符になる。七対子のみだと親2,400点/子1,600点。
普通の手、いわゆるメンツ手の場合は30符以上あることが大半で、2ハン役とはいえ5ハン以下だと若干打点が低くなる。

国士無双(コクシムソウ)
おそらく名前だけ知ってる第一位である。七対子と同じく特殊な形をとる。特殊形ゆえに鳴ける部分がなく門前限定。役満になる。
萬子・筒子・索子の1と9を1枚ずつ、風牌を1枚ずつ、三元牌を1枚ずつ、最後にこの内の1枚と同じもの。
上記の13枚を全て1枚ずつ持って聴牌している状態は「国士無双十三面待ち」と呼ばれるどの牌でも和了れる状態になり、和了ることが出来ればダブル役満になる。
ただし、これを作ろうとして失敗すると形式テンパイにすらもっていけないようなハイリスクハイリターン。
なおこの役に限り暗カンに対して槍槓上がりが出来る。(取り決め次第では不可。)

天和(テンホー)地和(チーホー)人和(レンホー)
前者は親が配牌で完成形ができている時に、後者は子が配牌でテンパイして、人和は一巡目でロン、他は一巡目のツモで完成した時に出来る役。ただし人和はローカル役満なので場所によってはないこともある。
雀頭+順子/刻子×4または七対子、国士無双さえ守られていれば成立するが、いかさまなしで完成するのは不可能に近い。また、地和、人和はロン/ツモより前に誰かが鳴くと無効になる。どちらも役満(ただし人和はルールによっては役満としないパターンもある)。

流し満貫(ナガシマンガン)
和了った時ではなく、流局した時につくという非常に特殊な役で、役名にある通り満貫になる(符や飜は計算しない。)
流局した際に1牌、9牌(萬子・筒子・索子どれでも可。)・風牌・三元牌しか捨てていなかった場合にのみつく。この時手牌の形には一切条件はない
和了りとしては特殊な形だが、この場合はツモアガリに分類される。
条件だけ見ると簡単そうに見えるが捨てた牌を鳴かれた場合は無効となり、流局も通常の流局の場合に限定されている(=途中流局の場合は無効になる。)ため、実際は結構難しい。
なお積み棒の処理やノーテン罰符、親流れなどの流局時に適用されるルールについてはこの役を和了り役とみなすか単なるボーナスとみなすかで変わってくる。

<イカサマ>

不正な手段により勝利、あるいは有利な状況に持ち込む手法。
バリエーションが豊富だが、ここでは代表的なものを記載する。

なおリアルでやると当然相応の痛い目を見るのでやらないようにし、麻雀漫画等を楽しむための予備知識として押さえておく程度にしたい。
雀荘なら出禁、プロなら追放の危険があり、カジュアルでも友人との関係にひびが入る可能性がある*20
やろうとしても現在の主流である全自動卓では不可能なものも多いが。

●積み込み
山に自分に有利な牌を積み込んでおく。
全自動卓では実行不可能。

●すり替え(ぶっこ抜き/拾い)
自分の手牌を河や山の牌と入れ替えることで目当ての牌を手に入れたり、危険牌を切るリスクを避ける。
山から抜いてくる場合は「ぶっこ抜き(左手芸)」と呼ばれるが、山の牌を把握できていないと無意味なため基本的には積み込みとセットで行われる。
河から牌を回収する行為は「拾い」と呼ばれるが、対戦相手が捨て牌を覚えていた場合は告発されるので序盤では使えない。

●燕返し
ぶっこ抜きを進化させた大技。
山と手牌全てを瞬時に入れ替えるというもので、上手くすれば天和や地和すら可能。

●キャタピラ
山の位置をずらす際にこっそり牌の位置もずらしツモ筋を変える。
上ヅモ左端の牌を下ヅモ左端に、下ヅモ右端の牌を上ヅモの右端に上げると同時に山を1牌分左にずらす。

●盲牌
山の位置をずらす際こっそり牌の絵柄を指の腹でなぞることでその牌の種類を把握する。
他にもツモってきた牌が何かを目視せずに知るのに盲牌をする事もある(こちらはイカサマではない。)。
轟盲牌?それは別物である。

●握り込み/エレベーター
数枚の牌を握り込んだりポケット等に入れておき、状況に応じて手牌と入れ替える。
他のゲームでいえばコイツみたいなもん。

●ガン牌
牌の背等に傷や跡を付けることで、その牌が伏せられていても種類を把握できる。
しかし、証拠が残る、対戦相手にも利用される等の危険要素も大きい。
何より道具を提供した側にとって非常に迷惑でもある。

●通し
協力者に対戦相手の牌を覗かせ、目線やハンドサイン、合言葉等で自分に伝えさせる複数人前提のイカサマ。
こちらは覗かれる側も仲間を背に立たせておく(通称「壁」と呼ばれる)ことである程度対策できる。


追記修正委任。

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最終更新:2024年04月10日 21:05

*1 牌を裏返したまま指(主に親指)の裏でこすって牌種の判別を試みること。ただし、絵柄が彫られておらず印刷でプリントされている牌では不可能。(インクの凹凸があればできなくはないが……。)

*2 前の人(上家)の捨て牌を待つ間に自分のツモ(になるはず)の牌を手に取ること。上家の捨て牌次第で誰か(自分含め)が鳴くorロンアガリする可能性があるためご法度。

*3 通常、麻雀セットには120000点分(つまり1人当たり30000点分)の点棒が入っており、持ち点が原点(30000点)未満のルールでは1000点棒が余ることになる。

*4 役牌シャボのケースは見解が分かれるが、それぞれの字牌で成立する役の名前が違うため、役が確定していないとみなされアガリ不成立とするのが主流。「東」「中」などとせず一緒くたに「役牌」「翻牌」として扱う場合にはアガリが認められることもなくはない。要確認。

*5 特に第一打に端牌を切っていたらその色の多面待ちになってフリテン…というケースが多い。

*6 自分の手番が来てフリテンが解消された後にロンすることを「山越し」という。直撃を取りたいときにままある。

*7 競技麻雀でも「打点が足りないのであえて見逃す」ということはあり得る。但し直撃は取れなくなるので高目ツモしかなくなる。

*8 形のうえではテンパイだが役がなくロンアガリできない。または偶然役(門前ツモや海底など)でしかアガれない状態。

*9 もっとも、リーチ後勝負された牌に対して「通す」の意味で使われることの方が多いが

*10 例えば、同じ数牌をポン、チーして、その牌を含む明刻子、明順子が同時に存在する場合など。

*11 競技麻雀で素点が必要となる場合などに起こりうる。

*12 10-30は1着順で20000点変わるので4位→3位の着順浮上も大きな意味を持つ

*13 日本プロ麻雀連盟公式ルールの順位点は沈みウマと組み合わせた形で、場で12000点を原点未満の者が順位に応じて払うことになっている

*14 但しMリーグなど、競技麻雀では同点は順位点折半とする場合もある

*15 このことからオカを1位の順位点に含めて表現することもある。

*16 過去にはチョンボができてしまうゲームもあったが、今では皆無である

*17 そうでなくても、わざと反則をすることはマナーの面でも問題があるのでやってはいけない。

*18 2022年度までの日本プロ麻雀連盟がこのルールを採用していた。

*19 例えば東一局→東二局→東三局と来た場合、次は南一局になる。

*20 創作の裏社会だと「腕一本」等やはり重いペナルティを課されることが多い