機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER

登録日:2010/05/21 (金) 18:16:51
更新日:2024/04/09 Tue 09:53:18
所要時間:約 7 分で読めます





上を見る者


その向こうにある星を見る者



STARGAZER(スターゲイザー)





『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』ガンダムSEEDシリーズの外伝アニメ作品。

『"X"pulsion GUNDAM SEED』の企画第1弾として製作され、バンダイチャンネルなどのネット配信やイベントにて上映された。
1話15分で全3話。短編ながらよく纏められたストーリーから、なかなか評価されている作品として有名。
また、本編サイドのキャラクターもボイスこそないが幾人かカメオ出演している。

DVDにはEDが追加され、セル版の映像特典として店頭PVでのみ観ることができた外伝漫画の主役機〈ガンダムアストレイ〉が活躍する
アニメ映像『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY -RED FRAME-&-BLUE FRAME-』の二本も収録されている。

本作はガンダムシリーズの映像作品では初となる女性が主人公の作品である。(TVアニメだと2022年の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が初*1)。
カン違いされがちだが『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の主人公はクリスじゃない。

【あらすじ】

ユニウス7落下事件により世界中が混乱する中、D.S.S.D(深宇宙探査開発機構)によって宇宙探査用MS〈GSX-401FW〉がシャトルで打ち上げられた。

一方、ユニウス7事件を発端に始まった戦争は戦火を広げ、追い詰められた地球連合軍は401に搭載された自立型AIユニットに目を付け、これを軍事転用しようと目論む。
そして、非正規特殊部隊〈ファントムペイン〉によるD.S.S.D襲撃を決定した。



【登場人物】

《D.S.S.D》

星を見る者
深宇宙探査開発機構。宇宙探査を目的とした組織であり、そのための機材も開発している。
どの勢力にも属しておらず、連合にも技術提供している。

◆セレーネ・マクグリフ
CV.大原さやか

28才女性/コーディネイター
本作の主人公
もう一度書くぞ、主人公。D.S.S.D技術開発センター所属の開発技術陣の一人。『スターゲイザー計画』に携わっている。
一度目的を決めたら絶対諦めない努力家で、我が強く上司に意見を押し通す所がある。時に頑固で強引すぎて人の話を聞かないのが問題だが。
スターゲイザー(GSX-401FW)を「この子」と呼ぶなど愛着を示す。
セレーネとはギリシャ神話の月の女神の名前であり、ソル、スウェンの主役級3人の名前は天体の名前が絡んでいる。

◆ソル・リューネ・ランジュ
CV.福山潤

16才男性/第一世代コーディネイター
セレーネの同僚でありスターゲイザーのテストパイロット。セレーネを姉のように想っている。
福山氏は大原氏の演じるキャラの下の立場なキャラを担当する事が多く*2、ここでもその例に漏れず大原キャラの部下(?)である。
『SEED』シリーズに登場した第一世代コーディネイターとしては最年少であり*3、何処で・何故コーディネイターとして生み出されたのかは気になるところ。
ソルは英語で太陽の意味。

◆エドモンド・デュクロ
CV.中田譲治

37才男性/ナチュラル
天下りのD.S.S.D保安副部長。
ソルの母方の叔父に当たり、前大戦中に起きた事故で両親を喪った彼の育ての親。
元連合陸軍将校であり、戦車小隊の指揮官だった。今でも「伝説の鬼車長」として有名。
ナンパな性格で度々女を口説くが、割と努力家。



《ファントムペイン》

星を見ぬ者
地球連合非正規部隊である第81独立機動群。
ブルーコスモスの影響が強く、パイロットたちは洗脳を受けているためコーディネイター虐殺に躊躇がない。


20才男性/ナチュラル/中尉
本作のもう一人の主人公。ファントムペイン所属のパイロットであり、能力は部隊内でも極めて高い。
感情が感じられないほど寡黙であり、非人道的な任務もこなす。
しかしそれは洗脳によるものであり感情を完全に失っている訳ではなく、同僚が戦死した時には僅かながら怒りを露にさせていた。
幼少期は天体観測が好きで、「ブレイク・ザ・ワールド」時には降り注ぐユニウスセブンの残骸の流星群を見上げていた。
ファーストネームの"スウェン"は白鳥座の意味がある。
乗機:ストライクノワール



18才女性/ナチュラル/少尉
スウェンの同僚パイロット。派手な化粧に露出度の高い改造軍服を着用している。近接戦闘を得意とする。
漫画版ではスウェンに気があったが、それに気付かれる事はなかった。
彼女の最後のシーンは演じた佐藤氏の凄まじい演技も合わさり、『ガンダム』シリーズ作品屈指かつ非常に惨いものとなっている。
乗機:ブルデュエル


