MONSTER(漫画)

登録日:2011/09/03(土) 20:44:33
更新日:2023/08/28 Mon 00:15:21
所要時間:約 3 分で読めます




『MONSTER』とは、ビッグコミックオリジナルに1994〜2001年まで掲載されていたサスペンス漫画である。
単行本は全18巻、完全版が全9巻発行された。
2004年4月には日本テレビ系で深夜アニメ化もされた。
副読本や絵本もあるよ!

この物語は全ての黒幕であるヨハンの心理が極めて複雑かつ難解であり、少々取っ付きづらい。
が、テンマ・警察・ヨハンの三つ巴の追走劇を描いたサスペンスアクション、テンマが医師として活躍するヒューマンドラマなど、解りやすい見どころも多い。
そのため、なんとなくで読んでいても意外と楽しめる作品である。

あらすじ


ドイツのデュッセルドルフ市アイスラー記念病院に勤務する日本人医師の主人公ケンゾー・テンマはある日、銃弾を受けた男の子の緊急オペをするはずだった。
しかし院長命令により後から運ばれてきた患者(市長)のオペを命令される。
命令と良心の狭間で悩むテンマだったが、「人の命は平等だ」という信念により子供のオペを優先することを決意、子供は無事一命をとりとめる。
結果として他の医師にオペを任せた市長は死亡、院長の不興を買ったテンマは栄達の道を断たれた上に婚約者エヴァからも捨てられてしまう。
想像以上の転落ぶりにテンマは激しくショックを受け、浴びるように酒を呑みながら院長らへの恨み節を一人ぶちまけるのだった。

と、ここまでは医療の倫理問題のような内容だが、ここから物語が動き出す。

テンマが痛飲した翌朝、院長のハイネマンとその取り巻きが、毒殺された姿となって発見される。
同日、テンマが救った男の子ヨハンとその双子の妹アンナが病院から脱走、行方知れずとなる。
結局、新たに台頭した新院長によってテンマは再び出世街道へと返り咲くこととなった。

それから9年後。
テンマの前にヨハンが現れ、院長の殺害は自分がしたと告白、そのままテンマの患者(ヨハンの元手下)を殺害し逃亡。
ヨハンはその後も多くの人間を手にかけ、それらの容疑はすべてテンマに向けられる。

全ては自分に責任があると考えたテンマは、警察に追われながら怪物(MONSTER)・ヨハンを探し出して殺すべく旅に出る。

登場人物


天馬(テンマ) 賢三(ケンゾー)
CV.木内秀信
「私は、その怪物を甦らせてしまった…」
主人公。ドイツに住む日本人外科医。
天性の才に恵まれた凄腕の名医で、医師として強い使命感も併せ持つ。
自らの信念に従ってヨハンの命を救うが、それが後の悲劇の発端となった。
お人好しで優れたコミュ力の持ち主なのだが、変なところで頑固なため人付き合いはやや不器用。
しかしその人柄に惹かれて彼を慕う人間も多く、追走劇の最中でも多くの協力者に恵まれることとなる。

ヨハン・リーベルト
CV.佐々木望
「先生が僕を生き返らせたんだよ」
テンマが追う殺人鬼。テンマが追ううちにその過去が明らかになっていく。
自分の母親に名も付けられず、ニナではなく自分をドイツの実験に差し出されたことに苦悩していた。
人を操る英才教育をドイツから受けさせられていた、と本人も思っていたが実は英才教育を受けたのは妹だった。
そのことにより、完全な自殺、即ち自分のことを記憶している人間全てを抹殺しようとする。
最後は収容された病院から姿を消す。

ニナ・フォルトナー/アンナ・リーベルト
CV.能登麻美子
「あのとき、あたしがお兄ちゃん殺したのに!!」
ヨハンの双子の妹で、ヨハンの頭に銃弾を叩き込んだ張本人。
本来は明るくて活発な女の子なのだが、ひたすら陰惨な事件に巻き込まれるため、曇ってるシーンばかりが目立つ。
法学部に在籍している大学生で、10歳以前の記憶は失くしていた。迎えに来たヨハンに養父母(フォルトナー夫妻)を殺され、ヨハンを殺害するためにひた走る。
実は人を操る英才教育を受けていたのは彼女。

