ワールドカップ予選

登録日:2012/03/12(月) 13:48:42
更新日:2024/02/03 Sat 08:52:13
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絶対に負けられない戦いがそこにはある



世界中のフットボールファンの4年に1度の楽しみFIFAワールドカップ。
この大会に出るには厳しい予選を勝ち抜いた国だけのみ、この項目はそんなワールドカップ予選についての内容です。


〇ルール
6大陸に分けられた大陸でそれぞれリーグ戦を行い各グループの順位が高いチームが出場権を獲得することができ、地区によってはプレーオフの勝者が出場権を獲得。

各大陸の出場枠は前大会のワールドカップの成績によって決まるためワールドカップ本選の同大陸の成績は地味に注目しなくてはいけないポイント。
また、開催国と同大陸の場合は必然的に出場枠を1つ失う。

その後FIFAランキングの高い国からシード権が与えられる仕組み(大体最終予選か1つ前の予選から参加)。
逆にランキングが低い国はリーグ戦成績上位から次のステップに行くシステム。

細かい仕様はたびたび変更されているが、当記事においては基本的に1998年フランス以降の32枠体制に則る。


●各大陸

〇ヨーロッパ
サッカーの本場ヨーロッパだけにレベルは高く、絶対数も多いため出場枠は最大。
予選参加チーム数は多い(2022年は55チーム)のだが、予備予選のようなものは行われず、いきなり最終予選となる。
予選のルールは、8~10グループに分かれて1位は予選通過。
残ったグループ2位同士の上位チームがプレーオフラウンド進出。
プレーオフは2018までは抽選でマッチングした2チームのホーム&アウェイ2発勝負で合計得点の多い方が通過。
というのが長年続いていた。

2022はUEFAネーションズリーグ2020-21の成績が敗者復活権利となり、各グループ2位の10チーム+NL上位かつ予選ラウンド3位以下の2チームの合計12チームを3組に分ける。
そして一発勝負のトーナメントを行い勝ち上がった3チームが本大会進出権利を得ると、ちょっと複雑になった。
このうち予選ラウンドの上位6チームがプレーオフ1回戦にてホームスタジアムでの開催権利を持つアドバンテージを得る。
プレーオフ決勝の開催スタジアムは抽選にて決定。

国内リーグが欧州5大リーグと呼ばれるスペインイタリアイングランドドイツフランス、そこにオランダを加えた6国が伝統のある強国、
彼らほどの歴史はないが近年ではポルトガル*1、次いでベルギー*2は匹敵する評価を受けており、現在では8強といったところ。
ただ、評価こそ中堅止まりだが*3が直近でこれらの国以上に目覚しい活躍をしており、「こいつら入れるならクロアチアも強豪だろ」と言われる風潮も……
その他実績を残したことのあるギリシャ*4・トルコ*5・チェコ*6・スウェーデン*7・デンマーク*8あたりが中堅、
近年は目立った成績を上げてないが、かつて強豪だったこともあるポーランド*9・ハンガリー*10あたりは古豪、
次にスロバキア・オーストリア・ノルウェー、クロアチア同様に旧ユーゴスラビアから分裂したセルビア・スロベニアなど、一応ワールドカップおよびEURO出場経験がある国は多数。
その下はアイスランド・ジョージア・ベラルーシ・北マケドニア・イスラエル*11など。
下と言ってもこのあたりでもチームに1人くらいは欧州5大リーグのクラブで主力を張る選手がいる。

組分けは成績上位から順に割り当てていくため、スペインとドイツとイタリアとイングランドが一堂に会する……というようなことにはさすがにならないが、
なにぶん数が多く、ポット1下位とポット2上位でランキングが密着しているというのも当たり前、しかも自動進出が1位だけ。
強豪クラスが2国重なるような組はいくつかできるし、調子次第でさらにワンランク下の中堅がまくってくる番狂わせも大抵1組くらいは起こる。
そのうえでプレーオフを取りこぼしてしまい強豪が予選敗退……といった展開はそこまで珍しいこととは言えない。
2022でイタリアが二大会連続敗退というのもネタになったが、引導を渡した北マケドニアはポット4割り振りと、ランクがかなり低い国である。


〇南米
ヨーロッパに次ぐ大陸。
しかし10チームしかいないため、大陸枠が4+αで固まった1998年以降は
ヨーロッパとは逆に1リーグに全員詰め込んでホームアンドアウェイの総当たり戦を行っている。
そのため開催期間が長く、過去には2年くらいかかったこともある。
大体4位までが自動で本大会進出。
5位は大陸間プレーオフになる。

