神剣ーフェニックスブレード

登録日:2011/02/08 (火) 14:18:25
更新日:2024/02/22 Thu 21:42:57
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神剣ーフェニックスブレード
装備魔法
戦士族のみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
このカードが自分のメインフェイズ時に自分の墓地に存在する時、
自分の墓地の戦士族モンスター2体をゲームから除外する事でこのカードを手札に加える。

STRUCTURE DECK ー戦士の伝説ー で登場した装備魔法。

このような強化系の装備魔法としては、特に装備対象を選ばず攻撃力1000アップするデーモンの斧が古くから存在する。
このカードは戦士族専用である上、上昇値も300と大幅に劣ってしまう。

だが、このカードは「フェニックス」の名を冠するだけあって、
このカード自身やこのカードを装備したモンスターを除去されたりリリース等に使ってしまっても、アドバンテージを失わずに手札に回収することができる。
このカードは上昇値や汎用性を落とした代わりに除去対策を手に入れ、何度でも装備し直せる持続性を手に入れた装備魔法と言える。

初心者にも扱い易いカードとして、戦士族デッキの縁の下の力持ちとも言えるカードであった。

現在は装備魔法自体が斜陽の環境であり、攻撃力たった300という上昇値は登場当時以上に厳しい。
一族の結束という強力な種族強化カードも存在するため、運用は難しいと言わざるを得ないが、
かつての良カードとして、このカードを取り出し、共に戦った日々を思い出すのも一興だろう。


暖かな、追記、修正をお願いします。





後攻1ターン目ドロー!!
8400ダメージ!!決闘終了!!








































ふう……
分かっているとは思うが、本題に入ろう。


このカード、一見すると上記のような地味な使い方のためにデザインされたように見える。


だが、手札アドバンテージを稼ぎつつ墓地の戦士族を除外出来る、と言う点に目が付けられ、
本来の使い方ではない爆アド製造機という凶悪な運用方法が考案されてしまった。


魔法カード
2000ライフポイントを払う。
お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。


つまり、フェニックスブレードで除外した戦士族を一斉に特殊召喚し、1killに近いダメージを叩き出すことが可能というわけ。

しかも、同時期にE・HERO エアーマンと言う空気の読めない疑似ガジェットがいたため、
低レベル戦士ビートダウンは突如として、凄まじい爆発力と安定力を得た。

因みにこのデッキにおいて、フェニックスブレードは墓地のモンスターをただ除外すれば良かったため、
ライトニングボルテックスのコストにされたり、モンスターゲートでデッキから直接墓地に落とされたりほとんど装備されなかった。
仮に装備されても《異次元の女戦士》や《ならず者傭兵部隊》等、ダメージステップを介さずに確実に戦場を離れる(フェニックスブレードを確実に墓地に送れる)モンスターに装備される、または相対する機会が多かったためほとんど装備カードとしての役割はしていなかった。


その後、エアーマンは制限化。
上述のようなデッキは弱体化した。


ふーやれやれ。
やっとフェニックスブレードがまともな使い方をされるようになるかな…

…………………だがこのとき既に、このフェニックスブレードは装備魔法としてではなく、
「アドバンテージを稼ぎながら墓地の戦士を除外するカード」としてしか、見られていなかった……


その結果、最凶最悪のデッキを作り出す足掛かりとなってしまうのであった。


抜群の安定力と、殺傷力を秘めた、【ドグマブレード】の誕生である。

このデッキ、知ってる人は知ってると思うが、とにかく酷い。
どれだけ酷いかって、このデッキ相手に先攻を取られたら、高確率で自分の後攻1ターン目のスタンバイフェイズに決着がつく。
つまりほぼ何も出来ない。リスペクトデュエルなんてくそくらえだぜ!!

反面、運用がとても難しく、高度なプレイングを要するデッキである。
詳しい回し方に関しては該当項目を見るなりYouTube様で検索するなりしてほしい。
なお、このデッキでは、フェニックスブレードは一瞬も装備されない。
推理ゲートでデッキから墓地に叩き込まれるか、手札入れ替えで墓地に送られるかである。

しかし、【ドグマブレード】は凶悪であったが、その構築は素晴らしいものであった。
遊戯王は通常40枚のデッキである。
【ドグマブレード】はその40枚、デッキ全てがコンボパーツという、MOMAクラスの芸術的なデッキであった。


このデッキの別名は【クライスブレード】と言って、フェニックスブレードは光帝クライスとよく組んで使われた。

光帝クライス
効果モンスター
星6/光属性/戦士族/攻2400/守1000
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。
そのカードを破壊し、破壊されたカードのコントローラーは破壊された枚数分だけデッキからドローできる。
(2):このカードは召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。


