食わず嫌い

登録日:2012/04/18(水) 21:00:50
更新日:2023/06/26 Mon 10:23:22
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食わず嫌いとは、食べ物の味以外の要素(見た目や香り等)や、先に抱いてしまったネガティブなイメージにより、
そのものを味わう事なく「嫌い」と判断してしまう現象である。

食に対する経験に乏しい子供が示す事が多いが、大人であっても未知の食べ物に対しては食わず嫌いをしてしまう事はままある。
なお、一度でも味わった上で「嫌い」と断じたものや、なにかしらのトラウマにより嫌いとなった食べ物に対しては「食わず嫌い」は適用されない。
だって一応食べてるからね。

なので、「とんねるずのみなさんのおかげでした。」の「食わず嫌い王決定戦」は本来は「好き嫌い王決定戦」とでもいうべきもののはずで、
ゲストとして出演した関根勤に「意味が間違ってるよ」と実際に突っ込まれたことがある。

また、当人が信仰する宗教の戒律として禁止されている食べ物を食べないことは「食わず嫌い」は勿論「嫌い」でもない。
日本ではあまりなじみがないため実感が湧きにくいかもしれないが、他人の宗教を無視した食品を食わせることは決していたずらで済まされない行為であり、絶対に慎まなければならない。
刑務所ですら、暴動になりかねないため宗教に応じた食事を出す所もあるのだ。

■食わず嫌いされやすい食べ物

◆発酵食品
納豆やくさやなど。発酵した食べ物独特の香りは鼻につきやすい……というよりこれらは匂いそのものも純粋に強い。
特に納豆は関東の方では比較的抵抗なく食べている人が多いが、それ以外の地方では嫌悪する人も多い(人口の多いところではその分抵抗なく食べる人も多い)。
外国人でも日本人でも嫌がる人が多い食べ物の定番。
ちなみに納豆やくさやは好きでも、世界各地の発酵食品については……というケースも多い。

◆熱々の料理
ラーメンやグラタンなど。いわゆる猫舌で熱いため口に入れにくいことや、熱への恐怖心などが原因。
啜って食べることをせずにスプーンを使ってマイペースに食べる傾向が見られる欧米人に多い。日本も都市部にいけばそれなりに嫌いな人もいる。
熱々の料理や飲み物は口腔や消化器に負担をかけるという指摘もあり、火傷しないように気をつけて食べるのが望ましい。味に問題がないのであれば冷ますのも一つの手だろう。
猫舌でない人はハフハフして食べる傾向があり、この食べ方を見習うと良い。

◆生の食品
魚や肉の刺身生卵など。生の食品は病原菌が付着している可能性があるため、衛生面への不安が原因。味が原因の場合も。
生ガキなんかはノロのイメージが付きまとい、どうしても…という人も。
海外の多くの国は魚や卵を生食する習慣が無いため外国人に多い。
というか海外では魚や卵が生食される前提の衛生管理ではないため、
食わず嫌いというか食べたら最悪死ぬケースもあり、外国人の忌避感も当然かもしれない。
主なケースでは食わず嫌いというよりリスク管理の一環ともいえる。

◆野菜類
緑色の強いピーマンホウレン草などが特に食わず嫌いされやすいが、これは、緑=味覚感が無い、苦味を連想させるなどの理由から。
その他、ニンジングリーンピースなども青臭い匂いからその対象になりやすい。

◆肉類
メジャーな牛・・鶏以外の動物の肉は馴染みがないということで食わず嫌いされやすい。ジビエ肉である猪・熊・ウサギや畜産肉でも羊肉は独特の匂いから好みが分かれるがまだ平気な人は多い。
ワニ・サル・カンガルーなど「食肉」のイメージがないもの、など愛玩動物としてのイメージが強いものはとりわけ忌避する人が多い。
特には食肉としてもメジャーながら人類の相棒として忌避する人・地域も多い。
一口サイズならアリだが丸焼きや頭部丸ごとの元の動物の姿が分かる状態はムリ…というケースもある。
また動物の種類を問わずレバーなど内臓肉も対象になりやすい。

虫食
ハチノコやイナゴなど。
見た目のグロテスクさや元々虫が嫌い等の理由で忌避する人は多い。
普段馴染みの無い食べ物なので、仕方ないとも言えるだろう。
何でもそうだが味付けや大きさなどに左右されるところも大きい。

◆奇抜な色の食品
美和子スペシャルを見た視聴者は真っ先にピンクに薄紫を混ぜたような色の汁に戦慄したことだろう。見慣れた食品由来ではない得体のしれない色の料理は味の不安から避けられがちである。
日本人だとアメリカのビビッドカラーなお菓子やジュースを苦手に感じる人もいる。
実際、人間は色によって食欲が増進・減退する研究結果が出ているため、色が食わず嫌いの原因になることは当然のことだろう。
野菜や果物で品種特有の特徴もしくは熟成によりで黒か茶色がかった色のものを「腐ってるように見える」と避けるケースもある。

