カナード・パルス

登録日:2011/12/23 (金) 19:55:55
更新日:2024/03/03 Sun 21:22:22
所要時間:約 8 分で読めます




「生きてるうちは負けじゃない!!」


◆カナード・パルス

CV:保志総一朗
年齢:17歳
人種:コーディネイター
乗機:メビウスハイペリオンガンダムドレッドノートΗ(イータ)
乗艦:オルテュギア→オルテュギア改
所属:ユーラシア連邦宇宙要塞アルテミス所属特務部隊『X』→傭兵部隊X
役職:MSパイロット(実質的指揮官)


機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』の登場人物であり、同作の主人公の一人。

前述の通り人工子宮研究の一環として生み出された希少な「スーパーコーディネイター」。ただしその失敗作。
「基準を満たさない」という理由で廃棄される予定だったところを、情をかけた研究者によって逃がされるも、
ユーラシア連邦に目をつけられて拘束され、以降は事実上のモルモットとして、データ収集目的で非人道的実験に晒され続けた。
その後、ユーラシア連邦がMSの独自開発の為に設立した特務部隊『X』に配属された。


◆人物
非常に好戦的で冷酷な性格をしており、戦闘となると情け容赦の無い戦いを行う。
獣のように激情のままに戦う反面、確かな操縦技術とセンスを持っており、いざ動くとあらば冷静かつ合理的な判断が可能。

また、この手のキャラにありがちな、自分の力しか信じないタイプではなく、集団戦の重要さも理解しており、
「兵器の優劣が勝敗を決めるのではない。要は戦い方だ」
とミハイル・コースト隊との戦いでは発言しており、実際に(MSから見れば)旧式のMA隊との連携でミハイル隊に大打撃を与えている。

作戦立案は大胆なものが多いが、ほぼ全てが必ずなんらかの結果を残しているなどこちらも優秀。
それらは乗機であるハイぺリオンとの相性の良さ以外にも秘密がある。

彼の目的は、スーパーコーディネイター唯一の成功例であるキラ・ヤマトを倒し、本物のスーパーコーディネイターになること。
常に『失敗作』と蔑まれ、非人道的扱いを受け続けた彼にとって、それは自身の生きる唯一にして最大の目的であり、
その為に後天的な努力を惜しまず牙を研ぎ続けてきた他、キラが『ガンダム』とあだ名したストライクに搭乗していたことから、
ストライクのように、V字型ブレードアンテナとツインアイを持つ所謂『ガンダムタイプ』のMSを見かけると、接触してキラのことを訊ねる。
ただし、自身の搭乗するハイペリオンもまた『ガンダムタイプ』であるため、たとえそのMSのパイロットがキラのことを知らなくとも、
「『ガンダム』はオレのハイペリオンだけでいい」として撃墜しにかかる。


◆戦術
ハイペリオンの「アルミューレ・リュミエール*1」による鉄壁の防御力と、
携行している高い面攻撃力を持つビームサブマシンガンを用いて、単騎で敵陣の中央深くまで切り込み、
そこから多数の敵を一方的に攻撃し生存者・目撃者を残さない殲滅戦を、本人の性格や部隊の特性もあって得意としている。

また、ハイぺリオンという機体を誰よりも熟知しており、作中でもその特性を駆使して同格・格上の相手と渡り合ったり撃ち破ったりしている。

具体的には、
サーペントテールとイライジャのコンビに引き分け。
カナードは撤退する二人を追撃しようとしたが、ALの効果時間切れとオルテュギアからの緊急通信も重なり深追いはせず。
(劾はこの戦いでビームシールドへの対抗策を習得、後にハイペリオン3号機を撃破している)

○死の外科医ミハイル・コースト率いるザフトエース部隊を相手取り、
「ALを張って単騎突撃→Bマシンガン乱射→ダメージを与えたところにMA隊で攻撃」のコンボで殲滅。
ミハイル以外のパイロット(機体)を撃墜し、彼を命からがら撤退させる。