代表的な運用方法は以下

①クライスを含む、複数体の戦士族とフェニックスブレードを墓地へ送っておく

②ブレード効果、クライスと戦士1体を除外し回収

③DDR発動。コストはブレード。クライスを帰還

④クライス効果。装備されたDDRとクライス自身(もしくはどうしても破壊しておきたい相手の邪魔なカード)を破壊。2枚(相手のカードを破壊したなら1枚)ドロー。

⑤DDRが手札にあるなら、①に戻る

こうしてアドバンテージを稼ぎながら戦士を除外出来る。
因みに、クライス等が規制を受けていないため、この回し方は、現在も可能。
これが先述の次元融合、混沌の黒魔術師と組み合わさると…

①クライス2枚を墓地に送り、混黒を除外しておく。

②ブレード効果、クライス2枚を除外し回収。

③ブレードをセットし次元融合を発動。混黒とクライス2枚が帰還。

④クライス効果。セットしたブレードとクライス自身×2、混黒を破壊。4枚ドロー。

⑤混黒効果。次元融合を回収。

①に戻る。

おわかりいただけただろうか。
次元融合のライフコストさえなんとかすれば無限ドローになるのである。
そして《魔力倹約術》という永続魔法は魔法カードのライフコストを踏み倒せる。
そして遊戯王の初期ライフは8000。

つまり最悪ライフを6000ポイント払って12枚ドローすれば初期手札+ドローしたカードの中に魔力倹約術が高確率で存在するよねということである。
このドロー以外にも《手札抹殺》《手札断殺》《デステニー・ドロー》《トレード・イン》といったドローカードが大量に入っているため、
容易に必要なカードを集めることができる。上記のカードを集めるのにも使える。
《増援》《アームズ・ホール》といったサーチカードもデッキ圧縮や上記パーツを集めるのに使えるし、推理ゲートで墓地に落ちたところを《魔法石の採掘》《魔法再生》で回収してもいい。

無限ドローを成立させたら後は相手を倒す手段を引っ張ってきて終了という訳である。

まあ、当然こんな凶悪デッキが許されるはずもなく、制限改定で主軸カードの混沌の黒魔術師、次元融合は禁止化。
同時に使われていた《早すぎた埋葬》《D-HERO ディスクガイ》も軒並み規制されるが、ブレードや、メイン火力カードのマジカル・エクスプロージョンは無傷。

そして、ジャンク・コレクターと言うカードを手に入れて、1killデッキ・【ジャンクブレード】が誕生。
ジャンク・コレクターに墓地の罠を発動させる効果があり、罠カード版次元融合とでも言うべきカード異次元からの帰還まであったため、
下手したら自分のターンが来ずに負ける。リスペクトデュエルなんか(ry……
なお、このデッキでもブレードは一瞬も装備されない。
もう、装備魔法の十字アイコン要らないんじゃ…

またしても暗黒時代再来か?!と思われたが、流石にKONAMIが危険視したのか、流行る前にキーカードのマジカル・エクスプロージョンが制限化。
いや、危険視するならそもそもジャンク・コレクターなんて作るなよ!!

ちなみに実際にはドグマブレード以上のプレイング技術が必要で、さらに安定性が低かったため使用者は増えなかった。
また現在はキーカードの異次元からの帰還が禁止カードとなったので構築不能となっている。


……だが、フェニックスブレードは無傷。
流石は不死鳥の名を冠したカード、と言ったところか。


そして2013年。
相性のいいカードはセブンソード・ウォリアーなどで、あとは前述のクライスくらいのもの。

ブレードと名のある凶悪な1killデッキは鳴りを潜めた……
が、フェニックスブレード自体が今なお無制限なため、また変なカードが現れたらブレードデッキは息を吹き返し、
平和なデュエルを蹂躙し始めるかもしれない。なにせフェニックスだからね。


過去にはかなり悪用されていたが、その後は特に目立った活躍もなく、装備カードをコストとする一部のデッキでチラホラ使われるぐらいだった……


だがデュエリスト諸君、注意されたし。
この手のカードは再び環境に混沌をもたらすことは決して珍しくないことは遊戯王の歴史が証明していることを。





その後。


リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
リンク2/光属性/戦士族/攻1600
戦士族モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。
このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、
そのモンスター効果も発動できない。
(2):デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる(同名カードは1枚まで)。
墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

新たな召喚法リンクモンスターにフェニックスブレードを使えと言わんばかりのモンスターが登場。
イゾルデをリンク召喚した時点で自動的に墓地に戦士族2体は確保済みであり、そこからフェニックスブレードを落としてレベル1戦士族をリクルート。
そして回収効果を使えば、イゾルデの(1)のサーチも合わせて自動的に手札が増える。

