爆転シュート ベイブレード

登録日:2011/01/06(木) 16:07:26
更新日:2024/03/23 Sat 19:06:49
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画像出典:d-rights 爆転シュートベイブレード アニメ公式サイト
(C)HUDSON SOFT/TAKARA・ベイブレードプロジェクト・テレビ東京

爆転シュート ベイブレードとは、1999年にタカラから発売された玩具である。
タカラお得意の日本古来の伝統玩具のアレンジ玩具であり、ビーダマン、オハジキマン、メダルマンの延長線上に位置する。
2001年1月にアニメが放映されたのを機に爆発的ヒットを飛ばし、社会現象にまで発展した。


最大の特徴は「パーツ交換可能」な点である。
モトネタであるベーゴマが重量や高さの変更しか出来なかったのに比べ、パーツを細分化し様々な形状のパーツを開発した事により性能をチューニングできるようになった。
また、技術が必要なヒモの代わりにシューターとワインダーを採用し、誰でも簡単に回せるようになった。

パーツ構成

◇ビットチップ

「聖獣」が描かれたパーツ。基本的には装飾パーツ。
特別ルールが書かれたビットチップもあり、適用する事でベイバトルを有利に進められる、ベイの「顔」。
最初期は「チッププロテクター」という透明パーツを被せてアタックリングに挟み込む構造だったが、後に左右に長い形状に延長されアタックリングに直接嵌め込む構造に変更になり、チッププロテクターは廃止された。

◇アタックリング

直接相手のベイにぶつかるパーツ。
爪のように尖った攻撃型や盾のように受け流す防御型、更にはメインとなるアタックリングの下にフリー回転するリングを付けた二重構造型などの特殊型もあり、
ビットチップと合わせてベイの「顔」となるパーツ。
回転方向によって大きく特性が変わるものも多い。

◇ウェイトディスク

ベイの重さと遠心力を左右するパーツ。
初期のベイにはこれしか金属パーツが無く、特別ルールで外されると負けが確定するパーツだった。
径が大きいものはアタックリング同様相手のベイにぶつかる為、突起を付けて攻撃能力を付加したディスクや円形の防御型ディスクも存在する。

◇ブレードベース

底面部を構成する、ベイの高さと移動タイプを決定するパーツ。
初期モデルは単に軸が突き出た逆向きの円錐状の部品で、内側に来る部分にはアタックリングやウェイトディスクを取り付ける基部がネジで固定されているだけだったが、
シリーズが進むにつれ基部や軸にトンデモギミックが搭載されたり、アタックリング同様の攻撃能力持つブレードベースが開発されるようになる。
後に基部はスピンギアとして別パーツに分割され、各パーツをまとめる役割を譲ったことで組み換えが容易になった。
ただし専用のスピンギアと協調してギミックを動作させる仕掛けが内蔵されたタイプのブレードベースは他のスピンギアとの互換性がほぼないため、実質的には相変わらずスピンギアと一体の部品とも言える。
通常は地面と接触する軸がこのブレードベースの底面に付いているが、軸直結のギミックを搭載したスピンギアやエンジンギアと対応したブレードベースの場合、底面部分にはこの軸を出すための穴が空いている。
割り切ったものになると「スピンギア直結の軸を出す穴が空いただけの円盤型カバー」でしかないものも。
後期マグネシステムモデルではサポートパーツによりブレードベース自体をカスタマイズ可能となった。

◇スピンギア

回転方向やベイのギミックの要となるパーツ。
元々はブレードベースの一部だった、アタックリングやウェイトディスクを取り付けたりシューターを噛み合わせる基部の構造が、シリーズ途中で独立したパーツとして分割されたもの。
この世代のベイの事実上の中核部分で、ビットチップ以外の部品はこのパーツに装着する形になる。
このパーツの登場により、ブレードベース基部をドライバー無しで組み立てられるようになった他、外殻パーツに左回転用の形状のものが登場した。
登場以前は右回転しか出来なかったベイが、スピンギアの組み替えと専用シューターを組み合わせることで左回転も可能となった。
回転方向はスタジアム上での旋回の方向に影響し、異なる回転方向同士のベイはぶつかり合いやすくなるため、この選択による戦略の幅が広がった。
なお、最初の左回転可能なスピンギアを搭載したベイブレードはドラグーンS(ストーム)で、S以降のドラグーンシリーズは左回転ベイの代表格として扱われるようになった。
軸と一体化したギミック内蔵型、磁石の内蔵が可能なNEOスピンギア、プルバックゼンマイ内蔵型のエンジンギア等、シリーズ毎のメインギミックの要となっている。

シューター

回転させるために従来のコマのような手回しや紐ではなく、歯車などを使った器械式のシューターを用いるのもベイブレードの特徴。
これにより練習なしに誰でも簡単に回して遊ぶことができるのも、ベイブレードがヒットした理由のひとつとされる。

