ザクレロ(MA)

登録日:2012/05/27 Sun 15:25:28
更新日:2024/04/01 Mon 21:38:30
所要時間:約 8 分で読めます





「デミトリーは以前から、モビルアーマー・ザクレロの、テストパイロットをやっておりましたので……」


ザクレロとは、TV版『機動戦士ガンダム』に登場するMA。
型番は「MA-04X」。


【概要】

ビグログラブロに先駆けて開発されたMAであり、いわば試作機である。
だが度重なる設計変更や会社の不手際のせいで完成は予定より大幅に遅れた。

基本戦法としては口の拡散メガ粒子砲で周囲の敵を掃討しつつ、超加速ですれ違いざまにナタで敵をぶった斬るという辻斬りなコンセプト。
だが推進力はあったが肝心のスピードが期待値に達しなかったため、宇宙空間のテストをされるまでもなく量産計画は中止。
試作機も廃棄処分待ちという悲劇を味わうことになった。

その後は武器のテストが行われた後にザンジバルに積まれてジオン本国に送られることになったが、その途中の無断出撃でぶっ壊された。
一説には大気圏外のテストを行う予定だったが搭載後に処分が決まったとも言われている。…酷い話である。


【武装】

  • ヒートナタ
両腕の先に装備している鎌状の刃。
ヒートホークの技術が活かされており、これでラリアットの如く敵を斬っていくのが当初のコンセプトだった。

  • 拡散メガ粒子砲
大口から放つビーム砲。射程は短いがパワーコンデンサーにより連射が可能。
なぜ「拡散」なのかというと、この時はまだ「収束」の技術が確立していなかったため。
またこのコンデンサーを使った連射の技術はスキウレにも活かされたという。

  • 4連装ミサイルランチャー
機体側部に2基搭載。

ある意味最大の武器。
機体前面が丸ごと「つり目+大口(牙付き)」という怪獣か何かの様な顔面になっており、そのコミカルともとれる様な強烈な面構えは、一度見たら忘れられない凄まじいインパクトを持つ。
ちなみに目の大きさは伊達ではなく全方向の視界が確認できるらしい。何気に凄い。
敵に恐怖を与えるためにこんな顔にした、というのが有力な説だが詳しくは不明。
機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』に収録されている短編「バカがボオルでやってくる!」に登場したデミトリーの友人ディックはBガンダムとの交戦の結果、今際の際にその有用性を認めている。



【劇中での活躍】

第32話でデミトリーがトクワン(ビグロのパイロット)の敵討ちのため無断出撃。
ガンタンクに殴られつつも胴体の中央付近にナタを喰らわせ、ガンダムMAモードのヒジを破壊するなど奮戦したが、結局動きを見切られビームサーベルを喰らい撃破された。

アムロ・レイには「簡単に動きが読めた」、つまりビグロよりノロかったと断言され、
シャア・アズナブルにはトクワンから説明をうけていたにもかかわらず覚えていなかったり、挙句撃破されても惜しむ素振りすら見せなかったなどとことん酷い扱いだった。
ザクレロが何をした。

しかし、ザクレロの攻撃のせいでガンダムは修理をしなければならなくなりドレン率いるキャメル艦隊との戦いにガンダムは出撃が遅れることとなった。
このせいでホワイトベースは結構な被害を受けこのままではシャアのザンジバルには勝ち目が薄いのでサイド6に進路をとった。
ザクレロがいなかったためガンダムが最初から出撃した劇場版では、キャメル艦隊は3分もかからずに撃破されたあたり、ザクレロが間接的に与えた被害はなかなかすごい…のかもしれない。

他作品において

富士急ハイランドにあったアトラクション『ガンダム・ザ・ライド』では、あのヘンケン艦長の艦であったフジ級輸送艦「スルガ」を撃沈するという手柄を挙げている。

ガンプラビルダーズ』ではデンドロのオーキスのような扱いで登場。口の中にザクがいるので余計インパクトが高い。

オリジン版では本体が登場する前にザクレロ顔の爆撃機が登場。そしてTV版とは逆にビグロに勝ってこちらが制式採用され、本番のソロモン戦ではデミトリー機の他複数機が量産され参戦していた。ビグロは乗りこなすのにG耐性が必要なのでパイロットが制限されすぎるからかもしれない。ちなみにトクワンはというとマッドアングラー隊に配属されグラブロに乗っていた。


【関連機体】

  • ザクレロ改
『MS ERA-ガンダム戦場写真集』に登場。
目や牙は飾りになっておりモノアイカメラになっている。またナタも斧に変更された。
元々は「0080版ザクレロ」としてのデザインだった。

