トライピオ

登録日:2012/01/10(火) 16:52:40
更新日:2024/02/15 Thu 22:24:10
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飛べ!!ねらえ撃て!!必殺スティングシュート!!

トライピオ(クソザコフリスビー)とは『爆転シュート ベイブレード』に登場するベイブレード、又はそれを元に発売された玩具である。
聖獣のモチーフはサソリ
なお、「ねらえ撃て」は原文ママ。




[玩具]

防御型のベイブレード。
ブレードベース、ウェイトディスク共に平凡なベイであるが、アタックリングだけは余りに独創的であった。

なんとアタックリングの直径が普通のベイの二倍あるのである。
並のスタジアムの3分の2は占拠してしまうその巨大なアタックリングはプロペラ状になっており、
そこから発生する強力なダウンフォースによってベイをスタジアムに押し付けることで弾かれにくくなり、相手の攻撃をがっちりと受け止めるのだ。



……という売り文句だが、現実は非情である。
そもそもプロペラとは、回転エネルギーを推進力に変換する装置。
実在の航空機のように継続して回転を与えてくれる動力源があるならいざ知らず、回転力を与えられるのはシュート時のみ、その後は惰性で回り続けるだけのコマにそんな機構を搭載すればどうなるか。
その答えは明白で、トライピオの持久力はベイブレード界でも1、2を争う低さ
またアタックリングの余りのデカさゆえに、ちょっとでも傾けばスタジアムに擦ったり相手に踏まれたりしてあっという間に失速してしまう。
そしてほぼ真円状*1のアタックリングに攻撃力を期待できるはずもなく、まさに攻防持全方面に(悪い意味で)隙なし
ついでに安全面に配慮したのか知らんがベイブレードでは唯一のポリエチレン製なので紙シールも剥がれやすくビジュアル面でも隙なし。
ちなみにダウンフォースは慣性質量に影響しないため防御力にはほとんど寄与できておらず、実はそもそものコンセプトから破綻していたりする。

とまぁ、ネタ要員としては一流で、勝つことよりも魔改造を施して魅せる事に意味があるベイである。


空力が強すぎるといったがその強さは本物。
シューターを逆さまにしてアタックリングだけ放つとプロペラのおもちゃ並に浮遊するし、スピンギアを換装し左回転にした上でウエイトディスクなしのセッティングにすれば、ブレードベースの重量にもよるがシュート直後に一瞬フワッと浮く
なんなら、アタックリング単体で飛ばす遊び方はトライピオの説明書に記載されている、れっきとした公式公認の遊び方である。

それ故に「フリスビー」とよく言われるが、生半可なフリスビーよりもよく飛ぶというコメントに困る特色も持っている。



ちなみにプロペラを全撤去した場合、逆に軽すぎて衝撃を受け流すため、意外にも持久力が高いことが判明している。
無論軽いため吹っ飛ばされやすいものの、最初の攻撃を耐えきることができれば持久力勝ちしてしまうのである。
そもそもトライピオの負け方としては前述の通り「スタジアムに擦る」「相手に踏まれる」というオーソドックスなものもあるが、
プロペラの下に潜り込まれる、プロペラの攻撃用の突起が逆に引っかかる等、プロペラに由来する物が多いため、それを外すと強くなるのは明白なのである。
とはいえ軽さのせいで初撃で吹っ飛ばされる事も多いので、リングアウトしにくいスタジアムでないと本領を発揮できないが。
そしてそうやってプロペラを排除した物がトライピオと呼べるかは神のみぞ知る。
そして海外版とはいえ現実に公式の商品でそんなものが存在しているのである。


[漫画]

アメリカのPPB所属のエディ・スミスが使用。
ちなみにエディはバスケが得意で常にユニフォームを着ている。
ベイと何が関係あるか謎だが気にしない。

世界選手権2回戦の二番手に登場するがマックスに敗れる。
なお同話ではトライグルが1話まるまる活躍しているのに対してトライピオは1ページ目1コマ目で既にリングアウトしていた

その後ボーグの手により壊された。
ちなみに現実のトライピオも骨格が細いので壊れやすい




[アニメ]

漫画同様エディ(CV:菅沼久義)が使用する。
皮肉やで嫌みを言う性格だがベイの腕はレイを破るほど高い。
だが対決の舞台となったベイスタジアムは、NASAだか何処かのトンデモ技術を使用した無重力スタジアムなるものであり、
普通のベイならフワフワ浮いてしまう所をトライピオの超強力ダウンフォースで無効化するという超理論で華々しく勝利を納めた。
しかも作中でもレアな一矢報いることすら出来ない完全敗北である。
トライピオでドライガーFを破ったエディはもっと評価されていい。また、たまに言われるレイの戦績の悪さに思いっきり貢献しているのは内緒だ。


ジャンプ機能を持つトライグルといい、流石アメリカ、格が違う!