なんといってもブラジルアルゼンチンの2強。特にブラジルは1度たりとも出場を逃したことがない。
だが両国とも何度かギリギリで予選通過したことがあった(例としてはマラドーナ監督(2010)、サンパオリ監督(2018)のアルゼンチン)。
次いでパラグアイが長らくNo.3だったが、古豪ウルグアイが復活し入れ替わった。
近年では、元アルゼンチン代表監督のペケルマン体制以後のコロンビアが目覚ましい復活を見せている。
現状はこの4チームが飛び抜けて強い。
一方のパラグアイはその後、ブラジル大会、ロシア大会、カタール大会と3大会連続で本選出場を逃している。
次のランクはエクアドル・チリ・ペルー、
下のクラスにボリビア・ベネズエラといった感じ。
なお、この中で唯一ベネズエラのみワールドカップ参加を果たしたことが無い。

ただでさえ強豪がひしめきあっている上に、ボリビアやエクアドルなどのホームは標高3000mを超す高地というアドバンテージがあるので、
最も過酷と言っても過言ではないだろう。

ちなみに、ガイアナ・スリナム・フランス領ギアナ*12は南米大陸北端に位置するが、カテゴリは下記の北中米カリブ扱い。



〇北中米カリブ
予備予選の上位チームとFIFAランキングの高いチームがリーグ戦で戦うシステム。
2022は一次予選が1ブロック4チーム×6ブロックで1位が通過、通過した6チームが二次予選としてホームアンドアウェーで戦い各勝者が最終予選進出。
最終予選はシード権を得ていたランキング上位5チーム+二次予選通過3チームの8チームホームアンドアウェー総当りという形。
大体は3位までが自動で予選通過。
4位は大陸間プレーオフ。

実質はアメリカメキシコが自動進出確定の地区であり、
メキシコ>アメリカ>>>越えられない壁>その他の状態が続いていた。
……が、ロシア大会予選にてアメリカがまさかの敗退、パナマが初出場を決めるという波乱が起きた。
さらにカタール大会予選では、カナダが36年ぶり2度目の出場を決める快挙を成し遂げている。

この次にくる国はコスタリカ・ホンジュラスあたりで次にトリニダード・トバゴといった感じである。
ちなみに、フランス大会で日本に勝ったジャマイカはそれより下のレベル。



〇オセアニア
数も少ないしレベルも低いため、現行の32枠体制における出場枠は「0.5」(82年まではアジアと混合されていた)。
1位通過したうえで必ず大陸間プレーオフをしなければならないという、かなり高い壁が立ちふさがっている。
なにせランキング最上位のニュージーランドですらFIFAランキング100位以下という環境である。

参加チームを2分割して、一次予選は総当たりH&A、上位4チームがトーナメントで勝負し、優勝すると大陸間プレーオフ権利を得る。
現在はニュージーランドの完全な1強。
かつてはオーストラリアとの2強だったのだが、プレーオフ地獄に嫌気が差したオーストラリアが2006年からアジアに移ることに成功したのでこうなった。
なお、この2国以外が出場を勝ち取った例は存在しない。

とはいえ、ニュージーランドも久しぶりに出た南アフリカ大会のメンバーに銀行員が本職の方がいたりするレベルである。
なおその南アフリカ大会ではグループリーグで敗退したものの、出場32カ国中唯一の無敗で、勝ち点はイタリアより上だった。



〇アフリカ
こちらも順位の低い国から予選を戦い、高い国は一次予選シード+二次予選以降の組み合わせ優遇を得られる。
一次予選は一次予選参加組内でのランキング上位グループ対下位グループの直接勝負のH&A、二次予選は1グループ4チームの総当りH&A、三次予選は再び直接勝負のH&Aで勝者が進出。
三次予選がラウンドロビン式でないというのは(勝ってもプレーオフ権利しか得られないオセアニアを除くと)この地域だけであり、いくら組み合わせが上位5チームvs下位5チームとなっていても番狂わせが起きやすいようにはなっている。

治安の悪さやギャラ問題といった別の意味で過酷な地区であるが、勢力図がコロコロ変わるのが特徴。
00年代前半まではカメルーン、ナイジェリアの2強だったが、
コートジボワール、ニャホニャホタマクローがお偉いさんだったガーナ、チュニジア、モロッコ、アルジェリア、南アフリカ、セネガル、エジプト……といった面子に上下関係をつけ難い群雄割拠。
その時々の強い国はヨーロッパの主要リーグで活躍する選手も多く、またヨーロッパ育ちで二重国籍持ちの(強豪国での代表定着は難しい程度の)一流選手が流れてくるケースもしばしばあり、「欧州化」という表現もよく見られる。
その他の予選突破経験国としては他にアンゴラ、トーゴ、コンゴ民主共和国がある。

そのためワールドカップ出場国もコロコロ変わりドイツ大会ではチュニジア以外全て本大会初出場の国ということもあった。
2012年に行われたネイションズカップでは、W杯に出場した経験がないザンビアが優勝したことも。