  • ガザレロ
『Gジェネ』の携帯機シリーズに登場。
元フラナガンの技術者が造ったNT専用機であり、メガ粒子砲やトランスポータービットなどかなり強力になった。
というか、もはやザクレロの面影が全くない。
だが結局キュベレイに負けたので製作されず。
造っておいたほうがよかったと思うが…。

  • ブラレロ
『MSV-R』に登場。型番は「MAN-00X-2」。
ブラウ・ブロの量産型として開発された機体。
サイコミュ機には加速性が重視されなかったのと、パワーコンデンサーが良かったのでザクレロが選ばれた。
完成した機体はNTの練習機として使われたほか、複座式だったので普通のパイロットが何人か乗ってア・バオア・クーに参戦したといわれる。

武器はザクレロ本来の装備に有線ビーム砲が追加。さらにナタは腕が伸びるように改造された

スマホアプリ『U.C.ENGAGE』では主人公ペッシェが保護者代わりのアシュレイと搭乗。…つまり主人公機となったのである
当初はペッシェがNT能力に目覚めていないため活躍しなかったが、中破したことによってアシュレイが死に、それがきっかけで能力に目覚める。
目覚めた後はジム9機と戦艦2隻とボール数機を撃破した。



【ゲームでの活躍】

初代から登場。
宇宙用なことと防御力に不安があるが、武装の優秀さから意外と使いやすい機体でありジオンのMAに開発できるので生産して損はない。
ちなみに何故かガンダムとゲルググの設計で生産可能になるので「何故!?」と思った人は多数(『ギレンの野望』のアンソロでもネタにされていた)。
…だがWORLDでは不可になってしまい、憤慨した人も多かった。
『魂』からは『ガンダムFACT FILE』に掲載されたデザインで登場し、「俺の知ってるザクレロと違う」と感じたプレイヤーは数知れず。

『ZERO』の警告メッセージではマシュマー・セロが搭乗。
しかも彼曰く、ヤクト・ドーガゴトラタン以上の改造を重ねたらしい。
だが∀ガンダムを駆るロラン・セアックにやられてしまった。

トライアルミッション専用MAとして登場。
ゲロビや強誘導のミサイルも厄介だが、何より格闘が凶悪。
格闘の伸びと突進速度が異常なので、距離を取って射撃戦をしようにも、一瞬で距離を詰められてしまう。
また、MAにしては機動力が高くサイズも意外と小さいため、射撃が刺さりにくい。
……と、本編でのダメっぷりが嘘のような活躍を見せる。
しかし火力や耐久自体はそこまで無いため慣れるとそこまで苦戦しなくなる。

ちなみにミッションによっては味方になることがあり、放っておいてもジムやガンダムを塵芥のように蹴散らしてくれる。

EXVSFB以降にも続投。
EXVS家庭版準拠の攻撃能力に「至近距離でプレイヤーが射撃したらシールド効果持ち攻撃を合わせる」という凶悪ルーチン、
ガードされても怯まないナタラリアットのせいで「シールドしたらまとわりつかれて刻まれる」。
とりあえず長距離からゲロビか単発高威力射撃で仕留めるのが吉。

射撃が貧弱な代わりに、ある程度距離を取っていないと発動=確殺を意味する強力無比なSPA 必 殺 鎌 乱 舞 を持つ。
ザクレロワロスwと笑ったプレイヤーを片っ端から微塵切りにし、サイコガンダムとは違ったトラウマを植え付けた。

…ちなみに…

バトルユニバース以前はSPアタックはシールド無視!!

つまり回避しか手がないのである。G-3ガンダムやこいつがトラウマメーカーになるわけだ……

第2次』『第3次』『A』とそのリメイク『APortable』に登場。
『第2次』では敵で修理装置持ちという変な機体であった。が、所詮雑魚。リメイクの『第2次G』には登場しない。
『第3次』ではデミトリーが乗るも登場時期の割に非常に性能が低く、射程も1しかないので苦戦はしないだろう。

