登録日:2011/03/14 (月) 13:31:20
更新日:2020/04/14 Tue 06:51:00
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亡魂咆哮とはミストウォーカー開発のXbox360用RPG、ロストオデッセイのラスボスであるラストガンガラ戦で流れる曲である。
作曲はFFシリーズでお馴染みの植松伸夫氏。
<曲の特徴〉
前半部分は植松氏の曲に多くみられるプログレ調と、かの名曲片翼の天使のようなコーラスが入り混じった壮大で普通に格好良い、まさにラスボスといった曲でありプレイヤーを昂ぶらせてくれる。
前半部分だけでも名曲なのは確かなのだが、ここだけならば良くも悪くも「植松節」な曲である。
………そう、前半部分“だけ”ならば……
一通りコーラスも終わった後間奏に入り、プレイヤーが「このままループか…」と油断したところで、
なんと突然変調して「ハッ! フッ! ハッ! フッ!」「ソイヤ! ソイヤ!」という野太い掛け声と共に和太鼓の音が入りそのままバリバリ日本語のラップ(?)に突入するのである。
このラップ(?)はまたまたFFシリーズでお馴染みでミストウォーカーの代表でもある坂口氏が作詞を担当しており、プレイした人にとってはなかなか意味深なものとなっている。
このラップ(?)のインパクトが強すぎるせいかネット上では「お経ラップ」「ガンガラップ」等と呼ばれ親しまれており、一度聞いたら耳から離れない、気付くとうっかり口ずさんでしまうような中毒性抜群の、改めて植松氏の凄さが分かる名曲と言えるだろう。
ロストオデッセイ本編をプレイしたことのない人からすればお経部分は真面目な話意味不明或いは突飛過ぎる内容であるが、
前述したようにお経部分のみならず通常のコーラス部分もロストオデッセイ本編をプレイし内容を理解すると深い意味を持つ。
単刀直入に言ってしまうならば、歌詞が指しているのはガンガラの心情である。
本編全体に渡って暴走と非道の限りを尽くしたガンガラだが、その心は本編に至るまでの1000年という途方も無い時の中で殆ど壊れかけていた。
歌詞から察するに、主人公であるカイムが1000年の中で幾多の生と死を見てきたようにガンガラもまた生と死を見つめ続けていた。
カイムにとって「夢」とも形容できる1000年の中、ガンガラは生と死を見つめ続けた結果徐々に徐々に壊れていった。
何度も自分に残された敗北を噛み締め、喪失に怯え、いつかは全て無に帰るとして弔いや償いを含めた生死を達観していたが、
普通の人間と違い生きて生きて死につく事も出来ず、無から生まれ落ちたも同然の自分もやがて終わりに覆われるということを知り、
それに気付く事を避けながら、誰かとの思い出といった他人の残滓が誰も入り込め無い筈の己の中に沈殿していく事に耐えられなかったのだろう。
多くの人との死別を経験しそれを全て正面から受け止め生きてきたカイムと、誰かの死の後自分の中に残る思い出といった残滓を受け入れられなかったガンガラは、奇しくも対極だったと言える。
そしていつかは自分に訪れるであろう終わりに怯え、不可侵たる自分の中に入り込む誰かの残滓を否定しようとした彼の本質は彼がどこまでも見下していた「生者」に近かったのかもしれない…
追記・修正お願いします
- ガンガラの魂の悲鳴、ゆえにガンガラップ -- 名無しさん (2015-03-04 00:49:02)
最終更新:2020年04月14日 06:51