年によってはネイションズカップの予選も兼ねているため、南アフリカ大会予選には開催国の南アフリカが参加していた。


〇アジア
我らが日本がいる地区。
ヨーロッパが全チーム一緒くたの一発勝負なのに対して、アジアでは複数回にわたる予選で篩い分けられる。
46チームと参加数自体は少ない割にランキングの振れ幅が21-202位と激しい事が三次予選までやる理由かもしれない。
一次予選はランキングの下位12チームがH&Aの直接対決、二次予選が5チーム8グループの総当たりで各組1位と2位の上位4チームが最終予選進出。
最終予選では6チーム2グループ総当りで、2位以内…4チームが自動進出。
3位同士でプレーオフを行い勝者が大陸間プレーオフに進む。

加盟国の数は50近くとヨーロッパに迫るが、もちろん平均レベルは比べ物にならないため、10チームしかいない南米と同じ4.5枠しか与えられていない。
無論、これでも日本などの成長に伴って昔よりは地位が向上している。
実際予選で1勝も出来ずにグループステージで全滅した2014年大会直後は4.5でも多すぎると言われることがあったり、実際に減らされそうになったこともあるが、2006年以降なんだかんだで維持されてきた。
中東の金の力に屈してるだの言われがちであるが、ベスト8以上の経験がほぼない*13とはいえ決勝トーナメントに平均1国は送り出しており*14
5枠握っているアフリカも22年にモロッコがベスト4に到達するまでベスト8(3回)止まり、決勝T進出率で見ても意外にも同程度*15にすぎないため、言うほど不当な配分でもなかったりはする。

実力では90年代から力をつけた日本韓国、そして移籍してきたオーストラリアの3強。
次いでイランやサウジアラビア、
その下はイラク、ウズベキスタン、カタール、バーレーン、北朝鮮など。

東西で最大8時間の時差があり、東アジアと中東が同グループに組まれるのもザラにあるため時差や移動との戦いともなることも多数。ジョホールバルの歓喜もイランの選手が時差や移動で弱っていたとされるなどこの手のエピソードは多い。
また異様な雰囲気のアウェイ、韓国・中東勢の審判買収などの八百長、遅延行為、ラフプレーなど実力以外の部分でアレな点も目立つ。
ラフプレーに関しては中国なんかが有名(当の中国人も、サッカー熱と真逆の自国レベルの低さにはうんざりしてるとか…)。
他にもフセイン体制だった時のイラク、北朝鮮は負けたら体罰というある意味狂っている国も…(北朝鮮は在日組=Jリーガーは除外)

一方で中東勢は、その実力に比べて経済的には優位な国々でもある。
彼らがその財力をもって国内リーグに力を入れる動きなども見られ、
それが自国チームに恩恵をもたらせるかは未知数だが、今後大きく勢力図が揺らぐ可能性を持った部分とは言えるだろう。

こちらもアジアカップの予選を途中まで兼ねているため、カタール大会予選には開催国のカタールも参加していた。




各大陸のことを書いたがたかがサッカー、されどサッカー。
各大陸でサポーター・選手が暴徒と化し大問題になることは多々ある。
サポーターがスタジアムに乱入する例もあれば火炎瓶を投げてしまうなど危ないことは日常茶飯事。
その結果何らかの制裁が加えられるが中にはカメルーンのユニフォームの作りが原因で制裁を加えるかどうか議論になったことがある。



機会があれば他の国の映像や情報を調べてみるのも良いだろう。

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最終更新:2024年02月03日 08:52

*1 EURO2004準優勝、EURO2016優勝

*2 EURO80準優勝、ロシアW杯3位

*3 フランスW杯3位、ロシアW杯準優勝、カタールW杯3位

*4 EURO2004優勝

*5 日韓W杯3位

*6 EURO1996準優勝

*7 スウェーデンW杯準優勝、アメリカW杯3位

*8 EURO1992優勝

*9 西ドイツW杯3位

*10 スイスW杯準優勝

*11 第四次中東戦争の余波で周辺国と対戦を拒否されるようになり、紆余曲折の末に移籍した。この他ファンや選手サイドの意向が通ったカザフスタンもUEFA移籍加盟国。

*12 FIFAに加盟していないためワールドカップには出場できないが、北中米カリブ海サッカー連盟会員であるため、ゴールドカップなど同連盟が主催する大会には出場が許されている。フランス代表のフローラン・マルダなどもここ出身

*13 66年北朝鮮のベスト8、02年韓国のベスト4だけ。前者は古すぎるし後者は疑惑の判定として不当に見られがち。

*14 現行形式の98年~22年での進出数は0→2→1→0→2→1→3。

*15 累計ではずっと多いが、同じ98~22年に絞ると1→1→1→1→2→0→2。