スターターセットに「イージーシューター」が付属しており、これで基本的にすべてのベイブレードを回すことができる。
ギザギザの歯(ラックギア)が付いた軟質素材の「ワインダー」をシューターに差し込んだ状態でシューターの爪にベイブレードを引っ掛け、
ベイブレードを下に向けてシューターを構えてからワインダーを引っ張り抜くことで、ベイブレードが発射され回転を始める。

シューター関連のパーツはイージーシューターを強化する大型グリップの系統と、イージーシューターとは別の独自の発射機構を持つシューターとに分かれる。

ゼンマイ仕掛けでワンタッチで発射できる「ベイシューター」、ギア比の変更でより大きなパワーで発射できる「パワーシューター」、ワインダーではなく紐を引っ張ることで回転機構を回す「ストリングシューター」など、個性的なシューターが登場。
シリーズが進むとゲームを内蔵したDXシューターやBアルティメットシューターのような高額商品も登場している。

グリップタイプはバネによるスライドで発射時にベイブレードが前方に飛ぶ「カタパルトグリップ」や照準器の付いた「スナイパーグリップ」などが登場したが、
マグネシステム期に「カスタマイズグリップ」が登場し、以降はこれに拡張パーツを取り付けていく方式となった。

なお通常のシューターは右回転しかできないため、左回転モデルのベイブレードには専用の左回転版イージーシューターとも言うべき「リバースシューター」が付属していた。
リバースシューターもイージーシューターと互換性があり、グリップパーツを共通で使用できた。

後継のシリーズでも発射装置は「ランチャー」と名前を変えてほぼ同様の機構で受け継がれている。
またワインダー式のシューターも用いられているが、ストリングシューターのような紐式のものも主流に用いられている。

シリーズ毎の変遷

◆初期

4段構造。
ブレードベース中心部がネジ留め式で、回転方向も右回転のみだった。
初のラインナップはアルティメットドラグーン、フロスティックドランザー、サイゾーの三種。
後半はブレードベースの内部や軸先に凝ったギミックを搭載したシリーズ(通称「ギミックベイ」)も登場した。
ウェイトディスクは六角形のものが付属。

◆スピンギアシステム

スピンギアを採用した5段構造化により回転力が向上、右回転と左回転の切替も可能になった。
後に軸と一体化したギミック内蔵スピンギアの登場により初期ギミックベイ以上の奇抜なモデルも登場する。
ウェイトディスクは八角形のものが付属。

◆マグネシステム

内部に磁石製コアを内蔵可能なNEOスピンギアにより、スタジアムに仕込んだ磁石との併用で軌道の変化が可能となった。
NEOスピンギアはギミックのない通常のスピンギアと同形状のため、これと置き換えれば以前のモデルもマグネシステムに対応できる。
後に磁石製ウェイトディスク「マグネウェイト」の登場により、初期型やギミックベイといったNEOスピンギア非対応モデルもマグネシステムを利用可能になる。
後半のモデルでは互換性のある突起部品「サポートパーツ」がブレードベースに取り付けられる構造になり実質的に6段構造になったが、これは後続のエンジンギアシステムには受け継がれずこの時期限りとなった。
ウェイトディスクは十角形のものが登場し、以降HMS登場まで続く。

◆エンジンギアシステム

プルバックゼンマイ内蔵スピンギア「エンジンギア」の登場によりベイが更に高速回転化。
エンジンギアはNEOスピンギアとは異なり全てが軸先と直結した構造で、ゼンマイにロックをかける遠心クラッチやストッパーが内蔵された専用のブレードベースと組み合わせる必要がある。
シュート直後から解放する、遠心力が弱まるか被攻撃時にカウンターで解放する、軸にウェイトを付け長時間低速回転させるなど、ブレードベースにより解放の特性やタイミングが異なる。
回転力を増し軸交換可能にしたエンジンギアターボシステムも登場した。ただし登場直後にHMSに移行したため、残念ながら対応する軸が少ないまま終わってしまった。
基本的にエンジンギアによるベイ本体の回転方向と軸の回転方向は同じだが、最終期には「本体は右回転だが軸は左回転」という変わり種も登場した。

◆RCベイブレード

ブレードベースの軸部分にモーターを仕込み、リモコンで回転の方向や強弱を操作可能。
ただし、互換性はアタックリングとビットチップのみで、公式戦では使えない。

◆ヘヴィメタルシステム

最終シリーズ。
今までのシステムを一新し、ビットプロテクター・アタックリング・ウェイト・ランニングコアの4段構造、径の小型化、アタックリングの金属化により攻撃力、防御力、回転力が飛躍的に上昇した。
後のメタルファイト ベイブレードの雛形でもあり、このシリーズの設計思想はさらに後のベイブレード バーストにも影響を及ぼしていると見られる。
だが、当時は従来のベイとの互換性が無く、下火となっていたブームを盛り返せず消えていった。

