クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ夕日のカスカベボーイズ

登録日:2010/05/31(月) 20:02:08
更新日:2024/03/04 Mon 12:09:38
所要時間:約 10 分で読めます






しんちゃん!カムバ~ック!!


2004年に放映された映画クレヨンしんちゃんの第12作品目。キャッチフレーズは「しんちゃん!カムバ~ック!!」


良くも悪くもギャグと物語の勢いが凄まじかった前作から、本作はシリーズの中でもトップクラスにハードでシリアスな作風、そして何よりしんのすけの本気の恋を描いたラブストーリー的な要素もある異色作。


劇場版クレヨンしんちゃんの中でも一風変わった作風だが、アッパレ!戦国大合戦の系譜を引く綺麗に終わらせてくれない衝撃的な結末や、お父さんたちに嬉しいパロディラッシュ等もあって、オトナ帝国の逆襲やヘンダーランドの大冒険などにも引けを取らない隠れた名作と声を上げる人も少なくない。


【あらすじ】


町でリアル鬼ごっこをしていたかすかべ防衛隊は遊びの途中でカスカベ座という古びた映画館を見つける。
カスカベ防衛隊はその中で無人で動く荒野を写し続ける映画を見つけ、そのまま見続ける。

そんな中しんのすけがトイレに行き、帰ってくると他のメンバーは居なくなっていた。
仕方なく家に帰宅したしんのすけだが、直後に他のカスカベ防衛隊が誰1人帰っていない事を知る。
ひろし、みさえ、ひまわりと共に再びカスカベ座に探しに行くがそこにはまた荒野を写し続ける映画があった。
それを見続け、気づくと野原一家は荒野のど真ん中にいた。荒野を進んだ所にある街で野原一家は暴動に巻き込まれるがつばきという少女に助けられる。
その街でしんのすけはカスカベ防衛隊と再会するが、カスカベ防衛隊はしんのすけの事もカスカベの事も忘れてしまっていた。



【登場人物】


野原しんのすけ 声:矢島晶子
お馴染み最強の五歳児。仲間の記憶を取り戻す為に奮闘する。今回は14歳(中学生年齢)のつばきにガチ恋をする。

▽風間トオル 声:真柴摩利
記憶を失ってジャスティスシティの保安官になっていた。いつもと声が少し違う気がする。

▽佐藤マサオ 声:一龍斎貞友
記憶を失ってネネちゃんと同居していた。記憶を失っている間は結構強気で正直。一発で薪割りをする五歳児。終盤で焼きオニギリになる。

▽桜田ネネ 声:林玉緒
記憶を失ってマサオ君と同居していた。記憶を失って一番自分らしい生き方をしていた。

▽ボーちゃん 声:佐藤智恵
他の3人とは違いしんのすけと同じく記憶を失わずにいた。町外れで1人暮らしをしている。

野原ひろし 声:藤原啓治
鞭で打たれたり馬から転げ落ちる、列車に引きずられたりと何かと災難に遭う。
余談だが声の人はかつて同じシンエイ動画の『笑ゥせぇるすまん』にて、モノクロ時代劇映画に魅入られるあまり、家族も現実も放棄してフィルム内の切られ役として存在する事を選んだ男を演じた事があった。

野原みさえ 声:ならはしみき
今回は活躍が少ないが素手で敵を倒した。ジャスティスとその部下にコケにされるシーンは非常に後味が悪くショッキングな場面の一つ。

野原ひまわり 声:こおろぎさとみ
今回は空気。

▽シロ 声:真柴摩利
前半とラストに登場。しんのすけが帰るべきカスカベの象徴。

▽マイク 声:村松康雄
映画オタク。野原一家と同じくカスカベから来た。立ち入り禁止区域への侵入の罰で豚の丸焼きのような状態だった所をひろし達に助けられる。
記憶を失いながらもカスカベに帰る意思を持ち続けていた。職業はレンタルビデオ屋の店長で独身。

