ゲームギア

登録日:2012/12/29(土) 15:58:09
更新日:2023/11/20 Mon 13:59:17
所要時間:約 5 分で読めます









ゲームギアとは、1990年にセガ・エンタープライズが発売した携帯型ゲーム機である。価格は19800円。
1989年に任天堂が発売したゲームボーイに遅れて発売された本機は対抗策として、

日本初となるバックライト付3.2インチカラー液晶ディスプレイの搭載
日本初となったカラー液晶(世界初はAtari Lynx)。
ご存知の通りゲームボーイは白黒で、ゲームボーイカラーが発売されたのは1998年である。
ゲームボーイのわずか1年後、ゲームボーイカラーの8年も前から日本の携帯ゲーム機に色が付いたのだ。
さらにバックライト搭載のゲームボーイライトもカラーと同年の1998年発売だが、画面は白黒のままだった。
任天堂機種でカラー&バックライトが同時搭載されたのは2004年末発売のニンテンドーDSを待たなくてはならない。
流石はセガ、常に時代を先取りしている。


セガ・マークⅢと同等の性能
当時のセガの最新据え置き機だったメガドライブの一世代前である第三世代ゲーム・セガ・マークⅢとほぼ互角という素晴らしい性能である。
マークⅢは1985年発売。たった5年で小型化成功とは、セガの技術は世界一ィィーッ!!


別売りTVチューナーを使えばポータブルカラーテレビに
ポータブルテレビ機能としては、今でこそPSPDSなどの次世代携帯型ゲーム機に携帯電話などいろいろな製品に搭載されているが、
24年も前のワンセグもない時代に、携帯ゲーム機でテレビを見ようと考えたセガの天才的発想はまさに神である。
19800円というその価格はゲームボーイの12800円に比べると多少の割高感があるが、
ゲームギアと同じくカラー液晶とTVチューナー機能を備えた同時期の携帯ハードであるNECのPCエンジンGTが44800円もしたことを考えれば驚異的な低価格である。
この良心的な値段設定はただ高性能を求めるだけでない、セガの高い経営戦略と慈悲深さを象徴している。




これらのことからゲームギアは瞬く間に携帯ゲーム機市場を制圧、セガの天下は確実だった…


「うーん、つまんないねぇ、後で追記・修正してあげるから」



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これが未来の技術…!
セガ…恐ろしい子!
































…………みんな。ゲームボーイとゲームギア、どっちを持ってた?

多分ゲームボーイだよね……。


以下、ゲームギアの真実



ゲームギアの性能は上記に書いた通り非常にハイスペックであった。この点については事実でありウソはない。
ならば、ゲームギアは何故ゲームボーイに敗れてしまったのか?


それは、まず第一にその大きさと重さだろう。
ゲームボーイと比較してかなりのデカさであり、それなりに重い。
画像検索してもらえばわかるが、携帯ゲーム機としてどうなの?と疑問が残るレベルである。



しかし、問題がこれだけならまだなんとかなっただろう……。
(ある程度までの大きさ・重さなら)携帯性よりも性能を優先するというユーザーは現在でもそれなりにいるし……。


ゲームギア最大の問題点、それは……


燃費が非常に悪いのである。


ライバルのゲームボーイさんが単3型アルカリ乾電池4本で35時間も(マンガン電池なら15時間)遊べたのに対し、ゲームギアさんときたら…
あの単3型アルカリ電池を6本も消費して、3時間しか遊べない。

演算・描画性能はゲームボーイと大差ないところから考えて、差の原因はカラー液晶、特にそのバックライトのためだろう。
当時のカラー液晶はまだ暗く、バックライトが必須。暗い液晶を通すのだから光量が要り、しかも当時のバックライトというのは今のようなLEDではなく冷陰極管である。(白色LEDの元となる高輝度青色LEDの発明は1993年)
冷陰極管は高電圧を必要とするので回路も複雑になるし、配光もLEDのように導光板1枚というわけにはいかず大きな空間と反射板が要る。分厚い本体の液晶の裏は配光用の空間である。そう、カラー液晶は電池持ちの悪さだけでなくデカさの原因でもあるのだ。

当時は充電池は勿論、通常の乾電池も現在より値段が高く、また100円ショップも存在せず、アルカリ乾電池は子どもたちにとっては高級品のような存在だった。
ただでさえ本体の値段も割高だったこともあって、ユーザーは経済的な面でかなりの負担を強いられていたんだ!


