E・HERO エアーマン

登録日:2010/11/02(火) 00:32:22
更新日:2024/04/06 Sat 11:49:47
所要時間:約 6 分で読めます





《E・HERO エアーマン》とは、遊戯王OCGに存在するモンスターの1つである。

効果モンスター
星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。
●デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。

【概要】

2006年8月にVジャンプの付録として登場したE・HERO

召喚・特殊召喚時に発動できる2つの効果を持ち、その効果は「E・HERO」だけでなく「HERO」全般に対応している
2つの効果はいずれも優秀であり、【E・HERO】だけでなくあらゆるHEROデッキに採用できるカードである。

1つ目は自身を除く自分フィールドの「HERO」の数まで魔法・罠を破壊する効果。
他に1体でも味方の「HERO」がいれば魔法・罠を破壊できる。

この効果の優秀なところは対象を取らないところ。
例えば自分の場にHEROが1体いて相手の場に《聖なるバリア −ミラーフォース−》と《奈落の落とし穴》が伏せられてる時このカードを召喚したとしよう。
もし発動時に対象を選択する効果だった場合、《奈落の落とし穴》を選択してしまうとそれにチェーンして発動されてしまうため、除去が無駄撃ちとなり《聖なるバリア −ミラーフォース−》はそのまま場に残る。
しかし、この効果発動時には対象の選択がない。《奈落の落とし穴》を発動されたら効果解決時に別のカードを選ぶことが可能。
上記の場面なら確実に《聖なるバリア −ミラーフォース−》を破壊し、相手のアドバンテージを失わせることができる。

かつてこの効果は発動しても何も破壊しない事も可能であり、破壊かどうかが不確定なため《スターダスト・ドラゴン》の効果をチェーンできないという裁定が下りていた。
現在は裁定変更により破壊可能であれば最低1枚を選ばなければならなくなったため、問題なく《スターダスト・ドラゴン》で無効可能となった。


2つ目の効果はサーチ効果。この効果こそこのカードが強力な理由である。
召喚しただけで状況に合わせた「HERO」をサーチできる。
特殊召喚も対応しているため、同じE・HEROである《E・HERO ソリッドマン》や《E・HERO リキッドマン》をはじめ、《ブリキンギョ》や《切り込み隊長》からでも可能。

なお、古いカードゆえに破壊効果もサーチ効果も「時の任意効果」に分類される。
ゴブリンドバーグ》で出すと、守備表示になる効果の影響でタイミングを逃すので注意しよう。

こちらも「HERO」指定なので、E・HEROはもちろんのこと、D-HEROE-HEROV・HEROもサーチできる。
E・HEROだったら融合素材を、D-HEROは切り札や《デステニー・ドロー》のコストを、と種類の多いHEROを全てサーチできるため汎用性は非常に高い。
D-HERO Bloo-D》をサーチしてそのまま特殊召喚する流れは有名である。

単純なところで《E・HERO オネスティ・ネオス》をサーチすることで、そのまま4300打点でぶん殴ることができる。


さらに自身がE・HEROかつ戦士族の下級なので、手札に加える手段は豊富。
サーチは《増援》《エマージェンシーコール》が利用可能。
サルベージは《戦士の生還》《E・HERO オーシャン》《融合回収》《マスク・チャージ》と簡単に回収できる。

《ヒーローアライブ》を使えば、LP半分と引き換えに召喚権を使わずリクルート可能。
好きなHEROをサーチしてそのまま召喚できる。ここから《聖騎士の追想 イゾルデ》などをリンク召喚すれば爆発的な展開が可能となるため、これを主軸にした展開系のデッキが考えられるほど。


攻撃力も1800と下級HEROの中では高いため、それなりに戦闘もこなせる。
現在ではあまり気にされる要素ではないが、登場した当初はこの打点も評価されていた。

登場当時のHEROは打点が貧弱なものが多かったのである。
E・HEROは融合モンスターなら攻撃力2000を超えていたが、下級の最高打点は通常モンスターの《E・HERO スパークマン》の1600ライン、D-HEROは《D-HERO ダイヤモンドガイ》の1400ラインととても頼りないものだった。

