スズメ(野鳥)

登録日:2010/06/21(月) 23:45:19
更新日:2024/03/16 Sat 10:56:51
所要時間:約 7 分で読めます




スズメ
スズメ目ハタオリドリ科
英名:TREE SPARROW
学名:Passer montanus


スズメはカラスハトと並ぶ都市鳥の代表的存在である。
庭先やベランダに餌をまけば真っ先に飛来するので、日本人にとって最も馴染み深い。
しかし稲作の害鳥として扱われてきたせいか警戒心が非常に強く、物音がしたり、近づこうものなら飛んで逃げてしまう。

ヤダナ…人間て嫌いだよ…




人の身近な鳥

カラスや猛禽類等の天敵避けになる民家や建物の隙間、樹洞等に営巣し、遥か昔から人の側で暮らしてきたスズメは基本的に人の住む場所にしかいない
集落から人がいなくなると、同時にスズメもいなくなる。そして人のいなかった場所に人が住み始めるとスズメも居着く。

そうやって我々の身近に過ごしてきたスズメが減る原因は建物の機密性、過疎化………つまり雛が育ちにくい住宅問題

住環境に悩むと信号機や排水溝、車のマフラー、果ては干している蒲団にまで営巣しようするので庭先に巣箱や竹筒等があると巣だけでなく(ねぐら)としても使えるだろうからぜひやってあげてほしい。

何十年後かには身近だったスズメが探さないと見れない鳥になってしまうかもしれないのだから。




餌場におけるスズメ

主食は稲や雑草の種子等だが、1日に小さじ一杯食べれば十分。雑食性の鳥なのでパンや菓子屑はもちろん、酔っ払いの嘔吐物だって食べてしまうので、田圃や畑のない都市部でも過ごしていける。

庭先やベランダ等餌をまけば真っ先に飛来するのはスズメ。
辺りを警戒しながら少しずつ木や電線を伝い、一羽が餌をついばみ始めると、それを合図にしたかのように次々と飛来し、賑やかな食事が始まる。一口食べては顔をあげ、首を必死に回して辺りをうかがって

チュンチュン!チュンチュン!ヂュヂュヂュヂュヂュ!!

…………と、本当に賑やか。
食事のときに鳴くのも意味があるようで仲間に餌のありかを知らせる役目にもなっている他、食事中も常に天敵への警戒は怠らない。
群れだと見張り役もいて、スズメ以外の鳥は彼らがいるのを見て安全だと判断するそうだ。


そんなに警戒しながら食事して美味しいのだろうか。

だが、小学生がつくるちょっとした罠にあっさり引っ掛かかってしまうドジッ子でもある

わぁー♪お米だぁー♪

ガシャンッ

え…!?(´;ω;`)

そこがまた可愛い。



繁殖期のスズメ

基本的に群れで行動している彼らだが、4月~6月は繁殖期(最近は11月まで育雛する例も)なので繁殖に参加しない個体以外は番や親子で行動する。


これまで群れで仲良く暮らしていた彼らだが繁殖期が近づくにつれて、だんだん殺気だっていく。


目当ての娘と結ばれ、さて巣を作ろう!という時期にはスズメは知られざる本性を見せる。



普段こんな愛らしい姿をふるまうスズメだが営巣場所をめぐる戦いとなると一転。
蹴飛ばすわ、突つくわ、転げ回るわの大喧嘩である。スズメの嘴は太く頑丈な為、そんなもので突つかれてはたまったもんじゃない。

営巣場所は早い者勝ちというわけでもなく先に別の個体が入ろうと引きずりおろす。

意外と血の気の多い鳥なのだ。


そうして大喧嘩の末、営巣場所が決まれば夫婦で枯れ草を運び巣をつくる。


スズメの巣と言えば瓦屋根の隙間等が有名だが近頃は様子が変わってきている。詳しくは下記参照。


そうして無事雛が生まれれば子育て開始。親鳥は3分に1回ほどのペースで餌を持ってくる。
虫を見つけては捕らえ、運び、雛に与えて、周囲の警戒や雛のフンの運びだし等、大忙しである。


巣立った後も親鳥は雛に給餌しながら、餌の捕り方等を教える。
この時期の雛は猫やカラス、小型の猛禽類等の餌食になることが多い。

庭先やベランダに、まだ嘴が黄色い幼鳥を連れて親子でやっくるのはこの時期。
雛は嘴を大きく開けて羽を震わせ、鳴きながら餌をねだる。そんな雛に餌を与える姿は非常に微笑ましい。
そんなこんなで雛が一人立ちした後、親鳥は休む間もなく次の子作りに励む。
多いと年に3回も子育てするらしい。
因みに番ができても卵を産むまで雌は浮気することがあるらしく、雄は雌のあとを必死に追いかけて他の雄が近づかないようにするとか。

健気である。



おまけ

名前について

学名であるPasser montanusは『山にすむスズメ』、英名のTREE SPARROWは『木のスズメ』という意味である。
日本人からみるとあれ?と思うかもしれないが、ヨーロッパ等では人家に住み着いているのはイエスズメという別種の鳥なのである。
逆にスズメは山や森で暮らしているらしい。日本でのニュウナイスズメの立場である。


ヘルパーなスズメ

事故等で子を失ったスズメはツバメの雛を育てることがある。親鳥が亡くなったツバメの雛をスズメが育てたこともあるらしい。
しかし、親鳥がいる場合でも餌を持ってくるらしく親鳥は迷惑そうだとか。

猛禽類の巣に営巣するスズメ

人の近くに営巣することで天敵から身を守ってきたスズメだが、トビやオオタカ等の猛禽類の巣に営巣することがある。
端からみれば危ないが、これもオオタカ等の習性を利用したものらしく、捕食されることは無いらしい。

益鳥としてのスズメ

中国では蚊、蝿、鼠、スズメを駆除する四害追放運動で駆除しまくった結果、害虫が増えて長い間大不作となったらしい。
阿呆か。

遊ぶ鳥

春先桜のシーズンになると、スズメが桜の花をちぎって遊んでるように見えるが、実はれっきとした食事中である。
なかには花に切れ目を入れて蜜を吸う器用な個体もいるが、花の蜜を吸う鳥のように嘴ができていない為、花を根元からちぎり、蜜を吸ったらポイッ。
桜の方は、本来花粉を運んでもらうはずが蜜だけを吸われるとは、予想していなかっただろう。嗚呼、悲劇。

鳴き声

一般的にスズメの鳴き声はチュンチュンだけで知られているが、よく聞いて見ると様々なバリエーションがあることがわかる。
数羽での採餌中、餌場を見つけ仲間を呼んでいる時、塒に集まる黄昏時など、似ているようで全然違った鳴き声をしている。
飛び立つときもなぜかピヨーッと鳴いて面白い。通学や通勤中のちょっとした時間。ぜひ場面ごとの彼らの鳴き声を聞き比べてみてほしい。




願わくはこの先も彼らが『身近な野鳥』として人の側にいてくれるように…


追記・修正よろしくお願いします。

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最終更新:2024年03月16日 10:56