大槻(カイジ)

登録日:2011/06/09 Thu 14:07:51
更新日:2024/04/17 Wed 21:24:07
所要時間:約 19 分で読めます


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「明日からがんばるんじゃない。今日、今日だけがんばるんだ!」

「今日をがんばった者、今日をがんばり始めた者にのみ、明日が来るんだよ!」



大槻とは、福本伸行の漫画『カイジ』シリーズの2作目『賭博破戒録カイジ』に登場する人物。
作中本編では利根川に続く、カイジの前に立ちはだかる第二のボスキャラ。一部でカルト並の人気を誇る。

目次


【概要…!】

カイジ帝愛の地下強制労働施設(通称『王国』)にいた時に配属させられた25名の大所帯「E班」の班長。
大きな団子鼻に糸目、タラコ唇、そしてふくよかな体型が特徴的な中年男性。タグからもわかるようにファンからは「アンパンマンやわんわんに似てる」とよくネタにされている
25年前は貧乏なミュージシャン志望の若者で、その後北千住付近に住み会社員として働いていたが、髪型を除き外見は高校時代からほとんど変化していない
原作では苗字のみしか出てこなかったが、映画版でフルネームが「大槻太郎」と設定され、アニメ版『ハンチョウ』でも同名義でクレジットされた。

アニメのCVはチョー
通称、班チョー

実写版は松尾スズキ。

班には「沼川拓也」と「石和薫」という二人の部下がおり、売店での接客や地下チンチロリンの手伝いなどを担当する。

ちなみに「班長」でググると真っ先にコイツの情報が出てくる
例の刑事ドラマも終わって久しいし

【人物…!】

明るく温和で朗らかで周囲への思いやりがあり、そして常に笑顔を絶やさない。

また部下の良きまとめ役でもあり、地下の数少ない娯楽ではあるもののトラブルの原因となりかねないギャンブルを取り仕切ることが、帝愛から許されている人物。
(ボッタクリレベルではあるが)地上で仕入れたビールや菓子などの嗜好品の販売も行っており、地下に送られてきたばかりの人間には励ましの言葉と共に嗜好品を奢ったりもする気前の良いお人好しでもある。

ここだけ聞くと好漢であり、カイジら地下で労働を強いられている者達にとっては理想の上司とも言えるだろう。





ところがどっこい

これは彼の表の顔である





裏の顔、つまり彼の本性はというと己の利益の為なら他人を蹴落とす事もいとわないような強欲で腹黒、自身の障害となる人間は徹底的に潰し、受けた恨み辛みは必ず仕返す冷酷非情で執念深い人間である。
部下の沼川、石和と共に労働者達からあらゆる手段でペリカを搾取して私腹を肥やしており、カイジに細い金に取り付く蛭みたいな人間」や「暴利を貪るタヌキ」などと表現された。

その上、温厚でお人好しな好漢を装う演技力や並外れた人心掌握術、それに加え『地下チンチロリン』での必勝法とそれを盤石にするルール改正を行ったりする等、策略面も優れている。

「世の中には利用する者とされる者の二種類しかいない」という人生観を持つ。
詳細は不明だが、原作版カイジやハンチョウで信頼していた相手に裏切られた過去を仄めかす発言をしており、そこから得た教訓なのだと思われる。


【『地下チンチロリン』とは…!】

王国で労働者達の娯楽として行われているギャンブルで、大槻が帝愛から特別に許可を得て定期的に開催している。
参加料は300ペリカ。

大まかには一般的なチンチロリンと同じルール。
まずサイコロ3個と丼を用意し、参加者全員円を描くように座る。参加者のうち1人が親になり、子が賭け金を決める。

賭け金が出揃ったら、親が「勝負する対象」になるサイコロを3個同時に振る。
親がサイコロを振って目が出たら、子がサイコロを3個同時に振り、親の出した目に対して勝ったか負けたかを競う。
親が勝った場合は子が払った賭け金を獲得。子が勝った場合は賭けた金額に応じた額を親から貰う。