▽つばき 声:齋藤彩夏
ヒロイン。ジャスティスシティで野原一家を助けた少女。映画を終わらせる為に野原一家に協力する。カスカベから来たと言っていたが、本当は映画の中の人物。
もし、しんのすけ達に真実を教えていたらショックを受けて映画を終わらせるのを躊躇するだろうから、カスカベから来たとウソを言ったのだろう。
劇場版ヒロインの中ではトッペマ・マペット、貫庭玉サキと共にトップクラスの人気を誇る。
基本的にななこおねえさん以外、女性を恋愛対象として見ていないしんのすけがななこおねえさんを捨ててまで、結婚を前提にお付き合いしようとした程にガチ恋した唯一のキャラでもある。(しんのすけの好む女子高生以上の年齢のお姉さんでも無く、巨乳でも無いので、この展開は本当に異色である。)

▽オケガワ博士 声:長嶝高士
映画の中の人物で、研究者。定期的に引きずり回され、時間の概念のない町の時計がわりになっていた。ジャスティスを倒す為の道具を開発していた。野原一家に協力する。

▽ジャスティス・ラブ 声:小林清志
本作の悪役。ジャスティスシティの知事で、「町のルールは正義だけ(=住人を罰するも殺すも全て自分の気分次第)」という謳い文句を掲げ、傍若無人な悪政を行っていた。
老若男女問わず暴力を振るい、退屈凌ぎに他人を煽て上げ小馬鹿にする*1など悪辣な性格の持ち主。大なり小なりコミカルな部分が散見されるクレしん映画の悪役では珍しい、一切可愛げのない根っからの極悪人である。その反動か、最後の最後に凄まじい顔芸を見せた。
一方で無法地帯で支配者に君臨するに相応しい、突出した戦闘能力の持ち主。鞭の名手で、拳銃を持った3人相手の決闘を居合いの如き鞭の早抜きで制するほど。また頑丈さも異常で、超人的膂力を持つカスカベボーイズの攻撃もまるで意に介していない様子だった。
自分たちの世界である映画を終わらないようにしており「この映画の主役は俺だ!既に完結しているのだ!」と自信満々に言い放つが……?

▽クリス 声:小林修
列車戦でしんのすけ達に味方したガンマン。七人の中のリーダー格。マグナムを使う。しんのすけに椿の保護を任される。
途中で顔面を殴られ一時ダウンしたが、最後まで生き残った。

▽ヴィン 声:内海賢二
列車戦でしんのすけ達に味方したガンマン。拳銃とライフルの二丁持ちで戦う。しんのすけの事を相棒と言った。最後まで生き残った。

▽オライリー 声:大塚周夫
列車戦でしんのすけ達に味方したガンマン。ライフルを使う。しんのすけに思う存分暴れろと言った。「荒野の七人」では途中で死ぬが、本作では最後まで生き残った。

▽ブリット、チコ、リー、ハリー・ラック
列車戦でしんのすけ達に味方したガンマンたち。ブリットはナイフ投げの名手。途中で4人とも列車から落とされる。

▽変な顔の男 声:宝亀克寿
ひろしの顔を見るなり「おめーのツラ気にくわねー」というわけのわからん理由で因縁を付けてくるなど、やたらと一家などに絡む悪役。終盤風間くんをひき殺そうとしたが覚醒したカスカベボーイズに車ごと吹っ飛ばされて退場。いやこれが役名なんですマジで。
モデルはクラウス・キンスキーだろうか?

▽ジャスティスロボ
ジャスティスが列車戦で操縦した巨大なロボット。巨大鞭やマシンガン、ダイナマイトなどが仕込んである。途中で飛行能力も得る、かなりのハイスペック。
動力はおそらく天然ガス。カスカベボーイズ化したしんのすけ達を追い詰めるもパワーアップしたカスカベボーイズに破壊される。

