エコーナイト#2 眠りの支配者(ゲーム)

登録日:2011/12/21 Wed 00:14:04
更新日:2023/02/28 Tue 09:52:11
所要時間:約 7 分で読めます




赤い月と双子の姉妹

遥か昔、この地に古代の民と呼ばれる人々が住んでいた頃の事。
ある静かな夜に双子の姉妹が誕生しました。
しかし、二人は決して治る事の無い病に冒されていました。
その病は、一度発病すると、二度と鎮まる事が無いという恐ろしいものでありました。
最初に発病したのは妹でした。
苦しむ妹を見かねた姉は、ただ一つ病を治す方法を試そうとしました。
つまり、赤く月が輝く夜に「あの石」に片割れの魂を捧げる事……を。

しかし、自分の為に姉が犠牲になるのを拒んだ妹は、静かに死んでゆくのを望みました。

……でも、妹は死にませんでした。

姉が妹の眠る間に儀式を行い、自らの命を「あの石」に捧げてしまったからです。

……それから、数千年が経ちました。
妹は、今も一人ぼっちで悩んでいます。

「人は愛する者のために自らの命すら捧げる……たとえ、それを愛する者が望まなかったとしても」

妹は、今も一人ぼっちで待ち続けています。
姉のしたことは正しかったのか、死ねなくなった身体でたった一人で……。
その答えを教えてくれる誰かが現れるのを。





◆エコーナイト#2◆
眠りの支配者

『エコーナイト#2 眠りの支配者(ECHO NIGHT#2 Ruler of Drowsiness』は99年にフロム・ソフトウェアから発売されたPS用ソフト。
まだまだグラフィックに粗さを残すものの、好評を博した前作から物語や演出が更に洗練されており、シリーズ中では最高の評価を得ている。

豪華客船を舞台としていた前作に対し、本作では広大な洋館を舞台としたゴシックホラーとなった一方で、物語の根幹にSF的な古代文明によるテクノロジーを配する等、独特の世界観にあるのも特徴。

システム面は基本的には前作と共通しているが、物語の展開に於いて直接的にプレイヤーの行動が反映される様になっており、より攻略に手応えを感じられる内容となっている。
また、前作から共通した設定も本作では更に詳細となっており、曖昧な部分も極力排されている。


【物語】

1949年。
私、リチャード・オズモンドは失踪した恋人クリスティーナ・コリンズの行方を探す為に彼女の職場である大学図書館を探る中で、クリスティーナに瓜二つの女性の写真をある本の中に見つける……。
彼女の名はジェシカ・クランシー。
名門クランシー家の現当主夫人だ。

……自分の過去を探すクリスティーナが、同じ写真を見つけた末にクランシー家に向かったのだとの推理した私は夜道に車を走らせる。

……その先に、数奇な運命が待つ事も知らぬままに……。





以下はネタバレ注意。










【用語解説】

◆魂の石
古代人が「不死者の創造」の為に生み出したとされるナイフの中央に填め込まれた「赤い石」……。
現在はアルバート・クランシーが所有している。

◆クランシー家
北米大陸の北東部に大邸宅を構える英国の貴族階級から連なる名家。
ロックウェル家とは姻戚関係にある。

◆古代文明
クランシー家の大邸宅の敷地内から発見された、古代人の超高度文明の遺跡。

◆嘆きの塔
古代人の遺跡の中でも特に象徴的な、天高く聳える巨塔。
恐らくは天文観測用の施設と考えられている。
構造上の問題か、その名の様に風が「泣く」様に音を立てる。
地下には奇妙な棺に納められた女性のミイラが安置されており、それ自体が信仰の対象となっていた様だ。

◆R&C考古学研究所
ロックウェル家とクランシー家が遺跡調査の為に設立。
現在の所長はブリジット・マジョエル。

◆影
クランシー家の邸宅内や遺跡の研究施設に留まる、魔物の手によって死した者達の魂。

◆魔物
「魂の石」に捧げられた犠牲者の魂が下僕と化した存在。
前作とは違い、特殊能力こそ使わないものの、よりリアルな「亡霊」としての行動が強化されており、本当に怖い。


