ファイアーエムブレム 聖魔の光石

登録日:2012/03/26(月) 17:32:25
更新日:2024/02/19 Mon 08:01:50
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立ち向かう度に、人は少し強くなる



【概要】

『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』とは、2004年10月7日に発売されたゲームボーイアドバンス専用ソフト。
開発先はインテリジェントシステムズで、シリーズ8作目。
ゲームボーイアドバンスで展開されたシリーズにおいては、今作が最後となった。
前々作『封印の剣』、前作『烈火の剣』と続いてきたエレブ大陸から、世界観を一新した内容となっている。
2011年にはニンテンドー3DSアンバサダー・プログラムとして配信された。

CMソングはaikoの「洗面所」。



【あらすじ】

かつて魔物が蔓延り、古の魔王に支配されていたマギ・ヴァル大陸
英雄グラド率いる5人の勇者達は「双聖器」と「聖石」の力で魔王を封じ込めた。
それから800年の間、人々は「聖石」を守護石として国家を形成し、平穏な時代を享受していた。
だがある時、グラド帝国が突如ルネス王国に侵攻。
前線を指揮していた王子エフラムも行方不明となり、やがてグラド軍の手はルネス城にまで及び、双子の王女エイリークは父王ファードを残しての脱出を余儀なくされる。
聖騎士ゼトと逃げ延びたエイリークは、グラド軍の追手から逃れつつ親交の深い隣国フレリア王国目指して逃避行をはじめる。
その同時期に、伝説とされていた魔物が各地で現れ始め…。


【主な登場人物】

本編の主人公。慈愛に満ちているが世間知らずな面も。
セリカリンに次ぐ三代目女性ロード。
ブラコン。

エイリークの双子の兄で、もう一人の主人公。
シリーズ初の槍使いロードで、ヘクトルに次ぐ俺様主人公。
シスコン、ロリコン疑惑あり。

ルネス騎士団の将軍で「真銀の聖騎士」の異名を持つ。
お馴染みジェイガンポジション…と思いきや成長率が高く、最後まで使っていける。
しかもイケメン(これ重要)

赤の騎士でフランツの兄。
飄々とした能天気な性格であり、絵を描いたり戦場で昼寝することが好き。
俺の風を感じてみないか?

  • カイル
緑の騎士で生真面目な性格。だがその心根はアツい。
フォルデの幼なじみ兼ライバル。そしてツッコミ役。

ルネス騎士団の一員だったが、中盤で裏切る。
奥様はみんなのトラウマ。
トラナナにも(あだ名とはいえ)同名のキャラがいたが別人。

見習いトリオの一人。
センシガルシアノムスコロス。

見習いトリオの一人。
幼少時に母親が山賊にさらわれたことで、強くなるためにグラド軍に入った。

見習いトリオの一人。賢者サレフの弟子。
姉は踊り子のテティスで、親に捨てられた過去を持つ。
支援会話の内容からエロガキと呼ばれることも。

ルネス近郊の小さな村に住んでいる魔道士の少女。
私、優秀ですから。

フレリア王国の王女。
実は良い人ヒーニアス王子の妹。
「青髪」「王女」「ペガサスナイト」と、初代ヒロインの[[シーダ>シーダ(FE)]を意識した要素が多い。
おてんばで可愛い。

 敵
敵ヒ敵<助けて!エイリーク!
 敵

吟遊詩人のサーガに憧れ、ドズラとレナックの二人を引き連れて魔物退治の旅をしている美少女ですわ。
その正体はロストン聖王女なのですわ。

定番のキルソード持ち剣士アサシンにもなれるが成長率がやや微妙。
賭け事が好き。
ヨッシャア

毎度おなじみロリマムクート
闇の樹海で人知れず生きてきた。

グラド帝国六将の「月長石」だが?
作中屈指のネタキャラと評判らしいが?

グラド帝国六将の「血碧石」。
二回戦うが、二回目の意味不明なステータスは語り草。

グラド帝国の皇子で、双子の親友。
だが、実は…。

かつて封印されたという古の魔王(笑)
一応ラスボス(笑)


【新要素】

システムの大半は『烈火』からの流用だが、新たなシステムが導入された。
その中には『ファイアーエムブレム外伝』からのオマージュとされているものもある。

  • W主人公システム
シナリオは当初エイリーク視点(外伝ではエフラム視点)で進むが、エフラムと合流してからはW主人公体制になる。
中盤からはエイリーク編とエフラム編でストーリーが分岐していくが、その内容は全くといっていいほど異なるものであるため、物語の全容を知るには両ルートを体験するのがオススメ。なお、合流後も一部シナリオや敵編成(16章の敵編成、19章の秘密店の位置など)などが異なる他、拠点の制圧権や輸送隊の所持は選択した主人公のものになる。
主人公ごとに人物の台詞が異なる場合もあるので、シナリオごとに台詞を見比べてみるのも面白いだろう。
また合流後はどちらも主人公なので、片方が死亡するとゲームオーバーになる。

