黒王号(北斗の拳)

登録日:2011/08/28 Sun 20:59:23
更新日:2024/04/11 Thu 21:18:48
所要時間:約 4 分で読めます




「ケンシロウ、貴様ごとき黒王号の上で充分だ!!」

「ラオウ!そんな駄馬の上でこの俺には勝てんっ!!」


黒王号とは、『北斗の拳』に登場するラオウの愛馬。

ジャギのG-MAXやサウザーの聖帝バイクなどの乗り物が(文明が衰退したはずなのに)闊歩する世紀末の世において、
ラオウはこの以外の乗り物に絶対に跨がる事はなかった。


概要

普通の馬に比べてとても大きく、蹄が象並にある。毛色は黒鹿毛かもしくは青毛で描写される。

その巨体に相応しく馬力も強く、身長210cm、体重145kgもの体格を持ち、そこへさらに鎧兜を身につけたラオウが乗っても軽々と走り回れるほど。
その上非常に賢いというか気難しく、ラオウやケンシロウなどの一部の実力を認めた者以外にその背を許す事は無く、
モヒカンはラオウが手を下すまでもなく黒王が踏み潰してTHE ENDである。
パワーは一撃で分厚い鉄の門も蹴り破るほどで、作中でも人間を14人も踏み殺している(アニメではもっと多い)。
更に跳躍力も並外れて高く、ケンシロウとの最初の戦いではビル街を眼下に望むほどの高さまで跳躍していたし、断崖絶壁も難なく飛び超える。
本来馬は見た目ほど長い距離は走れない動物だが、黒王号は何時間もぶっ続けで走り続けるほどのスタミナを持つ。

しかし一度認めた漢には馬ながら敬意を評し、己を乗りこなしたジュウザの骸を真っ先に葬ろうとしたこともある。ラオウも黒王の気持ちを理解しているから、行動を責めはせずに部下にジュウザを丁重に葬るよう命じた。


まさに名馬と呼ぶに相応しいが、何故か騎乗してむしろ有利のはずなのにラオウにとっては黒王号に乗ったままの戦闘は手加減であり、
ケンシロウも冒頭のように駄馬呼ばわりしている……。

しかし賢いが故に空気が読める馬なのでそうでなければ頭が悪いことになる、気難しい割にこの扱いに不満は見せず、後にケンシロウを主と認めて乗せていた。


作中での活躍


レイの前に、初めてラオウが現れた際に一緒に登場。ラオウはレイを黒王の背から降りる事なく瞬殺した。

その直後のケンシロウとの戦いでも、ラオウを背に乗せたまま天高く飛び上がり、その桁違いのパワーを見せつけた。
この時、ケンシロウは特に何もしてない黒王を殴ってる
この戦いでラオウは膝をつきそうになるほどまで負傷し、部下たちはその姿を見て逃げ出してしまうが、唯一黒王だけはラオウから離れる事はなかった。

その後もラオウの移動手段と重宝され、最終決戦の前には単身でケンシロウをラオウの待つ北斗練気闘座まで送り届ける。

そしてラオウが天に還った後、ケンシロウとユリアを背に乗せ、共に安住の地を求めて旅立った。


ここで出番は終了…する事はなく、第二部の帝都編においてもケンシロウの愛馬として登場。
なにが原因かは不明だが片目を失明しているらしく、赤い布を巻かれていた。
以前ケンシロウに殴られたのが原因だろうか。
この様に隻眼になった経緯については長らく読者の想像で補うしかなかったのだが、
本作30周年企画に際した新作エピソード『北斗の拳-LAST PIECE-』においてその経緯が描かれる事となった。

劇中で背に乗せたのはラオウ、ジュウザ、ケンシロウ、バット、リン、ユリア。
バットは修羅の国編クライマックスで、割と唐突に黒王に乗って現れた…ように見えるが、
第一部でリン共々乗った事があるので黒王もそれを覚えていて背を貸したと思われる。

最終エピソードにて、ケンシロウの七つの傷が発光して記憶を失う謎の異変の直前にケンシロウの呼びかけに答えなくなり、目を閉じて動かなくなるのが最後の出番。
形は違えどかつての主と同じく立ったまま逝ったのである…

ケンシロウやラオウなどの人間キャラに隠れがちだが、この馬もまた、北斗の拳という作品を象徴する上では欠かせないキャラクターである。
それを示すかのように、「ぱちんこCR北斗の拳」では北斗三兄弟であるトキを差し置いて「剛掌 黒王Ver」が作られ、
完全版でも南斗六聖拳のユダを差し置いて単独で表紙を飾ったこともある。後者はイチゴ味でもネタにされた。

ちょいちょい大きさが変わるとか言っちゃいけない。


その他の媒体

FCの『北斗の拳4』(クソゲー)では原作終了後の世界にもかかわらず、何故か平然と登場する。
しかもルーラ扱い。風丸よりは強いと思うんだが(風丸は黒王号を手に入れた際“便利な物が手に入りましたね”と物扱いしている)
なお、作中で“かつてこの馬には3人しか乗ったことがない”と言われているが上記のようにもっとたくさんの人物が乗っている。

同じくSSの『北斗の拳』(歩くクソゲー)でも登場。こちらも原作終了後の世界観。
何故か黒王号存命なのにも関わらず歩くケンシロウ一行。
名前貸ししてないでちゃんと監修しろよ武論尊。


