BLEACH Spirits Are Forever With You

登録日:2012/06/12(火) 04:50:30
更新日:2024/04/15 Mon 18:52:55
所要時間:約 9 分で読めます





「いいかねレディ、ヒーローとは、人間の味方でも、バッドスピリッツの味方でもないのだよ!
ヒーローとは!全国の子供たちと悲しい顔をしている者たちの味方なのだ!」

「そして、ユーは悲しい顔をしていた。私が君を守るのに、他に何か必要かね?」



BLEACH』10周年記念の一環として書かれた小説版。上下巻構成。
作者はいつもノベライズを担当している松原真琴ではなく、バッカーノやデュラララの成田良悟が担当。


●目次

【概要】

ドン・観音寺を主役に成田お馴染みの目まぐるしく視点の変わる群像劇構成がなされた作品。
黒崎一護が力を失った空白期間に起こった事件ということで、一護の出番は殆どない。
日々インフレを続ける原作+作者がインフレ好きを公言している小説とがあわさったチート設定ぶりも一種の見どころ。
また、尸魂界の政権にまとわりつく思惑の黒さも描き出されている。

原作の思わぬキャラや設定等を拾って来たり埋め合わせがされており、
「10箇所以上の疑問点が回収」「原作16箇所以上の矛盾点を解消」という触れ込みで発売後話題となった。
ただしこの件に関してはどこまでが成田独自の補完によるものかは不明な為、師匠本人から設定を聞いたかもしれないという反論も上がっている。
よく言われることだがこのような原作作品のノベライズはノベライズ作者が好き勝手書いているわけではないことを留意されたし。
とはいえ成田も元々他人の作品設定埋め合わせや後付けによる整合性取りを得意としていることもあり、この辺りの境界はしばしば議論になることも。
そのためか、本作での更木剣八の強さについて最終章での説明と差異があったり、零番隊の説明の食い違いがあったり*1する。
なお本作で登場した痣城剣八および刳屋敷剣八という二人の人物の存在は、後に発売されたファンブック『BLEACH 13 BLADEs.』にて正史と明言された。*2



【あらすじ】

1年程前より空座町に神出鬼没に姿を見せ、一般人にも視認され話題を呼ぶ「仮面の女」。
彼女の除霊が次なる番組企画として打ち出されたことで空座町を訪れたドン・観音寺。
この出会いが、彼女の存在を巡る様々な者達の思惑に彼を巻き込んでいく。



【主な登場人物】

◆ドン・観音寺
この物語の英雄。悲しげな顔をしたレディを救う為に奔走する。
死神や破面達のように大きな力はなく大規模な戦闘では蚊帳の外だが、不屈のヒーロー精神で突き進み続け確かに周りに影響を与え動かしていく。
一護と出会うまで虚を不用意に生み出していたことには大きく反省と悔恨の念を抱いており、
その経験を訓戒としたうえで改めてヒーローとしてあり続けようとしている。

ロカ・パラミア
本作のキーパーソンである「仮面の女」。彼女の持つバックアップ能力を巡り物語の思惑は動いていく。
ザエルアポロによって人為的に生み出された存在である為、長年自身を道具・人形と見て虚無的な在り方を続けてきた。
が、ドン・観音寺との出会いにより人並みの幸せを知り彼の人柄に触れたことで、立ち向かう覚悟を決めていくこととなる。
実は、本編でヤミーの腕を治療してその動作確認のために頭を吹っ飛ばされていた人。復活できて良かったね

ザエルアポロ・グランツ
ロカのバックアップにより復活した十刃。技術開発局に標本として置かれている肉体を求め瀞霊廷を襲撃する。

痣城剣八
八代目「剣八」。大罪を犯したとして過去に【無間】へ投獄されていた(その為九代目は当時の副隊長が特例で襲名した)。
「死神はただ、世界の為の歯車であればいい」という考えの持ち主であり、その為ならどのような手段も在り方も厭わない。
ザエルアポロの襲撃に便乗し脱出し、己の目的を果たす為の必要過程としてロカの能力を狙う。

◆刳屋敷剣八
七代目「剣八」。十一番隊の習わしに則り挑んできた痣城に敗北し、命を落とした。
その武人としての強さと竹を割ったような性格から死して今なお多くの者の記憶にその存在が刻まれいてる。