○ドレッドノートとの戦闘で半壊状態のハイぺリオンで、バルサム・アーレンドと彼の乗る万全の状態のハイぺリオン2号機と交戦。
「守りに回ったところで、半壊した自身のハイペリオンでは万全の2号機に勝てない」と判断したカナードは、
キラと同じく戦闘中にシステムを書き換え、ALの出力方向を一点集中してビームの槍にし、2号機のALを突破してその頭部を破壊。
損傷によってシステムに異常をきたし、ALが解除された2号機のコクピットにビームナイフを突き立てて沈黙させた。
なお、その後ほぼ無傷で鹵獲された2号機はカナードのハイペリオンの修理に利用されることとなった。

○Nジャマーキャンセラーを奪うべく、連合の月基地を単騎で強襲。
機体の側面を部分展開したALで守りつつ、2丁のビームサブマシンガンで守備部隊を制圧・壊滅に追い込む。

○上の追撃に出た月下の狂犬ことモーガン・シュバリエ率いるダガー隊と交戦。
ALの防御力を生かしてモーガンの乗るダガー以外を撤退に追い込み、
ALの発生装置を狙ったモーガンのガンバレル攻撃を寸前で見切って躱し、逆に全てのガンバレルを落としてモーガンをも撤退させる。


等々、作中屈指の戦闘力を誇る。

ハイペリオン(カナード)が敗北したのは、唯一プレア・レヴェリーが搭乗したドレッドノートだけであり、
カナードはプレアと万全の状態で決着を付けることに固執し、『X ASTRAY』はこの両者の関係を軸にストーリーが展開されていく。

ちなみに、『ASTRAY』の主人公であるロウ・ギュールは2度カナードに殺されそうになっているが、両方とも何とか生還し、逃げ切っている。
彼の悪運の強さが垣間見えるエピソードといえよう。



◆作中での活躍

幼少期は、前述の通りモルモットとして非道な実験を繰り返され、これによって精神が荒み、脱走をしては捕まっていた。

最後の脱走の際には、逃げ延びるために自らの居場所を知らせる発信器ごと腕を迷わず切り落とそうとしたが、
変装したラウ・ル・クルーゼ(作中では明言されてはいないが)に会い、彼から『キラを倒せば本物になれる』と吹き込まれ、
これがきっかけで「でき損ない」と言われ続けてきたカナードに、「キラを倒して本物となる」という妄執に近い目標ができた。

その後特務部隊『X』に配属され、そこで「スーパーコーディネイターの確保」と「Nジャマーキャンセラー」の入手を命じられる。
ちなみに『X』はアルテミスを拠点としており、直属の上司はあのガルシア司令。性格上折り合いは悪かった模様。

その過程でジャンク屋のロウ・ギュール一行、劾達サーペントテールと交戦し、ジャンク屋に保護されていたプレアと出逢う。
※プレアは初のNJC搭載MS・ドレッドノートを地上に降ろしエネルギー問題を解決するのが目的……だったのだが、紆余曲折を経てジャンク屋に保護されていた。

艦を守ろうとしたプレアの乗るドレッドノートとカナードは交戦するも、ドレッドノートのプリスティス(ドラグーン兵装)に対応できず敗北。
プレアが体調に異変をきたしたために撤退したことでトドメは刺されなかったが、以後カナードはプレアに固執するようになる。

その後、連合……厳密には大西洋連邦がクルーゼからNJCを入手、ユーラシア連邦は方針を転換し大西洋連邦からダガーシリーズの供与を受ける事に。
特務部隊『X』は無用となり、ガルシアがその責任の転嫁を図った為オルテュギアはカナードと共に離反。
目的がなくなったカナードはプレアとの決着を決意する。

NJCと核エンジンを有するドレッドノートに対抗すべく、カナードはNJCを連合の月基地から強奪し、
それを外付けの核エンジンと共にハイペリオンに装備させ、スーパーハイぺリオンに改造。
一方のドレッドノートも、ロウがバルトフェルド経由でデータを手に入れ、制作した追加武装を装備。
プレアは自身の目的と機体の外観から「Xアストレイ」と改称されたドレッドノートと共に、カナードとの決戦に臨んだ。