◆シャムス・コーザ
CV.神谷浩史宮野真守

19才男性/ナチュラル/中尉
スウェン、ミューディーの同僚パイロット。色付き眼鏡をかけた黒人。物事を斜めに捉える皮肉屋。
洗脳でコーディネイターを嫌悪しているが、素顔は仲間思いで陽気な好青年である。
2話目の収録後、担当声優の神谷氏が事故で入院したため3話は宮野氏が代役を務めた*4
そして偶然にも二人は後に『機動戦士ガンダム00』にてどちらもガンダムパイロット(ヴェーダバカガンダムバカ)となった。
乗機:ヴェルデバスター



【登場MS】


本作の主役である白いガンダム。外宇宙探査用MS。当初は「401」と呼ばれていたが「星を見る者(STARGAZER)」の名前をもらった。
太陽風を量子の膜で受けて帆にする事で、推力を使わず無限に加速し続ける〈ヴォワチュール・リュミエール〉を搭載している(ストライクフリーダム等にも応用されている)。
これの副次作用で発生する光の輪は凄まじい切断力を持ち、ビームを防ぐ効果もある。
動力は核エンジンだが、ニュートロンジャマーの効果範囲外である外宇宙での活動を目的としているためニュートロンジャマーキャンセラーは搭載されていない。
更に単独での外宇宙探査を目的としているため、マイクロマシンによる自己修復で長期間メンテナンスなしで活動可能という、兵装こそ搭載されていないもののなかなかにトンデモな性能を持つ。
防衛戦では光の輪とシビリアンアストレイのビームガンを使用している。
コックピットは複座型コックピットブロックと自立AIユニットに換装可能で有人と無人が切り替えられる。
最初は人が操作して、それをAIが学習する事でゆくゆくは無人で外宇宙探査を行う予定だったが、このAIを巡って戦闘が始まる。
トロヤステーション防衛戦では、ニュートロンジャマーの範囲内であるためバッテリー動力で出撃(誤植でニュートロンジャマー"キャンセラー"の範囲内となっている)。
パイロットが素人のセレーネとソルだったにもかかわらず、エリート部隊であるファントムペインを翻弄して
ストライクノワールをほぼ手も足も出させず光の輪で達磨にするという超高性能ぶりを見せている(ただしバッテリー切れでトドメは刺せなかった)。



もう一体の主役の黒いガンダム。アクタイオン・インダストリー及びファントムペイン製のストライクIWSP改良型MS。
二振りのブレードと二門のレールガンを備えたノワールストライカーと二丁のビームガン、ワイヤーアンカーが武器。
最終話ではスターゲイザーと死闘を演じる。
漫画版ではトロヤステーションがまだ建造途中であった為、むき出しの建材を利用したワイヤーアクションでスターゲイザーを翻弄している。



ファントムペイン製デュエル改良型MS。
デュエルがザフトに奪取された際に付加された〈アサルトシュラウド〉等を元に、発展させた強化装甲を持つ。
デストロイを搭載したボナパルトの護衛任務中、雪原に降りてバクゥを迎撃していたが、片足を破壊されバランスを崩したところにケルベロスバクゥハウンド3機が殺到して追撃
ケルベロスバクゥハウンド3機にコクピットを滅多刺しにされる最後はトラウマもので、ある意味今作を象徴する1シーンとなった。



ファントムペイン製バスター改良型MS。
火力やセンサーが強化されている。砲戦型で特有のバイザーを持つ事から仮面ライダーゾルダに似ていると評判。
ミューディーの戦死以降パイロットのシャムスが怒りで頭に血が上った状態で、怒りに任せて手当り次第に砲撃を繰り返していたが、母艦からの警告と帰還命令に気付かないまま敵陣ど真ん中でバッテリー切れになりフェイズシフトダウンを起こしてしまう。
四方八方からシビリアンアストレイに蜂の巣にされるという、上記のブルデュエル程ではないにしろこちらもなかなか悲惨な最期を迎えた。
ブルデュエルと合わせて、「エースが搭乗した高性能機も、不利な状況を突き詰められれば数の暴力には無力」という戦場の無常さを体現している。



ザフト製獣型MS〈バクゥ〉をウィザードシステムに対応するよう改修した派生機。背部のケルベロスウィザードに二つの首を持ち、計三つの頭部全てにビームサーベルを備えた接近戦用の機体。
ブルデュエルを倒したシーンは上記の通りで、ガンダム史上でも稀な惨い戦闘をした。



