ユウナ・ロマ・セイラン

登録日:2011/11/28 Mon 12:37:14
更新日:2024/03/22 Fri 20:17:30
所要時間:約 6 分で読めます







……よーし、ダルタロスの暁作戦開始!
ちょっとカッコいい作戦名だろ?





CV:野島健児

概要


オーブの五大氏族セイラン家の跡取り息子でカガリ・ユラ・アスハフィアンセ

フィアンセといってもお互いの同意の上での婚約ではなく、いわゆる親同士が勝手に決めた許嫁、ウズミの死後情勢も変わっているのにセイラン家が推し進めておりカガリにその気は無い一方的なものなのだが、ユウナ自身はカガリのことを愛している……らしい。
ユウナは内心カガリを見下しているような振る舞いを多く見せているので、いずれにせよかなり自己中心的な気持ちだと思われる。
女性の髪は長い方が好みらしく、カガリにも髪は伸ばしてもらいたいらしい。

(小説版では、ユウナはカガリが気に入っているがそれは英雄としての人気と最大首長アスハ家の後継者という肩書き目的、そして「素材は悪くないのだから磨けば光る」「女など男によっていくらでも変わる」という要は顔と体目的というゲスさが地の文で書かれていた。)


劇中での活躍

序盤


予期せぬ形でミネルバに乗って帰国したカガリを迎える形で登場。
ブレイク・ザ・ワールドに世界が揺れる中、父ウナトと共に大西洋連邦との同盟に向けて動いており、
代案を出せないカガリを諫めて会議で孤立させ連合との条約締結を認めさせる一方、フィアンセとして味方面してみせている。

その後、連合への手土産と言わんばかりに『カガリを救助してくれた』ミネルバ出港の情報を漏らし、
再寄港を防ぐために『首長であるカガリに無断で』軍を出動させる。
これに対して非難するカガリを

「国は貴女のオモチャではない! いい加減感情でものを言うのは止めなさい!」

……と一喝した。

確かにカガリは良くも悪くも感情でものを言う*1ので部分的には正論だが、
首長のカガリに無断で行われたこれらの行為は国際常識的にも、国内外の法的にもアウト(タイミング的に上記の条約すら、締結する前の可能性が高い)で明確に問題なのはユウナである
ミネルバ艦長タリア・グラディスからも苦々しい顔をされた。比較的彼女とは良い関係を築いていたカガリの面目も丸つぶれである。
仮にザフトと明確に敵対するとしても想定し得る限り最低に近い喧嘩の売り方であり*2しかも後にこの発言は自らに跳ね返ってくることに…。


ちなみに指令室にいた軍人も非難するような目線をカガリの方に向けていたが、
この状況と、カガリやオーブ軍の設定や後の展開等を考えると軍人の総意などではなく、単純に立場や思想がセイラン家に近しい軍人だった可能性が高い。


これに対してカガリは上手い反論は出来なかったが、そもそも海上のトダカ達も恩があるミネルバにこんな形で砲撃を当てる気は全くなかった。
部分的にはユウナも正しい様にも見えるが、こういった軋轢を解消するどころか自ら拡大させていき、
カガリが切り返せなかっただけで自らが問題行動を起こしていることにも気づいていなさそうな辺り、既にユウナの能力と限界を表していたとも言える。


中盤


カガリを強引に説き伏せて迎えた結婚式当日、キラが駆るフリーダムにカガリを誘拐される。
男としての面子を潰されるのと引き換えに事実上の首長代理に上り詰めたユウナは、連合の要請を受けたオーブ軍を率いて黒海に向かう。

戦場をゲーム感覚で考えているようで、空母で船酔いしたりカッコ良い作戦名を考えたりしてトダカたちを呆れさせた挙句、
ネオ・ロアノークの口車に乗って先陣を切る(事実上盾と捨て駒扱い)羽目に陥る。

フリーダムによるミネルバ攻撃と数の差を頼みに当初の戦況を有利に進めるが、
そのフリーダムが戦争拡大を阻止するために両陣営を攻撃するわ、戦場にストライクルージュに乗ったカガリが停戦を呼び掛けるわ*3で戦場は混乱。
ユウナもネオに「あのカガリを名乗る人物の発言はどういうことなのか」と問い詰められ、「偽者だ!」と収拾を図ることに。