このとき、出た目によって「役」が成立していれば、支払額は変動する。
例えば、456『シゴロ』なら賭け金の2倍を、それより強い2~6のゾロ目なら賭け金の3倍を親から獲得できる。一番強い1のゾロ目『ピンゾロ』なら賭け金の5倍を貰うことができる。
子が支払う額は基本的に賭けた分のみであるが、例外的に123『ヒフミ』を出した場合はその時点で即負け、子は賭け金の2倍を払わなければならない。

参加者の1人が親を終えたら、左回りで次の人に親番を回していく。

賭け金の上限は20000ペリカまでだが、お互いの合意で上限無し(青天井)にする事も可能。

これに、大槻は以下のような改変を加えている。
  • 親は2回で固定。勝っていても、それ以上継続する事はできない。1回目の親で1の目・目無し・123、またはションベン*1だった場合に限り親は1回で終わる。それ以外の目が出たら親を必ず2回続けなければならない。
  • 親の総取り・総払いになる目は無い。親がどんな目を出しても、子はそれに対してサイコロを振る事ができる。基本的により強い目を出した方が勝ちになり、子が親と同じ目を出せば引き分けになる。
  • 親になるのをスルーできる。順番が回ってきても親を受けるか否かは自由であり、スルーを続けてもペナルティはなし。

大槻はこれらのルール改変を「大きな勝ち負けを無くし、皆が地下でゆるゆる長くギャンブルを楽しむため」と説明している。
……表向きは。


【劇中での活躍…!】

帝愛の借金を返さなかったために、王国に強制的に送り込まれたカイジの前に登場。

カイジの初給料日、一日外出券を手に入れ外で借金返済の起死回生のチャンスを得るために50万ペリカという大金を貯蓄しなければならない彼の財布に巧みな話術と行動(缶ビール135ml1本プレゼント)で容易く風穴を開けるという鮮烈なデビューを飾った。

初給料のお祝いさ。金は取らねぇよ…

そして後日、誘惑に負けて売店で散財したカイジの財布からペリカの大半が消えたと同時に颯爽と現れ、またも巧みな話術で班長側必勝のイカサマが蔓延る地下チンチロ勝負にいざない、必勝戦術を用いその1夜で彼を45組に堕とす事に成功する。

(ビシッ)あんたっ、マイナス2まぁ~んっ!!




こうやって彼はチンチロの利益、45組からピンハネした給料、法外な値段の売店の利益を隠し金庫に蓄え、
2000万ペリカ貯まったら数日分の外出券に替え、本格的に贅沢して温泉や避暑地、ビールにハワイなどを満喫する予定だった*2


……そして数日後、カイジは45組の1人・三好がメモに記録した過去の勝負のデータを見て大槻のチンチロ必勝法に気づき、大槻への逆襲を誓う*3
しかし大槻を殴って怒鳴り散らしても何も変わらない。
かといってイカサマを暴いただけではその場で大槻に平謝りされ、勝負の倍払い程度の精算で済ませてくるだろう。
手持ち金庫だけで優に1,000万を超えるペリカを抱え、給料のピンハネと物販収入まで押さえる大槻にとっては痛くも痒くもない損失である。
それでは大槻の掌の上で踊らされているのと同じこと。奴を倒すには、もっと致命的な打撃を与えなければいけない……
そこからカイジは大槻を破滅させる形でチンチロに勝つ方法を閃いた。

ここからカイジの逆転劇が始まり、他人を食い物にして部下共々悠々自適な地下生活を過ごしてきた大槻は、一気に地獄に転落する事になる。



カイジはまず、三好ら45組の5人と結束し、班長殺りのため全員で45組脱却を目指す。
そんなカイジらを目障りに思った大槻は、カイジにいつかの日のように夕食時にビールを振る舞い45組脱却を妨害する。
…が、カイジに同じ手が二度通用する筈が無く、彼に顔にビールをかけられるという形で断固として拒否される。
先述の通り、顔がアンパンマンに似てるので「顔がぬれて力が出ない状態にまで追い込まれてしまった」とファンにネタにされる事も…

だが大槻はこの仕打ちを「寛容な精神」で許す事にした。
その代わり、これを境に45組に対する陰湿で執拗なイジメを日に日にエスカレートさせていく事にしたのだった。
きつくて危険な仕事を割り当て、病人の手当てやごみ捨てなどの時間外労働をさせ、角砂糖などカイジら45組の蓄えを汚水で水浸し、着替えの入った籠に生ゴミ投入、長靴の中に泥づめ、しまいには作業中のカイジに放水し、バランスを崩した隙にパワーショベルのショベルをカイジにぶつけようとする*4までやってのけた。

…カイジの罠にまんまと嵌まってしまったとも知らずに。


カイジ『許そうじゃないかっ…、寛容な精神でっ…!


