エンマ(漫画)

登録日 :2011/11/05(土) 21:15:33
更新日 : 2016/10/18 Tue 18:36:12
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時代を駆け 場所を超え

善きも悪しきも 老いも若きも

尽きせぬ業を裁くため

少女は冥府より現れる


『エンマ』はののやまさきによる漫画。原作は土屋計。月刊少年ライバルで2008年5月号〜2010年12月号にかけて連載された。単行本は全8巻。


【あらすじ】
地獄――冥府。そこでは人界で無駄な殺生が増えすぎた事で、閻魔王には裁ききれないほどに死者が溢れていた。
時代を駆け場所を越え、少女エンマは地獄より現れる。「無駄な殺生を引き起こし多くの死者を出す元凶」を、「無駄な殺生が引き起こされ多くの死者が出る前」に裁くため――。

基本的に一話完結のオムニバス形式で話が展開する。望む望まざるとに関わらず死をもたらす要因となってしまった人々とエンマのやりとりや、その運命に抗おうとする登場人物達の姿は必見。

さらに後半は冥府やエンマに関する伏線が張られ出し、ドラマだけでなく一本のストーリーとしても成り立っている良作と言えよう。

舞台は本当に様々であり、戦国時代の日本、切り裂きジャック、三国、古代ローマ、アケメネスとアンシャンやバビロニアなどコアな話も。


【主要登場人物】
◆エンマ
本作の主人公。「人界で起こる大量の殺生を死者が出る前に食い止める」ため、様々な時代・場所に現れ殺生の「元凶」となる人物と接触、骨を抜いて殺す事を任務としている。
少女の姿をしているが、正体は閻魔王の造った紙人形。そのため両断されたり蜂の巣にされたりした程度では死なず、他にも空を飛んだり壁をすり抜けたり色々と器用。ただし、身体が紙なので水や火には弱い。
心がなく、人間の感情も分からないが運命に抗おうとする人間達に対する好奇心は強い。任務の度、人間の心情も理解しようとはしているが……。
話毎に時代と風土にあった服装をしている。ちなみに現地調達。

◆閻魔王
冥府第五裁判所の裁判官。
冥界十王が一人。
紙人形制度を発案、エンマを使役し人間の無益な殺生を止めようとしている。ただし、可能な限り人界の秩序を守る形で関与をするようエンマを諌める場面も多い。

◆ナユタ
エンマの正体を知り、任務の先々に現れる謎の少年。人間を憎んでいるらしく、骨抜きを邪魔し人間の殺生を助長しようとする。 女装癖

◆楚江王
冥府第二裁判所裁判官。閻魔王とは何やら因縁がある模様。


【用語】
◆紙人形制度
人界での殺生が増え、死者を裁ききれなくなった閻魔王が考えた打開策。紙人形=エンマを様々な時代・場所に送り込み、「大量死の元凶」を裁き殺生を食い止めようとする制度。
対象となる人間は無益な戦争を起こそうとする権力者、連続殺人犯、伝染病の最初の患者など幅広く、時に理不尽ですらある。
説得に応じない場合はエンマがその「元凶」を 全身の骨を抜いて殺す。

◆閻魔王のお情け
思慕、愛情、尊敬など形は様々だが「骨は誰ぞその者を想う人の数だけ抜けない」。つまりその人を想う人の数だけ骨抜きの際に体内に骨が残るという事であり、骨抜きを免れる唯一の救済策でもある。



以下ネタバレ




















◆地蔵菩薩
地獄には存在し得ない仏菩薩。
エンマに瓜二つな外見をしている。

本来有力な仏菩薩は自身の浄土に暮らしているようだが、地蔵菩薩は冥府の底にある地獄の釜に常住し、地獄で刑を受けている罪人達の魂を「救済」していた。

本当ならば冥律違反であるが閻魔王は地蔵菩薩に共感しこれを黙認、擁護していた。

が、さすがに地蔵菩薩と言えど地獄の底の毒気は強すぎたのか、千年前のある日、魂が消失し抜け殻と化してしまう。

この一件が原因で、閻魔王は第一冥府裁判所から第五冥府裁判所に左遷。さらに、これまで閻魔王のために働いてきたにも関わらず第一裁判所の後継を唯一閻魔王にのみ反対され不採用となった楚江王は、逆恨みとは言え閻魔王に深い憎しみを抱くようになる。


やがて、エンマが任務を重ねる毎に「感情」を持つようになっている事を知った楚江王は、エンマの姿形と併せて一つの確信を抱く。


閻魔王が紙人形制度を通して地蔵菩薩の魂を復活させ、冥府の実権を握ろうとしているのではないか。


楚江王は閻魔王の目論みを阻み彼を冥府から追放すべく、スーホの白い馬「ナユタ」の魂を輪廻の輪から掠め取り、エンマの任務に干渉していくが……。


以下更にネタバレ




















◆皆森絵麻
人との関わりを避け、癌の母を救うために研究に没頭する天才女子学生。「癌細胞を食べるが健康体の人間に感染すると死を引き起こすナノバクテリア」を生み出してしまうため、裁きの対象となった。

皆森絵麻編の舞台は2010年日本。
エンマの最後の任務対象に当たる。


外見はエンマと瓜二つ。

その正体は エンマそのもの。 すなわち、エンマは皆森絵麻の魂が紙人形に込められた存在である。

実は紙人形制度そのものが、「大量の人間の死を食い止める」他にも 「もう一つの罪の清算」 という役割を内包している。


「地獄の刑は苛酷すぎる」
「他に魂を浄化する方法はないか」


地蔵菩薩の一件をきっかけに、そう考えた閻魔王が考えついたのがこの紙人形制度だった。

心のない紙人形に人間の魂を込め、「大勢の死を止めるために一人を殺す」任務を与える。
やがて任務を経るうち、次第に紙人形には「心」が生まれてくる。
そうなるとその任務は紙人形にとって針の筵のように辛く厳しいものになるが、それを乗り越え、罪を背負った過去の自分自身を裁く事が出来た時、その魂は地獄で刑期を終えたのと同じように全ての罪を浄化される……それが閻魔王の狙いだったのだ。


つまり、エンマと地蔵菩薩は姿形が似ているというだけで関係はない。もっとも、皆森絵麻の魂が紙人形に選ばれたのは、地蔵菩薩に似た彼女の魂を見つけた閻魔王が「彼女を地獄に落とすのは忍びない」と思ったためではあるが……。


結果、閻魔王の目論みは成功しエンマ=皆森絵麻の罪は浄化される。
最終話では、彼女が罪を裁いた罪人達が現在の社会で転生し生活している姿が描かれている。

そしてエンマもまた……。





「冥府よりエンマ罷り越した アニヲタ お前の骨貰い受ける」


追記の連鎖よ 修正と散れ

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