獣王星

登録日 :2011/01/10(月) 11:26:54
更新日 : 2016/12/28 Wed 13:55:50
所要時間 :約 6 分で読めます




獣王星(ジュウオウセイ)
樹なつみによるSF漫画。白泉社。
1993年~2003年まで何度も休載を繰り返しながら10年かけて連載された。
単行本は全5巻。完全版が全3巻。

2006年4月~6月にはノイタミナ枠でBONESによりアニメ化された。全11話。

主人公トールの声優に堂本光一(主題歌も担当)。味方だが、どこか怪しいサードの声優に小栗旬。
脇役にも豪華声優陣を多数起用している。
そのおかげか深夜アニメとしては、なかなかの高視聴率を得たとか。2人の演技も普通にいいと思う。


【あらすじ】
双子の兄弟トールとラーイは地球を遠く離れたバルカン星系のコロニーで裕福な家庭に育ち、幸せに暮らしていた。
バルカン星系の人々は短命に悩まされ、高度・高価な医療によって寿命を延ばしていた。自然分娩は不可能であり、人口受精のみで繁殖を続けていた。
ある日、コロニー役員であった父と母が突然暗殺される。それを目撃した二人は残っていた小型ポッドでとある惑星へと落とされる。
そこは、植物が生態系の頂点に君臨し、人間は肌の色・男女の別で分けられた8つの輪(リング)に所属して暮らす弱肉強食の惑星・キマエラだった。
ポッドの通信で両親の暗殺を指示したのがバルカンを統べる指導者・オーディンだと知り、ラーイを失いながらも茶輪(オークル・リング)にたどり着いたトールは、
両親を殺したオーディンに復讐するため、キマエラの外へ行くことのできる唯一の存在・獣王となることを決意する


【用語】

  • キマエラ(獣王星)
存在が隠された星。死刑が禁止されているバルカン星系で、重罪を犯した者が堕とされる「死刑星」。大昔に隕石がかすめてからは自転が極端に遅くなり、181日毎に昼と夜が逆転する過酷な環境になってしまった。昼は肉食植物が繁殖し、夜は氷点下の極寒。輪(リング)に入っていない者には必ず死が訪れる…

  • 輪(リング)
所属する人間の肌の色ごとに分かれた、集落のような組織。
4つ存在し、男女別々なため実質8つに別れている。
茶輪(オークル-)黄輪(サン-)
白輪(ブラン-)黒輪(ナイト-)
+それぞれにフィメール(女性版)
トップ、セカンド、サードと呼ばれる3つの上位階級があり、それぞれ一人ずつ就いて統治する。
トールは白人であるが、特例として茶輪のトップになり、ティズも黄色人種であるが、特例として茶輪のセカンドとなる。
役職に就くにはトップの指名、または「挑戦」(いわゆる決闘で「トライ」と読む)で相手に勝つことが条件。

  • 獣王
キマエラを統治する、キマエラにいる人間すべての「王」。名乗りを挙げた者(大抵は輪(リング)のトップ4人で行われる)が獣王戦として挑戦を行って決める。
獣王はコロニーとの行き来を許されており、現代の獣王はコロニー「ヘカテ」で暮らしている。

  • 女性
過酷な環境であるキマエラでは、子を成すことができ、数が少ない女性は男以上の権限を持っている。
「交の月」になると、望みの男を指名してまぐわい、自分たちの輪に戻って妊娠・出産・子育てをする。

  • 野童
輪に所属しようとしない少年。
ある程度の統率は取れているものの、ある種、輪以上の弱肉強食の世界。


【主な登場人物】

  • トール
(CV.堂本光一 少年期は高山みなみ)
主人公。白人。美しい。
宇宙パイロットとして地球へ行くことを夢見ていた。
天才的な運動能力と奇跡的な生命力、類い稀な強運を持ち、キマエラで生き延びていく。
何度かの危機を乗り越えて「銀鷹(シルヴァーク)」の異名を持つ茶輪のトップとなり、両親の仇であるオーディンを殺すために獣王を目指す。