そして運命の日まで話は進み、大槻達の奮闘(?)虚しくカイジらの45組脱却を許してしまっていた。
カイジらの「寛容な精神」が、大槻達の容赦ない全力のいじめに打ち勝ったのである。
この時ばかりは、大槻も彼らを皮肉まじりにも賞賛した。

…そして、彼らの反抗的な態度に益々憎しみを募らせていた。


その夜のチンチロにてカイジらをもう一度45組に落とすべく、班長の務めとして賭け金上限無しの青天井ルールを望むなら受けると約束。
折しも沼川が親になる番だったのでカイジは先行して単身乗り込み彼に青天井を申し出るが、手持ちが足りないからと拒否される。
他の者も青天井は無理とスルー、聴衆から煽られるカイジもまたスルー。しかし石和は青天井の親を受けると宣言した。
沼川と石和の返事がカイジにとって確認作業であったとも知らずに…

しかしカイジが通常範囲の額しか張らなかったことで賭場は興醒めとなってしまい、大槻は「大口叩いておきながらたいして張りもしないお前は抜けろ」と罵倒。

…が、親・大槻の番にカイジは待機していた三好たち5人に合流を命じ、総額50万7千ペリカMAX張り大勝負を仕掛けてくる。
この瞬間、大槻は彼らがイカサマ必勝法のタネ『シゴロ賽』を嗅ぎつけて来た事を濃く感じていた。




このままイカサマサイコロを使えば本格的にバレてしまう恐れがあるため、慎重な大槻はチンチロの第1投、2投を勝算なしの無策で投げる事にしてカイジの出方を見た*7
だがその2投でカイジらに何ら不思議な動きが無いために、

「カイジらはイカサマの真相には気づいていない、そう考えるのが自然」

と思い込んでしまう。

それもそのはず、イカサマの見当を付けていたのはカイジだけであり、三好ら5人はカイジの作戦でイカサマの詳細について何ら教えられておらず本当に知らなかったのだ。
そしてカイジが動かなかったのは、大槻が警戒して普通のサイコロを使用した事を察したからだった。普通チンチロは丼の中を転がるサイコロの動きを注視するのが自然なのに、大槻は警戒のあまりカイジをガン見していたのだから*8

そうとも知らずカイジたちが全張りしたのはイカサマの手口を知らないがそれをさせまいとする抑止力あるいはブラフと都合よく解釈し、安堵した大槻。さらにここまで目無しとは言えシゴロに近い組み合わせだったことから「上り調子…今勢いはワシにある…」と吹聴する始末。


二度も目無しのどこが上り調子だ…バカ言ってんじゃねぇ…目無し惨敗だよ!オメーは!


と顔を近づけて反論するカイジを押し倒すが、それがシゴロ賽を使わせようと焚きつける言動だとは夢にも思わず、50万という大金を勝ち取りたい欲深さ、そして何より今までの恨みを晴らしたいという憎悪から、3投目に禁断のシゴロ賽を丼に投げたのだった。
すなわち、カイジが大槻達を徹底的に怒らせたのは、シゴロ賽を私怨から確実に使わせる為だったのだ。

もはやカイジの事など眼中になく、丼の中のサイコロに注目し、警戒を緩めてしまった大槻。もちろんカイジはその動きを見逃さず、第3投でシゴロ賽が使われた事を確信する。
一方、沼川は大槻からのアイコンタクトで素早くシゴロ賽を回収することを了承した。たとえカイジがシゴロ賽に気付いていたとしても丼が自分らの側にある以上目が出たら(・・・・・)即座に回収してしまえば問題なく、後は簡単に言い逃れできると考えていた。しかしカイジは目が出る寸前(・・・・・・)に丼へ手を伸ばすという、大槻ら3人にとって予想外の行動に出た。


聞けっ!こいつらはイカサマをしたっ!ここに証拠を握り込んだっ!イカサマサイコロをっ……!


