クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード

登録日:2010/06/02 Wed 20:39:50
更新日:2024/03/23 Sat 15:28:36
所要時間:約 6 分で読めます






走れしんのすけ!のはら一家が指名手配?


2003年に公開された映画クレヨンしんちゃんシリーズの第11作。キャッチコピーは『走れしんのすけ!のはら一家が指名手配?』
主題歌は、のはら家オールスターズが歌う「こんな時こそ焼肉がある」。




監督が水島努へと交代。
『クレヨンしんちゃん』らしくギャグ全開の作品で、終始ギャグパートである。
劇場版では今作からデジタル製作に移行となる。(テレビアニメ版は2002年6月15日に完全移行済み)

オトナ帝国』『アッパレ!戦国』とシリアス系が続いた後のギャグ全開な為、否定的な声も割とあったりするが、
逆にギャグこそがクレヨンしんちゃん本来の姿でもある事、それなりに感動するシーンもある事、過去作へのリスペクトともいえるシーンなどがある事から支持する人も少なくない(前二作よりも好きだというファンも結構見られる)。
殊更、中盤の焼肉に思いを馳せる時のリアル調のひろしやひまわりやシロ、少女漫画風美少女のようなみさえ、金髪イケメン少年と化すしんのすけの姿は語り草。
実際、前二作の雰囲気から従来通りの雰囲気に戻すというのも相当勇気がいる判断だったことは想像に難くない。
また、序盤の野原家が指名手配をされてからの周りの対応などの描写は歴代映画でも相当歪んでいて怖い描写という声もある。
全体的にみると良くも悪くもクレヨンしんちゃんの原点に戻った映画と言える。

ちなみに歴代クレしん映画の中でもトップクラスに作中経過時間が短い(その日の朝から夜まで、僅か十数時間)。



【あらすじ】


朝からご機嫌斜めのしんのすけ、ひろし、ひまわり、シロ。その理由は手抜きレベルではない朝食*1だった。
あまりの酷さに批難しまくるひろし達を納得させる為、みさえはある物を見せる。
なんとそれは――見ただけで涎が溢れてしまいそうな超高級焼肉!
それを見てしんのすけ達は納得し、やっと朝食を食べようとする野原家。しかしそんな彼らの前に、塀を壊して一台の車が現れる。
車から出てきた白衣の男は「悪い奴らに追われている」と言って助けを求めた。
更にそこへ堂ヶ島と名乗る謎の男が登場。
捜し物が野原家に託された事を知った堂ヶ島は、白衣の男を気絶させ、野原家に同行を求める。
危機を察した野原家は高級焼肉を置いたまま家を飛び出すが、無実の罪を当て付けられ、堂ヶ島達だけでなく春日部を始めとする周囲の人々にも追われる羽目となってしまう。

逃走中に敵組織「スウィートボーイズ」のアジトが熱海にある事を知った一家は、散り散りになりながらも熱海へと向かう。

面倒事を全て終わらせて――皆で焼き肉を食べる為に。



【登場人物】


野原しんのすけ(声:矢島晶子
嵐を呼ぶ幼稚園児。罪状は幼児変態罪。
愛しのななこおねいさんからは「ごめんなさい!」と拒絶され(ちなみに現実でななこおねいさんに嫌われるのはこの映画で初となった)、アクション仮面からも「とんでもないハレンチな奴だ」「悪の手先」「こいつを野放しにしていては地球の平和はありえない!」と罪人扱いされ、心に深い傷を負う。
逃走中にかすかべ防衛隊に裏切られ捕まるも、心を入れ換えたかすかべ防衛隊に救出され、風間くんのマウンテンバイクで熱海へ向かう。
補助輪が取れたばかりなのにプロ顔負けのアクロバットを披露する5歳児。リアルでは何故か金髪になった。
なお、春日部⇔熱海間は道路沿いに行くとおよそ 150km 。昼過ぎから夕方にかけて移動していたので、恐らく平均時速30kmぐらいは出していたものと思われる。末恐ろしい園児である。
終盤で熱海サイ子を装着し、「スウィートボーイズのボスはまじめな性格となる」、「スウィートボーイズは観光ホテルとして再建される」、「熱海サイ子は初めから存在しなかった」という暗示をかけた事で、野原家が凶悪犯であった事実と日本の人々達の記憶を抹消した(もちろんななこおねいさんとアクション仮面もしんのすけを嫌った記憶は消されている)。