言い方も相まって非難を浴びることもあるこの偽者発言だが、
本物と認めてしまえば連合と仲良くしたいのにその連合からつま弾きにされてしまいかねないことや、
場合によっては背中から撃たれるという懸念もあったりなど、ユウナ視点では選択の余地はほとんど無かったと言える。
(しかし、それはあくまでユウナ視点の話であり、オーブにとっては最強のフリーダムとアークエンジェルという戦力を手にしていると連合に見せつけられるチャンスでもあった。カガリが戻って来たらユウナは首長代理の座は明け渡すことになっただろうが、向こうからしても結婚式を台無しにしたという不義理があるためユウナをそう悪いようには出来なかっただろう。見方によっては、大チャンスを逃したのかもしれない。)

もちろん、オーブにとって特に有益とは思えない戦闘を起こしているし(有益だったら良いわけではないが)、
カガリに対しても実際はその立場を利用しているだけなので、ぶっちゃけこの時点でも奸臣としか言いようがない。

その後のクレタ沖でもミネルバを追い詰めるが、艦隊司令官のトダカ初めとしたアスハ派軍人の士気低下も著しく
結局インパルスの猛攻の前に艦隊を壊滅させられ、責任の押し付けをしながら命からがら帰国することになる。

世界情勢が混迷としているとは言えこれまでも良かった場面はほぼないが、一応国家代表代理の仕事をしてはいた。
しかし、戦況がザフトに傾くことでユウナはいよいよ化けの皮が完全に剥がれることになる。

終盤


虎の子のデストロイもヘヴンズベースもミネルバ隊の活躍で喪失した上、ロゴス暴露で社会的にも追い詰められたロード・ジブリールを匿うという暴挙に出る。
ジブリールの保護はウナトとジブリールの個人的な関係に拠る所が大きく、
オーブとしては何のメリットも無かっただけに「国はあなたの玩具ではない」という言葉がブーメランになって返ってきている。

プラントからのジブリール引き渡し要請に対しても

「オーブ政府を代表して通告に対し回答する。貴官等が引き渡しを要求するロード・ジブリールなる人物は我が国内には存在しない」
「また、このような武力を以ての恫喝は一主権国家としての我が国の尊厳を著しく侵害する行為として大変遺憾に思う。よって直ちに軍を引かれること要求する」

と間抜けな回答を返し、プラントとAAからの顰蹙と呆れを買う。
結果、ザフトは「オペレーション・フューリー」を発動し、オーブを再び戦火に晒す。
「AAの時はこれでやり過ごせたのに」と慌てふためくユウナであったが、周囲の言う通りあの時とは情勢も何もかもが違っている事に気付いていなかった。
部下からもその点を怒り混じりに指摘され、結局攻撃が始まってから半ばやけっぱちで迎撃命令を出す不様を犯す。

「ザフトが攻めて来る事は決してない」とタカを括って状況を軍に伝えてすらいなかったのか、
ザフトの攻撃が始まったにもかかわらず軍は展開を完了できておらず、ザフトのMS群が迫って来るのが目で見える状況でありながらオーブ軍には何の命令も出ておらず、
その上に一般国民の避難も進んでいないどころか指示すらされていないという醜態を晒し*4
現場の軍人に当たり散らし、ここでも責任を押し付けようとまでしたため、憎悪の目で見る・舌打ちする者まで出て来る始末。

そして散々情けない姿を見せたところでアカツキを駆って現れたカガリを、自分を助けに来たと勘違いしたのか縋るようにして本物の代表と認めた瞬間、
「本物のカガリの命令」として国家反逆罪によるユウナの逮捕が命じられてしまう。
それを受けたソガの「命令により拘束させていただきます!」の叫びと渾身の左ストレートを皮切りに、
今までユウナが散々やらかしてきた鬱憤が爆発しただろう部下たちによって、日頃の怨みと言わんばかりにリンチにされ、捕縛された。

