タルカス(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/06 Thu 16:43:10
更新日:2023/10/21 Sat 13:43:10
所要時間:約 7 分で読めます




タルカスはジョジョの奇妙な冒険第1部『ファントムブラッド』の登場人物。

CV:郷里大輔(ゲーム版) / 園部好徳(映画版) / 稲田徹(TVアニメ版)。

名前の由来はプログレロックバンド『エマーソン・レイク&パーマー』の名曲、並びに収録されているセカンド・アルバムのタイトルから。
この作品は20分を超える壮大な組曲であり、タルカスはその物語に登場する戦車とアルマジロが融合したような姿の巨大な怪物の名前。
アニメ版のタルカス登場シーンのBGMはこの楽曲のオマージュとなっている。

ちなみにライナーノーツでは、
キース・エマーソンが「タルカス(Tarkus)とは帰宅途中に突然閃いた単語であり、特に意味は無く、辞書を調べても分からなかった」と述べている。


【概要】
ジョースター邸火災を生き延びたディオ・ブランドーが潜伏先の『ウィンドナイツ・ロット』で、
新たな手駒として黒騎士ブラフォードと共に墓地から復活させた騎士屍生人(ゾンビ)

ブラフォードともども英国人なら誰もが知る伝説の勇者であり、それを知ったジョナサン・ジョースターも相対しながらも奇妙な衝撃を受けていた。
(日本人の感覚にすれば宮本武蔵復活して襲い掛かってくるようなものだろうか?)

2mを越す山のような巨体に角兜と古びた鎧を纏い、
身長195cmのジョナサン以上の刃渡りを持つ長大な騎士剣(作中では「ビッグサーベル」と訳されているが、明らかにサーベルの形状ではない*1)を提げている。
普段は無表情だが戦闘時は血に飢えた殺戮者の本質を剥き出しにし、怒号と咆哮を上げながら悪鬼の如き形相で戦う。

巨体に比例してその身体能力のポテンシャルも凄まじく、特にその膂力は初登場時墓地の一区画を支える一枚岩の岩盤を指一本で持ち上げ、
地面にを叩きつけただけで地割れが発生する程。
ゾンビであるということを考慮しても何もかもが規格外の存在であり、純粋な戦闘力においてはディオ配下の亡者(アンデッド)軍団で最強といっても過言ではない。


【背景】
※ブラフォードとタルカスは共に架空の人物であり、以下のエピソードも史実とは異なることに注意されたし。

生前(第1部からさらに300年ほど前)は女王エリザベスⅠ世と王位継承を争ったメアリー・スチュアートに仕えた忠実な家来であった。
代々続く騎士の家柄に生まれるも、若くして戦で家族を全て亡くした天涯孤独の身の上で、それ故に空しさの中で青春を生きる。
極限まで鍛えられた人間離れした肉体はこの頃に形成された模様。

人間だった時点で
  • 77人の屈強な騎士たちのボスラッシュ+最終的には総重量100kg超のリングを装備して山あり谷ありのダンジョン攻略を行う、地獄の訓練法『77輝輪(リング)の勇者』を達成。
  • 『双首竜の間』で行うチェーン首輪(ネック)・デスマッチでは48人を葬送。
  • 岩をバターのように切ることができる
…ほどの猛者だったという。

そんな中、大いなる包容力(母性といってもいいだろう)を持ち、何にも換え難い安らぎを与えてくれるメアリーに出会ったことで、
盟友ブラフォードと共に命を投げ出しても構わないほどの忠誠を彼女に誓うこととなった。

