クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦

登録日:2010/05/22(土) 01:07:58
更新日:2024/03/12 Tue 22:25:46
所要時間:約 11 分で読めます






このおバカ、恐るべし


『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』とは、1998年に公開された映画クレヨンしんちゃんシリーズ第6作。



原恵一の映画クレヨンしんちゃん監督作品第2弾。敵味方ともにキャラの濃いゲストキャラクターと野原家とかすかべ防衛隊の全員の見せ場を両立させ、華麗なアクションと起承転結に優れた名作。
今作の映画はある意味ではぶりぶりざえもんが主人公である。

当時原監督が『新世紀エヴァンゲリオン』にハマっていたようで、ブタのヒヅメの雰囲気がNERVを彷彿とさせたり、ゲストキャラクターにミサトさん役の声優加地さん役の声優がキャスティングされていたりする。
明らかにシュワちゃんオマージュである筋肉と、マウスの配役は『コマンドー』ネタと言われていたり。




【あらすじ】


屋形船でふたば幼稚園の園児達と先生が宴会をしている最中、秘密組織SMLの一員、コードネーム「お色気」と名乗る女が上がり込んできた。
困惑する一同をよそに、巨大飛行船が屋形船をわしづかみにして連れ去ってしまう。
その中にはしんのすけたち5人の園児と「お色気」だけが残されており、飛行船に拐われてしまった。

屋形船大破のニュースを見て絶望したみさえとひろしの前に、SMLに所属するコードネーム「筋肉」を名乗る男性が現れた。
「筋肉」に事情は言えないがしんのすけたちは生きており、連れて帰るから待っているようにと聞かされたみさえとひろしは無理矢理ついていこうとするが、取り残されてしまう。
しかしみさえは「筋肉」の持ち物から香港に手掛かりがあると推測し、ひまわりとひろしを連れてしんのすけを助ける為に出発する。



【登場人物】


野原しんのすけ(声:矢島晶子
お馴染みスーパー5歳児。今作では船内の中で長時間トイレに行ってたためかすかべ防衛隊ごとブタのヒヅメに攫われてしまった。ある意味では全ての発端。
ブタのヒヅメに対しても全く動じなかったり、お色気の狙いを察してフォローするナイスプレーが見られる。
バレルの銃撃(拳銃→二丁拳銃→マシンガン)を反射、コサックダンス、半ケツ踊りで回避するという神回避を披露。すげえなこの5歳児。


野原ひろし(声:藤原啓治
スーパーサラリーマン。
攫われたしんのすけを追い、みさえとひまわりと共に海外に出発する。今回、初めて映画で靴を武器として使った。
筋肉のムチャ振りで飛行機を操縦させられた。


野原みさえ(声:ならはしみき)
スーパー主婦。
子供の為ならなんだってすると豪語。下剤混入もするし関取にもなる。
筋肉の所持していた英語で書かれた極秘資料から目的地を短時間で見抜き、すぐさま中国へ出発するなど、抜群の行動力を見せる。


野原ひまわり(声:こおろぎさとみ)
スーパー赤ちゃん。
高所から海へ落下しても笑っている鉄メンタルの持ち主。キーボードの上を難なく高速移動する。そのおかげでぶりぶりざえもんが改心するまでの時間を稼ぐことができた。


◇風間トオル(声:真柴摩利)
おなじみの優等生。しんのすけとの性的関係を疑われ、バレルにドン引かれた。
悪の組織に攫われたり幼稚園児だけで野宿を迫られた状況でも理性的に振る舞っており、今作では渋々ながらしんのすけの図太さを認めていた。
ブタのヒヅメを怖がっていたが、最後には防衛隊全員で団員を攻撃し、コンピューターウィルスのぶりぶりざえもんと対話するしんのすけの盾になる。


◇佐藤マサオ(声:一龍斎貞友)
泣き虫おにぎり。
走るのが苦手なため脱出で出遅れ、ボーちゃんに助けてもらった。
防衛隊で野宿した際、異常事態でふざけるしんのすけの図太さを羨ましいと言っていた。
ブタのヒヅメを怖がっていたが、最後には防衛隊全員で団員を攻撃し、ぶりぶりざえもんと対話するしんのすけの盾になる。


◇桜田ネネ(声:林玉緒)
おませの女児。この辺りから映画でも殴られウサギを殴るようになる。
今回のゲスト芸能人のIZAMのファン。
ブタのヒヅメに怯えていたが、最後は防衛隊全員で団員を攻撃し、ぶりぶりざえもんと対話するしんのすけの盾になる。


