大長編補正(ドラえもん)

登録日 :2010/10/11(月) 12:16:53
更新日 : 2017/06/30 Fri 02:51:21
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ドラえもん」において、大長編になるとメインキャラ達の性格や性質が変わる現象。

いわゆる、

のび太は映画になるとカッコ良くなる
ジャイアンは映画になると良い奴になる

という、アレのこと。

しかし、これらの補整はなにものび太やジャイアンに限って起きているものではない。
メインキャラ全員にそれぞれの補整が与えられているのである。

余談だが前ジャイアンの声優であるたてかべ和也氏は某ラジオでジャイアンが良い子になるのは違和感があったとの発言もしている。



以下各大長編のネタバレ注意

ジャイアンの場合
言わずと知れた"良い奴"化。稀にになる。
しかしこれはジャイアン本来の性質であり、TV編ではそれを披露する機会に恵まれないだけで、別に大長編の時だけキャラを作っているわけではない。
「ドラえもんに休日を‼︎」「強いイシ」のエピソードなど、短編でも男らしさを見せる話もある。
しかし、上記の通り中の人が大長編で良い奴化する事に違和感を覚えているという悲しい現実もあったりする。ジャイアンェ……。

また、身体能力にも補整は加わっている。
元々、彼はあの体型ながら運動神経はメインキャラの中ではトップクラスである。大長編では主に腕力とバットによる打ち分け能力が強化される。
「宇宙開拓史」「ブリキの迷宮」「恐竜2006」では、バットを用いて石ころを打ち出して空の敵を撃墜したり(ノーミス)、
飛んで来る粘着弾丸を打ち返したりしていた。のび太も凄いがジャイアンも凄いのである。
「ブリキの迷宮」では、手元にバットが無かったので、その辺のヤシの木を引き抜き、先端を手で折って即席のバットとしている。
更に「竜の騎士」では、ひみつ道具の「どこでもホール」が壊れて地底の大空洞に作った秘密の遊び場へ置いた荷物が取りに行けなくなってしまう。
それを伝えに来たドラえもんを怒りのままに追いかけ、手にしたバットの一振りで電柱を叩き折ってしまった。
一瞬の出来事ではあるが、とても小学生とは思えない怪力である。ちなみに原作漫画版「竜の騎士」には、ここまで露骨な怪力描写は無い。

また、妹が絡むと途端に良い兄貴になるのも彼の特徴。「がんばれジャイアン!」で妹ジャイ子の為に奮闘する姿はまさに兄貴で漢。



ドラえもんの場合
主人公であるにも関わらず、まさかのマイナス補正である。
主に判断力が低下。時として致命的なミスを犯す。

  • 出したい道具が中々出せない。
  • やっと出せたと思った瞬間に落とす。
  • 肝心な時に"故障中"。
  • どこでもドアをしまい忘れ空き地に放置したため、ドアを燃やされる(大魔境)、解体されドアノブのみになる(新・大魔境)。しかもこの時武器類は全て空き地の土管の中。
  • 空気砲などの数少ない武器類をまとめて時空間に落とす(ロボット王国)。
  • 究極の修理道具である"タイムふろしき"を宇宙で落とす(宇宙漂流記)。
  • 四次元ポケットごと落とす、ポケットが燃える、ポケットを奪われる(南海大冒険、ドラビアンナイト、夢幻三剣士、太陽王伝説、南極カチコチ大冒険)。
  • 命に関わる重要な説明を怠る(原作海底鬼岩城)。
  • 最悪、自身がぶっ壊れる、壊される(雲の王国、ブリキの迷宮)。

などなど。
ドラえもんが万能なひみつ道具を出せばすぐ解決するという突っ込みを避ける為であろう(実際、ブリキの迷宮ではドラえもんが復活した途端に事態が好転した)。
また、原作以上にのび太に出番を取られることが多い。

