異能バトルは日常系のなかで

登録日:2012/06/27(水) 01:37:42
更新日:2024/02/21 Wed 09:13:28
所要時間:約 8 分で読めます




 -覚醒めてしまったものの葛藤

命の天秤は俺達の手には重過ぎる
 だから、俺達は好きなようにすることにした-


『異能バトルは日常系のなかで』はGA文庫より出版されているライトノベル
作者は望公太、イラストは029。
全13巻。

2014年10月から12月までTVアニメが放送。
制作はキルラキルで一躍有名になったTRIGGER

望公太の得意とする(それしか芸が無いともいう)メタフィクションとパロディがてんこ盛りの作品。
アニメ版ではあまりに露骨なパロネタは削られたが、TRIGGERのクドイ演出が印象に残る。


《あらすじ》
俺を含めた文芸部の五人は半年前、とてつもない能力に目覚めた。
そして壮大なる学園異能バトルの世界へ足を踏み入れ-なかった!?

異能力に目覚めてしまったが特に非日常の異能力バトルの世界に踏み入れずに、
まったりと日常生活をおくる少年少女達を描いた作品である。
一方で厨二やフィクション作品の捉え方に関する深い考察や、陰で進んでいる「本当の異能バトル」などの真面目な展開もある。


だんだん能力が空気になっていくのはご愛嬌。


《登場人物》 CVはドラマCD版/アニメ版

  • 安藤寿来 「黒の王-ロードオブタナトス-」
CV:宮野真守 / 岡本信彦
主人公で厨二病。厨二病は小学校の時から現在進行形で患っている。
一本芯の通った厨二病。…だが、「知り合い」の相模の証言等によると「一回厨二病を卒業してまたなった」らしく、厨二病という価値観等を客観視する事もしばしばある。
真名はギルディア・シン・呪雷という設定。
能力: (ダークアンド) (ダーク)
黒の炎を出す能力だが手のひらサイズで湯たんぽ程度のあったかさなためぶっちゃけショボい。
炎が黒くてかっこいい所以外、後述の櫛川鳩子の五帝の下位互換である。
+ アニメ版と原作後半では...
この能力の第二段階が原作に先行して描かれた。
で、その第二段階の能力なのだが、黒い炎を出すところは同じなのだが、炎の危険度が比較にならない程上がっている。
どう危険なのかというと、一度この炎が引火したら、対象を焼き尽くすまで決して消えることがない。
水を掛けようが氷漬けにしようが、どんなことをしても燃やすものがなくなること以外では絶対に消えないのだ。
もしこの炎が引火してしまったら、対処法はただ一つ。燃えている部分を切り離すことのみ。
最初この能力で炎を出した自分の腕に火がついてしまった時は、千冬が作り出したギロチンで腕を切り落とし、彩弓の能力で修復するという最悪な方法でなんとか事なきを得た。

+ その一方で…
実は昔相模静夢と交際していた訛り喋りの少女「双葉環」から浮気相手に選ばれてしまった上、当の環が三股かけていたというろくでもない失恋?を経験しており、
後に(そのせいで「親友」から「知り合い」になった)相模から「そのトラウマから(女性複数と仲が良い現状でも)恋愛に及び腰になっているのでは」と考察されている。
そして10巻エンディングと11巻で両親の離婚から「檜枝岐」姓に改称し、男装して「物事のお約束やテンプレを否定する」異能で異能バトルの当事者になった環と再会しついに異能バトルに巻き込まれてしまった際、環の恋愛に対する本音を聞いた事で逆に彼女の裏の想いにも踏み込む事になる。

岡本氏はかつて風と心を通わせた(ウィンド) 使い(ブレイカー)であり、
このエピソードが切っ掛けで安藤役に決まったという。


  • 神崎灯代 「宵闇に嗤う二律背反の魔女-エンドレスパラドックス-」
CV:今井麻美 / 山崎はるか
隠れオタクで隠れ厨二病、ツンデレ。
小説家を目指している。
能力:(クローズド) (クロック)
時を操る能力で巻き戻しは出来ないが加速したり時を止めたり出来る。
初めの頃は能力を使う際指パッチンをやろうとしていたが、
その指パッチンがあまりに下手なのでやらなくなった。