急いでカイジを引っ掴み、奪われたシゴロ賽を取り返そうとする大槻達だったが、手間取っているうちに聴衆に混じって観戦していたC班の班長・小田切が中立としてサイコロの確認を申し出てきてしまった。
結果、大槻達のイカサマ&偽りの強運が労働者達に知れ渡る事となった。
「余興用に用意したサイコロで、間違えて勝負に使ってしまった」「使ったのは今回が初めて」「イカサマする気があるなら弱い目が出てしまう前に第1投で使う」と苦し紛れの主張をするも、カイジの立証と三好のメモで、今回だけでなく「過去にも」「故意に」イカサマをした事を暴かれてしまう。
当然、今まで金をとられた労働者達は大激怒。なんとか言いくるめて立場を盛り返したかった大槻だったが、彼の言動はヒートアップした空気に燃料を投下するだけであり、効果は薄い所か逆効果であった。
もちろんイカサマがバレた以上、今回の掛け金の2~3倍の罰金の支払いに加えて過去に遡っての全額弁済も有り得るだろう。
そんな絶体絶命の状況の中、大槻はある作戦を閃き、とんでもない悪あがきをしだした。


この勝負は未確定ー! 成立していないっ!! だからイカサマもクソもないっ!! 不成立っ!!ノーカウントッ!ノーカウントッ!!ノーカウントなんだぁー!!


イカサマがバレて勝負どころじゃなくなったにもかかわらず、目が出る前にカイジがサイコロを掴んだことを指摘して今回の勝負の無効を主張し出したのだ。
壊れたかのように必死にノーカンを連呼する大槻。当然労働者らから余計に怒りを買ってしまい多大な罵声を浴びるが、大槻から大金を勝ち取りたかったカイジは大槻の悪あがきをあえて「一理ある」として聞き入れ、次の条件を提示して勝負の続行を提案した。

  • 大槻の親で続行、もちろん賭け金は先ほどと同じ合計50万7千ペリカ。
  • イカサマのペナルティとして、大槻の出目はシゴロ賽の最低値4の目で固定。
  • カイジもあらかじめ用意した特殊賽を使う。
  • それを三好たち5人にも適用させる。

この瞬間、大槻は内心ほくそ笑んでいた。
労働者全員を敵に回すという絶望的状況、全額弁済による財産の莫大な損失まであり得たのが、このひと勝負限りの負けで済むと思ったからだ。
仮にカイジら全員がシゴロを出しても、支払い額はせいぜい100万ちょっと。この事態を有耶無耶に出来るなら大した額ではない。
そう考えた大槻はこの好条件に食らい付き、表面上苦痛の表情を演じつつカイジの提案を承諾した。

だが、この流れもカイジの計画通り。
これまでイカサマを積み重ねてきた大槻への罰が、その程度の軽すぎる物で済む筈が無かった……



カイジはシゴロ賽を一度は手に取るも、それを使用することはなくすぐに床に置く。
そして、ズボンのポケットから何かを取り出し…


いらねえんだよ……!そんなもんっ……!

こっちはこっちで…用意させてもらった……!


カイジはそう語りながらポケットから取り出した物の正体が賽であることを明かし、勝負に出る。


喰らえっ……!因果応報っ…!天誅っ……!報いっ…!これがおまえのイカサマの………その報いっ…!報いっ……!報いっ…!



ピンゾロ5倍づけ…!


バ……馬鹿もーんっ……!!

なんだっ…!この賽はっ……!6面全部ピンっ…!ピンじゃねぇかっ……!

通るかっ……!こんなもん……!


カイジが使った特殊賽とは、全ての面が1のサイコロだった。
チンチロ最強の役『ピンゾロ』が必ず出る、正真正銘地下チンチロ最強かつ必勝必殺のイカサマサイコロである。

カイジは特殊賽を使うとは言ったが、大槻のシゴロ賽を使うとは一言も言っていなかったのだ。

カイジ達が更に上のイカサマサイコロを使うとは予想してなかった大槻。
このままでは想定以上の大金を確実に支払う羽目になる為、こんなもんが通るかと勝負を無効にしようとするが、何度も念押しされたうえで上述の条件を呑んだという言質を小田切を始めとする他の労働者にも取られているので聞き入れられず。
それ以前に、大槻達は今まで散々イカサマサイコロを使ってきたので、人のことを言える立場ではない。
そして大槻に肩入れしてカイジに反論しようとする労働者はいなかった。皆、大槻にさんざんいじめられたカイジの側に立っていたからだ。
カイジが大槻のイジメに耐えたのは、全てはこの日のために、心情的に周りを味方に付けるため。
逆に大槻は今までの横暴・陰険な言動のツケをこのような形で払わされる羽目になったのである。