ちなみにラオウとの出会いは『ラオウ外伝 天の覇王』で明かされた。
黒王は別に修羅の国の生き物とかではなくれっきとした日本の(元)野生馬である。
ラオウ率いる拳王軍は智将(自称)ギオンと戦っていたのだが、ギオンは黒王谷に先遣隊をわざとおびき寄せて殲滅させていた。
屈強な野生馬たちの集う黒王谷…その王こそが、黒王号だったのだ。
黒王号は負傷した仔馬を庇いながら虎(←なぜ北斗世界の日本には普通に生息しているのだろう)二頭と戦い続けていたが、
それを見かねたラオウは虎の片割れを殺し仔馬を安楽死させた。
しかし、黒王からしたら仲間を殺されたわけだからラオウは敵である。
黒王はラオウを蹴飛ばし残った虎を仕留め、ラオウに近づく…仇を取るために。
だが、自身の一撃を受けても耐え抜いたラオウに王の覚悟、ラオウの覇業に理解を示し、ラオウに背中を貸すことを承諾し、
千頭の呼び寄せ連れて行けと…ラオウ自身も共に戦うことを承諾したのだ。
こうしてラオウは黒王谷を手中に収め、自身に理由はどうあれ黒王号を引き合わせたギオンを「褒美」として自軍の将に命じた。
(ま、そのあとウイグルにあっさり鞍替えするんだけど)

また、ユリアが死んだ(厳密には死んでいない)と報告を受けた時に唯一内心を打ち解けた存在でもある。

そういう誓いもあってかジュウザに黒王を奪われたときは車があったとしても拒否するほど。

後付けといわれたらそれまでだが…


北斗無双』でもラオウの奥義で呼び出せる。
黒王で走ってるだけで、まるでゴミのように敵が死んでいくので楽である。
バイクと同じ扱いだから段差は飛び越せないけどな!

Jスターズ ビクトリーバーサス』でもラオウに付き従い登場したが、別にシナリオには絡まない。
両津勘吉には競走馬にされそうになり、めだかちゃんにはすくみ上っていた。
ちなみにめだかちゃんは「あんな可愛い馬にまで嫌われるとはな」と哀しんでいた辺りやっぱり大物である。胸のサイズではなく。

メダルゲーム『スターホース3』ではイベントレース限定で競走馬として出走する
登場するイベントレースはコースはカイロ・ダート1600m。
馬体重は978kg。左目に眼帯をし、ケンシロウがジョッキーという第二部スタイルである。
スタイルは追込で、序盤は最後尾近くにいるが終盤に恐ろしいパワーで追い上げてくる。他の競走馬の倍くらいありそうな巨体が砂を巻き上げて追いかけてくる様子は大変怖い。


北斗の拳が最初から特撮ドラマだったら…というテーマの『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』では、脚本担当の武藤尊徳がラオウ役の島田に相応しい乗り物を考えている時に偶然見た戦国ドラマを見て「ラオウを馬に乗せる」事を思いつく。
だが身長210cm、体重145kg+ラオウの重装甲衣装を着けた島田に普通の馬(それでもその動物プロダクション内では一番大きく力も強い馬ではある)は耐えられず、島田自身が「馬が限界なのが分かる、降ろしてくれ」と言ってしまう程。
そこで悩む監督達に動物プロダクションの人が非常に大きな馬であるばん馬を居る事を指摘し提案したので、監督達は北海道に飛ぶ。
結果、ばんえい競馬を引退した直後で見た目もよく島田の体格に耐え得るだけでなく島田の持ってきたラオウの衣装を咥え「それを着て乗ってみろ」と言わんばかりに促す頭もいい馬である「ブラックキング」号と牧場で出会う事となった。
黒王号という名前も島田が元の「ブラックキング」を単純に和訳したノリで付けた名前という設定であるが、こうしてドラマ撮影に新たな(動物)役者が加わることとなった。
「黒王号クラスの馬はばん馬の馬として実在する」というのは昔から言われており黒王号に関してはそれを使うのではないかと読者から予測されていたが、今回はそれをどストレートに表現した形となっている。
なおばん馬の所持者は「無茶はさせないでくださいよ」と言っているが後の黒王号の活躍からしてフラグにしか思えない。

余談

実は小さくなっている時の黒王号ぐらいのサイズの馬ならば現実にも存在する。
最近の記録だと、オーストラリア産、2003年生まれのシャイアー種*1であるノディ号は肩の高さ205cm、体重1500kgという数値。
歴史上だと肩の高さ219㎝という馬の記録も残っている。
流石にラオウや黒王号と違って、空気を読んで自在にでかくなったりはしないだろうけど(モヒカンの2.5倍くらいの体高には余裕でなれる)。

ちなみに『北斗の拳』終了後の90年代、ジャンプで黒王号とは真逆の小さい白馬が主役な漫画が連載されたが、そっちとのコラボは今の所存在しない(それぞれ単独で『スターホース3』客演はあるが)。
「黒王号… 一度勝負してみてぇな…」

またリアルの競馬では1994年に黒王号が名前由来な競走馬「ナムラコクオー」がデビュー。残念なことに黒王号程黒くは無いものの、中央でG3重賞勝利し移籍した高知で12歳まで走り続け、引退後高知の潮牧場で余生を過ごし2019年に他界した。


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最終更新:2024年04月11日 21:18

*1 イギリスで品種改良されて生まれた労働用の超大型馬種。体重1トン当たり前だとか。