ストライクダガー(MS)

登録日:2010/02/21 Sun 16:06:22
更新日:2024/02/17 Sat 14:41:42
所要時間:約 6 分で読めます






へっ!もう好きにはさせないぜ!


出典:機動戦士ガンダムSEED HDリマスター 36.PHASE-38 「決意の砲火」 ©創通・サンライズ、©2002,2011 SUNRISE INC. より


ストライクダガーとは、『機動戦士ガンダムSEED』に登場するモビルスーツ(MS)である。


目次




ストライクダガー

STRIKE DAGGER


基礎データ


型式番号:GAT-01
全高:18.02m
重量:55.31t
動力:内蔵バッテリー
装甲材質:不明

武装:
  • 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
  • M703 57mmビームライフル
  • ES01ビームサーベル
  • 対ビームシールド
  • パラシュートパック

搭乗者:
リナルド
エドワード・ハレルソン
モーガン・シュバリエ
バリー・ホー
ジェーン・ヒューストン 他


機体解説


地球連合軍大西洋連邦が、オーブの資源衛星コロニー「ヘリオポリス」内で建造された5機の「Gシリーズ」を基に戦時簡易量産機として開発した機体。

元々開発が進められていたのは、唯一ザフトに強奪されなかったX105ストライクの正式量産機・ダガー(通称:105ダガー)であったが、
戦時下において早急な戦局打開のため、一機でも多くのMSの配備が急務だった*1ことから、
正式量産機のダガーから一部機能をオミットし、いわば「簡易量産機」として開発されたのがこのストライクダガーである。

外観はストライクを簡素化したようなもので、頭部センサーはバイザータイプ、ブレードアンテナは右に一本のみ。
全体の装甲形状も簡素化され、カラーリングはPS装甲展開時のストライクよろしくトリコロールだが、全体的にやや暗い色になっている。
所謂「ジム顔」であるが、頭部装甲とフェイス部分は独立しており、バイザー部分はやや細く少し俯くとツインアイに見えるなど、
見ようによってはオリジナルのストライクにも通ずる「ガンダム顔」にも見えるようなデザインとなっている。


簡易量産機ということもあり、性能はストライカーパックなしのストライク未満。
それでもジンよりは上だし、M1アストレイともほぼ互角である。

簡易量産機という背景もあってか、オリジナルにあたるストライクのPS装甲ストライカーパックシステムは、
前者は量産しづらいため、後者はストライカーパックの配備が進んでいなかったという理由で、それぞれオミットされている。
さらには、105ダガーに採用されていたラミネート装甲などの諸装備もオミットされ、
頭部バルカン、ビームサーベルといった固定武装も削減されるなど、まさに必要最低限の装備となっている。

しかし、曲がりなりにも汎用型であるX100系を基にしているだけあり、ある程度の汎用性を備え、様々なオプションを搭載可能。
腕、腰、膝には追加装備用のハードポイントが存在し、必要に応じて装備を追加することで戦力増強も見込める。
また、本機の元になった105ダガーは基本設計が良いらしくバリエーションが豊富で、
ストライクのみならず、デュエルバスターといった他のXナンバーのコンセプトを引き継いだ派生機も開発されているなど、
この機体の後に続く連合の量産MSの標準形としての役割を得ることとなった。

本機には地球連合軍待望のナチュラル用OSが組み込まれているため、ナチュラルの一般兵にも問題なく操縦ができる。
これはヘリオポリスで試作された物から、地上でデトロイトの企業が独自改良を重ね完成させた代物である*2
といっても、同時期にオーブのモルゲンレーテ社が完成させたナチュラル用OSと比べて性能的にそれ程大きな優劣は無い模様。
また小説版では「ナチュラルにも扱えるように動作をある程度パターン化し操縦を補助するというOSの特性上、イレギュラーな動きへの対応が困難」といった欠点が存在することも言及されている。

ちなみに、コクピットは元々コーディネイター用であったザフトのMSを参考にした結果、
コーディネイターならいざ知らず、ナチュラルが扱うには操縦性に難があった前期GAT-Xナンバーのものと違い、
ナチュラルに扱いやすいように簡略化したことでむしろ(ナチュラルにとって)改善されている箇所も多く、生存性などは比較的高め。
同時に改良の結果コントロールシステムは練度の低い一般兵でも扱いやすく、その完成度の高さからほぼそのままの仕様で後期GAT-Xシリーズにも採用されている。