◆ギミックスペシャリティ

HMSの発展系。
今までのベイブレードからは考えられない機構やコマ遊び以外の遊び方を搭載したシリーズ。

派生バリエーション

◆ジャイロス

ベイブレード版「すげごま」
所謂曲芸ゴマとしての機能に特化したシリーズ。
アタックリングが従来のベイに使用可能。

◆ファイティングトップ

シューターを使わずヒモで回すベイブレード。
……退化してどうする(´・ω・`)

◆爆転変形

ベイブレードとして使える盾と合体して大型ベイブレードに変形するフィギュア。
ただし合体ベイブレード形態で回転させる事は出来ない。
「ビーダマン」でいう爆外伝シリーズ。
後に競技ベイにも同じ機構を持つモデルが登場し、盾の部分の性能がより実戦的になった。

◆スーパーベイブレード

回すと光って音が出るコマ。
分解出来ないので互換性は皆無。

クロスアームズ

可変ロボット型モデル。
首を落とせば勝ちという過激なルール。
他シリーズよりも全体的な性能が劣るという指摘もあり、展開時期が爆転シリーズ末期だったこともあってブームが起こらず、知名度はかなり低い。

問題

子供から大人まで幅広い人気を得たベイブレードだが、それに伴い色々と問題も起きている。

  • 転売屋や悪質な抱き合わせ販売の横行
  • パチモンが多数売り出され、中には機体が回転中に欠け、破片を飛ばすという粗悪なものも
  • 某大手玩具メーカーまでもが露骨な模倣玩具を発売し始めた
  • 自作した、または他社が作ったタカラ未公認の部品を大会に使用する参加者が出て来た為、使用部品に関する規定が厳しくなり、以前は使用を公認していたチョロQの部品も規定改正後には使えなくなった
  • 人気が未就学児にも飛び火し、対象年齢の6歳以下の子供まで遊ぶようになった
  • 子供に自分が作った機体を渡して大会に参加させる、各地を飛び回って地方予選に何度も子供を通わせるといった子供以上に熱中する親の出現(ミニ四駆でも同様の事態が起きた)
  • 店頭に並べる際店員が子供を抑えたり、購入時に監視する事態に
  • 品薄から問屋が大手チェーン店にしか卸さくなった
  • 人気モデルはスターターパックでしか売られない事が多く、シューターやワインダーが大量に余る事も

爆転も末期のブームが覚めた時期になると、このような問題も自然に消えていくことになる。

以降のメタルファイトシリーズやバーストシリーズでは、このような問題は爆転時期よりも控えめに収まっていると言われている。
理由としては、時代の違いによるパチモン製品や悪質な抱き合わせ商法への監視・規制の強化といった部分があるか。
以降の新シリーズもブームにはなっているが、爆転シリーズ程超熱狂的な状況には至っていないというのもあるだろう。
とはいえ、後のシリーズでも転売行為や熱中する大人層などから生じるトラブルといった状況は起きているようであり、今なお完全な根絶は難しいと思われる。


余談

  • 玩具のが発売された同1999年7月に、ハドソンからGBCソフト「次世代ベーゴマバトル ベイブレード」が発売された。
    漫画『爆転シュート ベイブレード』に登場する木ノ宮タカオと火渡カイのデビュー作でもあり、玩具の発売と同時にゲーム版が発売されている点から、タカラがベイブレードの人気に自信を持っていた事がうかがえる。

  • 日本国外ではATARIから「Beyblade V-Force」、「Beyblade G Revolution」のGBAソフトが欧米のみに発売された。

  • 韓国ではSONOKONGから「TOPBLADE V」のタイトルでアーケードゲーム化された。
    アニメ『爆転シュート ベイブレード2002』の韓国版をゲーム化したもので、キャラ名も全て韓国版の名前に変更されている。
    残念ながら日本国内での稼動報告例は無いが、2005年9月3日に新宿のロフトプラスワンで開催された「韓国まんがまつり12」というイベントで映像が公開されている。

  • 2016年のコロコロアニキ第6号にて久々の漫画版の完全新作が掲載される。作者はもちろん青木たかお先生で、当時のファンの大人たちだけではなく第三次ブーム中の子供にも『元祖』の凄さを見せつけるらしいが……。
    玩具とのタイアップ漫画が新作掲載が行えるという状況はあまり多くない。おそらく第三世代の『ベイブレード バースト』の存在によって掲載が企画されたのだと考えられる。ベイブレードシリーズの寿命の長さがよく分かる一例でもある。
    また、アニメ放映15周年記念して何かを行うらしいが現在その企画の詳細は公表されず、コロコロアニキ第6号を待つことになった。
    そして、ベイブレードバースト版ドライガーSの存在が発表され、これ以降爆転シリーズの一部ベイがバーストシリーズ向けにリメイクされている(詳しくはこちらで)。



追記・修正・ゴー・シュート!!

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最終更新:2024年03月23日 19:06
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