回収した後の使い道としても、リンク召喚成功時に手札1枚をコストに追加効果を得る『トロイメア』が存在。
イゾルデとリクルートした戦士族とでトロイメアをリンク召喚すれば、フェニックスブレードの回収コストも再度確保できるというかみ合いっぷり。
ガンブラーのハンデス効果で破壊する自分の手札もこれで済むため、トロイメアの展開と合わせて先攻エクストラリンク全ハンデスが可能という絶望しかない展開を実現していた。

数少ない良い面はごく一部剛鬼など、攻撃力が低い戦士族モンスターに攻撃力補助として装備されることもあった。
(戦士族でない《閃刀姫-カガリ》などは装備できない)
とくに世界大会のビデオマッチで装備されただけで話題を読んだ。
やったね!世界大会という皆が見ている大舞台で装備されたよ!

剛鬼をはじめ、戦士族テーマでイゾルデとセットで採用され続け、
ついには2019年1月1日から禁止カード入りが決定。

装備魔法でありながら装備されることはほぼなく、注目される時は手札コスト&除外扱いでついには禁止カード。悲しい……
せめて手札ではなく場のモンスターに直接装備なら...と思った人は少なくないハズ。

  • 余談
+ ...
本カードについて、「地味なカードのつもりで刷ったら計算違いで大暴走した」悲劇のカード…と受け止めている人も少なくないだろう。
このカードが収録されたストラクチャーデッキのコンセプトからして記事冒頭のような使い方を想定……というか推奨していたのは恐らく間違いないのでその認識は正しいだろう。
ただし制作当初から危険性をある程度危惧していた可能性は高い。

まず前提として、当時の遊戯王には既に以下のようなカードが存在していた。

キラー・スネーク ※エラッタ前
効果モンスター
星1/水属性/爬虫類族/攻 300/守 250
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在している場合、
このカードを手札に戻す事ができる。

蝶の短剣-エルマ
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
モンスターに装備されているこのカードが破壊されて墓地に送られた時、
このカードを持ち主の手札に戻す事ができる。

深淵の暗殺者 ※エラッタ前
リバース:相手フィールド上のモンスター1体を選択して
破壊する。このカードが手札から墓地に送られた時、自分の
墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。

つまり、当時から特定条件を満たした場合に手札に戻るという点では、全く同じ特徴を持つカードが存在していた*1

これらのカードは何度も使える手札コストや、無限ループを発生させられる事から(2022年現在ではともかく)当時の環境では非常に強力なカードであり、裏付けとして当時(2005/09/01)の制限改訂ではキラー・スネークとエルマは禁止、深淵の暗殺者は制限になる…という形で全て潰されている。
この改定はフェニックスブレードの登場から僅か3カ月後に行われており、さらに言えばそれ以前から制限・準制限と言った緩い規制は受けており、
フェニックスブレードの登場で『墓地から手札に戻る』という効果の危険性にようやく気付いたという訳では無い。

そのため元々フェニックスブレードが無限手札コストにされる可能性自体は認識しており、
それを意識して前述の三枚を規制強化したり、微妙な単体強化カードを復活させるコストにしてはかなり重い*2「戦士族指定かつ2枚も除外」というコストを設定したのだろう。

当時からして『除外』の扱いが文字通りのものではなかったがかなり重たかったので、普通のデッキならば2、3回発動できれば良い方。
手札コストにするには重すぎるので地味な使い方しかできないように調整したつもりだったのだろう。
実際に登場からしばらくの間は全く見向きもされていなかったため、コナミの調整は上手くいったと言えるだろう。
※既に次元融合は存在していたが、そもそもこれは次元融合自体の効果が目に見えてやばかった(上述の混沌の黒魔術師も同時発売)という話なので、
この段階ではフェニックスブレードも悪かったとは一概に言い難いだろう。

つまりこのカードの設計思想がダメダメだったというよりは、『除外』の扱いがどうなっていくか(悪く言えば自業自得だが)読めなかったことが大きいだろう。



追記、修正は、フェニックスブレードを装備させてからでお願いします

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最終更新:2024年02月22日 21:42

*1 深淵の暗殺者については、単体では不可能なため墓地の自身以外の同名カードを指定することで同様の運用が可能

*2 当時のカードプールでも特にコスト無しに戦士族の攻撃力を常時強化できる「連合軍」が存在しており、はっきり言ってフェニックスブレードを延々と装備させ続けるよりは明らかにこちらの方が強い