◆ピカロ
群体の破面。特異な生まれを持っており、100を超える少年少女人外の姿をした存在。
子供特有の無邪気かつ残酷な性分で、遊び相手を見つけると己らや相手の死に頓着することなく壊れるまで遊び倒す。
その扱いづらい性分により十刃落ちした。現在のナンバーは#102。斬魄刀は「戯擬軍翅(ランゴスタ・ミグラトリア)」。解号は『遊べ』

石田雨竜
後編で一時的に観音寺達と行動を共にし、応戦する。観音寺に勝手にカラクラ○○(毎度変わる)ブルーに任命されそうになったり二番弟子にされそうになったり。
因みに観音寺の衣装センスに対しては、服そのものはいいが色に納得がいかないらしい。



以下ネタバレあり







雨露柘榴(うろざくろ)
痣城の斬魄刀
常に卍解状態になっており、彼にだけ視認できる形で騒々しい女性の姿を取っている。その能力は使用者と空間(周囲の霊子)との融合とそれによる使役。
この能力の応用により近代兵器で霊体攻撃をも可能とし、重火器を同じく融合使役した義骸に使わせたり、
ヘリに地上用ガトリングを無理やり搭載させて動かしたりと無茶っぷりを見せる。
笑い声は「キヒヒヒヒ」

◆シエン・グランツ
結局のところザエルアポロは復活などしておらず、ザエルアポロを名乗っていた存在はその知識と記憶を持った霊子の塊に過ぎなかった。
その事実をマユリに指摘され揺らぐも、すぐに受け入れ「100(シエン)」としての自己を確立。その気になれば己の存在をいくらでも生み出せるロカを厭い狙う。
かつて第0十刃(セロ・エスパーダ)だったザエルアポロが科学者として、一度は十刃落ちしてまで切り捨てた「戦士である兄」の部分*3を有する。
そのため、ザエルアポロには無くなっていた闘争心と実力を持ち合わせている。
死を感じられることに喜びを見出しており、更木剣八と歓喜に満ち溢れた勝負を繰り広げるも、観音寺やロカの妨害により不本意ながら中断。
必ずもう一度刃を交えるという誓いを告げて、その思いを胸に刻み続けながら撤退。その後ロカと交戦し…

◆痣城の姉
名前は不明。財力を手にし斬魄刀や鬼道の力の衰えた痣城家において、唯一家名の誇りを持ち護廷十三隊を目指し鍛錬を積んでいた。
痣城家の権力を恐れた貴族達によって一家処刑にまで追いつめられた際、
最後に残った弟を自らの武勲を以て救おうと虚を道連れに自爆するも、処刑は止まず無駄死にとなる。
それにより弟は斬魄刀を開放、観衆として来ていた貴族達を皆殺しにして流魂街へと逃亡し、この一件は処刑用に使われていた虚の仕業として処理される。
これを機に尸魂界の負の歴史として虚による処刑方法は廃止。彼女の存在と死が弟である現・痣城剣八の在り方に大きな影響を与えることとなった。

更木剣八
ご存知戦闘狂の、十一代目「剣八」
「ロカを追っていれば痣城と交戦できる」と命を受け、十一番隊員を引き連れて出撃。シエンとも交戦することとなる。
実は眼帯なしでも無自覚のうちに相手と斬り合いを楽しめる段階にまで霊力を本能で抑え込んでおり、本来はとてつもない実力を持つ*4
彼の外した眼帯は観音寺に思わぬ逆転の一手をもたらすこととなる。
因みに剣八の実力設定について師匠はあとがきで「誰も気づかないようにして後で本編で回収しようと思っていた伏線を拾われてしまった(要約)」と語っている。










私はいつでも貴方と共に
『spirits are forever with you』

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最終更新:2024年04月15日 18:52

*1 のちにゲーム『BLEACH Brave Souls』で一部説明が補足された。

*2 彼らが辿った顛末も小説の通りなのかどうかは不明

*3 ザエルアポロの中核をなしていたのは錬金術師の弟と、弟が霊となって最初に食らった将軍である兄

*4 発展途上の一護が彼に勝てたのは、その「本能による反射」を上回る速度で急成長を果たした為