◇ボーちゃん(声:佐藤智恵)
野原に不時着したり、夜空を見上げる際に流石の貫禄と有能さを見せた。他にも、風間くんの解説を補足する形で「サイバーテロ」と言い当て、しんのすけたちに感心された。
さすがにブタのヒヅメには怯えていたが、最後は防衛隊全員で団員やママを攻撃し、ぶりぶりざえもんと対話するしんのすけの盾になる。


よくよく考えると、かすかべ防衛隊の4人はトイレにいるしんのすけを無視して屋形船から脱出、または一言言ってから脱出する事も本来は可能だったりする。*1


吉永みどり(声:高田由美)
まつざか梅(声:富沢美智恵)
高倉文太(声:納谷六朗)
ご存じふたば幼稚園職員達。今回は序盤のみの登場。吉永先生は酔った勢いでカラオケを歌い子供達をビビらせるまつざか先生を止めた(ちなみにまつざか先生が歌ったのは中島みゆきの曲の一つ「ひとり上手」)。組長先生はお色気というコードネームを聞いてニヤッとしていた。
ブタのヒヅメが屋形船を襲った際は速やかに園児達を脱出させ、自分たちもすぐに脱出したので難を逃れたが、吉永先生はしんのすけ達かすかべ防衛隊が脱出していないことに気づき顔を青ざめていた。
エンディングでは元気に幼稚園に再び顔を見せたしんのすけ達を泣きながら出迎えており、恐らく先生達もみさえやひろし達と同じくらいにしんのすけ達の安否が気がかりだったのだろう。



◆SML
世界の平和を守る秘密組織。アメリカのニューヨークに本部がある。
組織の名前は「正義の味方・ラブ (Seigino Mikata Love)」の略であり、みさえに「なんで日本語と英語が混じってんだよ!」とツッコミを受けた。
決して服のサイズではない。


◇お色気(声:三石琴乃
SMLのエージェントで、男性を尻に敷くタイプ(本人曰く男性に尽くす)であり、銃は下品で嫌い。
しんのすけにかすかべ防衛隊の補欠隊員に任命される。
ボディスーツを着てクレしん映画でも有数の巨乳を揺らすけしからん雌。構想ではハイレグだった。
お尻も中々のもので、筋金入りの尻フェチである大袋博士を唸らせた。
脱出装置にしんのすけたちを乗せて救助しようとしたが、筋肉が現れたため計画の変更を余儀なくされる。
身も心もタフな女で、ブタのヒヅメ本部に拘束され、マウスの拷問を受けても一切情報を漏らさない。
ママとは二度に渡って格闘戦による死闘を演じる。
実は屋形船から最終決戦までほとんど休憩を摂っておらず、連戦に次ぐ連戦だったが、精神的拷問、複数のモブとの戦い、さらにママとの決戦とハードな戦いをくぐり抜けた。

バツイチ子持ちで、筋肉は元夫。離婚の原因は筋肉の浮気である。
息子の名前はセイギ(声:佐藤ゆうこ)。

ちなみに三石女史は、同年から上尾ますみ役でクレしんレギュラーに加わることになる。

◇筋肉(声:玄田哲章
SMLのエージェントで、声もキャラもシュワちゃんっぽい巨漢。
前作のヘクソンを親しみやすくしたような雰囲気を持つ。
コードネーム通りのマッチョで、冷静沈着だが筋肉バカの気がある。
銃器や爆弾の扱いに優れているが、実際は殴り合いの方が好き。

何故か事情は隠したまましんのすけの生存だけをひろしとみさえに伝えに現れる。他の4人の家も順に回っていた模様。
2人を連れて行くわけにはいかないが必ずしんのすけを連れて帰るとクールに……
去ろうとするもみさえに下剤を盛られて同行させるよう脅迫され、トイレを巡る壮絶な攻防を見せる。
「馬鹿め、正義の味方がクソなど漏らすかァァァァァァ!」

しかしそんな契約もなかった事にし、追いかけてきたひろしとみさえを日本に帰そうとしたが、自身も子持ち故に熱意に押し負けて同行を許す。
ひろしに「うんこたれ」と言われ、「トイレでした」と訂正した。