後続の三好たちもそのピンゾロ賽を使ったため、大槻が危惧した通り5倍付けで総出費が253万5千ペリカに。
あと少しで目標額の2000万ペリカを達成して本格的なバカンスを実現できたのが自身のミスにより大分遠ざかってしまい、すっかりへこたれた大槻は後を石和と沼川に任せて休ませてもらうと言って逃げようとするも、カイジに呼び止められる。



まあ、気持ちは分からないでもない…でも…親はやり切ってもらわないとな 忘れたのか…?親は2回…!座れよ…もう1度あんたの親で続行だ!!

も……もう1度……!?



この地下チンチロリンのルールでは、一度親を引き受けた参加者は、1回目が1の目・目無し・123(ヒフミ)・ションベンでない限り、必ず親を2回続けなければならないのだ。
そして、先ほどカイジが提示した条件通り、大槻の親番1回目の出目は「4の目で固定」だった。

なお「親は2回だから戻れ」と言うセリフは、以前親を1回で降りようとしたカイジに対して大槻が言ったセリフでもある。
元々親は必ず2回というルールは、イカサマ隠蔽の為だけでなく、初回のカイジのように一度親になったターゲットがたまたま1回目の勝負で四五六賽相手に勝ってしまっても2回目の勝負で逃さず仕留めるためのものでもあった。
……が、今回のような自分達が追い詰められる場面があることを想定していなかった。
この取り決めがなければ250万ペリカ程度の負けで逃げられたのに……
皮肉な事に、自分の逃げ道を自分自身で塞いでしまっていたのである。まさに因果応報といえよう。


そうして大槻を引き戻して始まった大槻の親番2回目は、先程得たペリカに最初の掛け金も加えた304万2千ペリカ全額を張られる。
大槻が自分のピンゾロサイコロを所持していない以上、勝負の結果どうなるかは最早火を見るよりも明らかだった*9


労働者達『班長の支出はざっと1800万だっ……!
すげえ……!吹っ飛ぶぞっ!奴の金庫の金全部っ……!


あまりにも想定の斜め上を行く事態に大槻は、


じょ……じょ……じょ じょ……

冗談じゃない………!そんなことっ………!


と言って反発するも…


黒崎「いや………

筋は通っている……!

積み重ねてきた理論(ロジック)……

「理」は………

わしが見る限りカイジくんにある……!」


その様子を見ていた帝愛No.2の「黒崎義裕」が登場。


だ……誰だ…?あんたっ……! で………でしゃばるなよ………一体なんの権利があって……


大槻は面識のない黒崎に反発するも、彼の取り巻きの男にその素性を明かされた上で、「消し飛ぶぞっ……!おまえのようなゴミ屑……このお方の指先一つで…この地下よりさらに過酷な地下の地下まで……!」と脅され、服従せざるを得なくなる。

黒崎は労働者達が慄く中でカイジの元へと歩き、彼からピンゾロ賽を預かり手に取ると、それが何かの骨で作られた物であることを見抜き、カイジが「このサイコロは大槻達が食していたフルコースディナー(洋食)のTボーンステーキの骨をトイレで少しずつサイコロ状に削ったもので、ピンの朱の塗料は自分の血を刷り込んだ」と明かしたことで、黒崎はカイジに感心すると共に大槻に「おまえは搦め捕られたんだ…」と語る。
そして、黒崎は大槻の自分がしてきたイカサマを棚に上げて逃亡を図ろうとする姿勢を、「他人には(イカサマを)するが自分がされた時は御免被る…通らないだろう…いくらなんでもそれは…」と一蹴。

