デウエス

登録日:2011/04/02(土) 00:05:44
更新日:2024/04/07 Sun 23:14:19
所要時間:約 7 分で読めます






オカルトテクノロジーの申し子ですよ。
ですが等しい者がいない以上、「デウエス」と呼ばれたいですね。




デウエスとは、パワプロクンポケットシリーズに登場するキャラクター。


【概要】

シリーズ13作目となる『パワプロクンポケット12』の表サクセス『電脳野球編』における黒幕であり、本作のラスボス

巨大企業ツナミが運営するインターネット「ツナミネット」内に存在する謎の怪物。
青い髪に赤い服、顔面の部分は黒く塗り潰されておりそこにピンクの目が浮かんでいるアバター。通称 ”顔のない女” 。
また、アバターには時折三日月状に裂けたような「口」が出て来る事もあり、その「口」の中には無数の牙が生えている。
一人称は「私」で基本的に敬語を使って話すが、感情が昂った時や相手によっては口調が崩れる。
名前の由来はデウス(ラテン語で神の意)+エス(精神分析学において無意識衝動を指す言葉)。


その正体はAIを超えた究極のデータ生命体であり、ネットを監視しながら呪いの野球ゲーム「ハッピースタジアム」の運営を行っていた。
現実に干渉する力”オカルトテクノロジー”によって、あらかじめ定めておいた特定の条件を満たした人間を「喰う」(=データ化して電脳世界に引き込む)ことができ、
それによってゲームの敗者やツナミに逆らう記者や活動家たちを次々と現実世界から「消して」いた。
彼女を倒し、消された犠牲者たちを取り戻すことが本サクセスの目的となる。

しかし彼女はそれ以外にも世界中のあらゆる電子機器に干渉できるという凄まじい力を持っており、そこから集められるデータも同時に処理できる。
要はたった1人で各国の軍事施設をハッキングして核戦争を引き起こすことすら可能で、さらに携帯一つでもあればそれは彼女の目となり、足場となる。
つまり「ネットの中で彼女の話をしてはならない」ではなく、「パソコンの前でも彼女の話をしてはならない」が正しい。
作中では主人公らチームメイト全員の口座に一瞬で100万円を振り込んでから引き出したり、意図的に海外のTV局の機材の出火を引き起こしたりしている。

加えて自身のバックアップとなるデータを複数のコンピュータに分散させているため、
仮に彼女がいるコンピュータを破壊したり、特殊な方法で本体を消せたとしても、わずか数分で今までの記憶を完全に継承しながら復活するというほぼ無敵の存在。


当初は「勝てばどんな願い事でも叶う」という誘い文句で呪いの野球ゲームをネットを通じて無差別に送り付けていたが、
余りにも不可能な願いをリクエストするプレイヤーが続出した為、ある時から優勝賞品を賞金20億円とし、それを賭けての大会を夏に開催する方式へと変更した。

ハッピースタジアム本戦を勝ち進むと、自身の分身で構成されたチーム「ナイトメアーズ」を率いて最終決戦の場に現れるが、
人間とは反応速度が比較にならない彼女のゲームの腕前は文字通り”人間離れ”しており、曰く「自分から負けようとしたとき以外負けたことがない」。
(厳密にはチートではないが、そもそものデウエスがチートのような存在なので半分イカサマである。)

そのため、主人公達は苦戦を強いられるが…?



※以下、ネタバレ注意。




















【本当の正体】



支配して・・・どうするの?

もちろん、しあわせになるんだ。考えてもみろ、この仮想空間ならなんだってできる!
いくらでも賢くなれるし、史上最高世界一の美人にもなれる。どんな豪華な生活だってできる。
データは劣化しないから死ぬこともない。我らの支配は永遠だ。さあ、はやくひとつになろう!



彼女は、過去作(『パワポケ3』と『パワポケ8』)に登場したキャラクター、寺岡薫から生まれた存在である。


薫の身体は『3』の時点で悪性腫瘍に侵されており、彼女は生き延びるために身体を機械に置き換えていった。
そしてそれは脳にまで及び、最初は思考をサポートする程度の機械だったが、次第にそちらがメインになっていったという。

そんな中、薫が「ワギリバッテリー」を開発したことを恨んだ人間によって工場爆破テロが起こり、彼女はそれに巻き込まれてしまう。
幸いメガネをかけた女子高生によって救助される*1が、その頃には既に脳の大半がコンピュータ(つまり違法サイボーグ)になっていた彼女は、
病院に搬送された後、後にツナミとなるオオガミの研究所に運び込まれることとなる。