以上のようにジンより性能は上でビーム兵器の搭載により攻撃性能は高かったものの、
ベースとなった105ダガーから大幅に簡略化された為、総合性能は大分落ちてしまっていた他、
訓練はしていたとはいえ、パイロットの平均練度もザフトと比べて劣っているという問題もあった。
ただ、少なくとも向こうの主力MS・ジンに対抗し得る性能は有していたことで、
連合得意の多くの機体・パイロット数と、最初から集団戦法で対抗するという形でそれらの問題点をカバーし、
MAが主力だった頃はいいようにやられていた、ザフトとそのMSにようやくまともに対抗できるようになった。
設定のみならず劇中でもザフトMS撃破も(活躍数はともかくとして)描かれており、見込み通りの戦果を得られていたと言えるだろう。

なお、汎用性に優れたX100系を元にしていることや、ストライカーパックを使用できず、標準装備も必要最低限に絞られたシンプルさ故、
その機体性質的にはむしろデュエル寄りになっている本機だが、名称にはあえて「ストライク」が使われている。
これは「105ダガーをベースとしている」ということ以上に「唯一強奪を免れたストライクにあやかった為」と云われている。



武装


  • 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部左側に一門のみ装備。
スペースに余裕が出来たためか、装弾数は前期Xナンバーよりも多いらしい。

標準装備の一つ。
本編ではこれを構える姿がしょっちゅう出てくる。
構造的にはデュエルのビームライフルの改良型でかなりシンプルな造り。エネルギーは機体から供給。
ジンの重突撃機銃のような弾幕は張れないが、中距離からでも直撃なら一撃でジンやゲイツを撃破し得るため、集団戦では充分な脅威となる。
設定資料ではグレネード付きとされているが、劇中では使用されなかった。
ちなみに、ストライクやデュエルといった所謂「ガンダムタイプ」のビームライフルとは異なる特徴的な発砲音がする。

背中にマウントされた格闘用武装。
エールストライカーやデュエルには2本装備されているが、本機の装備数は1本のみとなっている。
ビーム刃の色はイージスと同じ黄色。
ライフル同様、量産機用としては充分な破壊力を持つ。
なお、ビームサーベルのマウント部分は着脱が可能。

ストライク等と違い、曲線的でシンプルな形状の盾。
元々はこちらがストライクの盾としてデザインされた。

  • パラシュートパック
背部のアタッチメントに搭載する降下用装備。
装備場所の都合でビームサーベルと併用できない。



劇中の活躍


◇C.E.71(『SEED』)

パナマ基地において密かに開発が行われ、初期生産や訓練が行われていた。
そして5月25日にザフトが行ったパナマ攻略戦で基地司令の判断で初めて本格投入され、
侵攻したザフト軍のジン部隊に対し、ビーム兵器の攻撃力と集団戦を活かし圧倒的な活躍を見せた。

しかし、基地攻略のためザフトが投下した電磁パルス兵器「グングニール」の発動を許してしまい、マスドライバーを含む基地施設を破壊されたうえ、
投入されていたストライクダガー部隊も巻き添えで電装系がおシャカになり全機機能停止
攻撃どころか、動くことすらできなくなったところを対EMP装備の強度が高く影響を受けなかったジン部隊の反撃に遭い、
はり倒されてコクピットを機銃で蜂の巣にされるなど一方的に蹂躙され、パナマ基地諸共ザフトに壊滅させられた。
将来性の不安(キャラ的な意味で)を視聴者に感じさせる、そんな初戦であった。

因みに、この時の機体は第13独立部隊に所属している。やっぱりアレへのオマージュと考えるべきであろう。


以降もオーブ戦やボアズ攻略戦などの大規模戦闘に多数投入された。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦でも主力部隊として参加するが激化する戦線の中多くの機体が大破し宇宙に消えて行った。
しかし、やはりビームライフルの威力や性能も良好であるため、反撃してジンやゲイツも撃破している事から主力機としての役割は大きく果たしている。