妻と別れて息子に会わせてもらえないのを寂しがっている。そのため、息子の身を案じて形振り構わない行動をするひろしとみさえに内心では同情・共感していた。
その元妻こそが実はお色気。ママに離婚の理由を聞かれた際、お色気に「浮気したのよそいつ!」と暴露された。
みさえ「正義の味方の癖に…」
ただ復縁こそしていないものの、任務のパートナーとしては引き続き良好な関係を維持している。
中の人はアクション仮面。

ぶりぶりざえもん(声:塩沢兼人
本作のもうひとりの主役。

しんのすけの落書きを拾った大袋博士に生み出されたコンピューターウィルスで、独自の意思を持ち現実世界にも出られる電子生命体。

しんのすけの描いた「救いのヒーローぶりぶりざえもん」をモデルとして作られた。
かなり高慢な性格だが、マウスに「私の尻を舐めろ」と言ってオナラを嗅がせるなどおちょくったり、ちんちんの大きさにこだわったりとしんのすけに言動が似ている。

自分が生まれた意味であるコンピューターウィルスとして世界を恐怖で支配しようとしていたが、しんのすけに救いのヒーローとしての生き方を教えられて改心する。
しかし大袋博士にワクチンソフトを使われてしまい、しんのすけと博士に見守られて安らかに消滅した。

その後、助けを求めるしんのすけの声に応えて……。

スーパーパワーを紹介した自作のご機嫌なイメージビデオ『電撃!ぶりぶり大作戦・予告編』で使われている楽曲は、オーティス・レディングのI Can't Turn You Loose(映画『ブルース・ブラザーズ』のテーマとして知られる)がモチーフになっている。
イメージビデオでトンカツ屋に入りトンカツを出されて逆ギレし、店を爆破した。

次回作ではチョイ役であり、劇場版での塩沢氏演じるぶりぶりざえもんのまともな出番は本作が最後。


◆ブタのヒヅメ
サイバーテロによる世界征服を企む秘密結社。

◇マウス(声:石田太郎)
ブタのヒヅメのボスで、スキンヘッドと眼鏡が特徴の中年男性。ワイシャツにネクタイ姿と、悪の親玉にしては地味な格好。
スティーブ・ジョブズにそっくりであり、なんとなく碇ゲンドウにも似ている。

ちなみに声を担当した石田氏はカリオストロ伯爵の声も担当している。

口を割らないお色気を拷問したり、しんのすけ達を人質に取ったりするなど冷酷な性格であり、子供が嫌い。しかし説明や自己紹介はちゃんとする。
ぶりぶりざえもんを下品な豚と嫌っているが、自身の野望に利用するため仕方なくおだてている。

計画が破綻すると、部下やしんのすけ達を巻き添えに自爆しようとした。
両手足を使ったキーボードの全身入力は神技である。 


バレル(声:山寺宏一
ブタのヒヅメの幹部で、銃の扱いに長けた長髪ホスト風の二枚目であり、幹部の中では頭脳派。
キザな悪党を気取っているが、実は短足でしんのすけに身長7cmアップのシークレットシューズを履いている事をバラされたり、ノリの良さが発覚してしんのすけにおちょくられ、逆ギレして銃を撃ちまくったが、しんのすけに全弾回避されてしまった。

子供にも銃を向ける冷酷な性格だが、シークレットシューズがなければ何もできない。
かすかべ防衛隊にシークレットシューズを脱がされた途端戦意喪失した。


ママ(声:松島みのり)
ブタのヒヅメの幹部で、筋肉隆々の女でかなりの脳筋。
お色気曰く女ゴリラであり、しんのすけによるとかわいい顔をしているらしい。
子供であるしんのすけ達にはわりと優しいが、女のお色気には一切容赦しない。
コードネームのママに反し、子供を生んで育てた事なんかないと発言している。

作中最強の戦闘力の持ち主で、お色気をボコボコにして拷問送りにしたり、筋肉にも剛腕パンチやベアハッグを駆使し優勢だった。
フライパンを持ち出したお色気に敗れ、最後はお色気の踵落としで昏倒した。
他の二人の幹部と比べ、しょーもない弱点は一切ない。


ブレード(声:速水奨
ブタのヒヅメの幹部で、爬虫類顔の男性。
全身に暗器を仕込んだ刃物のエキスパートで、飛んで来た銃弾を全てかわすほど俊敏。
普段は無表情で寡黙だが、ダジャレ好き。
しかしそのセンスは極めて独特であり、筋肉達のダジャレには全く反応しなかったが、自分で言ったクソ寒いダジャレに爆笑した隙に倒された。

