吸血鬼のおしごと

登録日 :2012/04/25(水) 15:29:2520
更新日 : 2017/03/12 Sun 00:56:43
所要時間 :約 6 分で読めます




「吸血鬼のおしごと」とは電撃文庫から出ているライトノベルである。

第8回電撃ゲーム小説大賞選考委員奨励賞受賞作。著者はこれがデビュー作。
1巻が2002年04月に刊行され、本編は全7巻。外伝に『吸血鬼のおしごとSP』があり、本編の続編としてレレナを中心とした物語『吸血鬼のひめごと』が存在する。

著者は鈴木鈴、イラストは片瀬優。


湯ヶ崎町で人間としての穏やかな生活を続ける吸血鬼の月島亮史と使い魔の猫ツキ、叔父に騙され来日した宿無しシスターレレナ、新米幽霊の舞の穏やかな日常を描いた心暖まる えげつねぇ 物語。

吸血鬼には自然発生の「主人」、主人に血を吸い殺され「感染」した「従者」、従者により感染させられた「亡者」の三階級がある。
主人は狼・蝙蝠・霧への変化など複数の能力を持つ。どの階級も人間以上の身体能力を持つが、亡者には知性がない。ちなみに銀や流水などの伝説上の弱点はフル装備。

タイトルの通り、月島さんは 工事現場でバイトしている 。吸血鬼の身体能力で数人分の仕事をこなすが、ドジが多く監督には怒鳴られっぱなし。
「人の数倍働いているんだから給料も数倍もらえてもいいんじゃないか?」


◆登場人物
月島亮史
人間としてボロ屋敷でくらす、千ニ百年以上生きた「主人」。土木工事のバイトをしている。
輸血用の冷凍血液パックをすすり、床のタイルの十字に吐き気を覚えコンビニに行けないなどツキに呆れられる情けなさ。
「それで?僕にどうしろと言うのさ」
「降りかかる火の粉は払わなければならない」
「敵と交わしていい会話は、相手の隙を作る会話だけだ」

○ツキ
亮史の使い魔である黒猫。抜群の身体能力と感知能力を持つ。真名はミカヅキだがほぼ呼ばれない。町の猫達のボスでもある。

○レレナ・パプリカ・ツォルドルフ
叔父に騙され日本に来たら宿泊先が無く、さらには半吸血鬼化により帰れなくなったシスターの少女。14歳。穏和な性格だが、一度決めたら意思は固い。扱いが悲惨な娘。
続編の主人公も務める。

○雪村 舞
月島邸に迷い込み、そのまま居着いたいたずら好きの黒髪ロング幽霊少女。母の薫は自分に無関心なため(それでも母が大好き)、今の生活が幸せ。月島さんラブのヤンデレ気味。訓練により後に実体化・変化などの能力を得る。

○マリ・ツォルドルフ
レレナの母で日本人。性格は直情的で、行動力溢れるご婦人。続編で日本に移住。ちなみに旦那カルロは空気。

○ガゼット
駄目な大司教。堅物の姪を騙して日本旅行に行かせてみたはいいが、下調べ不足でえらいことに。幽霊怖い。

○上弦
亮史が吸血鬼として生きていた頃の知人。「主人」であり、通称御前、上様。娘か妹か嫁かわからん関係だが、本人は完全なヤンデレである。和服を着た黒髪ロングの美人だが残忍で、人間は食料に過ぎない。だが亮史に対しては乙女。

○玄翁
上弦の従者の、冷静だが心優しい男。「組織」の面々からの信頼も厚い。月島さんと互角にやりあえる戦力の持ち主。月島さんのことはかなり嫌っている。


○ツル
単純な構造なら無生物までも含む変化の能力を持つ狐娘。忠誠心厚く、度々玄翁とはりあおうとする。性格は生意気なお子様。

「組織」
人間に戻ることを目指し支えあう従者の集い。基本的に主人大嫌い。そのわりに上弦らとは協力体制にある。仕事は狩人・守人の二種に別れている。

○捕獲部隊の皆様
犬の餌、またはバールのようなもの…もとい バスケゴールを下ろす棒 の餌食。死亡フラグの塊でした。隊長の藤島などは玄翁並みの戦闘力だったが、相手が悪かった。