D.S.S.Dが保有する多目的型民生機。頭部のバイザーが特徴。
D.S.S.Dでは主に宇宙空間での作業用だが、ビームライフルを装備して戦闘も可能。


ZGMF-1017 ジン インサージェント
南米フォルタレザに現れたテロ組織所属機。
左胸にはKのペイントを入れ、右側頭部、左肩部、腰アーマー前面部に夜間用投光機を装備し、キャットゥス500mm無反動砲とパルデュス3連装短距離誘導弾発射筒を搭載している。
「ブレイク・ザ・ワールド」の影響で発生した豪雨と水害に見舞われるフォルタレザで無差別破壊テロを実行して避難民が右往左往していた市街地は忽ち大パニックに陥り、当時災害出動中だった国軍と連合軍が迎撃。
エドモンドが連合軍時代の部下が操縦していたリニアガン・タンクに乗り込み、連合軍戦闘ヘリがバックパックを破壊した後ほぼ刺し違える形で近距離砲撃を敢行。行動不能となったところへ戦闘ヘリによりトドメとして焼夷弾が大量に投下され沈黙。
消火完了後、連合軍がハッチをこじ開けてコックピット内を確認したところ、パイロットとして搭乗していたのは年端も行かない3人の子供であり、焼夷弾で蒸し焼き状態となったコックピット内の高熱化による熱傷で全員亡くなっていた。*5
ブルデュエル、ヴェルデバスターの最期がクローズアップされがちだが、こちらも内部での惨状を考慮すると中々に凄惨な最期である。



【主題歌】

『STARGAZER~星の扉』



【結末】

戦闘の末、スターゲイザーによって地球と金星の間まで飛ばされたセレーネとスウェンはヴォワチュール・リュミエールで地球に帰還を図る。
薬物で代謝を抑えた睡眠状態で酸素が持つのは27日(648時間)とされ、EDで帰ってきたのは669時間後だった。
しかしあくまで酸素量は予想であり代謝を抑えている事もあって確実性はなく、間に合わなかったかどうかは明言されていない。
漫画版では2人とも生存しており、セレーネはスウェンをD.S.S.D.に誘い「もう一度星を目指したい」とスウェンはD.S.S.D.に参加した模様。


スーパーロボット大戦では】

K』にて初参戦。
元々が短編という事もあってか再現度は高く漫画版の台詞も取り入れられているものの、「短すぎる」というのもあってシナリオ上の扱いはやや空気。
自軍で使えるのはスターゲイザーとストライクノワールのみ。
何気にかつての愛機の改良機であるストライクノワールに驚愕するキラが見られる作品でもある。
「邪魔する奴はスターゲイザーでぶっ飛ばすわ!」がよくネタにされやすい


【機動戦士ガンダムSEED ASTRAY -RED FRAME-&-BLUE FRAME-】

店頭配信されたPV。『ASTRAY』のアニメ化にあたるが、アニメ化に際して若干キャラデザが変更されている。
この変更されたデザインは後に『FRAME ASTRAYS』へ逆輸入された。
アストレイのアニメは(ゲーム等を除けば)本作のみ。

監督は福田監督ではなく「勇者エクスカイザー」の谷田部勝義氏が担当。


-RED FRAME-

レッドフレーム主役のオリジナルエピソード。
ロウがかなりイケメン化している。サポートコンピュータの“8”は原作では画面に文字を表示するがこっちでは喋る。違和感バリバリ。
後にゲーム『終わらない明日へ』にて、このシナリオが逆輸入されている。

《あらすじ》
地球に降りてきたロウ達ジャンク屋一行は、MS等を扱うオークションで偵察型バクゥの頭部を入手する。
しかし、そのバクゥ頭部には見たことのない機体のデータが入っていた。機密データを奪取するため、ザフト軍のMSが襲撃してくる。

《チェックポイント》
◆オークションにはイージスがぶん投げトールを殺した盾が出展されている。
◆機密データに映っているのはソードカラミティ
シグー・ディープアームズのパイロットはジュール隊のシホ・ハーネンフースである。


-BLUE FRAME-

ブルーフレーム主役の話。
こちらはオリジナルではなく電撃ホビーマガジンで連載していた『ガンダムSEED ASTRAY B』のとあるエピソードの映像化。
ソードカラミティ対ブルーが観れるとされたが、戦闘開始時で映像終了するので戦わない。原作通りとはいえ一種の詐欺と捉えられるかもしれない。

《あらすじ》
連合からザフトのモビルスーツ鹵獲の依頼を受けた達〈サーペントテール〉は、その機体を誘き寄せて罠に嵌める。
無事機体の捕獲に成功するが、その前に“切り裂きエド”のソードカラミティが現れる。

《チェックポイント》
◆捕獲されたジン・ハイマニューバのパイロットは“ドクター”の異名を持つミハエル・コースト。
ストライクダガーゲイツの戦闘が堪能できる



追記・修正は669時間後に

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最終更新:2024年04月09日 09:53

*1 複数主人公もアリならば2014年の『ガンダムビルドファイターズトライ』だが。

*2 わかりやすい例はコードギアスのルルーシュとミレイ会長、xxxHoLiCの侑子と四月一日あたりか

*3 作中の時代より18年前から新たに第一世代コーディネイターを生み出すのは国際的に違法となっており、キラのような特殊な事情を除けば未成年の第一世代コーディネイターは殆どいない。

*4 DVDや後のゲーム作品では全て宮野氏に変更となっている。

*5 後に子どもたちによる犯行声明の動画が公開されており、かなりの洗脳とMS操縦の訓練を受けていた事がうかがえる。皮肉にもそれはブルーコスモスが行っている事とほぼ同じものだった。