ただその後は全く良い所が無く、次の出番は物語も終盤に差し掛かったロシア編。
PPBチームとロシアチームとのセレモニーマッチの第2試合のユーリ(ウルボーグ2)戦で渾身の必殺のシュートを入れるも全く通じずに文字通り瞬殺され、
続く第3試合でもロシア側として出場したカイの申し出から4対1でカイの使用するブラックドランザーと対戦するも、他のメンバー共々全く歯が立たず敗北し、聖獣を奪われる事となった。

次の出番はGレボリューション。
新型になっているトライグルやトライゲータとは違い、無印時代とずっと同じベイブレードを使うという優遇されているのか冷遇されているのかよく分からない扱いを受けている。
協調性に欠ける新メンバーのリックを止めるべく行った彼とのバトルでは、
名無しの汎用ベイを用いたリック相手に終始押され気味と言う有様だったが、スタジアムの壁が崩れたことにより一応引き分けとなった。

その後は世界大会のアメリカ予選Bブロックに出場していたらしいが、
アニメではいきなりのBブロック決勝戦であるリック対マイケルとなっており、まともなバトル描写すらないまま敗退していた。
その後はエディが世界大会決勝戦前のエキシビションマッチのバトルロイヤルに出場している場面があったが、
気付けば最後に残ったマックスとレイ(とマオ)の決着が付く場面になっていたため、またしてもまともなバトル描写すらないまま知らない間に敗退していた。



[余談]

  • コロコロコミックでお馴染みのでんぢゃらすじーさんにて、じーさんがトライピオで遊んでいるシーンがある。
    他漫画進出なんて流石トライピオさんやでぇ……

  • さらに2002年、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の企画であるハイテンション・ザ・べストテンにて第1位を獲得した山崎邦正が使用。
    その時のタイトルは『ベイブレードの王者 山ちゃん』
    山崎「僕ベイブレードめっちゃ強いねんで~!今日はこのバリクソンと勝負~!」
    トライピオさんはバリクソンと名を変え、思わぬ番組にも進出していたのであった…

  • トライピオに限らず、爆転シュート時代のベイの名称はアタックリングに取り付ける「ビットチップ」によってベイの名前が決定する仕組みだったため、
    ビットチップさえ差し替えればどんなカスタマイズだろうとトライピオを名乗ることが出来る。
    そのため、真の戦犯はアタックリング、正式名称「フライングディフェンス」ということになる。
    ドライガーV2だって名ばかりのネタベイになれるし、トライピオも名前以外は最強のベイになれるんだ!
    無論、トライピオ学会ブレーダー達がそんなことを許す筈もなく、過去現在未来全ての時代において「トライピオ」と「フライングディフェンス」は基本的に同一の物として扱われる。



[海外版]

安全対策としてプロペラの角度が水平になってしまったので、空力能力全オミット。さらに他のベイに合わせてABS製に変更。
よって、ただの大きいだけのベイと化してしまっている。誰が呼んだか「渡来ピオ」
しかしプロペラが水平になったおかげで空気抵抗が大幅に減少して耐久力が強化されており、日本版で壊れやすかった点も改善されている。
これらのおかげで日本版であった欠点がほぼ全て解消され完全な円形を活かせる普通に強いベイとなっているのは内緒。

つまり、公式で出したトライピオのほぼ全ての特色を消したら強いベイブレードということを証明してしまっているということであり、
とんでもない皮肉となっているという意味では日本版を越えるネタベイである。


[後継機]

爆転シリーズにおいて「直接」な後継機は出なかった。

ただし、HMSシリーズにおいて本機のコンセプトを受け継いだ事実上の後継機となるエアロナイトMS(メタルスカイ)が存在する。
こちらはランニングコアに取り外し可能なプロペラを搭載し、プロペラ単独で空に浮かせて遊べる「エアロモード」と、
プロペラでダウンフォース効果を狙った「バトルモード」という二つの姿に切り替える。
「空中の騎士」の名前とかなりカッコいい見た目から「もしや…?」と思いたくなるが、現実は非情で性能は弱い。
アタックリングにメタルパーツが混ざる世界でプラスチックのトライピオベースのアタックリングは無理がある。