野原みさえ(声:ならはしみき)
しんのすけの母親。罪状は年齢詐称(おそらく、周囲に「おばさん」呼ばわりされている為である)。
逃走中に男装する。
敵から奪ったセグウェイに乗っていたが、途中で海に放り出されバタフライで熱海に向かう事になる。海から出てくる様子はさながら海坊主。
地下道で挟まり、しんのすけのカンチョーを喰らった時の顔は必見。
なお、親友であるおケイ(本田ケイ子)は登場しないが*2、もし登場していたら彼女から拒絶され、しんのすけとひろしと同じく深い傷を負ったかもしれない。

野原ひろし(声:藤原啓治
しんのすけの父親。罪状は異臭物陳列罪。
罪人扱いされた為、双葉商事をクビになり、さらには父の銀の介までも同罪・共犯で逮捕されてしまう*3逃走中に女装する。
途中でヒッチハイクしたトラックの運転手に惚れられる。ひまわり、シロと共に走って熱海に向かう。
ついでに「藤原ケージ」なる人の選挙カーが登場したりする。
終盤で熱海サイ子を装着したしんのすけにより、双葉商事のクビは何事もなく帳消しにされた(もちろん双葉商事の関係者達もひろしを嫌った記憶は消されている)。
ただ、父の銀の介はどうなったかは不明だが、おそらく記憶を消された秋田の警察官によって解放された様である。

◇野原ひまわり(声:こおろぎさとみ)
しんのすけの妹。罪状は結婚詐欺。
ひろし、シロと共に熱海に向かう。二足歩行では最速。
終盤で『キムチ』と喋る。

◇シロ(声:真柴摩利)
野原家の飼い犬。罪状は集団暴走行為及び飲酒運転。
前作で犬小屋の屋根を壊され涙する羽目になったが、今回は愛用のフードボウルを破壊され2作連続で涙する羽目になる。
ひろし、ひまわりと共に走って熱海に向かう。二足歩行では最速。
朝ご飯は一番酷く海苔一枚であった。


◇風間トオル(声:真柴摩利)
一度はしんのすけを裏切るが仲間と共に再びしんのすけに協力する。
中盤、しんのすけにマウンテンバイクを預ける。


◇佐藤マサオ(声:一龍斎貞友)
一度はしんのすけを裏切るが仲間と共に再びしんのすけに協力する。密告を主導したためか、普段は大らかなしんのすけも流石に頭に来たらしく「裏切りオニギリ」、「裏切り大臣」と呼び、白い目で見られてしまう。
一輪車で移動する。汚名返上の為ジェットコースターで敵に特攻したが、犬死にだった。部屋の中に隠れているスウィートボーイズにゴーサインを出した際の悪人顔は必見。よく見るとゴーサインを出す前に一度だけ首を振って「まだ動くな」と制止している。しんのすけが完全に油断したところで仕掛けるという策士ぶりも見せた。


◇桜田ネネ(声:林玉緒)
一度はしんのすけを裏切るが仲間と共に再びしんのすけに協力する。
ジェットコースターでウサギを武器に戦った。ローラースケートで移動する。


◇ボーちゃん(声:佐藤智恵)
一度はしんのすけを裏切るが仲間と共に再びしんのすけに協力する。
持ち前の知識でメンバーを率いる。


◇トラックドライバー(声:真殿光昭
正確にオカマではない恋に性別は関係ないグローバルな人。ひろしに惚れている。かなりの運転テクニックの持ち主。野原家の事情を聞いた際は「変態どもがっ!!」とスウィートボーイズに怒りを露わにするなど変人だが良い人。
中盤、野原家を追ってきた下田部隊と交戦する。終盤、ひろしを追って熱海までやって来る。協力した時間が僅かとはいえ本作オリジナルキャラの中では唯一の野原家の味方。
ラストで野原一家とすれ違うも、熱海サイ子の力で今回の騒動の記憶を全て消されていたためひろしに反応することはなかった。
「助けにきたぞ……オレのひろし!」