黒崎は大槻のイカサマの手口についてはその巧妙さを評価したものの、シゴロ賽と特殊ルールの欠点を逆手に取られたこと、特にシゴロ賽で出せる目より(ピンゾロという)強い目の存在を許した点を「お守り代わりにカイジくんのこれ(ピンゾロ賽)と同じものを懐に忍ばせておくくらいの用心をしておけば引き分けに持ち込むことができたがお前は迂闊にも怠った…ならばその報いを受けねばなるまい」と批評し、「この親2回に限り特殊賽の使用とそれを仲間内で使い回すことを許可するというルールで勝負続行」と審判する。
それでもなお大槻は悪あがきを続け、黒崎に「負けると分かってるギャンブルなんて勘弁して下さい」と土下座して懇願するも、


「いやいや そうとは限らんぞ大槻くん

確かにこの勝負……シゴロ賽を使えば必敗……!

100%負ける勝負だが……

普通の賽を使えば 引き分けの目は出てくる……!

1/216ほど……!*10

ここは清く その確率に賭けるしかあるまい…!」

と、とどめと言わんばかりに嫌味のようなアドバイスで却下される。
労働者達は誰一人として大槻を許さず、さらにイカサマがバレるまで調子に乗って「念じる力で目が出る」と度々嘯いていたことを槍玉に上げられ「やれー」「やってみろー」の大合唱。
唯一の味方である石和と沼川も黒崎が審判ではなすすべもなく、万策尽きた大槻は泣き出し、普通の賽でピンゾロが出る奇跡を願って勝負するしかなくなる*11
しかし、そんな調子のいいことがそうそう起こるはずもなく、出た目は3。

一方、カイジたちは当然ながら6人全員がピンゾロを出し、負け続けた大槻は合計1825万2千ペリカの出費を強要されることに。
結果、ここまで蓄えてきた汚金のほとんどを吐き出し、金庫に残ったのはわずか1800ペリカ
これにより大槻は地下チンチロ史上最大にして歴史的大敗を喫し、憔悴した表情で沼川と石和の肩を借りて退場、これを以て遺恨試合は終了した。
後にその金はカイジら45組の地上生還を賭けた勝負の種銭に成り代わってしまう。


こうして、金も、それを巻き上げる為の手段も、贅沢する夢も、周りからの信頼も、何もかも一挙に失った大槻*12
その後、カイジの地上滞在最終日に兵藤の好意からパチンコ「沼」に挑戦するカイジの様子が地下でテレビ中継された際には逆恨みを抱き、「失敗しろ」と呪詛の言葉を呟いていた。

しかし結局成就はせず、自分を破滅に追いやった男は、二度と地下に戻ってくることはなかった。


【実写映画版…!】

もちろん登場するが、例の大敗の場面はないので、印象は薄い。
……と思ったら映画カイジ2の地下チンチロで再び登場。
しかし、実写では地下帝国の部分は冒頭で終わった為、彼のノーカンコールは聞けず仕舞いに終わった。
……かと思いきや、映画カイジファイナルゲームで再び登場する。
しかし、もうすでに班長は地下から出ており、なんと帝愛グループ企業のひとつを任される社長に出世しているため、結局実写版では彼のノーカンコールは聞けずじまいに終わった。
しかし今回カイジに儲け話を聞かせ、彼をギャンブルへと導いたのは彼である。


【スピンオフ…!】

公式スピンオフの『中間管理録トネガワ』では番外編として大槻班長の一日外出の様子が描かれている。
内容は一言で言うと「班長のグルメ」。
中国・四国地方の方言が混じった言葉遣いで会話をしている。
幾度もの1日外出券の利用により、限られた時間の中でも余裕をもって自由を楽しめるようになっており、その様は彼の一時解放に立ち会った黒服たちも感心するほど。
以前の1日外出時に目をつけていた小料理屋に来店。突き出しの「ほうれん草と蒸し鶏」と、注文した「なめろう」「シトウの焼き浸し」「ボウ揚げ」「焼酎のック」に舌鼓を打つ。