※ゲームの目的は前作と同様に犠牲者の魂を「解放」する事でアストラルピースを集める事だが、全ての魂を一つも「解放」せずにクリアーする事も可能になった。


【主要登場人物】

◆リチャード・オズモンド
プレイヤーの分身。

◆クリスティーナ・コリンズ
失踪したリチャードの恋人。
孤児院で育っており、幼少期の記憶が無い。
本名はレベッカ・モーガン。

◆ケント
リチャードの友人。
クリスティーナの同僚で、リチャードを大学図書館へと導く。

◆ブライアン・ノード
事故に遭い、意識を失っていたリチャードを救った冒険家。
勇ましい人物であったが敢えなく……。
ゲーム後半での姿は、かなり衝撃的。

◆アルバート・クランシー
リチャードと対立する本作の最重要人物であり、ある意味シナリオ上の真の主役と呼べる人物。
クランシー家の現在の若き当主であり、やや神経質ながらも本来は心優しい公正明大な人物だが、現在は愛する妻を救うべく凡る手段を選ばない非道な鬼と化している。
クリスティーナの失踪事件や、屋敷の大量殺人の元凶である。

◆ジェシカ・クランシー
旧姓はモーガン。
アルバートの妻で、麗しくも聡明で慈愛に満ちた女性。
孤独なアルバートの心を癒やし支えてくれた存在であったが、再発した先天性の病に冒され余命幾ばくも無かったが……。
幼い頃に飛行船の事故により、実の父母と双子の妹(姉?)を失っている。

◆ジョージ・ギブス
館の使用人。
庭園の管理を任されていた、やや頭が足りないが頑健な肉体の持ち主。
精神年齢も未成熟な為かモラルに欠けており、アルバートの忠実な僕として殺人すら行っていた。
「あ〜逃げる気だな〜」等の気の抜けた発言とは裏腹に、彼の攻撃は……痛い。

◆赤い髪の女
本作の狂言廻しにして、真のヒロイン。
アルバートの協力者らしいが、何故か主人公にも力を貸す。


【死者】

◆エリオット・クランシー
リビングルームにいるアルバートの腹違いの弟。
チェストのカギが見当たらず、熱帯魚にエサを与えられないと嘆いていた。

◆マーク・ビゼル
バーラウンジにいるバーテンダー。どこか無愛想な性格。
生前ノーマとは恋仲の関係だったらしく、彼女にプレゼントした楽譜を探していた。
彼とノーマのイベントは今作の初見殺し要素の一つ。

◆ノーマ・ブリス
音楽室にいる音楽教師。
ピアノを弾いているが、楽譜の一部が抜けているため曲を思い出せないでいた。

◆スティーブン・マードック
厨房にいるシェフ。
シチューを仕上げるためのコショウ挽きを探していた。

◆キャロル・ムーア
中央ラウンジにいる、ヘレンにより引き取られた孤児。
かくれんぼの鬼をしていたのだが、なかなか見つからず泣きじゃくっていた。
リチャードに代わりに皆を見つけてほしいと頼み、鬼の証である「狼のメダル」を託す。

◆ローラ・スワンソン
◆ジェフ・ワトキンズ
◆カート・デンシャム
◆ダニエル・ワトキンズ
キャロルとかくれんぼをしている4人の子供たち。見つけると「羊のメダル」を渡してくれる。
なお、狼のメダルを装備していないと鬼と見なされないので注意。カートとジェフは結構見つけにくい。

◆ジョセフ・ハモンド
クランシー家に仕える使用人で研究所の波止場を管理する老人。
料理人(おそらくスティーブン)をアッと驚かせる大物を釣るためにリチャードに研究所から釣竿を取ってきてほしいと頼む。

◆ケン・マクダネル
研究所・廊下の喫煙所にいる研究員。
イレーナが帰るのを待っている。
吸い殻入れを蹴るなど少々素行が悪い。

◆マイケル・スチュワート
映写室にいる研究員。
生真面目な性格で、自身の研究フィルムを確認してもらうために所長の帰りを待っていた。

◆ジョン・フィッシャー
遺跡発掘現場にいる研究員。
友人のフランコを岩盤事故から救えなかった罪悪感から、一人でひたすら穴を掘り進めようとしていた。

◆イレーナ・マジョエル
事務室にいる研究員でブリジットの妹。
全員が帰るのを確認しないと自分の仕事が終わらない。

◆ビリー・マシューズ
東館一階廊下にいる召使い。
魔物が怖いから朝日が昇るまでは開けられないということで東館の扉を頑なに閉ざしていた。
そっちの部屋の方が危険じゃないかというツッコミは禁止。

◆スタンリー・オズボーン
使用人寝室にいる50年以上も使える使用人。
屋敷に奉公に来る際に一緒に持ってきていたバイオリンを弾きたがっていた。
過去にタイムスリップした際には仕事一筋の厳格な人物だったことがわかる。
その際に姿が変わらない赤毛の女性を「あの人の周りだけ時間が止まっているようだ」と不思議がっていた。