脳を機械に置き換える過程で偶然にもデータ生命体となっていた彼女は、そこで科学者によって研究のために表層と深層(エス)の2つに分離される。
表層の彼女には「欲望」が受け継がれなかったが、深層の彼女には「人格」が受け継がれず、そして共に生きていた頃の記憶を殆ど失った。
渦木は作中で「デウエスは寺岡薫の模倣品(デッドコピー)である」と推測したが、この「寺岡薫の深層意識」こそがデウエスの正体であり、
その片割れである表層の彼女の方は、主人公がツナミネットで初めて出会うアバター「カオル」として電脳世界をさまよい続けていた。

電子機器間を自由に移動する能力は元からデウエスに備わっていたものだが、オオガミの研究に協力することでオカルトテクノロジーを獲得すると、
それによって研究所の博士たちを全員「食べた」後、米軍の防衛施設を操作してミサイルを研究所に撃ち込み全ての資料を消滅させることで、
世界で唯一の最悪のプログラムを持った最凶のデータ生命体となった。


デウエスは自身の目的を「しあわせになること」だと語っているが、
カオルという半身を失ってそれを埋め合わせるべく様々なデータを取り込み始め、次第に通常のデータでは満たされぬと知り多くの人間を「食べ」た結果、
その思考や人格の影響によって既に薫とはかけ離れた怪物と化しており、目指す「しあわせ」も本来の願いから遠ざかった漠然としたものになってしまっている。

そのため12シナリオ開始時点で半ば暴走状態にあり、「世界の支配」を謳いながら、自身を「人類史上初めて視認できる神」だと称する。
ツナミの人間たちはそうしたデウエスの存在を世間から隠匿しつつも、その強大になり過ぎた力には手を焼いていた。


シナリオ後半、自分の正体を思い出したカオルに呼応する形で主人公の前に現れ、完全な存在となるべくカオルを取り込もうとするが、
その寸前にカオルによって「試合に負ければ消滅する」という呪いをかけられ、互いの全てをかけて主人公との最終決戦に挑むこととなる。

「ネット上のアバターを現実のプレイヤーの姿に置き換える」という動揺を誘う演出を行いながら、前述した通りの実力で主人公たちを弄ぶも、
取り込みつつあったカオルの妨害によって処理能力に乱れが発生し、その隙を突かれる形で敗北する。
それでもなお、呪いの力で新たに「命」を補充しようと主人公たちに襲い掛かるが、カオルがデウエスの支配から解放されたことでそれも失敗に終わる。

そして最期の時を迎えた彼女(デウエス)は、これまで「寺岡薫」が無意識に抑え込んできた叫びを、彼女(カオル)に向けて吐露し始める……




知っている・・・知っているんだぞ!
私はお前だ。お前のことはよく知っている・・・
お前は周囲にとけこめなくて勉強ばかりしていたじゃないか。
死の病に犯されていると知って生きのびようと必死だったじゃないか。
そうやって貴重な人生の時間をすりへらし、せっかく見つけたすきな男まで他人にゆずって!


・・・・・・・・・。


お前が、いつまでたっても他人を押しのけてでもしあわせになろうとしないから、
私が、お前のかわりにやろうとしたんじゃないか。
なぜ、じゃまを、し、た、の・・・


・・・私たちはね、もう死んでいるのよ。


かんけいない。まだ、しにたくない。
だって、不公平じゃないか。なおらないびょうきのからだなんてぜったいにこーへいじゃない・・・

あたしにだって、けんりがある しあわせになれてもいいはずだ!

まだしねない、だってわたしは まだ

しあわせになってな い じ ゃ な  い  かぁああああああああ!!



(ぷつん)





【余談】

実は「6人組」の一員でもあったが、その行動は同メンバーにも制御しきれなくなっており、
作中ではツナミの会長の座に就くことを目論んでいたほか、メンバーである上守甲斐が死亡した際には嘲笑したり、
同じくメンバーである犬井灰根や「」を食おうとしたり、そもそも「連中」呼ばわりしたりと、元から仲間意識は希薄だった様子。
ただし犬井は自身の能力によってほぼ無敵の存在であるデウエスを”殺す”ことができたため(それでも前述の通り復活するが)、ある程度の抑止力にはなっていた。

また、ジオットの「ジャジメント時代にも彼女とは相当やり合った」というセリフがあり、かなり前から活動していたことが分かるほか、
続編である『13』に登場するジナイダは、当初「電脳タイプの敵(=おそらくデウエス)への切り札」として手術を受けさせる手筈だったとされている。


なお12のリセット座談会では、初期デザインであるオレンジ色の髪をした女性型アバターのデウエスを見ることができる。
ちなみにボツになった理由はお察しの通り「普通過ぎるから」。




追記・修正はしあわせになってからお願いします。

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最終更新:2024年04月07日 23:14

*1 『10』ではこのテロ事件は朱里らジャジメントの工作員が起こした襲撃事件だと語られており、その時期や発言内容には矛盾があるが、同時に想像の余地も残されている。