  • サード
(CV.小栗旬)
茶輪のサード(3番目)。その実力は当時のトップ以上だが、本人は気楽でありたいとしてトップになることを嫌っている。
持ち前の機転でセカンドを殺したトールを気に入り、茶輪へと招き入れた。トールを獣王に仕立てあげようと暗躍する。
不審な言動が多く、その真意は…

  • ティズ
(CV.水樹奈々)
ヒロイン。なのに扱いが悪い。
黄輪(サン・リング)フィメールのトップ代行。
トールに危機を救われてからは、輪の掟により彼の子どもが欲しいと側にいることに。トールが茶輪のトップとなってからは、特例として茶輪のセカンドとなる。
トールのために奮闘するが…

  • ラーイ
(CV.高山みなみ)
トールの双子の弟。
成績優秀で、両親の後を継ぐために科学者を志望していた。
トールと共にキマエラに落とされたが、その環境についていけずにトールに殺されかけるが、その直後の輪との戦闘の混乱でトールに逃げるように言われた。しかし幻覚に襲われた上に、崖から転落しトールの名を叫びながら命を落とした。
アニメ版では死に方が異なり、輪との戦闘の混乱によって突如出現した植物に取り込まれて死亡した。

  • ザギ
(CV.中井和哉)
キマエラに落とされたトールたちを助けた、野童のリーダー格。知識・運動共に優れており、過酷な獣王星でもなんなく生き延びていた。
後に白狼鬼(ブラン・ロウ)と呼ばれる白輪(ブラン・リング)のトップを務め、他の輪の粛清を始める。
武器は短剣と腕の仕込み刀で、短剣をわざと弾きマントで相手を目眩しにした隙に、仕込み刀で相手に止めを刺す戦法を用いている。

  • カリム
(CV.朴ろ美)
ザギがトップとなった白輪のセカンドを勤める、茶肌の女性。武器は鉤針つきのテグス。
野童だった頃に植物からザギに命を救われたことがあり、彼を盲信する。


以下ネタバレ。




















  • シグルド・ヘザー
「サード」の正体で、コロニー連邦軍人。
本来の彼はトールと同じ容姿だが、自己催眠装置でサードの人格を形成し、「最後の子供(ラスト・チャイルド)」計画遂行のため、トールを最強の獣王にするために暗躍していた。
その目的は、任務成功の報酬として地球へ行くことだったが…。




地球は、獣王星をかすめた隕石の直撃によって太陽系もろとも滅亡している。

バルカン星系の人類も、種そのものが脆弱になっており絶滅の危機に瀕している。寿命が短くなっているのは、その予兆。

キマエラは、人間の生命力を高めるいわば「牧場」。その成果として、キマエラの女性は自然分娩で出産が可能。
自分以外のトップを殺して獣王となった者はキマエラを脱出できるが、その身体はヘカテで冷凍保存される。


トールは、失いつつある人類の生命力を取り戻した「強い人間」を繁殖させていく「親」を作り出す【最後の子供】計画によって
歴代の獣王のサンプルデータから作られた「最後の子供」であり、過酷な環境に置いて成長させ「完璧」にするため、キマエラに堕とされた。

実はラーイとは双子ではなく、母体となったに母にラーイと同じく愛されるために、似て生まれたのである。
両親が暗殺されたのは、トールに情が湧いてしまい、キマエラに落とすことに反対していたためだった。



コロニー連邦も実質はコンピューター「ユノ」によって統治されていた傀儡政権。

ユノはトールが計画を知ったことで失敗と判断し、ギリング元帥(アニメ版ではオーディン)の手によって自転加速装置でキマエラを破壊しようとしたが、トールたちによって阻止される。
だが、その戦いと混乱の中でサード=ヘザーとティズは命を落としてしまう。



数年後、
キマエラがコロニーの干渉を受けずに独立することを死の間際のオーディンに宣言したトールは、キマエラで生き残った仲間と暮らしていた。

その姿は、かつてのサードと瓜二つ。ユノとの戦いの中で、遺伝子がトールの知る「強い人間」の姿に変異したためだった。


食肉植物に襲われていた名もない野童の少女を助けたトールは、その少女に「希望という意味」としてティズの名を与え、
キマエラの空を見上げた――






追記・修正はビームナイフ一本で181日続く昼を生き延びてからお願いします。

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