アンリミテッド・サガ UNLIMITED SaGa

登録日:2009/05/26(火) 20:05:47
更新日:2023/11/16 Thu 09:43:52
所要時間:約 4 分で読めます







伝説の「“七大驚異” The Seven Wonders」
その力をすべて解放したとき、神は現れ、再び黄金時代が訪れるという。
伝説を信じる冒険者達はその謎を解き明かす為に旅立つ!




アンリミテッド・サガはスクウェア(現スクウェア・エニックス)から2002年12月19日に発売されたPlayStation2用RPG。
サガシリーズの1作で、7人の主人公の中から1人を選び、それぞれ違ったストーリーが展開される。バトルでは閃き、連携、LP制度など過去作にも登場したシステムが採用されている。


が、それ以外は斬新かつ面倒臭いリールシステム、ボードゲームのようなダンジョン探索、さらに付属のチラシ説明書のあまりの不親切さのおかげでゲーム共々ゲームディスクまでも投げる人を多数輩出した経歴を持つ。
ネタ抜きで「移動の仕方がわからず投げた」という話があるところに本作の難解さが現れている。
充分ではないが一応多少は情報が載っていて、例えば移動についてもひっそりと書かれているものの実際はスティックを押し込み続けないといけないので結局初見は戸惑う。
なおチラシ説明書は開発とは別の部署が作ったらしく、部署間の連携不足によりユーザーから満場一致で役に立たないと評される代物になったらしい。

略称:アンサガ
通称:クソゲー、フリスビー、鳥よけ
※説明書別売り(解体新書という攻略本のこと)

発売当初は発売日当日、また翌日に売る人が大量に出現。速攻値崩れを起こし、その後も300円が高い方と概ねワンコインで買えた状況が続いた。
発売から20年以上が経った2023年現在では、店頭で探すのはさすがに少々面倒で、Amazonでは3000円弱の値が付いている。……が、中古屋のネット通販を利用すれば今でも割かし簡単に格安で手に入る。
もっとも、一切移植版の無いPS2専用ソフトな為、入手しても今度はそもそも遊ぶ環境を整えるのが面倒臭いという別の罠が存在しているが。


レベルアップの概念はなく、マップでどんな行動をとったかにより得られる能力が変わる。
マップクリア後確実にパネル交換しなければならない為、狙ったパネルを出すのはなかなか難しい上、弱体化するパネルまである。

そしてようやくシステムに慣れてきたと思えばほぼ確実にルーラー様に凹まされる。

前述の通り主人公は7人。
選ぶのは自由だがキャラによって難易度は変わるため、初めての場合は主人公選びでゲームを続けられるかどうかが決まると言っても過言ではない。

間違っても

「やぁ、僕はキャッシュ。僕と一緒に冒険をしよう!」

なんて言われてもホイホイ付いていかないこと。
彼も含めてこの作品は極めて優秀なトラウマメーカーが多い。

以下トラウマ
  • 初見のルーラー様
  • 滅殺滅殺滅殺異界のオーバーキル(ルーラー様の連携)
  • レインボーグッキー(レアな敵キャラ)
  • まあこんなものだろう…(武器改造失敗)
  • 僕と一緒に(ry
  • ガダニーニの魔道板(役に立たない)
  • 術合成入手墓場ツアー(滅多に入らない)
  • マイス編ラストバトル(味方のLPが低い)
  • 隕石、隕鉄の金額と効果(役に立たない)
  • 初めてで可愛い小動物アーミック(外見に反して高難易度)
  • 小泉式トラップ(ある戦闘の結果でラストバトルの難易度変化)
  • どんな敵もLPをOにしないと死なない(例外あり)
  • 噛まれただけで減るLP(LP攻撃力が高い)


しかし本気で慣れてくると意外に面白いのでついついやってしまうスルメゲー。
やり込み、極め要素も数多くある…が、主人公7人全員をクリアするだけでも十分なやり込みであることは言うまでもない。