そして現在ヤングマガジン本誌で、彼を主人公としたスピンオフ作品『1日外出録ハンチョウ』が隔週連載中。
これによると、どうやら彼は敵もしくは搾取対象といった利害関係にある人間以外ではさほど悪辣な人間ではないことが分かる。
公園のベンチで暢気に8時間寝入っている間に、子供たちに葉っぱを大量に乗せられる悪戯をされても怒る気配すら見せていない。ホテルで就寝するまで頭に葉っぱ一枚が残ったままの姿はまさにタヌキ。
さらに、イライラしてた見知らぬサラリーマンに陰湿な八つ当たりをされた時は、善行で苛立ちを綺麗に解消してみせた。誰だお前。
尤も見張り役であった真面目な黒服の宮本一を一気に堕落に引きずり落したので、そういう意味では悪魔的ではあるが。……まぁ、後々にお互いにすっかり打ち解けて良き友人関係に収まったが。また、イカサマギャンブルで地獄を見た参加者を回想し嘲笑うサディスティックな一面も見せた。
また、部下である沼川や石和とも金や特権的な繋がりではなく普通に慕われているらしい。
沼川の旧友が地下落ちした時は最初は45組に落とそうと提案したものの、沼川に落とさないよう懇願されると渋々ながらも諦めた。
一方で石和を始めとした一癖も二癖もある労働者や帝愛の人間に振り回されたりもしている。
また実は幕末ファンであり時たま名言をつぶやく、レバニラ炒めやチキンカツが好物、食べ歩きが高じて料理も趣味という一面も見せている。
この食べ歩きを楽しむため、脳内会議を行ったり欲望が具象化したりした多くのイマジナリーフレンドが存在する。



一方で遊んでばかりいるわけではなく、カイジを引きずり下ろした例の地下売店の仕入れ(実は一日外出券を使ってドンキで買い込んでいることが発覚)や沼川を連れて新商品の考案に奔走したり、他所のC班が始めたホッピーセットの販売や映画上映に客を取られたりしている。

挙句、豪遊が過ぎてペリカが底をついたという斜め上の理由で休載している


【名言集…!】

「無理はいけねえ…無理は続かない…自分を適度に許すことが長続きのコツさ………」

「フフ……へただなあ、カイジくん。へたっぴさ………!欲望の解放のさせ方がへた……。」

「明日からがんばるんじゃない………今日……今日だけがんばるんだっ…………!」

「その禁欲ってのが実によくないんだ、カイジくん。心はゴム毬だよ、押さえつけられれば必ず跳ね返そうとする。」

「カイジくん…恐ろしいなっ…!本当に博奕は恐ろしいっ……!」

「許してやろうじゃないか…寛容な精神で…!」

「ノーカウントっ…!ノーカウントっ…!ノーカウントっ…!ノーカウントっ…!」*13

「ば……馬鹿もーんっ…!なんだっ…!この賽は………!」

(おまえらだってテキトーに楽しかったはずだ…。楽しませてやったんだから…これくらいの金をわしが得るのは当然だっ……!)

「へたっぴ……!せっかくだからと高いものを頼むのは…初心者にありがち……1日外出での………典型的ミステイク………」

(一日外出で肝要なのは…取り乱さぬこと…!)

「また来ればいいだろ…?チンチロで金をみんなから巻き上げて…!」

「もうやめましょう…!名古屋について考えるのは…!」

「ワシめっちゃ好きだし チョコあ〜んぱん」


【コラボ…!】

セガのアーケードゲーム「三国志大戦」にて、カイジシリーズとのコラボを果たし、大槻も武将として参戦した。
ちなみにCVは子安武人。別の武将の声にチョーが出ているのに、外されてしまった…。*14
大槻が演じる武将は満寵満チョー。利根川扮する荀彧、兵藤扮する曹操と共にカイジコラボは全部魏軍所属。
何のことはない、ただのマンチョウとハンチョウを組み合わせた名前ネタである。
ちなみにスペックはというと1コストで武力3知力6征圧0の伏兵持ち騎馬。
将器は征圧力上昇持ちとカードイラストのネタ度に反して実はかなりの高スペック。
計略「一日外出録満寵」もクセがあるが1コストの持つ計略にしては強力で、カイジコラボの中では実は一番使いやすい。
スピンオフ仲間の利根川とはそこそこ相性が良かったりする。