  • フィールドマップの移動
序盤の終わり頃からフィールドマップで好きなマップに移動ができる。
町などでは武器や道具屋が利用出来、場所によってはランダムエンカウントで魔物が出現する。
秘密の店はエンディング後に限りワールドマップから利用可能。本編中で利用したいならいつものようにメンバーカード持ちで店を探す必要がある。

  • EXマップ
本編とは別に特殊なマップでユニットを制限なしで育てることができる。
各地の戦場拠点の他に最初は「ヴェルニの塔」、19章以降は「ラグドゥ遺跡」が攻略可能。ヴェルニの塔は暫くステージを攻略するまで全ての階層に進めない。
また各層ごとのセーブは出来ない。すべての階層をクリアするとかかったターン数などが記録される。
本編クリア後に挑戦し、クリアする度に本編で仲間にならなかったキャラが仲間になり、このマップ限定で使用可能になる。

  • 分岐式クラスチェンジ
ロードを除いて下級職から上級職にCCする際、CC先が二択になり、好きな方を選択できるようになった(例:神官→司祭or賢者、剣士→ソードマスターorアサシン)。後に『覚醒』にも採用された。
また新たな上級職が追加されたため、前作から続投される一部上級職は差別化も兼ねて装備可能武器種の追加or削除or置き換えがなされた。

  • 見習いクラス
ロス、アメリア、ユアンの見習いトリオの兵種。
計3回ものCCが可能で、戦略に幅が広がった。

  • スキルの追加
一部の上級職にスキルが追加され、よりクラスに個性が出た。
後に『蒼炎の軌跡』でスキルシステムが本格的に復活した。

  • 魔物
今までのFEでは「国家間の戦争」をテーマにしていたが、今作では「魔物の打倒」という最終目標が定まっている。

  • 難易度選択
本作では全ての難易度が最初から選択可能。「はじめて」「ふつう」「むずかしい」の3種類。
「はじめて」は序盤の数章でチュートリアルが挿入される。敵の強さや難易度自体は「ふつう」と同じ。

【余談・小ネタ】

  • 今作は資産評価…というか評価システム自体が存在しない。なので売る以外の使い道がない宝玉系アイテムはコレクター以外は入手次第即売りで問題なく、高額な武器やドーピングアイテムも資産評価の低下を恐れて出し惜しみする必要もない。
  • 今作にも全ての商品が半額で購入出来るシルバーカードが存在し、特定場面を除いてワールドマップの好きな店で買い物が可能。なのでどこかで購入可能なアイテムは全て換金しておき、必要になった際にはシルバーカードを使って売った時の同額で買い戻して使うというプレイが可能。輸送隊の容量に困っているなら行う価値はある。やってる事は質屋である。また中途半端な回数のアイテムを売る→新品を買うで修理屋めいた働きをしてもらうことも出来るが当然ながら購入可能なアイテム限定。
  • 主人公合流後の19章を最後にアーマー系特効武器・レイピア・レギンレイヴは通信闘技場を除いて特効の発生する対象が居なくなる。
  • ジャンプフェスタでのみ入手可能だったアイテムに斬魔の剣・撃魔の槍・断魔の斧・破魔の弓・ジュナの実が存在する。武器のスペックは必殺5%と魔物系への特効が付き、耐久が60になった鉄系武器のもの。ジュナの実はステータスをそのままにレベルをランダムで1~5下げるという効果。

【賛否両論な点】

今作はGBAのみならずシリーズ全体から見てもかなり賛否が分かれる作品となっている。
ライトユーザーを取り込む意図があったためか、従来作品に比べると全体の難易度が明らかにヌルい。
シリーズものの宿命なのだが、そのため古参からのプレイヤーにとっては微妙と思われがちである。
前作は難易度調整が絶妙だったのだが、今作ではそういった捻りがかなり減らされている他主要ボスキャラがやたらと弱く、ザコ敵のステータスも前作とほぼ同じ仕様(幸運は高くなってる)である事、装備や配置もさほど練られていない事、更に全体的にユニットの成長率が上昇傾向にあり極めつけに自由に育成の機会が得れるためハードモードに相当する「むずかしい」でもまだヌルいという声も多い。
ただしエフラム編の11章、エイリーク編の13章、EXマップの「ラグドゥ遺跡」に関しては、「むずかしい」モードにすると一筋縄ではいかない難所となっている。
あまり触れられないが序盤の幾つかのマップも地味に難易度が高く、自軍のスタート地点から増援、という割とえげつないパターンが組み込まれているステージも幾つか序盤からある(「はじめて」~「ふつう」でも)。