エヴァ・ハイネマン
CV.小山まみ
院長の娘でテンマの婚約者…だったが、テンマが出世コースから転落するとすぐさま見限り、他の男に靡いた腹黒ビッチ
が、院長の死により今度は自身が不幸の身の上となり、テンマとヨリを戻そうとするが、流石のテンマも愛想を尽かしており見捨てられてしまう。
このことですっかり酒浸りのアル中となり、テンマには愛憎入り混じった複雑な感情を向けている。ある意味ヤンデレ。
これで意外と一途なところもあり、後半ではいい女な一面も見せる。

ハインリッヒ・ルンゲ
CV.磯部勉
ドイツ連邦刑事庁(B K A)の警部。人並外れた記憶力と洞察力の持ち主。
有能な刑事ではあるのだが、キレすぎる&潔癖過ぎるせいで頑迷な一面も。しかも仕事にまかけすぎて家族仲は冷えっ冷え。
おかげで地位と家庭を同時に失うハメになり、唯一残されたテンマの事件に執着することとなる。八つ当たりかよ、とは言ってはいけない。
当初ヨハンのことはテンマの空想の産物(と言うよりも第二の人格)だと思い込んでいたが、やがて勘違いに気付くとともに真相に近付いていく。
終盤でテンマと対峙した際は、万感の思いを込めて「すまなかった」と謝罪した*1

ヴォルフガング・グリマー
CV.田中秀幸
「悲しい…自分が死ぬから悲しいんじゃない…自分の子供が死んだのが、今、悲しい…」
中盤から登場する長身のジャーナリストで、常に笑顔で朗らかな性格のおじさん。
が、ピンチになると凶暴な「超人シュタイナー」と化し、敵を容赦なく撲殺する。
その半生は凄絶にして悲惨の一言に尽き、多くの読者(視聴者)を泣かせた漢。

フランツ・ボナパルタ/クラウス・ポッペ
CV.野沢那智
諸悪の根源。本名はクラウス・ポッペ。フランツ・ボナパルタは心理学者・脳外科医としての名前。
他にも絵本作家として多数のペンネームを持つ。
人格操作の実験を行っていたが、双子の母親に恋をして3人を逃がすために関係者を毒殺。
その後は故郷ルーエンハイムでホテルを営む静かな暮らしを送っていたが、ヨハンの最後の標的として狙われることとなる。

ヨハンとニナの母
CV.高島雅羅
フランツ・ボナパルタに次ぐ、諸悪の根源。双子の本当の名前をテンマに告げるが、読者には明かされなかった。


余談

本作には副読本として「ANOTHER MONSTER-The investigative report-」が存在する。
ヴェルナー・ヴェーバーという架空のジャーナリストがヨハン・リーベルトにまつわる事件を取材したノンフィクション本という設定の書籍で、背景設定や各キャラの心情がより深く掘り下げられており、本編では分かりにくかった点のフォローが色々と成されている。
ただし、この本のストーリー自体が本編と同等以上に難解だったりするが。

お笑いコンビインパルスのネタに、板倉がヨハン・リーベルトを演じたコントが存在する。
冒頭はヨハンっぽいモノローグから始まるが、実はキセル→急性アルコール中毒→立ちションとしょうもない行為をしており堤下扮する一般人から突っ込まれるのが基本の流れ。
コント内ではヨハンの本名は清水和孝であることを明かしている。



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最終更新:2023年08月28日 00:15

*1 表情が変わりにくい(分かりにくい)キャラなので雑な謝罪にも見えるが、実際は相当な負い目を感じているらしい。曰く「もっと上手い言葉があるなら教えてほしい」そうな。