前作のヘクソンが読心能力も合わせて銃弾を回避したのに対し、こちらは素の身体能力のみでマシンガンを回避しながら接近する。
しかも全身に暗器を仕込んだ状態でその動きができるため、ダジャレの弱点さえなければおそらく劇場版キャラ最強候補の1人。


◇大袋博士(声:滝口順平)
尻フェチの天才科学者。
偶然野原家の近くを通りかかった際にしんのすけの描いたぶりぶりざえもんの絵を拾い、それからインスピレーションを受けてコンピューターウイルスのぶりぶりざえもんを作った。
スリッパこそが人類最大の発明と考えており、常にスリッパを履いている。
SMLのデータによれば、1925年4月1日北海道千歳市生まれの73歳。東京大学・マサチューセッツ工科大学(MIT)・ニューヨーク工科大学(NYIT)卒業。

元々は個人的な研究で電子生命体を作っていたが、それを嗅ぎつけたブタのヒヅメによって雇われる形となった。
ついでに、世界中の衛星をハッキング出来るほどの性能を持つスーパーコンピューターまで作っている(マウス曰く「世界最高の演算能力」)。

ブタのヒヅメがどういう組織で、何のために研究を援助したのかは興味が無いという無頓着な性格。
……が、実のところ「悪用される可能性」については見越していたらしく、前述のスパコンに自分用のインターフェースを隠していたほか、秘密裏にワクチンソフトを作成し肌身離さず隠し持つなど、雰囲気とは裏腹に中々の食わせ者。
最後は自らの手でぶりぶりざえもんを抹消した。
事件解決後はSMLに入ったのか、お色気・筋肉と共に仕事をしている。お色気のお尻の型をしっかり入手しているちゃっかりもの(筋肉は激怒。)。


◇アンジェラ青梅(声:増岡弘)
大袋博士の助手でバーコードハゲのオカマ。顔の輪郭がしんのすけと似ている。12の時から目覚めたらしい。

SMLのデータによれば、1956年12月25日長野県波田町生まれの41歳。みすずがおか高校卒業(出身地からすると「長野県松本美須々ヶ丘高等学校」の可能性が高い)。

ブタのヒヅメについては博士同様無頓着。
ひろしに一目惚れし、キスしてくれるならと協力を約束する。
SHAZNAのファン。

余談だが演出担当の水島努氏が千歳市出身、波田町育ち、松本美須々ヶ丘高等学校卒業。つまり内輪ネタである。
中の人は北春日部博士。

♦臼井儀人(声:臼井儀人)
お馴染みのチョイ役漫画家。冒頭の屋台船でクリスタルキングの「大都会」を熱唱する。好きなタイプは「SPEED(全員)」。
別の屋台船で「大都会」を熱唱。その後アジアカラオケ選手権会場を探して香港まで出向いてきた。
みさえとひろしに場所を聞くがそれ所ではなかったみさえにグーパンで殴られる。(前作ではひろしにグーパンで殴られた)

\「あのすいませーん!アジアカラオケ選手権の会場は?ねぇ?おばさーん! 」/


◆IZAM(声:IZAM)
SHAZNAのボーカルであり、青梅が操作するホログラムとして本人役で登場。
美しさに女も男も関係ない。

今作の主題歌「PURENESS」を歌っている。
こちらも神曲と名高い。



◇レースクイーン(声:引田有美)
道端で泣いていたおねいさんその1。
赤いハイレグ水着が似合うナイスバディなおねいさん。
ハイヒールのかかとが取れてしまい、ぶりぶりざえもんが溶接で修理。
お礼にF1のチケットをくれた。


◇OL
道端で泣いていたおねいさんその2。
山道にドカンと置かれたコピー機が壊れてしまい、ぶりぶりざえもんが見たもののただの紙詰まりだった。
お礼に居酒屋のドリンク無料券をくれた。


◇女の子
お腹が痛くて道端で泣いていた幼女。
お礼の品を何も持っていないというので当初はぶりざえにスルーされる。
放っておけなかったぶりぶりざえもんは薬屋のおやじに先程のチケットと無料券を胃薬と交換し、女の子に渡した。
その後、頂上に登り詰めたぶりぶりざえもんはF1チケットやドリンク無料券を失ったものの、心にはたくさんの宝物が詰まっていたことに気がつく。

でめたしでめたし。




バカ。こういう時は嘘でも追記・修正するって言うもんだ……

……じゃあな

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最終更新:2024年03月12日 22:25

*1 のちに公開された劇場版ではしんのすけを裏切っている。