  • 櫛川鳩子「ノリッツコミの鳩子」
CV:金元寿子 / 早見沙織
安藤の幼なじみでおっとりした性格。
厨二病というものをいまいちよくわかっていない様子。
能力:(オーバー) (エレメント)
火水土風光の五属性を自在に操る能力。
安藤の能力の上位互換で圧倒的攻撃力を誇る。

安藤から灯代との関係について「お前には分からないこと」と言われてキレた挙句、以下の台詞をぶっ放した(これはアニメ7話のもの。原作はもっと長い)。

「ジューくんの言ってる事は一つも分かんないよ!!ジューくんがいいって言ってるもの、何がいいのか分かんないよ!!分かんない!!私には分かんないの!!
『ブラッディ』って何がかっこいいの!?血なんてイヤだよ痛いだけだよ!!『狂う』のどこがかっこいいの!?『クレイジー』のどこがいいのか分かんない!!『罪深い』って何なの!?罪があるのの何がいいの!?犯罪者がかっこいいの!?そもそも『混沌』って何!?カオス!?だから何なの!?『闇』って何!?暗ければいいの!?『正義』と『悪』だと、何で『悪』がいいの!?何で悪い方がいいの!?悪いから悪なんじゃないの!?右腕が疼くと何でかっこいいの!?『自分の力を制御できない感じがたまらない』って、何それただの間抜けな人じゃん!!
ちゃんと制御できる方がかっこいいよ!!立派だよ!!普段は力を隠していると何が凄いの!?そんなのただの手抜きだよ!!隠したりしないで全力で取り組む人の方がかっこいいよ!!
どうして二つ名とか異名とか色々付けるの!?いっぱい呼び名があったって分かりにくいだけじゃん!!英語でも何でもカタカナつけないでよ!!覚えられないんだよ!!鎮魂歌って書いてレクイエムって読まないでよ!!禁忌って書いてタブーって読まないでよ!!
聖戦って書いてジハードって読まないでよ!!*1
ギリシャ神話とか聖書とか北欧神話とか日本神話とか、ちょっと調べたくらいでそういう話しないでよ!!内容もちゃんと教えてくんなきゃ意味が分かんないよ!!教えるならちゃんと教えてよ!!
神話に出てくる武器の説明されても楽しくないよ!!グングニルもロンギヌスもエクスカリバーもデュランダルも天叢雲剣も意味不明*2だよ!!何がかっこいいのか全然分かんない!!
他の用語も謎なんだよ!!原罪とか十戒とか創世記とか黙示録とかアルマゲドンとか、『名前がいいだろ?』ってどういうこと!?『雰囲気で感じろ』とか言われても無理だよ!!
相対性理論とかシュレディンガーの猫とか万有引力とか、ちょっとネットで調べただけで知ったかぶらないでよ!!中途半端に説明されてもちっとも分からないんだよ!!
ニーチェとかゲーテの言葉引用しないでよ!!知らない人の言葉使われても何が言いたいのか全然わかんないんだよ!!自分の言葉で語ってよ!!お願いだから私が分かる事話してよ!!
『ちゅーに』って何なの!?『ちゅーに』ってどういうことなの!?分かんない分かんない分かんない分かんない、分かんなーい!!ジューくんの言う事は、昔から何一つ、これっぽちも、分かんないんだよぉおおおおーーーーっ!!!」

(↑これを息継ぎなしで言いました、しかも一発OK。これの直前まで演じていた役柄のこともあって、ネット上では色々と邪推された)


  • 姫木千冬「酢豚-パイナップル-」
CV:釘宮理恵 / 山下七海
高校の文芸部に居着いている小学四年生。
無邪気な性格だが安藤寿来に対しては所々毒がある。
リスのぬいぐるみがお気に入り。
能力:(ワールド) (クリエイト)
物質や空間を自在に作り出せる能力。
この能力でワープトンネルや広大な遊び場を創ったり、昼寝用のベッドを創ったりしている。
ただし、命のあるものを創造することはけっしてやらないようにと寿来に固く約束させられている。