○真田
組織の長。胡散臭い策略家。強大な力を秘める亮史の血を狙っている。
生まれつき体に欠陥があり、再生能力でも治らない。

○松野
組織内で格闘戦最強クラスの男。無敵の鎧で亮史に挑むが、この人自体は別に亮史の敵ですらない。
飯に血液パックぶちまけて食うタイプ。
自分より強い相手を求める戦闘狂。

○壱番
終盤真田の実験により道具のような状態にされた娘。

○シギ
身寄りがなく妹を養うため娼婦をしていたところ、両思いとなった主人により感染し従者となった女性。主人とはラブラブだったが死別。大和撫子。

○クイナ
シギの妹。血の気の多い乱暴者。従者だが吸血が苦手。 見敵必殺レベル で主人という存在が大嫌い。戦闘力は玄翁や藤島並み。

○白宮さやか
守人筆頭。シギの友人で世話焼き。

その他の人々
○岡田要次郎
亮史のバイト先、大平建設の現場主任。暴力的だが、深い事情を聞かずにレレナらを助けたりもしてくれる。定年間近。

○カズマ
「魂食」に寄生された幽霊。幽霊歴は数十年。魂食による苦痛をさけるため、渋々幽霊を食らい続けてきた。

○魎月
外伝に登場する、月の魍魎と恐れられた吸血鬼の主人。性格は冷酷で、京の都を荒らし回った。一人でも洒落にならないのに「支配」の能力下にある大量の従者を配下に持つ。
能力以外にも巨大な石の大剣「夜剪」を使う。
正体は やんちゃして暴れまわっていた当時(数百年前)の月島さん

○笑石
化け物に怯える民の祈りを受け、ついに動いた機動地蔵。めっちゃ固い装甲と圧倒的パワーで夜の町を化け物から守るよ!
SPに登場。まさかの現代まで生存。

○マシラ
魎月と争っていた、遠距離攻撃が得意な猿の化生。知能が高く高速で逃げ回り狙撃してくるので、魎月も手を焼いていた…が、上弦が弁当食いながらぶち殺した。


◆各巻概要
一巻 -the style of Vampire-
三人の出会いと地元で起きた怪事件の原因との戦い。この事件が後に厄介事を招くことに

二巻 -the style of Servants-
従者の姉妹が町を訪れる話。シギと亮史、クイナとレレナの交流を描く。しかし二組が出会ったことで…

三巻 -the style of Specters-
カズマと舞の交流や舞のヤンデレっぷりを楽しめる巻。レレナの身内も来日。一方舞の母は…舞は泣いていい

ちなみにこの三冊、ほのぼのした紹介をしたが、種族問わず最低一人は死ぬ。
では後半は……?

四巻 -the style of mistress-
「組織」が亮史捕獲のために狩人を派遣。あまり死なない。

五巻 -the style of Master-
月島さん無双。上弦にレレナが連れ去られる。

六巻 -the style of Association-
レレナ奪還作戦。最後の最後でまさかの被害が……

七巻 -the style of Mortals-
「疲れた」
「もう、疲れた」
俺は人間をやめるぞ!真田ァッ!!


三巻までは戦闘がありつつもほのぼのとした作風だが、四巻からは日常面が減りダークファンタジーの様相を醸し出す。「主人」の力を用いた戦い方……もとい えぐい殺し方や精神攻撃 のオンパレードを 月島さんが 披露してくれるので、耐性のない方は注意。
終盤の展開はあまりの救いのなさに抗議が殺到したという話さえある。しかし肯定派もちゃんと存在し、彼らからするとあの終わりだからいいのだとか。

最終的に「生存した」キャラは 8名
その内、レレナの半吸血鬼化のように、初期より状態悪化したのが半分(親しい人物の死亡・精神崩壊など)。
直接被害が無いのは現場監督とレレナの身内とあと一人くらい。



「また、取り戻そう。かつての、化生としての、二人だけの生活を」
「だが、その前に――」
「――項目を追記修正しないといけないな」

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