ただ、活躍が全く無いのかと言われればそういうわけでもなく

  • 恐竜ハンターに捕らわれていた恐竜達を四次元ポケットにしまい込み、自身は空気がない海中でも平気という特性を活かし、ピー助と共にのび太達や恐竜達を地上まで送り届ける(恐竜2006)。
  • しずかが人質となっているポセイドンの元にただ1人辿り着く(海底鬼岩城)。
  • 迫り来る敵に対抗する作戦を考え、のび太達の指揮を務める(鉄人兵団、新・鉄人兵団、アニマル惑星、雲の王国)。
  • 偶然とはいえ恐竜人達の先祖である恐竜を救うきっかけを作り、恐竜人達と和解する(竜の騎士)。
  • ドラゾンビとしてヒカリ族を助け(日本誕生、新・日本誕生)、ギガゾンビとの決戦に勝利する(新・日本誕生)。
  • 自らが犠牲となりガスタンクに特攻し、天上人達を救う(雲の王国)。
  • のび太達だけではどうしようもなかった様々な問題を、ひみつ道具で全て解決し、ナポギストラーにとどめを刺す(ブリキの迷宮)。
  • コングファイターとの対決に数少ないひみつ道具を駆使して勝利し、更に石頭を利用してデスターのいる場所まで辿り着く(ロボット王国)。
  • ビッグライトで巨大化し、空気砲でマフーガを迎え撃つ(ふしぎ風使い)。
  • ネコジャラと直接対決し、途中で名刀電光丸の電池が切れるも、見事勝利する(ワンニャン時空伝)。
  • のび太やロップル達が乗っている宇宙船に迫る敵の巨大な宇宙船をひらりマントで吹き飛ばす(新・宇宙開拓史)。
  • 人魚の剣を名刀電光丸で弾き返す(人魚大海戦)。
  • 限られたひみつ道具を最大限活用し、敵に捕らわれているスネ夫達を救出する(奇跡の島)。
  • 怪盗ドラックスとなり、暴走するガードロボを食い止める(ひみつ道具博物館)。
  • 遺跡内で敵に捕らわれるも自力で脱出し、ピンチに陥るのび太達を間一髪で救う(南極カチコチ大冒険)。

のび太の活躍に目が行きがちだが、彼は彼で主人公らしく要所要所で活躍している。
ドジが多い上に弱体化している印象を持たれがちな主人公だが、 彼(ひみつ道具)の存在無くしてはストーリーが成り立たず、のび太達は彼のお陰で敵と互角に戦える 事を忘れないでほしい。



●静香の場合
ヒロイン属性が増す。
メインキャラ随一の常識人故に、物語の核心を突いた発言や、画期的な対策案を出すことが多いが、
頻繁に攫われたり逸れたりすることによって補整し、物語を面白くしてくれる。

また、小学5年生にしては発育が良く、「宇宙小戦争」ではその裸体を惜しみ無く晒された。おまけに入浴中にさらわれた。
他にも「魔界大冒険」「新魔界大冒険」ではのび太による魔法で何度もスカートをめくられる。タケコプターで飛行中も惜し気もなくパンモロ。
「ドラビアンナイト」では奴隷となりムチで打たれる。
青少年保護育成条例引っ掛かりまくりである。

ちなみに「アニマル惑星」ではウサミミ、「ワンニャン時空伝」ではネコミミを披露している。
大きいお友達も大満足。



●スネ夫の場合
ヘタレる。とにかくヘタレる。『ママァーー!!』はもはや代名詞。かつ強かであり、その性質が大長編では良くも悪くも作用する。
まあ通常の小学生ならば、こうなってもしょうがない。某トーーク番組では「彼の取り乱し具合が、今置かれている自体の深刻さを物語っている」と評されている。
「自分達の現状を一行(と観客)に伝え、物語に凄みを出す」のも、スネ夫の役割なのかも知れない。
実際、「新・鉄人兵団」では彼が吐いた弱音がきっかけとなり、ドラ達は現状を再確認した上で改めて戦う覚悟を決めている(無論、スネ夫もきちんと戦いに参加している)。
「ひみつ道具さえあれば大丈夫!(テヘヘペロッ☆」という、ともすれば(特に観客が)抱きがちな 甘ったれ を、事実上叩き潰す役目もあるのかも知れない。

ただ、ひみつ道具が登場しないとなるとドラえもんが活躍出来ないばかりでなく、主人公が未来の道具を取り出して皆を助ける「ドラえもん」という作品の魅力を全否定しているとの批判意見もある。

冒険の初期では毎回参加を躊躇うが、その度に仲間達に強制されたり、「じゃあ来なくて良いよ」とアウェーにされかけることで渋々承諾する。
特に「人魚大海戦」での叩かれっぷりは異常。"紛争中の地に出向く"という危険な冒険を当然の如く躊躇っただけで他のメインキャラ全員に非難された。
そのため輪から離れ、そんな時に限って何かを目撃するが、誰にも信じてもらえないため更にアウェーになったり、敵に身体を乗っ取られたりする(銀河超特急、ふしぎ風使い)。

「宇宙小戦争」ではパピを助ける為に真っ先に自身のラジコンを進んで改造、戦闘にも参加したが敵の大軍勢を前に戦意喪失、再びヘタレ化。
と思いきや、単身出撃した静香を案じて彼女の後を追い、無人戦闘艇の特攻から彼女を庇うなどして活躍した。