『A』ではなんとルー・ルカがこれに乗って参戦する。しかも敵として出てこない味方オンリーの機体である。
ジュピトリスIIに搭載されていたようだがいったいなぜこんな骨董品を積んでいたのだろうか…。
と思いきや、なぜかνガンダムにも匹敵する高性能機で、しかも15段階まで改造可能(『A』は機体によって改造上限が異なり、強力な機体は7段階程度までしか改造できない)で武器改造費が安価なので、資金を注ぎ込めば純粋な機体性能では最強クラスの一角となりうる。
そのうえパーツスロットも多いため、V-UPユニットの恩恵まで受けられる。
欠点はLサイズなので運動性が高い割にやや回避率が劣ること(とはいっても全体で見て回避率は高い方だが)。
また、武装は扱いやすいものがそろっているもののマップ兵器も必殺技ファンネルもないので独自の魅力にかける。UC系のパイロットは射撃が高いキャラが多いのに最強武器が格闘なのも残念(ノリス等格闘が高いパイロットがいないわけではないが)。
そしてなによりの欠点は参戦が非常に遅く、ルート次第では残りたった4話しか使えないこと。
というのも、ジュドー・アーシタとルーがハマーン・カーンを倒していないのに原作終了後で木星に行っていてなかなか戻ってこなかったのである。
これ以外にも『A』のUC関係は結構カオスなので必見。



【漫画などでの活躍】

  • 隊長のザクさん
サイド6のバーのママ役として登場。なおバーには店員として何故かオネェ言葉を使うガンキャノンも働いている。
「ロクのザクレロ」の異名でサイド6では名の通った女傑であり、相手が誰であろうと嘗めて掛かってくる者に対しては真っ向から啖呵を切り通す豪胆さを持つ一方、深い包容力とそれに隠れた脆さを持つ女性として描かれている。

日頃のストレスが爆発した結果、酒乱騒ぎを起こして脱走したザクさんが店の前で倒れていた所を何も言わず連れ帰って介抱し、ザクさんもその恩義の為に暫くはガンキャノンと共に店で働く日々を送る内に親密な仲となり始めるが、ある日居所を嗅ぎ付けたゲルググが店に訪れる。
たまたまザクさんは店に立っておらず、またゲルググの態度に腹を立てたザクレロも啖呵を切って追い返すが、結局店の裏の掃除をしていたザクさんの所にゲルググが直接現れる。
「除隊して軍法会議かな」と冷や汗交じりにザクさんは問うが、ゲルググからの返答はソロモン司令官ビグザムからのすぐに隊に復帰せよという命令、そして己がどれだけ周りに頼りにされているのかを自覚した方が良いという言葉であった。

その晩、ザクレロはザクさんに対して出来ればずっと店に居てほしいという思いを遠回しに伝えるも、ザクさんの気持ちは揺れ動く。
ガンキャノンからも「ママを泣かせるような事があれば許さない」と、中途半端な気持ちでいることを戒める言葉を掛けられるがその後、ソロモンヘ連邦軍が侵攻作戦を進めているのをニュースで見たザクさんは居ても立ってもいられなくなり戻る事を決意。

それを聞いたザクレロはいつもの豪胆さを見せて気丈にザクさんを送り出すが、彼の居なくなった店のステージでガンキャノンの弾くピアノでかのガンダムシリーズを代表する名曲の一つ「哀、戦士」を歌いながら、静かに涙を流して想いにケジメを付けるのであった。



【立体化】

ガンプラでは1/250に1/550のオマケが付属するキットが発売された。
劇中の設定通りに腕とナタが可動する他に同じ話に登場したガンダムMAが付属する。

ガンダムのアクションフィギュアシリーズの『MS in Action』でも販売されていた。
電池を使って背中の赤くて丸いコブを押すと劇中同様のメガ粒子砲の発射音を再生すると同時に口の中が光るギミックがある。
何故かジョニー・ライデンのゲルググとセットになっている。

それ以外にも『SDガンダム戦国伝』シリーズでは風車の百式とうっかりザクレロのセットとして販売もされている。



【余談】

なんでこんな強烈なデザインなのかというと、一説には当時スポンサーと喧嘩した富野監督「モデル化するのならしてみろ」という形でこうしたという。
だが『ガンダム』の商品化がされたのは放送終了から半年後であり、ザクなども商品化を想定していなかったため、この説には疑問が残る。

また、第32話の脚本家はザクレロの登場を無理矢理追加されたことが嫌だったらしく、「どうしようもないオモチャ」とまで発言している。

ちなみに、SD化するとかなり愛嬌のあるデザインなのが気に入られたのか、SD界隈ではいわゆるマスコットキャラクターとしてちょくちょく登場する。
『SDガンダム外伝』ではなんと迫害されたザクレロネコが世界への憎しみで闇の皇帝ジークジオンになったという設定で登場。
他にも千生将軍のモチーフの一部となったり、ザクレロへの優遇は止まらない。




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最終更新:2024年04月01日 21:38