何気にネタ分も豊富。
頭にソックス、足に指輪など。でも全身鎧は実用性が高い。
根気さえあれば連携で「チンチンクラッシュ」など聞くだけで腹がよじれる連携も組める。

ゲーム性は慣れないとひどいが音楽のレベルは全体的に高く聞く価値があり、声優も豪華。

よく聞く評価に「攻略本という名の別売り説明書を買ってシステムを理解さえすれば良作」
というものがあるが、それでようやく最低限ゲームをできるラインに立てるだけである。
システムを把握したところで癖の有り過ぎるシステムや全体的なテンポの悪さも確かにあるため、ここで投げ出す人も決して少なくない。
無理はしない方が良いだろう…発売当時新品を買った者たちの金を返せという気持ちも痛い程分かるのだが。

全体的に製作者の良識を疑うような代物だったり致命的なバグだらけだったりするわけではないのだが、
それらとは別ベクトルでクソゲーであるのは間違いないだろう。

意外なことに本作は、サガシリーズにおいて『ロマサガ』以来敵味方間のバランスに大きな差があった部分(互いのHPや与えるダメージが桁違いになっている)に大幅な修正を入れている転換点でもある。
そのためGBサガシリーズと同じぐらいに敵味方のダメージレースが互角化しているのが特徴。
以降、リメイクではない新作においてもコンシューマ作品の戦闘バランスはこの路線が中心となっている*1


各主人公達


  • ローラ
声:井上喜久子
三十路の元海賊。
結婚を機に海賊業を引退したが、アンリとの出会いにより旅に出る。
オーソドックスな女主人公。難易度の低い初心者向きシナリオ……だが小泉式トラップが存在し、
ひっかかると難易度が段違いに跳ね上がり、ラストで多くのプレイヤーにゲームを投げさせた。
攻略本などを見てプレイするのでもなければ初回は避けた方が良いかもしれない。

  • ヴェント
声:川田紳司
荷物などを運ぶ運び屋。
運びの途中死んだ兄の死の真相を掴むべく旅に出る。
全ての町に行け無限に強化できるため、初心者向け。
仕事をサボると厳しくなるが、パッパとシナリオを進めるとどこかで地獄を見るのはほとんどの主人公共通である。
一周回って遊びつくしたプレイヤーにも好まれる。

声:猪口有佳
天才魔法少女。
鏡に閉じ込められた祖父を助けるべく旅に出る。
術の修得に必要な魔道板が密接に関わってくるが、別に術を使わなくても何ら問題はない。
術(魔道板)のシステムそのものがかなりマニアックなためである。
シナリオ自体の難易度は最も低いと言っても良く、比較的初心者向け。
なお、術にはロマンがあるが、低レベルのものならいざしらず、高レベルのものを追い求めることは狂人の域に入る。

  • アーミック
声:子安武人
のんびり屋の小動物。
雨乞いの儀式に必要なアイテムを手に入れる為に旅立つ。
アイテム集めがメインなので、最初のプレーで始めると間違いなく詰む。
本作のアイテムは、ゲームを進めることでさまざまなものが街から街へ流通し、これを数値化した「流通ランク」次第でより上等なアイテムが手に入りやすくなるのだが、アーミック編はこの流通ランクが一定以上高いことを前提として話が進むからだ。
このゲームの知識を生かして楽しむための主人公と言える。

  • キャッシュ
声:佐々木健
左腕に嵌った呪いのガントレットの秘密を解くために旅に出る元騎士。
「僕と一緒に冒険をしよう!」と誘ってくる張本人で、実際一緒に冒険すると難所を二人旅、15分ごとに強制戦闘など苦難の連続。
難所を過ぎればゴージュやプラティフィラムやエデルといった他シナリオのエースクラスの逸材が次々加入するため、難易度面は平凡程度になることが救い。

  • マイス
声:伊藤健太郎
肖像画に描かれた女性を知るために旅立つ遺物鑑定士。
主人公以外全員女という異色のハーレムパーティーだが、キャッシュとは逆に他シナリオの二軍行きキャラばかりで火力とLPが低いためキツい。