しかし、夫ダーンリー暗殺の疑惑を政敵エリザベスにかけられたメアリーが国中から非難の対象となったことを契機に悲劇が始まる。

味方の騎士も次々と離反する中孤軍奮闘するも、『タルカスとブラフォードの率いる軍のみが勝利するが全軍は壊滅状態』という事態に終わり、相対的に敗北。

どうやっても攻略できない二騎士を危険視したエリザベスは、『おとなしく降伏し処刑されればメアリーの命は助ける』と勧告、
彼等はメアリーへの忠誠心からこれを承諾、ついに処刑台に送られる。
しかし、その寸前で処刑人から『幽閉されているメアリーは世間を欺くための影武者にすぎず、本人はとうに処刑されている』と聞かされる。
さらに刑場の隅にゴミのように転がされている主の生首を見せつけられるという非道の仕打ちを受け、憎悪と怨念の絶頂の中、斬首刑に処された。

怒りで首の筋肉が硬直し、斬り落とされるまで処刑用のを何本も折ったという凄絶さだったという。


【劇中での去就】
そのあまりにも激しい怨念を気に入ったディオの手によってブラフォードと共にゾンビとして甦るが、
すでに悪魔もブッ飛ぶ復讐鬼に作り変えられたその精神は世界を滅亡させんという妄執に支配されていた。

波紋の効果によって最期に高潔な騎士の魂を取り戻し、人間として死を迎えたブラフォードとは対照的に、
人間を血の詰まった革袋=食料とみなして惨殺し、盟友ブラフォードがジョナサンとの戦いに敗れた際も、
『尊敬してはいたが所詮業師に過ぎぬ男』・『77の輝輪の勇者の恥さらし』と罵倒。
遺品ともいえる甲冑を蹴り飛ばし、武器として利用する姿は凶暴な怪物でしかなかった。

ジョナサンを追い地面に叩きつけられた後も執念で塔の壁を登って追い詰め、『双首竜の間』でジョナサンを得意のチェーン首輪デスマッチに引き込み、
鋼鉄の首輪で満足な呼吸ができず、波紋を練れないジョナサンを圧倒、ポコの勇気ある行動により双首竜の間に突入したツェペリの参戦もものともせず、
逆に『必殺技・天地来蛇殺(ヘルヘブンスネーキル)でジョナサンの頚骨をへし折り、ウィル・A・ツェペリの胴体を真っ二つにしてしまう。

しかし、死に際にツェペリが己の全生命エネルギーを相手に託す波紋法究極奥義、
『究極・深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)でジョナサンを蘇生させたことで形勢逆転。

復活したジョナサンは首の骨折を一瞬で治癒し、ゾンビ化したタルカスですら破壊にてこずる鋼鉄の首輪を素手で引き千切るほどにパワーアップしていた。

対するタルカスは自身の牙を噛み砕いて目潰しに使うという姑息な小細工に堕してまで勝ちを拾おうとするが、
それを意に介さないジョナサンの両拳を叩き込まれ、一瞬で蒸散、消滅した。

考えようによっては、人間として穏やかな気持ちで世を去れたブラフォードよりも悲劇的な最期だったのかもしれない。
メタ的な解釈をするならば、改心して死んでいく結末を2度続けて描くのは冗長でしかないので彼の悪役化は仕方なかったともいえるが。


【余談】
●メアリー・スチュアート配下ということはスコットランド領の騎士であり、
わざわざイングランド領内にある(ジョースター邸から馬車で1日で行き来できる土地にある)ウィンドナイツ・ロットで修行を積んだことになるが、
『あまりにも強すぎて領内では練習相手がいなくなってしまった』
『さらなる強さを求めてあえてアウェーの土地で己を鍛錬することを選んだ』
などといろいろ想像してみるのも楽しい。

●『77輝輪の勇者』の覇者で彼のみ異名がついていないが、『タルカス』という名そのものが『怪物的な強者』の代名詞であり二つ名など不要だったとも考えられる。

●第7部『STEEL BALL RUN』でSBR参加選手に名前がある。1巡後の世界の彼だろうか?
もしそうなら愛馬は黒王号並みにでかそうである。




追記・修正は『77の輝輪』を達成してからにしてください。

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最終更新:2023年10月21日 13:43

*1 サーベルは護拳(ハンドガード)が付いた片手持ちの片刃剣を指す。タルカスが持っているのは見た目で言えばグラディウスに近い。