◆他人の手料理
自分や家族の作ったもの以外の料理が無理という人もいる。レストランの料理、スーパーの総菜、屋台の料理など。衛生面や味、混入物への不安が原因。
特に多いのは素人(特に知らない人、親しくない人、嫌悪を抱いている人)の手料理。どんなに親しい相手でも素手で握ったおにぎりを食べられない人もいる。
市販の食品でも添加物や産地によっては忌避するケースも。


■克服するには

あまりにも多様な食べ物に対して食わず嫌いをしてしまうと栄養が片寄る他、時に社会生活にも支障を来してしまう。

長期間の食わず嫌いだと、見ただけで吐き気を催したりもしてしまうほどに症状が悪化したりもしてしまうが、
本人の意思さえあれば案外なんとかなるのが食わず嫌いである。
自ら克服を志すなら他の食物と組み合わせたりするなどの工夫をし、段階的に慣れていこう。

逆に、他人の食わず嫌いを直すには、無理強いをしてはいけない。
ますます拒否するようになる。
特定食品の食わず嫌いどころか人との食事全般が怖くなって社会生活に支障を来たしてしまう会食恐怖症になってしまう可能性だってあるのだ。

同年代の者ならばじっくりと相談した上で説得し、その上で工夫を考えよう。
子供ならば、「栄養があるんだよ」「お野菜さんが食べてほしいって言ってるよ」など、楽しく食べる方向にもっていったり、好きな料理に混ぜたりしてみよう。
ただしドヤ顔で「じゃあサプリでその栄養とるし~」「野菜が喋るわけないたろjk」などと一人前の口を利いてきた場合はそれ相応にあたろう。

■無理な克服も考え物

確かに、食わず嫌いと言う現象はいいことではない。しかし、それを無理に直そうとするのも考え物だ。
食わず嫌いのせいで栄養が偏ってしまうことはあるが、食材の一つや二つ食えなかっただけで不健康になるほど、人間の身体はやわではない。
野菜が大半食べられないとかいうものでなければ、健康的には殊更問題視する必要もないのである。

特に熱い飲食物や発酵食品、虫などは全般的に食べられなかったとしても、よほど困窮した状況でなければ問題にはならない。
前者の場合は下手に食べると火傷する危険性もあり、過熱によるビタミン不足による胃癌や美容の悪化なども弊害も現れる。

まず、食わず嫌いと『本当に嫌い』や『アレルギー』『不耐症』は完全に別モノである。

特にアレルギーの場合、単なる食わず嫌いだと思い込んで相手に食べることを無理強いさせてしまうと、最悪の場合重篤なアナフィラキシーショックでその人の人生が終わります。
というか、あなた自身の人生設計も崩壊します。下手しなくても傷害致死罪や殺人罪に問われます。
アレルギーに関する知識も幅広くなっている中、「アレルギーで死ぬとは思わなかった」という弁解が裁判所で通用する可能性は低い。

アレルギーは好き嫌いの延長ではなく、生死に関わる身体の拒否反応なので、人殺しの十字架を背負わない為にもよく理解しておこう。
本人は嫌いだから食べないのではなく、それどころか食べたくても食べられないのだ。
しかも生まれつきではなく後発でアレルギーを発症する事もあり、ある日突然好物がアレルゲンになり食べられなくなる苦しみは半端なものではない。

特にアレルギーに対してろくな知識のない年輩の方たちは、
「好き嫌いの理由にしたいだけだろうがそうはさせん!」だの「それじゃあ社会人としてダメだ」などと本気でのたまって無理矢理食べさせようとしたり、挙げ句密かに混ぜ込んで食わせようとする事があるので、
そういう現場に出くわしたらたとえどんなお偉い上司だろうと力ずくでも止めるようにしましょう。
それで逆ギレされたり職務上理不尽な仕打ちを受けたりしたら容赦なく更なる上層部に通報しよう。

逆に好き嫌いならば、身体のことを考えて食べさせてやるのも思いやり。
その場合は、無理強いせずにその人に合ったペースで克服してもらおう。
ただし、口に入れただけで反射的に吐いたりするようなレベルのものの場合はよしておこう。こちらも無理に食べさせると本人がどう足掻いても嘔吐したり、最悪嘔吐物が詰まって窒息死しかねない。


反対に自分が食べられないから、世間一般では好かれてないからと言って、食わず嫌いの対象やそれを好む人を否定するのもよくない。
人には人の好みがあるし、地域には土地の文化があるのだ。



追記・修正は食わず嫌いを克服してからお願いします。

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最終更新:2023年06月26日 10:23