後に充電バッテリーが発売されたが、持ち運ぶにはカバンが必要だったりと携帯ゲーム機のなんたるかを完全に失念したレベル。
さらに、充電に長時間掛かる割にバッテリー持ちは3時間程度……
数年後に本体に搭載できるタイプのバッテリーが開発され、充電時間も大幅な短縮に成功した。
ま、それでも稼動時間はやっぱり3時間程度だがな。

結果的に、外でプレイするにはかさばる上に経済力も必要となり、
携帯ゲーム機なのにアダプターを使って室内で遊ぶと言う本末転倒な自体となってしまった人も多いはず。


実は、ゲームボーイがモノクロだったのは、電池持ちと価格面を考慮していたからなのだ。

何かを得るには何かを犠牲にしなければならない。
燃費を得るために性能を犠牲にしたゲームボーイと、性能を得るために燃費を犠牲にしたゲームギア。
燃費と性能。当時の携帯ゲーム業界においてユーザーから求められたのは前者であった……。
まあ性能求めるなら据置機があるし、“携帯”機を謳うならそりゃ…ね。

ゲームボーイの開発責任者である横井軍平氏は、企画段階で「モノクロ画面で良いのか。カラーにしないのか」と問われたとき、
「モノクロで良い。他社がカラーで出してきたならウチの勝ち」とまで言い切ったという。
枯れた技術の水平思考』という言葉を残していることで知られる横井氏は、(技術的に実現可能であっても)必ずしも最先端であることには固執せず、あらかじめノウハウが蓄積されている技術をゲーム機に応用することを好んだ。
そのほうがある程度失敗を想定できることでコストや手間暇を削減でき、結果的にユーザーに優しい仕様になることが多いからだ。
ゲームギアは新しいことに挑戦したのが結局裏目に出てしまったのである。
後年、他の会社からこんなゲーム機が出ると聞いて、さぞかし横井氏も「勝ったな(確信)」とほくそ笑んでいただろう。
というか、ライバルがここまで目論見どおりに動いてくれて逆に困惑していたかもしれない。

凄い物・新しい物を作ろうと技術力に固執した結果、却ってユーザーに厳しい仕様になってしまう…
現在でも語り継がれている「技術は凄いが商売は下手」というジンクス、いわゆるセガクオリティが存分に発揮されてしまう形となった。
良い物を作るのに詰めが甘くて本流に乗れない……もっとも、そんなセガが好きだというファンは沢山いるのだが。


しかし、こんなゲームギアだが、ソフトは良質なものに恵まれ、性能の良さが評価されていたこともあって、
後年PSPがリリースされるまで、任天堂以外の携帯型ゲーム機(カセット取り替え型)としては世界1位のシェアを誇っていた。
ユーザーの中にはTVチューナーパックで車載テレビや自分専用のポータブルテレビとして活用していた人も相当数いただろう。
車や部屋の中なら電源の心配ないしネ!

また、常に底を漂っていたかといえばそうでもなく、
メガドライブでヒットしたソニック・ザ・ヘッジホッグやぷよぷよの移植でやや持ち直した時期もある。
上記メガドラやアーケードからの移植作、ディズニーのキャラゲーを中心とした海外マスターシステムからの移植作、
レイアース・忍空・ドラえもん・山田邦子(!)など多数の国内キャラゲー、その他もちろんゲームギアオリジナル作と、2番手ハードながらソフト資産はなかなか豊富。

今では当たり前となった本体のカラーバリエーション化をゲームボーイより先に展開したのも見逃せない。
同色のテレビチューナーやキャリングケースをセットにした限定版のホワイトを1991年4月に投入。
黄色やブルーなど一般販売色も1994年11月から発売。後者に至ってはゲームボーイブロスのわずか10日先に発売されている。

現在ではニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで一部のソフトを購入可能となっている。
ソニック、ぷよぷよ、シャイニング・フォースを中心に現状22作とゲームギア全ソフトからすればほんの一握りではあるが
本体同梱ソフトで単品販売はされなかった「なぞぷよ」や、実ソフトがプレミア価格になっているオリジナル作
「IN THE WAKE OF VAMPIRE」など、当時のユーザーでも遊んだ人が少ないと思われるソフトも配信されている。
興味があったらプレイしてみよう。
ゲームボーイ派だったみんなも、ゲームギアの魅力に触れることができるはずだ。

また、復刻版ミニゲーム機としてゲームギアミクロが2020年10月6日発売。


追記、修正は十分に充電してからお願いします。

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最終更新:2023年11月20日 13:59