▽カスカベボーイズ
桶川博士の作ったヒーローになれるパンツで変身した姿。元ネタはスーパー戦隊物と思われる。

◇野原しんのすけ
ベージュのコートを着て青いマフラーをしている。武器はカンチョー。変身後は1番シンプル。パワーアップ後は赤い翼が生える*2

◇風間トオル
緑のステージ衣装にシルクハットを被っている。武器はシルクハット。パワーアップ後は水色の翼が生える。

◇佐藤マサオ
イエローハットに電飾付きの服。唯一武器を持たずに体術で戦う。パワーアップ後は緑色の翼が生える。

◇桜田ネネ
ウェーブのかかったロングヘアーにドレス。武器はスタンドウサギ。パワーアップ後は黄色の翼が生える。

◇ボーちゃん
モヒカン。武器は鼻水。パワーアップ後は紫色の翼が生える。

▽NO PLAN
カスカベ座で歌の練習をしていたら映画の世界に引き込まれた。
ウッチャン(内村光良)はしんのすけにナンチャン(南原清隆)と間違えられてキレていた。



【補足】


クレヨンしんちゃんの映画では初のカスカベ防衛隊にスポットを当てた作品で、いつもは敵に捕まったり離脱したりで途中退場する彼らが最後まで主役級の活躍をする。
従来の映画の家族愛よりも友情がメインで一度記憶を失ってバラバラになった彼らが再び集結し、結束して敵を倒すというコンセプトになっている。

その為、みさえやひろし、ひまわり達野原一家の活躍は控えめになっている。
また暴力シーンが多く、問題視される事があると同時に敵役が珍しく極悪でもありコミカルな悪役は皆無と言っていい。


余談だがカスカベからきた人達と、映画の中の登場人物とで絵のタッチが違っている。EDでは特にそれが顕著に現れている。
つばきも例外ではないため勘の鋭い視聴者は彼女の正体に気付いたかもしれない。

列車戦でしんのすけ達に味方したクリスら7人のガンマンは、実際に映画公開された西部劇『荒野の七人』の登場人物。
声優も当時吹き替えを担当していた人と同じという熱の入れよう。
ちなみにジャスティス役の小林清志も『荒野の七人』においてブリット役で参加している。

また本作では監督の水島努が後に自身のブログで裏設定について綴っており
  • Q.登場人物はみんな横文字なのになんでつばきだけ日本語?
    • A.本当は「つばき(仮)」でしたが特に良い名前が見つからずそのまま採用されました。
  • Q.どうして誰もいない映画館で、完成されていない映画がずーっと放映されていて、どうしてその中へ吸い込まれてしまったのでしょうか
    • A.未完成の映画そのものに意志があったからです。未完成の映画は、完成してもらいたくて、人々を呼び込みました。
  • Q.しんのすけ達が取り込まれるあの西部劇の映画は、いつごろ撮影されたという設定なのでしょうか。
    • A.劇中内の西部劇の映画は、バブル時代(80年後半~90年頭)の頃、製作されました。そして製作が(おそらくバブル崩壊によって)頓挫しました。カスカベボーイズが2004年のお話なので、12~18年くらい経っているという感じです。
  • Q.ラストのひろしが振り返るシーンには何か意図があっての演出ですか?
    • A.はっきりした意図はありません。例えば東京タワーに登って、その後降りてきて、「さっきまであんな高いところにいたんだなあ」と、さっきまでいた場所を見上げる感じです。
と解説されている。

ゲスト参加は前述の通り芸人歌手ユニットの「NO PLAN」。
NO PLANの歌う今作の主題歌「○あげよう」は、
幼いころ夢に描いていたような輝く人にも、父親のような立派な人間にもなれてない、妻子あるのに子供っぽさも抜けきらないけれど、それなりに毎日頑張ってる自分にも○あげよう=褒めてあげようという、ひろし的な今どきの父親に向けたエールを、静かなメロディでメンバーが歌いあげている。元々本業の歌手ではないのでお世辞にも歌唱力が高いとは言えないが、それがかえって味になっているとの声もある。

エンディングでスタッフロールの流れる中、しんのすけとつばきが楽しそうに踊るというエンディングでこの歌が流れるため、思わず子供の前で泣きそうになったお父さん方も多いのではないだろうか。
ちなみに前述のブログでもこの場面に触れられており、とある理由で劇中ずっと裸足だったつばきがエンディングだけは靴を履いていている。

そんなわけで映画クレしんでも屈指の名曲といわれる。



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追記しなくてもwikiはwikiさ
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最終更新:2024年03月04日 12:09

*1 作中の被害者はみさえと風間

*2 グレートマジンガーのスクランブルダッシュに似ている