特にE・HEROは融合主体という性質上手札の消耗が激しいので融合モンスターを除去されると戦線を維持できなくなる。
融合素材のサーチ係兼融合できない時の戦線維持要因としてこのカードは待望の存在だったのである。

Eよりもさらに低ステータスでデッキの枚数が多くなりやすいD-HEROにとっても同じである。
D-HEROの切り札《D-HERO Bloo-D》と《D-HERO ドグマガイ》もこのカードがいるからこその使いやすさといえる。
《デステニー・ドロー》がD-HEROと一緒に出張しやすいのもこいつの存在があるからである。

強いて当時の欠点を言えば融合素材にならないぐらいである。今では解決されてると言ってもいいが。

このようにHEROの救世主のと呼べるカードであったため、非常にちやほやされた。


……だが、このカード大きな問題があった。


【空気の読めない男、エアーマン】


このカードの問題は、


汎用性が高すぎたこと

突き詰めれば


エアーマンでエアーマンをサーチできたこと

だった。

召喚しただけで手札を稼ぐことができ、さらには魔法・罠を破壊する効果も持っている1800の戦士族下級モンスター。
HEROに限らず全てのビートダウンでもこれほど汎用性の高いモンスターはそれまで存在しなかったのである。

このカードは登場してからほぼ全てのビートダウンデッキで3積みされ環境の中心となった。

第5期当時は1:1交換が重視される環境であり、召喚するだけで手札が増えるこのカードは破格の強さであった。

自身で自身をサーチして後続に繋げる、まさに全てのデッキに【ガジェット】のギミックが加わったと言っていい状況だった。

ガジェットと違い専用デッキを必要とせず、十分な攻撃力があり、手札でだぶついても破壊効果がある為完全に腐らず、サルベージもサーチも容易、ガジェットに劣るのは《リミッター解除》に対応してないことぐらい。
如何にこのカードが強いかお分かりいただけたであろうか。

当然デッキの多様性を損なわせたこのカードは嫌われた。
1枚引かれただけで何度も飛んでくるこいつの存在は、たしかに当時の環境では鬱陶しいものであった。
いつしか名前を皮肉り、空気の読めない男、KY、三沢と呼ばれていた。
HEROの救世主として登場したのに悲しいことである。

登場してから半年間、同時期に登場した《冥府の使者ゴーズ》とともに環境を荒らした罪により2007年3月でめでたく制限カードとなった。
「HERO」のサポートカードという元のさやに納まったといえる。

現在ではこのカードと同じサーチ効果を持ったモンスターは多数登場しているが、自身をサーチできなかったり、ステータスが低かったり、タイミングがエンドフェイズだったりと調整が取られている。
このカードも「エアーマン以外の」と書かれていればここまで嫌われることはなかっただろう。

その後、《マドルチェ・マジョレーヌ》が久々の同名を直接できるサーチできるサーチャーとして登場した。実に三期ぶりである。
攻撃力は低いが、死んだら勝手にデッキに戻るので戦線維持としてはこのカード以上。環境の変化でどのデッキにも入るカードではなくなったが。


【第6期以降】

第6期以降になると、このカードは自身ではなく味方のHEROを引っ張って来ることが主流となっていった。

メタビートで人気の《E・HERO アナザー・ネオス》「剣闘獣」の一員と名高い《E・HERO プリズマー》などとサーチ対象に優秀なカードの増加でサーチ先には困らない。
他にも《E・HERO ボルテック》で除外されたE・HEROを呼び戻したり、《E・HERO ブレイズマン》で融合召喚に繋げるなど。

デッキのモンスターを極力絞り、手札をこいつだけにした状態で召喚し《E・HERO バブルマン》をサーチすれば、即座にエクシーズ召喚できる。
相性のいい《機甲忍者ブレード・ハート》や《H-C エクスカリバー》の登場後は、この動きが定番化した。もちろん他のランク4でも可能。

D-HERO】での使い勝手は既に述べたとおりである。
素材やリリースに便利な《D-HERO ディアボリックガイ》をサーチできるのは大きく、《D-HERO Bloo-D》を使う際にも重宝される。