その後司令部に降りて来たカガリに直接締め上げられ、ジブリールを庇った為にまたしても国を焼いた事を糾弾されると共にジブリールの行方を尋ねられるが、
彼は全く知らなかったため捨て置かれ、一旦はシェルターに連れて行かれる事に(この時ジブリールは「セイラン親子と共に月に向かう」と嘯いてシャトルに向かっていた。ユウナたちが見捨てられるとも思わず兵が追手のアスハ派兵を手にかけてまで護衛したあたりにセイラン父子のジブリールへの平伏ぶりがうかがえる)。
最期は、連行されている途中に逃亡を謀ろうとするが、それが裏目に出て上空から落ちてきたグフイグナイテッドの頭に潰されるという、あまりに呆気無いかつ情けない最期を迎えた…(因果応報と言えなくもないある意味自業自得)。

なお、カガリはジブリールを庇うという裏切りには本気で怒りを覚えたものの、元々はそこまで悪感情は抱いていなかったらしく小説版ではやり直す機会もなく死亡したことについては心を痛めている。

視聴者からの評価

「想いだけでも力だけでも現実は変えられない」というシリーズのテーマに対し、オーブ国内の権力という「力」を引っ提げて登場したユウナ。
登場当初こそ現実主義者としてオーブの安全を考える男*5として存在感を放っていたのだが、いざ話が進んでみると

  • 無断で軍を動かしたうえに連合にミネルバの情報を漏洩する。
  • 相手にも国民にもメリットが少ない政略結婚を推し進める。
  • ジブリールの顔を窺うばかりに、見返りもなしに自国の軍を損耗させる策を口約束で受け入れる。
  • ジブリールの言い分を丸呑みし、連合の優勢を疑っていないことを明かす。
  • 敗戦処理の事も全く考えていないし、何かあったら部下に責任を押し付ける。
  • 劇中の様子を見る限りやっていることは連合頼り且つ言いなりでしかなく、国防の明確なビジョンに乏しい
    • しかも当時の大西洋連邦やロゴスは前大戦の結果以前と比べると保守的になっていたため、ジブリールはファントムペインぐらいしか思うように軍を動かせなかったという状況である……つまり、一連の軍事活動は条約とは別でジブリール個人への協力の割合が大きいかなり微妙な関係であることがうかがえる。
  • 逆にザフトに対しては過度に刺激しており、後のザフトのオーブ侵攻がプラントですんなり可決されたのもこれが多少なりとも影響していると思われる。
  • 仮に連合が優勢だったとしても、セイラン家が政権を握ったままだったら先細りするか最悪内乱が起きていた恐れすらある。

と多大なやらかしを繰り返す。政情は確かに難しかったのだが、劇中では特に何の益も確認出来ず、擁護し難いレベル。
軍部をセイラン家が牛耳っていたためやむなくとは言え長らく国を空けてしまったカガリがすんなりオーブの国民に迎えられたことは、元々のカガリの人気もそうだが、これも確実に影響していることだろう。

なお、クレタ沖で攻めあぐねるトダカやオーブ兵に苛立ちを募らせる場面に関しては「部下が無能過ぎる所為でその煽りを喰らったユウナ可哀そう(要約)」と同情する声もあるが、
これはオーブ軍ばかり矢面に立つ状況を打開するために積極攻勢には出ず、なるべく少ない被害で勝つために連合を引っ張り出すための策と小説版でフォローされており、
実際劇中の状況でもそうすることがむしろ自然なので、その場合下手な口約束したユウナが悪いということになる。
そもそもの話これらの戦い、オーブにとって特にメリットもなければ国土や主権を守るためでもない無益な戦闘だったのだが*6、この状況を主導したのもセイラン家である。
これらからトダカの部下からも、トダカが悪いのではなくユウナのせいで多大な犠牲を払った認識であることはその態度からも明らかである。
(更にオーブ国外の情勢も、反コーディネイター急先鋒の大西洋連邦ですらブレイク・ザ・ワールドに対するプラントへの報復核攻撃がニュートロンスタンピーダーによって失敗したことで、兵の温存・消極策をとったことで小競り合いレベルの戦いに終始していたので「同盟国が兵を出しているから」の様な圧力も大したことなく、オーブが当時ザフトと戦っていた理由はセイラン家がジブリールの傀儡になっていたからという程度でしかない)

『SEED』と『SEED DESTINY』間のオーブ本国の描写は殆ど無い為、オーブ復興にあたってセイラン父子がどの程度関わっていたのかは不明。
一定の地盤を築いていたことや、戦後の新五大氏族に収まった以上全く関与なしということはないと思われるが、「2年で焼け野原からオーブを復興して見せた立役者の一人」と見なす根拠は何もない。
小説版に至っては復興に尽力した政治家は復興後、責任を取って辞めたと書かれていることと両者共に現役であることから、セイラン家は何もしておらず、上手く立ち回って後釜に座ったという可能性が高い。