◇白衣の男(声:石丸博也)
野原家の塀を車で破壊した変な顔の男。野原家にある物を託す。
実はスウィートボーイズのボスの兄。厳密には協力者ではなく、元凶の1人。


◇堂ヶ島少佐(声:徳弘夏生)
スウィートボーイズ幹部。帽子にグラサンをした男。
白衣の男を追って野原家に土足で上がり込む。肉を好む。デパートの屋上にヘリを着陸させたり、野原一家に無実の罪を着せるなど結構無茶苦茶する。
しかし最後は追走劇の果てに「お前達のガッツは称賛に値する」と野原一家を認めて下田と共に手を引いた。
その後は熱海サイ子の力でぶりぶりざえもんとなった姿で部下達と共にナイトサーフィンに興じているシーンが描かれた。

尚、彼を含めスウィートボーイズの面々の名前はいずれも伊豆の地名に由来している。


◇下田長九朗(声:江原正士)
スウィートボーイズ幹部。眼鏡をかけたメタボ体型の中年男性。セグウェイを使用する。「~でしょでしょ?」が口癖。
話し始めるとやたらと長くなる。スナックに通っているが、既婚者。
終盤で堂ヶ島少佐と共に野原一家に対する負けを認め、迎えに来た妻の車で帰っていった。
その後はぶりぶりざえもんの姿で妻に仕事の愚痴を陽気に話しながら弁当を食べていた。


◇天城(声:皆川純子)
スウィートボーイズ幹部。真面目な性格で任務に忠実だが詰めの甘さも目立つ。堂ヶ島少佐に想いを寄せている。カマキリ自転車を使用する。
Aカップの貧乳で、しんのすけ曰くおばさんの履くベージュ色のパンツを履いており、それを理由にしんのすけからおばさんと呼ばれる。
野原一家に部下を全滅させられても彼らを認めず、拳銃を用いてまで実力行使で野原家を追いつめようとする。しかし、堂ヶ島少佐から怒りの平手打ちを受け、「ここは戦場じゃない!」と叱責されてようやく諦めた。
実は堂ヶ島少佐に片思いしており、その際に乗じて彼に自らの思いを告げようとしたが、彼が妻子持ちであることを知って涙する。
その後はぶりぶりざえもんの姿で堤防にて一人で切なそうに佇んでいた。


ボス(声:石塚運昇
スウィートボーイズのボス。古代ローマ風の服装をしている。自称「伊豆半島一の汗っかき」。ミュージカル好き。実は白衣の男の弟。


◇埼玉のタマちゃん(声:こおろぎさとみ)
「アゥ! アゥ!」。ひまわりと声が似てるので間違えた際、怒ったひろしに八つ当たりされそうになるが普通に湖に返された。
終盤では熱海まで来ていたようである。元ネタはおそらく当時話題になっていた多摩川のタマちゃん。
ひろし「海に帰れ、バカヤロー!!!」



追記・修正は貧相な朝食に怒ってからお願いします

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最終更新:2024年03月23日 15:28

*1 小盛りの白米、具無しの味噌汁、ひじきらしきおかずがほんの少し。ひまわりの離乳食は一口食べたらお終いの量であり、シロに至っては海苔1枚である。最悪ひろしは駅のコンビニでおにぎりやパンを買って補う事は出来るが、しんのすけ、ひまわり、シロにとっては死活問題である。

*2 映画では12年後の『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』が初登場となる。

*3 みさえもこのニュースを見て、今頃熊本の実家も同じ状況になっていると確信し落胆していた。