他にも「ブリキの迷宮」「南海大冒険」「ロボット王国」「緑の巨人伝」「新・鉄人兵団」「宇宙英雄記」「結婚前夜」では、
パイロットスキルやメカニックスキルを活かしている(乗り物のパイロットに指名されたり、自ら買って出たりする)。
「太陽王伝説」ではラジコンの操作技術を活かして、魔女レディナの手下の幻覚使いを倒したり、レディナとの決戦でも逆転劇のきっかけを作ったりした。
「ひみつ道具博物館」では故障したビッグライトの配線を繋ぎ直して修理し、自分とジャイアンを元の大きさに戻す活躍を見せている。

銀河超特急にて「のび太って映画になると急にかっこいいこと言うんだから!」
などのメタ発言もある。



のび太の場合
副主人公としての能力が上がる。普段は情けない少年として描かれているためか、最も強く補整されている。副主人公の面目躍如である。

また、ジャイアンが良い奴になるのも、のび太がきっかけであることがほとんど。
大長編での魅せ場が一番多く、その漢っぷりは感動もの。その代わり、主人公であるドラえもんの出番が減少してしまうという弊害も生じてしまうが。

身体能力、思考能力、運がとにかく強化される。
  • ボロボロになりながらもドラえもんの為にジャイアンをソロ撃破する(帰ってきたドラえもん、STAND BY ME ドラえもん)。
  • 宇宙規模で有名な殺し屋と一騎打ちの撃ち合いで勝利(原作宇宙開拓史、新・宇宙開拓史)。
  • ニュータイプばりの勘で遥か宇宙の彼方にいる友人や、過去に置き去りにされた静香のピンチを察知(宇宙開拓史、ドラビアンナイト)。
  • 極限状態の中で牛魔王を引き付けて如意棒巨大化で一突き(パラレル西遊記)。
  • 動物のアンプルを混合し、ペガサス、ドラゴン、グリフォンを精製(日本誕生、新・日本誕生)。
  • 惑星と数千万人の移民を乗せた巨大宇宙船が衝突する危機を前に、フエルミラーでビッグライトを量産し、
    同時発射でヒラリマントを超巨大化し、宇宙船の軌道を変える対策案を一瞬で思い付く(宇宙漂流記)。

などなど。
その漢ぶりは年々増しており、「緑の巨人伝」での活躍は……あれ……? 目から汗が……その代わりのび太以外の登場人物(ゲストキャラ除く)がいらない子状態に…
これが、後にドラえもんが故障した際の生存フラグになる。

そしてのび太といえば、なんといっても「銀河超特急」を忘れてはいけない。
この映画、まさにのび太の為に作られたような作品である。
のび太の3つの特技の内で最も実用的な"射撃"が活かされ、シリーズ中でのび太が大活躍する映画の一つである。
その分、ドラえもんは主人公でありながら若干空気に……

未来人から「昔モン」と馬鹿にされているあたりからある意味フラグは立っていた。

  • 真っ直ぐ飛ばない信号弾で宇宙海賊を撃墜(この襲撃自体が遊園地のショーの一つであったのだが)。
  • 空中を舞う1個の空き缶に全弾命中。
  • 4人の悪党達を0,8秒で全員倒す(ドラえもんを囮にはしたが)。
  • まさかの頭脳プレーで ラスボスを一人で倒す

などなど天才・漢。
のび太ディスってる奴には一度これ観ろと言いたい。

また南海大冒険では非常に珍しく、ドラえもんですら呆然とする程にマジギレした姿も見られる。


……とはいえ、大長編で起こる騒動は彼の行動が原因であるのもまた事実。
まあ、それが無ければこういった面白い物語は始まらないわけで、それは仕方ないと言える………たぶん。

もっとも、そののび太のわがままを引き起こす原因はスネ夫の自慢話であり、
もっといえばいつものび太だけがハブられるという軽いイジメがほとんどの原因である為、「本当の原因はスネ夫じゃないのか?」という意見も見られる。
原作でもしょっちゅうのび太を虐めていることを考慮すれば、必ずしものび太が元凶とは言い切れないのも事実である。

更に言えばのび太が本当に事態の元凶となってしまったのはドラビアンナイト、夢幻三剣士、創世日記位であり(パラレル西遊記は公式曰くドラえもんが元凶とのこと)、
それ以外の大半の事件は全く無関係な所で進められていた悪事や陰謀にドラえもんやのび太達が偶然首を突っ込んだか巻き込まれたことによる物である。

よく挙げられる「ドラえもん達の歴史の介入にタイムパトロールは関わらないのか」という疑問も、
実はドラえもん達は歴史における最重要人物だと考えると合点がいく……かもしれない(同作者のT・Pぼんなど)。
実際、下記の様にドラえもん達がいなければとんでもない事になっていたことが大半である。