エアロナイトMSはメディア展開が終了して末期状態のコンテンツと化していた爆転時代のベイのためか、見た目や性能のネタっぷりに反して知名度は低い。
それ故数が出回っていないのか中古価格自体は高く、HMSベイの中でも貴重な存在と化している。

第二世代『メタルファイトベイブレード』では空力系パーツこそ存在したものの、特徴的なプロペラ要素を継ぐほどの「コンセプト面での後継機」は登場しなかった。

一転して、第三世代『ベイブレードバースト』ではトライピオのコンセプトを受け継ぐ機体がいくつか登場している。

まずは3作目「神(ゴッド)」において、ランダムブースターの当たり枠として新規設計・登場したマキシマムガルーダ。
「バーストシリーズ最大サイズのレイヤー*2」という触れ込み、およびトライピオリスペクトを感じさせるプロペラ状の円形フォルム&黄色のカラーリング故に、情報解禁後から早速ネタ枠として猛烈な期待が成されていた。

果たしてその性能は、

 ・シリーズ最大ながらも逸脱しすぎない程度に留められたレイヤー径が生む
  遠心力と持久力
 ・一部出っ張りがあるものの、極めて真円に近い形状による受け流し能力
 ・過度になりすぎない程度でアッパーフォースに調整された空力

と、多くの特にトライピオを知るブレーダーの予想を裏切って かなりの強さを持つことが判明!
公式もその強さを危惧していたのか、ドライバー*3の突起と嚙み合うためのロックの山がない設計となっている。

それでもなお人気機種となった上、"レイヤー中央にある神チップ*4を相性の良いものに変えるとロックが異様に固くなる"ことが判明してからは、一時期最強候補とすら呼ばれる程であった。
具体的には、「マキシマムガルーダに限りデフォルトで付属するモノorメタルゴッドチップ*5以外のチップ使用を不可とする」というレギュレーション追加を公式が行ったほど。
……もしかするとマキシマムガルーダは海外版のトライピオの後継機なのかもしれない。それならばこの強さにも納得がいくブレーダーは多いはずである。

ガルーダの使用ブレーダーはガゼム・マダールだが、なんとムエタイの達人。あんた何やってんだ。
因縁ある対戦相手のシスコ・カーライルには「ここはムエタイのリングじゃねえぞ」とまで言われる始末。

続く4作目「超ゼツ」ではガルーダを踏襲したエアナイトが登場。
より厚みを増しメタルパーツも搭載したほか、プロペラの羽も傾斜がきつくなって空力効果がアップしている。
...そのせいで肝心の持久性能が低下したこともありガルーダ程の猛威は振るわなかったが、ガルーダに並び最大級の径を持ち重量もそこそこあるレイヤーは相手を押し出す性能に優れ、実戦レベルの性能はあった。
アニメにおいては風を巻き起こして敵を近づけない、上空へ吹っ飛ぶとゆっくり着地するなど結構やりたい放題やっていた。
デフォルトカラーは青だが、後のランダムブースターにて黄色のカラーバリエーションが収録されている。

第7作「アルティメット」では、エアナイトの直接的な後継機として「ウィンドナイト」が登場。
レイヤーの可変機構によりダウンフォースとアッパーフォースを切り替えることが可能なギミックを搭載。
これまでずっとアッパーフォースオンリーだったバーストシリーズの空力系レイヤーにあって、ついに原点回帰ともいえるダウンフォースが復活!
真円に近く、空力用の羽も実用的なレベルに落ち着いているなどレイヤー形状も見直されている。
それ故受け流し性能が非常に高く、攻撃に対してはもちろんのこと、バーストシリーズで頻繁に見られた回転吸収合戦*6を受け流せるとして、これまた最高クラスの強さを持つパーツと評された。

トライピオも、本来はこういう活躍を想定していたのかもしれない。そう考えれば、トライピオの失敗も無駄ではなかったのだろう。

第4世代ベイブレードXを直前に控えた2023年5月4日ベイブレードバースト大感謝で、ズバリ前述のエアナイトはトライピオを意識しているのかと質問があった。
これによるとマキシマムガルーダはトライピオを意識した機体でそれをさらに発展させたのがエアナイトということが 明かされた。
つまりブレーダーたちの想像通りマキシマムガルーダは本当にトライピオを意識した機体だったのである。(5分37秒頃から回答)
あと、公式もトライピオは伝説のベイとして認識していた模様。そうだろうなぁ…