結局はウナト共々「奸臣にして道化」と形容するしかない男なのだが、そんな奴にオーブが一時は牛耳られ、ババの様に「今はこれがオーブという国」と覚悟を決める者がいたのも確か。
信念や同志といった肝心なものが欠けている一方、当時のカガリに足りなかったものを持っていたととれなくもない。
本人の評価が上がることはなくとも、指導者の道を歩み始めたカガリを描くには欠かせないキャラだったと言えよう。



原作外の描写


ゲームでも、脇役でなおかつ敵だったためにこれといった救済は無かった。
スーパーロボット大戦Zではジブリールの引き渡しを要求された際に抵抗でも引き渡すでもなく「ロード・ジブリールなる人物は我が国には存在しない!!」と強弁し、あのバスクにツッコまれるという醜態を晒す羽目になった。
だが、スーパーロボット大戦Kにおいては何故かスパロボ補正でかなりまともな人物となり、さらにカガリの副官として大活躍する。

…が、実は「カガリが留守中に勝手に連合と同盟を結ぶ」という原作以上の大失敗をやらかしており、この件でカガリをマジ切れさせた。
そのため、カガリからは手腕と人格を評価されつつも終始ぞんざいな扱いを受けていた。
次作に当たるスーパーロボット大戦Lでも、行動そのものは原作準拠でカガリに殴られて逮捕されてしまうのは同じだが、
周囲からは結果的に失敗してしまったとはいえ、彼なりにオーブを守るための行動であったとフォローされている違いがある。
ちなみにスパロボでは原作終了後での参戦を除くと原作同様に死亡したのは『Z』のみとなっている。

久織ちまき氏によるTHE EDGEでは、カガリが連合との同盟を頑なに拒否していた時は叱責したり、
「後退しろ」と叫ばれた時はトダカたちが鵜呑みにしそうになったなか、ネオに言及されたのもあって戦闘継続を選択するが、
「はいそうですかと引き下がれるか!」と連合に後ろから撃たれるのを避けるために継続を選んでいたりと、いくらかフォローされている。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.IIでは、オーブ軍所属のキャラクターを選ぶと、高確率でユウナがオペレータとして登場する。
作戦前のブリーフィングでは鷹揚な口調で指揮を執ろうとするが、自軍が劣勢や敗北すると情けなく取り乱して責任転嫁する台詞を繰り返す。








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最終更新:2024年03月22日 20:17

*1 未熟さとして描かれている場面も多く実際に政治家としてはまずいのだが、カガリのそういうところにキラとアスランは結果的に救われていたり、実際に戦闘に参加しながらも戦争続けるのは良くないという結論に早く達したりと良い部分もある。

*2 そもそも連合と同盟を結んでも絶対ザフトと戦争するわけではない。連合・ザフト双方からの圧力はあるはずだが、実際今作における連合とザフトの戦争は前作と違ってある程度局所的なものである

*3 この行動を場違いと称する視聴者もいるが、本気で戦争を止める気があるなら…そして首長として政治を続けるのなら、例え失敗に終わるとしてもこういった行動も必要である。重要な局面で何もしないのならついてくる人も居なくなったり利用されるようになるだけだろう。

*4 シンの家族が巻き込まれた事でオーブ政府の対応についてとやかく言われがちな『SEED』での地球軍のオーブ侵攻の際は事前に都市部・軍関連施設からの民間人の退去が実施されていて、むしろ何でシンの家族はまだ避難してなかったのか?と疑問視されるほど準備は整っていた。また、多大な犠牲は払ったが指導者自ら身命を賭したことで大多数の民間人や都市部への被害はなるべく抑えることには成功している。

*5 開戦も前に連合との同盟を決めたのは軽率だが、例えばロンド・ミナは有力な選択肢であると認めている

*6 更に言えば仮にミネルバを落とせてもジブリールが喜ぶ程度にしかならず、プラントの対オーブ感情の悪化や強烈な報復も考慮すると損にしかならなさそうというしょうもなさ