カナードはプレアとの決戦にて、「勝って生き残る」事に固執し続けていたが、実際は死に場所を求めていたこと、
「戦う以外で活かせる能力じゃないのを呪っていたこと」を告げ、それを聞いたプレアは自分は戦闘用のクローンの失敗作であったことを告白。
自分と同じ存在に狂喜し戦いを続けようとするも、プレアの「特殊なビームシールドで包み込む」という殺傷を目的としない戦術に攻撃を全て封じられ、
その戦い方から伝わってくるプレアの優しさを感じつつも、戦うことを止めようとせずに最大出力のビームで突破しようとするが、
突破することが出来なかったばかりか、バリアの中でビームが乱反射したことでハイペリオンは中破。
なおもカナードを救おうとするプレアのXアストレイと共に近くの惑星に不時着するも、中破したハイペリオンは核エンジンが暴走しており、爆発寸前になっていた。

機体の爆発を前に「自分もプレアのように生きたかった」と考えながら、そのままカナードは死のうとするが……


「カナードさん!」


「来るな!核エンジンが暴走してるんだぞ!」


「アナタを死なせはしません!!」


「……プレア……」


寸前でカナードは救出され一命をとりとめた。

だが、不完全なクローニング技術で造られたプレアはこの時点で寿命が尽きかけており、戦闘の負担もあってカナードを救出した後に身体が限界を迎える。
そしてプレアは、自身と同じような存在であったカナードに「人の繋がり」を説いた後、その腕の中で短い生涯を終えた。


◆その後

プレアによって憑き物が落ちたカナードは、NJCをプレアの代わりに届けるべく地上に降り、マルキオ導師に無事引き渡した。
この帰り道でアスランと共に歩くキラを見かけるも、既に妄執を捨て去っていたカナードは何もアクションを起こさずに去って行った。

『DESTINY ASTRAY』以降は、失ったハイペリオンに代わってプレアが遺したドレットノートを使用しているが、
カナードにはドラグーンを扱う適性が無かったため、本機が「Xアストレイ」と呼称された所以である「χ(カイ)ユニット」を取り外し、
代わりにハイペリオンの残骸を改修した装備と複合兵装「Η(イータ)ユニット」を装備して「ドレッドノートΗ(イータ)」としている。
『X ASTRAY』中盤で脱走したアルテミス基地には当然戻ることなく、特務部隊X時代から引き続きオルテュギアを母艦とし、
カナードに好意を持っている節がある艦長のメリオル(眼鏡巨乳の美人)らクルーと共に、傭兵として生計を立てている。

また、肉体こそ死亡しているが、今でも霊魂としてカナードや風花らを見守っているプレアとは通じており、
以前の狂気からは解放されたものの、戦闘では時に暴走しがちなカナードのブレーキとなっている。


◆ハイぺリオンとカナード

カナードの愛機であるハイぺリオンには
  • 本物のスーパーコーディネイターになる/連合の本物のガンダムに勝つ
  • 心を殻で守っている/強力な盾で自分を守る

と共通点が多く、それゆえか非常に愛着を持っている。

また、「モノの気持ちがわかる」と語るロウからは、イージスの自爆から奇跡的にキラを守り抜いたストライクの一件を引き合いに出して、
「アイツのガンダム(=ストライク)はパイロットを守ろうとしたが、ハイぺリオンはアンタを守るのか」と問われる一幕があり、
これにカナードは「MSでさえオレを出来損ないと蔑むというのか」と激昂しているが、その後、プレアのドレッドノートに追い詰められて死を覚悟した際には、
自分の夢は驕りだったのかと諦めかけたカナードの言葉に反発し、彼を鼓舞するかのように機能停止していたハイペリオンが再起動している。
ロウの言葉を借りれば、まさしくハイペリオンがカナードのために動いたようなこの一件以来、カナードはより一層ハイペリオンに愛着を持つようになっている。

上述のように、『ガンダムタイプ』を見かけるとたとえ相手に敵意がなくとも撃墜しにかかるのもこの思い入れが一因であり、
『ガンダムは俺のハイぺリオンだけでいい』→『ハイぺリオンは俺の一機だけあればいい』→『他のガンダムタイプは潰す』という理由。
ある意味ヤンデレめいたこの思考により、ロウはガンダムタイプのレッドフレームに乗っていたというだけで機体諸共抹殺されかかっている。

