サニー・サイド・アップ/Sunny Side Up(MtG)

登録日:2012/07/09 Mon 19:02:51
更新日:2023/07/12 Wed 19:41:58
所要時間:約 4 分で読めます





代価がどんなに高くても、どうしても知識が欲しいのかい。

――― ガラス吹き工の親方ウォトニク


サニー・サイド・アップ/Sunny Side Upとは、マジック・ザ・ギャザリングにおけるコンボデッキの一つ。
時のらせんブロック参入後、当時のエクステンデット環境にて構築された。
デッキ名は片面の目玉焼きの意。その由来どおり、「卵」と名の付くアーティファクトを用いる。
また、SunnyとSunriseでキーパーツである「第二の日の出」とも掛けているのかもしれない。

先に言っておくが、紛れも無いソリティアデッキであり、その一人遊びっぷりは「パズルゲーム」と言っても差し支え無いレベル。
しかし各カードを歯車のように緻密に組み合わせた無駄の無さ、美しさはプロスブルームに勝るとも劣らない。

ある当時の強豪プレイヤー曰く、「現在のマジックシーンにおいてもっともプレイが難しく、もっとも美しいデッキ」、またさまようものでお馴染みの浅原晃氏は「一人回しデッキとしては最高峰で1日くらいは簡単に潰れます」と評している。


主要パーツ

第二の日の出/Second Sunrise (1)(白)(白)
インスタント
各プレイヤーは、このターン戦場から自分の墓地に置かれたアーティファクト、クリーチャー、エンチャント、土地カードをすべて戦場に戻す。

スカイクラウドの卵/Skycloud Egg (1)
アーティファクト
(2),(T),スカイクラウドの卵を生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(白)(青)を加える。カードを1枚引く。

睡蓮の花/Lotus Bloom
アーティファクト
待機3 ― (0)
(T),睡蓮の花を生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに好きな色1色のマナ3点を加える。

妖術師のガラクタ/Conjurer's Bauble (1)
アーティファクト
(T),妖術師のガラクタを生け贄に捧げる:あなたの墓地にある最大1枚までのカードを対象とする。それをあなたのライブラリーの一番下に置く。カードを1枚引く。

上記のほか、生贄に捧げることでマナを生み出したり、同時にドローできる軽量アーティファクトを山のように搭載する。

デッキの動き

1.生贄に捧げることでドローしたりマナを生み出せる軽量パーマネントを大量展開し、それらの能力を起動。
2.第二の日の出を唱えて、それらをアンタップ状態で戦場に回収。
3.戻ってきたドローパーツとマナパーツを再度起動、増えたマナでドローした中からドローパーツとマナパーツを更に次々と展開。
4.サーチ呪文で日の出を回収して2に戻り、これをライブラリーが引ききれるくらいまで繰り返す。
5.デッキ枚数が0になった状態で妖術師のガラクタで日の出をデッキに戻すことで、無限にこの手順を繰り返せるようになる(=無限マナ・無限ストーム)
6.あとはお好みX火力でもストーム呪文でも呪文爆弾でも好きな手段でトドメを刺す。


デッキの欠点

デッキを回す動きが極めてシビアであり、手順を誤ったりドロー運が悪いとすぐさまコンボがストップしてしまう。また、ソリティアとしての工程が複雑で非常に長い時間がかかってしまい、20分以上かけて延々と一人回しを行った挙句、コンボがストップしてしまったりしたら相手も自分もやる気デストラクションである。
さらに、相手からの対策では第二の日の出の追放、マナコストの増加、起動型能力対策、墓地対策など、無数に対策が存在する。

当然だが回すのに非常に時間がかかるので、時間制限のある大会においては「遅いプレイ」「遅延行為」などの罰則に引っかかることもある。
特にまずいのが「マッチの1戦目に負けてしまった」場合で、あとの2戦を速やかに勝つ必要がある。
そのため、確実に1戦1戦を勝てばいいという普通の考え方ではなく「できるだけ速やかに勝つ」ことを求められることもあり、この辺もかなり独特なデッキ。
場合によっては制限時間のかねあいでわずかな勝利の芽を捨てて投了し、次の試合に賭けるということも考えなければならず、このあたりのテクニックを分析しているプレイヤーもいたほど。
厳格な持ち時間制のMagic Onlineでもこの辺の問題はついて回り、慣れないうちは思考時間や緊張から、むしろ最大の敵が時間ということにもなる。

逆に言えば、これが後述の規制の理由である。


現在

デッキ名の由来である「卵」アーティファクトがレガシー以下の環境でしか使用できない為、現在はそれらのエターナル環境でしか純正の構築はできない。

モダン環境では《有毒の蘇生》、《秋の際》、《他所のフラスコ》などの代用パーツを用いた新生サニーサイドアップが研究されている。
ナチュラルにデッキが空になるため、《研究室の偏執狂》と組み合わせることで特殊勝利を狙った型も。
基本セット2013で似た効果を持つ《信仰の見返り》が追加され、実質日の出8枚になった事で研究が進み、モダンプロツアーで結果を出したと思ったら第二の日の出が禁止となってしまった。
理由は「1ターンに時間を取りすぎて大会進行の妨げになるから」。すなわち単純な強さ以外の部分によるもののため、帰ってくる可能性はほぼ無い。
公式のフィーチャーマッチの解説でも「(対戦相手が)うんざりした顔になる」など、あまりいい評価は得ていなかった。

ただ《信仰の見返り》は問題なく使えるので、一応今でも同種のデッキは組める。
無料ソフトの「Forge」あたりを使って同種のデッキを組んで一人回しをしてみると、気づいたら6時間くらい経ってることがあり、このデッキの奥深さと面白さがよく分かる。
浅原晃をして「一人回しデッキとしては最高峰」と言わしめる面白さ、その片鱗に触れられるだろう。


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最終更新:2023年07月12日 19:41