V・HEROにも有力な新顔が登場しており、《V・HERO ヴァイオン》なら《E・HERO シャドー・ミスト》を落として素材と融合をサーチすることですぐに融合召喚できる。
《V・HERO ファリス》をサーチしてくれば上記の動きを安定して行うことができる。

リビングデッドの呼び声》でこのカードを蘇生して《V・HERO ウィッチ・レイド》をサーチし、そのままアドバンス召喚すれば《ハーピィの羽根帚》をぶちかませる。

さらに、このカードを融合素材にできる属性融合が存在する。自身をサーチできなくても結局制限はかけられたはずである。
というか、今だと自身をサーチした方が動きとしては弱い


制限カードとなった後も幅広く使われているのでOCGでの過労死としても名高いモンスターである。
海外では禁止に指定されてしまったため本当に死んでしまった。

その一方、日本ではリンク召喚の登場と新マスタールールの試行に合わせたのか、
2017年4月のリミットレギュレーションで準制限に緩和。更に2年後の2019年7月に制限解除になった

……遊戯王OCG以外のタイトルにも言えるが、インフレは恐ろしいものである。


これでかつての動きが再びできるようになったが、環境がすっかり変わってしまったので自身と同名をサーチする使い方はあまり強くない。
だが、HEROを使うデッキにとってはかなりの朗報。
《E-エマージェンシーコール》や《ヒーローアライブ》で連れてくるこのカードを引いてしまったという事故を減らせるのは少なからず追い風である。


【主なデッキ】


【エアブレード】

ブレード系デッキの開祖。無制限時代に開発されたデッキで手順はこんな感じ

①このカードでサーチして戦線を維持し墓地に戦士族モンスターを溜める
②《モンスターゲート》や《名推理》を撃ち墓地に《神剣ーフェニックスブレード》を落とす
③《神剣ーフェニックスブレード》で墓地の戦士族を除外して除外ゾーンを肥やし、手札に《神剣ーフェニックスブレード》を戻して手札コスト確保
④除外ゾーンが超えたところで《混沌の黒魔術師》を召喚、持ってなければ《次元融合》を回収
⑤《次元融合》を発動して勝負を決める

この時代は《封印の黄金櫃》が無制限だったので《次元融合》等のキーカードを即手札に持ってくることができた。
《名推理》や《モンスターゲート》で墓地に落ちた場合でも《混沌の黒魔術師》でサルベージできる。

コンボ系デッキはその宿命として防御が手薄になりがちだったが《冥府の使者ゴーズ》が無制限だったので問題はなかった。

第11期現在だと、《神剣ーフェニックスブレード》と《次元融合》が禁止カードであり、《混沌の黒魔術師》がエラッタによって魔法の回収がエンドフェイズに持ち越しになっているため、かつての動きを行うことはできない。


【サイカリエアゴーズ】

無制限時代のグッドスタッフ
デッキ名のサイは《サイバー・ドラゴン》、カリは《死霊騎士デスカリバー・ナイト》、エアは《E・HERO エアーマン》、ゴーズは《冥府の使者ゴーズ》のことである。

わけのわからなくなったデッキ名とは違い、グッドスタッフデッキなので動きは単純。
しかし、カード一つ一つが強力なので相手にすると非常に厄介なデッキであった。

第5期の環境では、緩い条件で特殊召喚でき、2100という打点で下級モンスターを上から叩ける《サイバー・ドラゴン》が何より強力であった。隣に《死霊騎士デスカリバー・ナイト》やこのカードを並べることでさらに厄介な布陣となっていた。


【余談】

このカードは漫画版GX出身のE・HEROであり紅葉から十代に託されたカードのうちの1枚。
漫画版での効果は攻撃力を半分にしてダイレクトアタックできるというヤリザ殿と同じぐらい微妙なものだった。

この効果だと見向きもされずに忘れ去られてしまい、名前通りの「エアーマン」になったはず。

漫画版のHEROは《M・HERO ダーク・ロウ》など、魔改造されたものが多くみられるが、その先駆けはこのカードだろう。


(1)このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外の自分の項目の数まで、相手の項目を選んで追記する。
●自分の項目の中から1つを修正する。

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