  • ルビィ
声:比嘉久美子
「何とかなるわよ」が口癖の占い師で、未来を知るために旅立つ。
序盤から少人数で強敵のいるダンジョンに行くため、この主人公もキツい。




初見の主人公選択について、開発者からのメッセージ「デザイナーノート」が見られ、大まかなアドバイスが見られる。
そして一目見るのも面倒だとかネタバレが嫌だからって、これを軽視すると必ずと言っていいほど痛い目に遭うので気をつけたい。
アンサガは主人公次第で、難易度の大幅な変化、果ては必要とされる予備知識のレベルさえ異なるからだ。

特にアーミックが危険。
「かわいいし、ほんわかとした雰囲気だし初心者向けかな…かわいいし。」みたいに選ぶと、彼は周回プレイヤー向けのキャラなので本気で地獄を見る。
最初から最後まで辛い上に流通ランクも絡むため、たとえ知識があったとしても初回は辛い。
何も知らずに選んでクリア出来たら尊敬して良いレベルで、更にすんなり楽しめるプレイヤーとまでなると完全に選ばれし者。

ルビィも全キャラで何回もプレイする気があるという気力に溢れすぎた人でもなければ、最後の方に回した方がシナリオをより楽しめるという意味で罠。
地味に厳しいことも理由。
マイスも他キャラでも軒並みきつく初見プレイヤーのことごとくをふるい落とすラストが、システムを把握してなお苦しいため*2、初見では避けた方が無難だろう。

ローラに関してはデザイナーノートにさえアドバイスが存在しない。ゆえに正真正銘の罠である*3

前述のキャッシュも加えて、つまり主人公の半分以上(更にローラも加えると5/7)が初見トラップ。
これは酷い。


ちなみに発売後の2chの掲示板はあまりの説明不足さや今までのシリーズからの違いにより炎上。
そのせいか初心者を装った荒らしが横行したため、以下のようなテンプレを作られた。


Q、○○円だけど買いですか?
A、お前は買わない方がいい。やめとけ。

Q、○○円で買ってきたんですけどぉ〜
A、お前には無理だ諦めろ。

Q、面白くないんですけどこのゲーム糞ですか?
A、お前には合わん諦めろ。



荒らし避けの他にも、クソゲーの被害者を減らす目的というのもある。
これ以降アンサガスレでは(たとえ本物だろうが)初心者に対しては>>3(上記のテンプレが3レス目にあるため)という手荒い歓迎のレスが多発する。

また、本作の不評を受けてかサガシリーズは14年間という長い月日に渡って、コンシューマゲームの完全新作が発売される事は無かった…。
(一応、間に単なる移植に留まらないレベルの魔改造再構築を受けた過去作リメイクであるミンストレルソングサガ2GODサガ3SOLは発売されたが、その中で最も新しいサガ3SOLから数えても6年近くは音沙汰が無かった)


その後、上記のサガ スカーレット グレイス以降は、サガシリーズの過去作リマスター版が続々と発売されており、歴代サガシリーズの多くが、追加要素やUI改修等を施された上でPCやスマートフォン、2023年現在における最新ゲームハードでも遊べるようになっている。
残すところはこれとサガフロンティア2くらいであり、いずれこのゲームも現代でも遊びやすいプラットフォームで、現代でも遊びやすく改修されて生まれ変わる日が訪れる……かも知れない。




というわけでみんなも僕と一緒にアンサガをやろう!

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最終更新:2023年11月16日 09:43

*1 リメイクであるミンサガサガ2GODサガ3SoLとて、『サガフロ2』までに比べれば、敵味方のダメージレースに極端な違いはそこまでない。

*2 極まったプレイヤーからすると難なく処理するレベルではあるが

*3 この「小泉式トラップ」を多少具体的に言うと、普通にプレイしている範疇で割と楽勝のボス相手に初回勝利した段階でトラップが作動するという、よほどの物好きでない限り前情報がなければ避けようのないもの。なお引っかからなかった場合の難易度は、下から数えたほうが早い程度に低いまま。