  • 地球侵略、滅亡、戦争突入など
海底鬼岩城、鉄人兵団、新・鉄人兵団、宇宙漂流記、ふしぎ風使い、新魔界大冒険、人魚大海戦、ひみつ道具博物館(といっても完全な事故だが)

  • 歴史改変
恐竜、恐竜2006、竜の騎士、日本誕生、新・日本誕生、南海大冒険

  • 人類侵略
大魔境、新・大魔境、竜の騎士、雲の王国、銀河超特急、ワンニャン時空伝、緑の巨人伝


逆に言えば、のび太とジャイ子が結婚した(ドラえもんが来ていない)世界だと非常にマズイ事になっている可能性もある。

ただしドラビアンナイトは例外。この映画はのび太の活躍が全くない。
また、この作品ではのび太、ジャイアン&スネ夫、のび太のママの行動が意図せず連鎖した結果、事件が起きており、
他の大長編では珍しい本編のメインキャラ4人が元凶という作品でもある。
強いて挙げるなら静香のピンチを察知した事と、かつてその冒険譚に憧れた者として、もう一度シンドバッドを立ち上がらせたぐらい。

また、宇宙英雄記でも、のび太は通常のアニメ版と同じように酷い扱いであり、目立った活躍がほとんどない。
そしてドラえもんもリーダーとしての見せ場はほぼ皆無で、主人公とは思えないほど不遇な扱いとなってしまっていた。
ただし宇宙英雄記の漫画版ではのび太は普通に活躍しており、「何度挫けても転んでもその度に立ち上がることが出来る」とクローズアップされている。ドラえもんは相変わらず主人公ながらイマイチ活躍出来ていないが。

わさドラ以降のオリジナル映画に言えることだが、『緑の巨人伝』『人魚大海戦』『ひみつ道具博物館』『宇宙英雄記』などの漫画版は、映画版と大きく異なり映画では描かれなかった部分にもクローズアップされているため、一度読んでみると面白いかもしれない。というより漫画版の方が評価が高いことが多い…

のび太が冒頭で言い出した妄言(「一般的に伝説とされているものは本当にいる!」という類)が 真実であった という例もしばしば。
  • 恐竜はまだ地球のどこかに生き残っている!(いました) (竜の騎士)
  • 雲の上に人々が暮らす世界(天国)は本当にある!(ありました) (雲の王国)
  • 鳥人は本当にいる!(いました) (翼の勇者たち)



●出木杉の場合
「万能過ぎる」
それだけの理由で一度も冒険に連れて行ってもらえていない。
「のび太の恐竜」の映画シナリオ初稿では、冒険に同行することとなっていたが、チートキャラ過ぎたせいか原作・映画版ともにリストラされた。
考えてみると、出来杉がいると本来のび太やドラえもん達が遭遇してしまうトラブルなどを未然に防ぐことが可能な冷静沈着さと頭脳を持ち合わせており、
「のび太の恐竜」でジャイアンが敵に見せつけたバッティング以上の能力を持つレベルの万能な運動神経。致し方無い。

映画冒頭に出てくることはあるが、あくまで難解事項の解説役に留まっている。
(「大魔境」のヘビースモーカーズフォレスト、「魔界大冒険」の魔女狩り、「アニマル惑星」の新種植物、「翼の勇者たち」の鳥人伝説など)
しかしその解説の分かりやすさときたら・・・。「学者かコイツ。(なんJ板より)」
読者にもしっかりと分かりやすく伏線を張りつつ解説している。かののび太も理解できるレベルで。
「大魔境」のヘビースモーカーズフォレストなど実在しない事項も、まるで実在しているかの様な解説っぷり。まさにF氏のレベルの高さが投影されている。

唯一苦手があるとすれば、喧騒。
周りが喧しいと勉強も頭に入らないと発言している(ドラえもんプラス4巻「ドラえもんとドラミちゃん」より)。
しかし野球もサッカーも大音量の声援がありながらも活躍しているのでスポーツなど運動関連には影響を及ぼさないと思われ、
勉強やテストなどは そもそも音量を出している側に問題がある ので苦手な事が起きる事態はほとんど無い。隙ではあるが隙にならないのである。

ひたすらマジメというわけでは無く、冗談など気の利いた発言もでき、マンガやゲームにも興じる事ができ、すべてを得意とする。
なのでコレを逆手に取った大長編での補正はかけづらい。恐ろしや出木杉英才。筆者としてはいつかしっかりと本編に絡んで活躍してほしいものである。

「いいぜ、俺は。追記・編集しても。俺のタケコプターの電池が切れたとき、お前、手を離さなかったもんな。」

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