◆アネット・オースチン
使用人寝室にいる赤ん坊。
ポリーがどれだけあやしてもなかなか泣き止まないでいた。
曰く「音楽でも聴けば泣き止むかもしれない」とのことだが…

◆ポリー・ハンクス
使用人寝室にいるメイド頭の老女。
まだ仕事が残っているのに泣き止んでくれないアネットに手を焼いていた。

◆モーリス・ブラウン
アトリエにいるヘレン専属の絵描き。
描いている絵の炎の燃え具合が上手く表現できずに悩んでいた。

◆ヘレン・クランシー
老婦人の部屋にいるアルバートの祖母。
アルバートが大好きだったというクロッカスの花を育てており、咲いた花を見せれば元の心優しい性格に戻ってくれる筈と信じていた。
ちなみに育ったクロッカスの花をアルバートに見せると…

◆ラリー・トラビス
倉庫にいる召使い見習いの少年。
自分に自信が持てないでいる性格で、ホームシックとなっていた。
メイドのパティと仲が良く、お互いの大切なものを交換し合っていたらしいが…

◆レオン・クランシー
娯楽室にいるアルバートの義理の弟。
ポーカーが好きなのだが滅法弱い。そのくせ、負けず嫌いな上に終いには「場所が悪いから負けた」と難癖をつけてくる等、お世辞にも品格ある人物とは言い難い。

◆アンソニー・ロジャース
◆マービン・ハミルトン
娯楽室にいる客人男性達。マービンはジェシカの担当医をしている。
勝つまでやめないレオンの負けず嫌いな性格に手を焼いている。
いつもは手を抜いて終わらせるのに、この日に限っては何故か最後には『勝ってしまう』らしい。

◆キャスリーン・クランシー
◆マーガレット・ロジャース
◆シンシア・ハミルトン
ダンスホールにいる女性達で、それぞれレオン、アンソニー、マービンの妻。
なかなか戻ってこない男性陣達にやきもきしている。

◆サラ・クランシー
館主夫人寝室にいるアルバートの継母で、カレン、エリオット、レオンの実母。
暴走したアルバートを止められるのは唯一愛したジェシカしかいないと考えており、誰かが彼女を起こしてくれる事を願っている。

◆エドガー・クランシー
先代当主にしてアルバートの実父。
当初はリチャードをアルバートと勘違いし、本を戻してくるように頼んでくる。
その後、息子の行為を「とうてい許されることではない」と言い放ち、当主責任として「屋敷全員の魂が消えるまでここに残る」と覚悟を決める。


【魔物】

◆カレン・クランシー
第1の魔物。
暗闇に紛れて近づき、首を絞めて来る少女の怨霊。
アルバートの義理の妹であったが、彼の手に掛かり殺害される。
愛犬ディーノを溺愛しており、最後は彼も魔物として登場する。
「解放」アイテムはディーノとお揃いの首飾り。

◆ブリジット・マジョエル
第2の魔物。
父の志を引き継ぎ、遺跡研究に勤しんでいた若き女性考古学者だったが、アルバートの目的の犠牲となり魔物と化す。
闇に紛れ、剣型の波動により攻撃して来る。
「解放」アイテムは父も求めた聖杯。

◆パティ・トンプソン
第3の魔物。
屋敷付きのメイドだが、アルバートにより殺害され僕と化す。
ディーノの餌係であった様で、彼を呼ぶ為のベルを鳴らしながら背後から忍び寄ってナイフを突き刺して来る。
「解放」アイテムは母親の形見のイヤリング。


【???】
◆霊能者
前作の様にゲーム中には直接的に関わる事はしなかったものの、矢張り物語の根幹に影を落としていた正体不明の人物。
今作では更に人知を超えた存在である事が示唆されている。
ある条件を満たす事で、教会から彼の許へ向かう事が出来る。





【余談】
■エンディングの種類は4つ。
以下に条件を記す。

◇グッドエンディング
30人全ての影を「解放」し「昇天」させた後に霊能者と出会う。

◇ノーマルエンディング1
グッドエンディングの条件を満たさずに時計台に到着した後に、三分以内に最上階に到達する。

◇ノーマルエンディング2
グッドエンディングの条件を満たさずに時計台に到着した後に三分を越えて最上階に到達する。

◇バッドエンディング
30人全員の魂を「解放」させずに時計台の最上階に到達する。










霊能者「また会えたね、さあ今度こそ石を受け取り給え……追記・修正したいのだろう?」









【最後に】

※……『ネビュラ(NEBULA)』なんか知りませんよ……っと。

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最終更新:2023年02月28日 09:52