終戦後はストライクダガー→105ダガー→ダガーLと主力機種が移行していき、
DESTINY』の舞台であるC.E.73年代には次期主力量産機であるウィンダムが配備された事もあり、ほとんど姿を見せることはなくなった。
ザフトが未だにジンやディングーンを利用している事を考えると、連合の兵器生産と機種変更が上手くいっている事を示している。


◇C.E.73(『SEED DESTINY』)

既に旧式ということもあってストライクダガー自体は登場せず、MAゲルズゲーに上半身が流用されている程度の登場。
……だった。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 選ばれた未来』及びHDリマスター版では、なんと最終決戦のメサイア攻防戦に参加している様子が僅かに確認出来る。
流石にそれで戦うのは厳しかろう…と思いきや、少なくとも1機が無傷で生き残っていた*3。えらい猛者もいたものである。



派生機


ロングダガー

型式番号:GAT-01D

質より量を重視したストライクダガーとは違い、高性能を追求した機体。
その分パイロットに求められる操縦技能は非常に高いものになっているが、
本機は元より地球連合の戦闘用コーディネイター「ソキウス」をパイロットにする前提で開発されているので、
その辺りは端から度外視して開発されたと思われる。

オプション装備として、デュエルのアサルトシュラウドを参考にした「フォルテストラ」があるなど、
ストライクではなくデュエルのコンセプトを受け継ぐ機体で、本来「デュエルダガー」と命名されるはずだったが、
オリジナルのデュエルがザフトに鹵獲されたことで、その名を付けることに抵抗感を持つ者が多く、結果として名前は「ロングダガー」となった。

MSVでは「煌く凶星『J』」ことジャン・キャリー専用の白いロングダガー等も存在する。



◆デュエルダガー

型式番号:GAT-01D1

ロングダガーをナチュラル用に調整し直し、カラーリングを変更。
性能は特に変わらず。
詳しくはロングダガーを参照。



ダガー(105ダガー)

型式番号:GAT-01A1

連合の開発したストライクの制式量産機。アニメにも『SEED DESTINY』で登場した。
ストライク同様にストライカーパックの装着が可能で、装甲材以外はストライクと同等の性能を誇る。
詳しくはリンク先で。



◆バスターダガー

型式番号:GAT-A01/E2

105ダガーを基にバスターと同型の装備を追加し改修した物。
詳しくはダガーを参照。



◆NダガーN

型式番号:GAT-S02R

105ダガーを基にしたGAT-X207の量産型。
見た目はほぼまんまブリッツで、武装もかなり似ている。
詳しくはダガーを参照。



◆ダガーL

型式番号:GAT-02L2

105ダガーの後継機
ダガーと同様にストライカーパックの装備ができる。
詳しくはダガーを参照。



◆ワイルドダガー

型式番号:GAT-X399/Q

詳しくはダガーを参照。



ゲルズゲー

型式番号:YMAG-X7F / YMFG-X7D

本機の上半身を流用した大型モビルアーマー
陽電子リフレクターを前面に展開が可能なのが本機の特徴である。
下半身は巨大な蜘蛛めいた機構で、アラクネや絡新婦といった半人半蜘蛛の妖怪めいたシルエットとなっている。



この他にもフォビドゥンを水中用に改修したフォビドゥンブルーの制式量産機「ディープフォビドゥン」、
ハイペリオンの陸戦用量産試作機「ハイペリオンG」といった機体にもダガー系のパーツが流用されている。



立体化


ガンプラ

1/144コレクションシリーズで製品化。
簡易なシリーズなため、可動は少なめで頭部が胴体と同成形色であるなど、見栄えを気にするなら他同様塗装などに気を遣いたいところ。

連合を代表する量産機にも関わらず、HGで発売されたのは原型の105ダガー(ガンバレル)とそのカラバリのスローターダガー、
2020年代に後継機のダガーLなど他のダガー系のメイン機体が出揃ってきている一方、ストライクダガー自体は発売されていない。
その105ダガーも、原型ということもあってストライクダガーと確かに形状は似ているのだが、
二機を比べると意外と相違点が多く、105ダガーのキットを改造して再現しようとしても中々容易にはいかない。

