京急2000形電車

登録日:2012/01/10 (火) 12:06:47
更新日:2023/08/16 Wed 12:39:48
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京急2000形電車とは、京浜急行電鉄が導入した電車である。

概要

当時600形・1000形(いずれも初代)で運用されていた快速特急の置き換えを目的として導入された。

第1編成(2011~18編成)は、東急車両と川崎重工の折半で製造という異例な車両であった。以降の量産は編成毎両社単独で製造されている。

基本の制御システムは先に登場した800形と同一だが、角形ヘッドライトや両開き扉など京急で初となる機構を多数採用した。
そして、京急で初めて自動密着式連結器が取り付けられ、近年に繋がるKQクオリティの礎を築いた。
内装は先頭車の運転席後方部分を除き京急では初となる集団見合い式クロスシートを採用し、乗降扉付近には折り畳み式の補助椅子を設置した。
ちなみに当初は関西の車両のような転換クロスシートも検討されたそうだが、終着駅での折り返し操作の問題や車体の軽量化、製造費削減もありフランスの通勤電車にヒントを得てこの配置になったそうな。
運転席後方がロングシートになったのは、この部分の床にモーター用の点検蓋を設けたため。

この形式から特別塗装車も登場しており、京浜急行創立90周年記念として2011編成は「さわやかギャラリー号」、2041編成が「ファンタジックトレインみらい号」として1988年から1991年まで運用された。

1983年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

運用

1982年末から運用に入り、しばらくは1編成のみで増備がされないまま運用された。
1984年5月から本格的な増備が開始され、600形を徐々に置き換え1986年までに全車引退となった。
1985年からは4両編成の2400番台が登場し、通勤快特で12両編成での運用も登場した。

品川~横浜間では、当時国鉄の有料特急をぶち抜く光景が幾多にも見られ、
京浜東北線のホームにいる乗客からは、羨望の眼差しを受けていたという逸話まである。

京急の車両の中では加速性能が悪いが、0.5km/h/sしか差がない上、快特・特急運用では高速域での再加速が重要なのであまり問題にはならなかった。さらには1995年、品川~横浜間の最高速度を120km/hへ引き上げた際、非常ブレーキの停止距離を600m以内とするため、元の空気溜圧力を増加させた「増圧ブレーキ」改造が施工された。

ところが、1998年に後継の2100形電車がデビューした翌年、2ドア車から3ドア車への格下げ改造工事が行われた。車内も車端部を除きロングシートに改造された。これとは別に、電気連結器を改造して2000形以外の車両との連結も可能になった。塗装も優等列車用(赤い車体に窓周りが白の塗装)から一般車用(赤い車体に窓下の白い細いライン)に変更されている。
また、初代1000形・700形・800形を除く各形式と連結させるため、連結器の電気接点を変更させ他形式への連結を実現させた。

自社線内快特が泉岳寺発着に切り替えられてからは、朝夕ラッシュ時以外は8両編成は車庫にいる状況となってしまった。正面に非常脱出用の貫通扉がなかったのが運の尽きだったが、肝心の朝夕ラッシュでは、3ドア化による恩恵や120km/h対応の基本性能を生かした運用が組まれ、車端部のクロスシートも残された事で、別料金なしで座り心地の良さも体感出来た。
その後は羽田空港行のエアポート急行が創設されたため、主に新逗子発着のエアポート急行で活躍した。空港線も地下トンネルがあるが、横幅が広い山岳トンネル規格で建設されていたので問題にならなかった。
4両編成は普通電車から増結用として引退まで重宝された。

その後、2013年1月に「2000形デビュー30周年」を記念して2011編成がリバイバル塗装ということで登場当時の塗装へ戻されることとなった。
さすがにドア数まで戻すのは無理だったが、記念乗車券も発売されるなど話題になっている。
リバイバルカラー登場の1年前から廃車が始まっていたこともあり、これは京急から2000形への余命宣告であると感の鋭いファンは気づいていた。

そんな車両も時代の流れには逆らえず、2012年から廃車が発生。
4両編成は2016年までに全車引退し、翌年以降は8両編成も1000形の増備に合わせて次々と運用から外されていった。
そして2018年3月15日、2061編成の運用終了により一般塗装の車両が全車引退。
2018年3月28日、廃車回送を兼ねた品川発快特京急久里浜行の最終運用をもって最後に残ったリバイバル塗装の2011編成が退役し、2000形が全て引退した。

この引退に合わせ、2018年3月25日に特別貸切列車「ありがとう2000形」が運転された。
この際、ブルーリボン賞受賞記念ヘッドマークを模した「ありがとう2000形」のステッカーが作られ、運用終了まで取り付けられたまま使用された。

また、この2011編成は2018年1月に「賀正」の文字が入ったステッカーが取り付けられた。
同編成品川寄りの先頭車が「2018号」であることで、それに合わせて付けられた模様。

なお、この車両より早くデビューした800形より先に引退するということになってしまった…。

エピソード

  • 前面デザインは800形の採用時に没となったものをそのまま採用した。担当者曰く、これほど楽に決まったものではないと言う位即決だったそうな。
  • 都営浅草線へは乗り入れできないにも係わらず、一度だけ泉岳寺に乗り入れた。
    当形式は前面に非常口がないため、この際、東京都や国土交通省から厳重注意を食らい、記録も抹消された。ちなみに本家Wikipediaでは触れられていない。
  • 今上天皇が皇太子時代、横須賀へ視察なされた際、帰りの東京への足に、この形式が使われた。
  • ロングシート化改造時に取り外されたクロスシートは、一般に販売されたり、送迎バスやフリーゲージトレイン試験車の座席に転用されたりした。


追記・修正は電気接点を柔軟に変えられる人にお願いします。

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最終更新:2023年08月16日 12:39