七人の侍

登録日:2010/06/07 Mon 21:31:51
更新日:2024/02/05 Mon 00:53:23
所要時間:約 7 分で読めます




1954年4月26日に公開された黒澤明監督の日本映画。

他の時代劇映画と比べ、シナリオ・アクションシーン・時代考証に優れ、現在でも邦画の名作を語る際は必ず真っ先に名前が挙がるほどの名作。

「数人の個性的なプロフェッショナルが、一つの目的のために協力して戦う」というプロットはこの作品の後に様々な映画で採用され、
娯楽映画の定番スタイルとなった。メンバーが参謀・参謀の知己・万能・寡黙な凄腕・破天荒・生真面目・ムードメーカーで構成されるのもここから。
他にも汚れによる生活感の表現や雨の中の決戦は後の映画に大きな影響を与え、世界的に高く評価されている。

終盤の雨の中の合戦シーンは頑健な馬の減少と安全上の問題から、CGを使わない限り現在では再現不可能とされている。


  • あらすじ
毎年収穫の季節になると野武士に襲われる農村。
今までは何とかやりくりしてきたが、今年も襲われたらもう飢え死にするしかない。
村人達は集まり、解決策を練る。
多くの者は野武士と交渉し、最低限の食糧は残して貰おうと考えていたが、
若い百姓の利吉を始め、少数の者は野武士達が約束を守るはずがないと、野武士との徹底抗戦を強く主張した。
しかし、百姓が野武士と戦っても勝ち目は無いと反論される。

これといった解決策が出ない中、
長老の儀作が飢えた侍を飯で雇って用心棒にすることを提案する。


○七人の侍

  • 島田勘兵衛(志村喬)
七人のリーダー兼軍師。
知略に優れた歴戦の武士だが、いつも負け戦。
歳は50近くで白髪。
弓の名手であり、彼が弓を射る場面は作中最高の名シーンだと言うファンも多い。
若い頃の野心も情熱も枯れ果て、今は平穏な生活を望んでいる。
盗人の人質になった子供を救ったことで百姓達から助けを求められる。
「この飯、おろそかには食わんぞ」

  • 片山五郎兵衛(稲葉義男)
勘兵衛の右腕的存在。
髭を生やした壮年の男性。
軍学に精通し、武術の腕もかなりの物。
おだやかな性格で、諍いを治めることが得意。
戦の時は前線で指揮を執る。
「はっはっは、ご冗談を」

  • 七郎次(加東大介)
勘兵衛の忠実な家臣。私欲を持たない。
勘兵衛とは古い付き合いで、曰わく「古女房」。以心伝心。
落ち武者となって竹槍で追われた経験があり、落ち武者狩りを強く憎んでいる。
「はい」

  • 林田平八(千秋実)
ムードメーカー。
七人の中では比較的若い。
明るくて人懐っこい性格。おふざけや冗談が好き。
武術の腕は中の下だが、その性格ゆえに辛い時ほど助けになるとして、七人に加えられる。
「戦に何か高く翻げるものがないと寂しい」とトレードマークとなる旗を作る。
「敵は怖い。誰だって怖い。しかしな、向こうだってこっちが怖い」

  • 久蔵(宮口精二)
凄腕の剣客。兵法にも長けている。
自分の腕だけ信じて生きてきた男で、勘兵衛は「己をたたき上げる、ただそれだけに凝り固まった男」と評する。
無口で傲慢で冷酷でストイックな印象を与えるが、本当は優しい性格。
「二人。」

  • 岡本勝四郎(木村功)
裕福な郷士の息子。七人の中で最も若く、子供扱いされている。
自由奔放な浪人に憧れて家出し、旅をしている。だが勘兵衛達から浪人の厳しい現実を教わり、動揺する。
勘兵衛の子供を救う様に感激し、弟子入りを志願し、彼に付いて回る。
森の中で百姓の娘の志乃と出会い、互いに惹かれ合う。戦前夜に大人になる。
「あなたは素晴らしい人です。私は前からそれを言いたかったのです…!」

  • 菊千代(三船敏郎)
勘兵衛の強さに惹かれ、自分の力を認めて貰おうと、勝手についてきた男。
長大な刀を担いで、肩を大きく揺らしながら歩き、いかにも凄腕の浪人のように振舞っているが、実は侍ではない。勘兵衛には一目で見破られる。
「菊千代」という名前も勘兵衛に自分が侍だと証明するために盗んできた家系図の中の名前で本名ではない。
勇猛果敢だが、非常に自己中。酒癖も悪い。
久蔵を一方的にライバル視している。
「はっはー!来やがった、来やがったぁ!!」



○村の百姓達

  • 儀作(高堂国典)
村の長老。
侍を雇うことを提案した人物。
学は無いが要領は良い。
「腹の減った侍探すだよ。腹が減りゃ、熊だって山ぁ降りるだ。」

  • 茂助(小杉義男)
百姓達のまとめ役。
浪人探しに町へ出る。
村を守るために家を捨てる。

  • 利吉(土屋嘉男)
若い百姓。
野武士に強い恨みを持ち、野武士と戦うことを真っ先に主張した人物。
儀作の提案で浪人探しに町へ出る。
彼の家は侍達の宿兼本陣となる。
「野伏せり突っ殺すだ!二度と来ねぇように、みんな突っ殺すだ!」

  • 与平(左卜全)
浪人探しに町へ出る。
そこそこの年齢だが、意気地無しで泣き虫。しかもドジ。
菊千代と仲が良い。
「百姓には種の善し悪し分かったって、侍の善し悪しなんかわからねぇ」

  • 万造(藤原釜足)
野武士との戦には反対していたが、公平な判断をするために浪人探しに町へ出る。
侍達を信用していない。
娘の志乃を溺愛するあまり、ヒステリックになっている。
「百姓の娘が侍とくっついてどうするつもりだ!」

  • 志乃(津島恵子)
万造の娘。侍が来てから父親の言いつけで男装している。
勝四郎と恋に落ちる。
「明日、みんな死ぬんだべ!?」


なんと、この作品とゴジラの大ヒットのお陰で、東宝は戦後初のボーナスが出たらしい。




●リメイク

『荒野の七人』
西部劇版。
大まかなストーリーは同じだが、侍達の精神がフロンティアスピリッツやアメリカンドリームに反するためキャラクターの設定・役割及びラストシーンが大きく異なる。
また、大人の事情で貧しいはずの村人達が新品の綺麗な服を着て豪勢な食事をとっている。むしろガンマン達のほうがみすぼらしい。
2017年にはこれの再リメイク版である『マグニフィセント・セブン』が公開された。

SAMURAI7
SFアニメ版。
ネームバリューを借りただけの完全な別物。

『CR七人の侍』
パチンコ版。
このために名シーンのリメイク映像が撮られたが、すこぶる評判が悪い。

  • 影響を受けた作品
『七人のマッハ』
『セブンソード』
アルマゲドン
『ガンバの冒険』
機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人
『七人のおたく』
『バグズ・ライフ』
『七人のしりとり侍』
この他にも影響を受けた作品はあるが、多すぎて挙げきる事は出来ない。





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最終更新:2024年02月05日 00:53