微妙にバグも多く、「溶岩が吹き出る床に盗賊が待機すると『罠を解除した』という文章とともにマスが無力化される」「前作のフレイボムバグがそのまま残っている」「敵の魔法『ストーン』をうまく使うと闇魔法を習得でき、これにより闇魔法を本来使えないはずのユニットがナグルファルなどを使えてしまう」「前作と通信闘技場で戦える(グラフィックや武器などはバグる)」など、随所に作りこみの甘さが見て取れる。

こういった調整不足な点を受け、今作の神器枠「双聖器」の補正ステータスも噛み合っておらず手抜きであるとする意見もある。なんで斧が速さで光魔法が守備で剣が魔防なんだよ、わけわかんねぇよ!というやつ。
だが通信闘技場をしっかり突き詰めてくると分かるのだが、これは実は結構絶妙なバランス調整である。
詳しい話は省くのだが、要は「速さが非常に高いエクスカリバー持ち賢者に、魔防補正のアウドムラ持ちのソドマスやフォレストナイトでにらみを利かせる」というものを皮切りに絶妙なバランス調整がなされている。
ただしストーリー面では「斧と闇魔法使う英雄ってなんだよ」というツッコミどころなどにもつながっている。

また、『新・暗黒竜』では更にチュートリアル要素が追加されたり、『新・紋章』以降ではユニットがロストしないカジュアル(フェニックス)モードといった更なる救済要素が追加されている点を考慮するとこの作品でも苦戦する、クリアできないプレイヤーもいたと思われる。
実際、同じノーマル同士の比較なら『新・暗黒竜』や『覚醒』、『風花雪月』と比べると難易度は高めである。序盤に関しては前作のエリウッド編よりも難易度が高い。
あまり油断すると経験者でも思わぬ所で躓いてしまうあたりは、てごわいシュミレーションとしての品格は十分保っている。
プレイする際にある程度の制限をかければ、手ごたえのあるプレイをすることもできる。そういう意味では幅広いプレイスタイルで遊べるともとれる。
シリーズ経験者は「むずかしい」を選び、フリーマップや闘技場の利用を完全に封印すれば一応の歯ごたえは感じられるだろう。ところでむずかしいの幽霊船きつすぎるんですけど……

ちなみに北米版では弱すぎたボスは上方修正、強すぎたボスは下方修正など様々なゲームバランスの調整が入っている。

なお今作ではほとんどのユニットの成長率が軒並み良く、俗に言う「イラナイツ」と呼ばれるようなユニットが少ないのが特徴的。
EXマップで育てることも可能なため、登場時期が遅すぎるため育成する暇が無かったなんてこともない。
秘密の店に通い詰めれば、全員ステータスカンストも夢ではない。

シナリオも前作はおろか『封印』よりも明らかに短く、それ故ストーリーの掘り下げも物足りないと感じることも。
一部の敵キャラの顛末や幾つかの重要設定に関してはかなり歯切れの悪い事になっている。愛人ってなんだよ
特に古の時代のラスボス率いる魔物との戦争や双聖器を手に戦った英雄に至っては殆ど触れられておらず、終盤のシナリオもただ目先の敵を追いかけているだけでしかない事への不満も多い。「封印」のように古の戦いの仔細や武器について丁寧に語られる展開など一切ない。
しかし高い評価を得ている会話や展開も少なからずあり、主要ボスでの戦闘会話などは前作にも劣らないボリュームで見ごたえがある。
また、前作に増してキャラクター達の個性が濃くなっており、支援会話の内容もますます面白いものとなっている。
一方で「露骨なキャラ付けが受け付けない」「支援会話などがオタ臭い」と受け付けない人も少なくない。特に支援会話は「お前ら戦場で殺し合いしてる自覚あんの?」と素で問いたくなるような会話も前作より更に増えている他、本来なら本編で語るべきレベルの重要な設定や展開まで一部支援会話に頼っている事もあり、ここらも好みが分かれるが…。

一新されたBGMは軒並み高評価で、特に「真実 絶望 そして希望」「哀しき皇子」は神曲と評価が高い。
進撃準備のBGMは、後に『大乱闘スマッシュブラザーズX』でアレンジされた。
更に『聖戦』やオマージュ元となった『外伝』のアレンジBGMもあるので必聴。

『覚醒』以降の育成ゲーとしてのFEのはしりになったような作品だが、当時としては先進的すぎたせいで評価は低かった(上述の作り込みの甘さも大いに手伝っているのは否めない)。
「歯ごたえが無いから」「今までのFEと違うから」「評価が低いから」「コーマが陰陽弾をくらえとか言ってきそうだから」などと食わず嫌いせずに、一度はやってみたらいかがだろうか。
シナリオも非常に分かりやすいし、意外とハマるかもしれない。ロックマンファンなら「『ロックマン5』や『6』みたいなもん」とでも言えばなんとなく通じるだろうか。



アニヲタは……追記をまとっている。
心を癒す追記、人に失笑を与える修整、
暇をつぶす追記、議論を与える修整……

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最終更新:2024年02月19日 08:01