同じ量産機・ガンダムタイプのデザインであるM1アストレイと違い、
リマスターシリーズでもストライクダガーはHG化されなかったため、半ば絶望視されていたのだが、遂にプレミアムバンダイ限定で2022年12月に発売が決定。
半分近いパーツがダガーLからの流用(ビームカービンも丸々組める)で元の元であるストライクガンダム由来の余剰パーツも多いが、
特徴的なビームライフルやシールドの形状を再現し、やや暗い色調で整われている。
また、おまけパーツとしてパラシュートパックが付属。
背部のコネクタはカバーで蓋をしてあるが、パラシュートパックを取り付ける都合で簡単に外せるようになっている為、
エールストライカーやドッペルホルン、ジェットストライカーなどバックパックタイプのストライカーを装備させたオリジナルのストライクダガーを作ることも可能。


プラモデルにこだわらなければ、ROBOT魂でも発売されているので、そちらを選んでもいい。



ゲームでの性能


『連合VS.ZAFTシリーズ』

TVシリーズメインということで登場。
コストは280(連ザⅡでは270)。
癖がなく標準的な装備に悪くない格闘性能ながら、足回りが大分重い。

連ザ時代ではバランスこそ悪くないものの同コストにM1という上位互換がいて誰も見向きもされなかった不遇機体。
ちなみに何故か歩く時の金属音がやたら甲高い。キンキン言う。
あと某立ちからBRを撃つと今にも倒れそうなヘッピリ腰で撃ち(効果音)、前格の後の硬直がOSフリーズと呼ばれるなど隠れたネタ機。
しかし覚醒コンボデスコンはカッコよくコストにしては威力も高い。


◇『BATTLE DESTINY』

連合ルートの初期機体として登場。
ストーリーの都合であろうが、ヘリオポリス襲撃の時点で既に稼働している。
やはり初期機体というだけあって、性能はお世辞にも高くは無い。
アニメに於ける登場時の演出を再現してか、歩行時にはやはり独特の甲高い音がする。
なお本作ではビームライフルにグレネードは付属していない扱いとなっている。


◇『スーパーロボット大戦シリーズ

基本敵には『SEED』が参戦した際に敵として登場。
特にいう事もない平凡な機体なのだが、初参戦の『第3次α』では、
前作で鳴り物入りで量産されたはずのF91(とヘビーガン)が未参戦というメタい理由で戦場から完全に姿を消した末に量産された新型機であったため、
さすがに量産型F91の代わりに量産するような機体じゃないだろうとよくネタにされている。
ヘビーガンとの比較ならまぁ、分からなくもないがジェガンジム・カスタムが普通に現役張ってるのに必要なのか?と言われたら困るところである。
ただ、『トップをねらえ!』との兼ね合いで終盤で木星が消滅したので、
ヘリウム3の採取が出来なくなる事を見越したバッテリー式動力の新型機だったのでは?という意外と納得できそうな説もある。




追記・修正は青き清浄なる世界の為にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • ガンダムSEED
  • SEED_MSV
  • SEED_DESTINY
  • ASTRAY
  • 地球連合軍
  • ストライクダガー
  • GATシリーズ
  • ストライカーパックシステム
  • ダガー
  • MS
  • 量産機
  • 一般兵
  • やられ役
  • やられメカ
  • ジム
  • (凸)
  • ストライクジム
  • ストライクだが
  • 機動戦士ガンダムSEED
  • 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
  • ワイルドダガー
  • ロングダガー
  • デュエルダガー
  • バスターダガー
  • 105ダガー
  • NダガーN
  • ダガーL
  • ゲルズゲー
  • チャチな人形
  • ナチュラルのオモチャ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月17日 14:41

*1 なにせザフトの主力兵器であるMSに対応できる機動兵器が皆無という状態だったため、物量では勝っているにも拘らず連合はほとんど押されっぱなしだった。

*2 ストライクの実働データなどが入手出来た段階では既に大方完成していた

*3 すぐ近くに片手脚の無いダガーLがいるので余計に引き立つ。