ハイペリオンは『X ASTRAY』終盤で大破してしまったため、『DESTINY ASTRAY』以降はプレアの遺品でもあるドレッドノートに乗り換えているが、
その装備の一部にハイペリオンの装備を改修したものがある辺りにも、カナードの変わらぬかつての愛機への愛着が見て取れる他、
不細工なMAのゲルズゲーがハイペリオンのようなビームシールドを装備しているのを目にした際には、「ハイペリオンと自身への冒涜」としてブチ切れてバラバラにしている。

なお、上述のように追加ドラグーン兵装「χユニット」を装備してからは、ドレッドノートはロウに命名された『Xアストレイ』の名で呼ばれたが、
『X』の由来は「χユニット」である一方、『アストレイ』はプレアがカナードを救う(=兵器としての王道ではない使い方)目的で使おうとしたことが由来であり、
一方のカナードは「Ηユニット」を装備した本機を戦闘目的(=兵器として王道の使い方)で用いているためか、『Hアストレイ』ではなく『ドレッドノートΗ』と呼称される。

外伝作品出身のキャラだが、その設定から根強いファンがおり、ゲーム作品への積極的な出演を望む声もある。


◆その他

担当声優はまさかのキラと同じく保志総一朗氏。
ただし、優しげで少年らしいキラと違い、低くドスの効いた声色で演じられている。

『ガンダムExtreme VS.MAXI BOOST』より愛機ハイペリオンと共に参戦。
原作通りロウを始めとする『ASTRAY』キャラとの掛け合いや、同声優のキラとも勿論存在する。
ついでにキラの新録ボイスも追加されていたが、こちらに影響されているのか声にドスが効いている。

SDガンダムGジェネレーションシリーズ』にはPとWORLD、クロスレイズに登場。特にWORLDとクロスレイズでは保志氏の声で新録されており、特殊セリフもある。
その中の一つであるシャイニングフィンガー使用時のセリフ「見せてやる!シャイニングの輝きをな!」はまるでどこぞのアルター使いを彷彿とさせる。
また「スーパーゴッドフィンガーで…消えろ!」というセリフも。
能力的にはバランスが良いので使い易い。
クロスレイズではドレッドノートイータに乗せると比較的穏やかなセリフが出る。

尚、カナードは三隻同盟と一度接触しかけているので、彼の行動次第ではキラや彼の姉であるカガリと会っていたかもしれない。
ただその際は執着していたプレアの存在が確認出来なかったのでカナードは行動を起こさず、結果交戦することはなかった。

スーパーロボット大戦W』では、キラ対カナードという夢のカードが実現した。
コロニーメンデル宙域にてキラとクルーゼが交戦している際、クルーゼの手引で恨みを持つ者として乱入。フリーダムに致命傷を与えて去っていく。
クルーゼに出生の秘密を暴露されただけでなく、北辰にラクスを浚われて動揺していたキラにさらなる衝撃を与えた。
条件を満たすと、最終盤にハイペリオンガンダムと共に自軍へ加入する。
その出自を反映してか、防御以外の能力値はキラのそれを-2したものになっている(防御だけは+2)。
なお、同じルートを通っているとイザークが一足先に仲間になるのだが、
イザークはカナードの上位互換と言っていい能力値である(精神コマンドの方向性も似通っている)。
幸いハイペリオンはカナード専用機なのでイザークに取られるような事にはならない

『GENERATION of C.E.』のプロフィールにて、カナードにキラの存在を教えた変装男がクルーゼと判明しており、
スパロボWではそれをもとにカナードが「お前…まさか、俺に奴の事を教えた男か!」という場面がある。
ただ、こちらではカナードの副官であるメリオルが一切登場しない。


……そうだ、俺も項目もまだ生きている


追記・修正できるうちは負けじゃない!!!!

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最終更新:2024年03月03日 21:22

*1 『アルテミスの傘』として知られる全方位ビームシールド