+ へぇい

[魔改造]



へぇい
突然ですが皆さんはこちらのベイブレード、トライピオをご存知でしょうか
このベイブレード、上部パーツ「アタックリング」に搭載されたプロペラが上方に風を送ることで下方向に押しつける空力「ダウンフォース」を発生させ、
弾かれにくくなるという売り文句ですが、
実際には薄型大径のリングの影響でソイヤ!バランスを崩しやすく、また空力を生むための3枚羽が空気抵抗になり持久力にも乏しい、
発売(2001年)より今まで最弱のベイの名を欲しいがままにしている伝説のベイブレードです

そんな弱さでお馴染みのトライピオだが、どうにかして(トライグルもついでに)強くさせたいという思いを持つブレーダーが何故かいたらしく、
動画投稿サイト「YouTube」をメインに、日々(ビーダマンやミニ四駆の改造と共に)トライピオ強化案の動画を投稿している。
どれもこれもおおよそベイブレードとはいえないレギュレーション違反上等の魔改造品になっているのはご愛嬌。でもピサの斜塔やパンジャンにされると誰が思っただろうか
YouTubeやGoogleの検索にも軽く影響が及んでいる辺りそのバカバカしさ熱量が窺える。
ついでに、バーストのサイキックファントムがモチーフだったはずのこの人物のオリキャラ*7も、
すっかり本来の使い手であるはずのエディを差し置いて、トライピオといえばこのキャラという認識が広まりつつある

ちなみに、トライピオは防御型にしては軽いせいで防御力に乏しいのだが、この投稿者による重量増加改造や2万もかけて作ったチタン製トライピオの動画ではそれが改善(?)され、
攻撃力・持久力・防御力全てが高まっていることから、そもそも空気抵抗に耐えられるほどの重量がなかったんじゃないかという噂も。これはためになって…いやなってないか
でもインペリアルドラゴンには負ける。そもそも爆転のベイとバーストのベイを戦わせることがおかしいのだが

また、この魔改造動画のおかげか現在トライピオがじわじわと高騰している。改造や破損で次々とストックが出てくるので「高騰してるのはおじさんが買い占めてるからでは」とも
弱い分魔改造の余地があるのが人気の秘訣だろうか…?
曰く「どんな改造を施しても、見た目でトライピオらしさを出せるので、ジャンプ攻撃が必要条件となるグルよりも改造しやすい(意訳)」らしい。


いかがだったでしょうkすまんかった

…ということもあってか、2023年に行われた復刻アンケートにおいて堂々の爆転部門第一位を獲得。
あくまで参考であり確定ではないが、2025年3月までの期間にベイブレードXで復刻されることになる模様。なお公式は既に復刻できないか検討して一度断念していたとか。
トライピオ人気を押し上げた張本人は当時のトライピオにXダッシュを実装する検証をした結果を見てトライピオには投票しなかったらしい。
ただし、現代の安全基準では懸念事項が多く、開発は難航していたようで
ついに2024年1月に復刻を断念することが表明された。
まさしく懸念した通り 大きすぎるリングパーツがシュートの際に指に触れれば怪我につながり、
かといってリングを小さくすればトライピオからかけ離れた外見になるため
大人から小さな子供まで安全に遊べることを想定しているタカラトミーとしてはトライピオらしさを残したまま復刻するのは困難と判断した模様。


追記・修正は公園でアタックリングを翔ばしてからお願いします

この項目が面白かったなら……\へぇい/

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最終更新:2024年02月15日 22:24

*1 申し訳程度の攻撃用突起・通称クソザコパンチがついているため完全に真円ではない

*2 爆転シリーズにおけるアタックリングに相当

*3 爆転市リーズにおけるスピンギア・ブレードベース

*4 爆転におけるビットチップみたいなもの

*5 当時発売されたカスタムパーツ。チップ中央に金属パーツが使用され重量を底上げできる

*6 回転方向の違うベイが接触した場合、互いに相手の回転を奪い合う形になる

*7 Pファントム使いのネームドキャラがアニメ未登場故に誕生した