『追記・修正を頑張った者にのみ、明日はやってくるんだよ…』

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最終更新:2024年04月17日 21:24

*1 振ったサイコロが一個でも丼から零れ落ちれば即負けになる事。但し、地下チンチロリンは底が深い丼を使用しているのでションベンはそうそう起きないだろう。

*2 ただ、外出先は国内限定なのでハワイに行く事は不可能なはずである。これに関しては、何らかの抜け道が存在したのかも知れない。

*3 三好は地下チンチロの最中に、自身の勝率アップの為に参加者の順番や出目を全て記録していた。沼川はイカサマ発覚の恐れからか三好を咎めていたが、油断していた大槻はメモを取るのを許してしまっていた。

*4 幸いショベルの軌道がそれ、カイジは間一髪助かった

*5 22巻398話『これ夢』より。おそらくは同じヤングマガジンつながりで、このシゴロ賽のオマージュであろう

*6 もっとも、勝負中は参加者全員その場に座り続ける上に部屋を暗くしているので、この確認はまず難しい。しかも班長サイドは壁を背にしているので偶然逆を覗かれる可能性もまず無いし、胴(主催者)でもあるため毎回壁を背にしていても全く違和感が無い。

*7 この時は第1投、2投共に目無しだった……が、この後の展開を考えればここで何らかの目が出なかったのは大槻にとって不幸だっただろう。一方でシゴロ賽を勝負中に使って欲しかったカイジにとっては本当にラッキーだったと言える。

*8 サイコロが回っている時に相手の様子を見ても何の意味もなさないし、勝敗が気になるのだから尚更サイコロから目が離せない筈である。何らかの『やましい事情』でもない限りは。

*9 劇中では一切触れられなかったが、「親がどんな目を出しても子はサイコロを振れる」という取り決めも大槻の逃げ道を塞いでいた。一般的なチンチロのルールなら親の大槻が6の目以上を出せば勝つ事も可能だった。さらに期待値を厳密に考えるなら、6やシゴロ以上が出ることを期待するより、わざとションベン(親の即負け。1倍払い)にすることがより合理的な選択となる。300万ペリカの支出にはなるが、5倍の負け1500万ペリカよりははるかに傷は浅くなる。こんな逃げ道も選べたはずだったのだが…

*10 正確には7/864。チンチロは2投目まで目無しが許されるので、「1投目でピンゾロ」「1投目は目無し、2投目でピンゾロ」「1投目・2投目は目無し、3投目でピンゾロ」の3パターンがある。目無しが出る確率は1/2(全216通り中3つの目が異なる組120通りからシゴロまたはヒフミの組12通りを引いた108通り)なので1/126+1/2×1/216+1/2×1/2×1/216=7/864。単純にサイコロが6面でそれが3つなので1/6×6×6で1/216としたかも。もっとも、約0.81%と絶望的な確率であることには変わりないが

*11 なお、通常のサイコロを使った場合、当然ではあるがヒフミ(出目が123。最弱の上、掛け金2倍払い)も出る可能性がある。親と子でヒフミとシゴロ以上の出目が重なった場合支払い倍率が累乗するかしないかについては作中では言及されたことがなかったため不明ではあるが、もしすると仮定した場合、親である大槻の掛金支払いは2×5の10倍になる可能性があった。確率は当然低い(一投あたり6/216)ものの、ピンゾロがでて引き分けになる確率(1/216)の6倍である(ションベンを考慮したらさらに高くなる)。大槻の金庫にはカイジらの掛け金の5倍をわずかに上回る程度のペリカしかなかったため、負ければ破滅の大槻にとってそんな可能性など考慮するに値しなかっただけかもしれないが、もし掛け金の10倍近いペリカを持っていたら下手な勝負はせず四五六賽をそのまま使用して確実に5倍で負けたほうが賢明と思われる。

*12 しかし班長の肩書きはそのまま継続しているため、完全に地位を失ったわけではない。正確に言うと、作業時の班長と債務者の区別がつく様に班長は作業着、債務者はTシャツを着ている。尤も、どちらにせよ信用を完全に失った大槻がいつまでも班長を続けられるとは考えにくいが。

*13 アニメだと「ノーカンっ!ノーカンっ!」であり、語呂の良さも相まってこちらの方が有名。

*14 実際の所は大槻だけでなく他のキャラもアニメとは別の声優が演じている。アニメ版ではなく原作漫画版とのコラボだから、という事だろう。