  • 高梨彩弓「ドキドキ天使サユミちゃん」
CV:原由実 / 種田梨沙
文芸部の部長で腐女子、様々なサブカルへ詳しい。
性格はSで身体能力も文芸部随一。
昨今では逆に珍しくなった普通の方の「たかなし」
能力:(ルートオブ) (オリジン)
あらゆる事物をもとあった姿に環す能力。
怪我を治したり、壊れたものを直したり出来る力。
ただし、死んだ人間や動物を生き返らせることは決してやらないように寿来と固く約束させられている。


  • 工藤美玲
CV:阿澄佳奈/福原香織
生徒会長で文芸部とは敵対しており、度々突っ掛かって来るのだが……。
以下、ステルス。
彼女もまた異能力者で能力は他人の異能を奪う能力、二つ名は無い。



  • 相模静夢
CV:細谷佳正
安藤寿来の「知り合い」であり、同時にある切っ掛けから神崎灯代の異母兄桐生一とも知り合いである高校生。
自らを「読者」「傍観者」と定義しており、好きな本から知り合い達を通じて知った異能絡みの事情まで全てに対し、あえて一線を置き「物語」として楽しんでいる。
ちなみに物語の中のイメージを大事にしているため、恋愛面の好みは処女厩(安藤曰く「ラブコメのヒロインを現実にも求めている」)。
+ その過去
実は昔母が目の前で事故に遭って以来ずっと昏睡状態であり、それ以来現在の様な「傍観者」性質に。
ちなみに入院している病院で母の介護にあたる看護師の息子が桐生で、お互いの母がいる病院での邂逅から始まったプライベートでの付き合いから彼の率いる「黒き十二枚の翼」にもオブザーバーとして加わり彼らの物語を鑑賞している。
11巻は殆どが彼の一人称で語られており、その中で異能関係者達や文芸部女性陣との対話によって自分の性質を見つめ直すと共に無自覚に「物語の捉え方」に抱えていた歪みを自覚し
そしてエンディングで安藤と勝負した後のかつて(肉体ではなく比喩的な意味で)処女でなかった(浮気者)事で振った檜枝岐環と再会、彼女との過去に改めて決着をつけ、直後現れた桐生の前である決断を下した。
そして後に、それと同時にその前の「ある発言」によって桐生の思惑を知らぬ間に挫いていたと明かされた。
ある意味、作者が身近で読者の感想を聞ける環境は功罪半ばするというオチかもしれない。
なお安藤は知り合った頃から眠る母の様子をわざわざ知り合いに見せて感想を求めるような相模の欠落を理解しており、11巻ラストではその面を踏まえて彼へ直接感想を伝えていた、

  • 桐生一
CV:関智一 /寺島拓篤
神崎灯代の腹違いの兄でフリー……ダムな厨二病患者。
真名は霧龍・ヘルドカイザ・ルシ・ファーストという設定。
戦争のシステムそのものを崩壊させようとしている組織『F』と敵対し、
能力者集団「黒き十二枚の翼」(ルシファーズストライク)を率いて『F』に立ち向かっているという設try。
能力:堕天使の鉄槌は愚者へと振り下ろされる-ルシファーズストライク-。
狂気にして凶器。最悪にして災厄。天をも堕とす破滅の力- といry……。
「理解されることと同じくらい、理解されないことを求めているのさ。それが厨二という生き物だ」
+ 以下、ネタバレにつき注意!
能力:堕天使の鉄槌は愚者へと振り下ろされるは本物でその能力は重量冒涜。
また『F』という組織も実際に滅ぼしているし、「黒き十二枚の翼」も実在する。つまり彼らは文芸部とは別枠で本当の異能バトルをしている者たちである
文芸部メンバーをイジってへらへらと遊んでいる一方で、なぜか彼らを戦いから遠ざけようと力を尽くしている。
実は前回の異能バトルの優勝者にして全ての元凶であり、彼らを戦いから遠ざけるのではなく、単に彼らをラスボスに据えて自分達と戦わせるまで温存しているだけだった。…が、11巻でその思惑を相模に先読みされて気持ち的に微妙になり…

かっけー。追記・修正、かっけー。

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最終更新:2024年02月21日 09:13

*1 原作では 「聖戦って書いてケンカって読まないでよ!」 と、そのまんまだった。

*2 天叢雲剣を何も見ずにに言えただけでも凄いのだが…