フェイスレス司令

登録日 :2011/06/01(水) 02:51:22
更新日 : 2017/08/22 Tue 19:16:02
所要時間 :約 8 分で読めます





運命とは、地獄の機械である


からくりサーカスの登場人物。

身体を機械化し、操り人形を使わずとも肉体で自動人形を破壊できるようになった者「しろがね-O」のリーダー。
初老の男性で常にサングラスをしている。

厳格そうに見えて、よく伸びる顔を引っ張って「うちゅーぢんだよ~~ぴきゃぺきょり~ん」等しょうもないギャグをかます変なところもあり、
そのお調子者な性格は緊迫した場面でも仲間が殺されようが変わらず、その為しろがね達からもしろがね-O含めて気味の悪い奴と忌み嫌われている。
しかし自動人形に敗北したジョージ・ラローシュを前線から外し使いっぱしりをさせる等シビアな一面も持てば、鳴海の前ではシリアスな顔を見せる等、一言で言えば掴みどころのない性格。

しろがね-Oのリーダーではあるが自身はしろがね-Oにはなっていないらしく、サングラスの下もしろがね-O特有の瞳のない銀色の目ではなく普通の目である。

操り人形や武器らしい武器を持たないが、ありとあらゆるものを工具でばらばらに 『分解』 する早技、掌から強い酸を噴射して全てを 『溶解』 する技を持ち、 「三解のフェイスレス」 の二つ名を持つ。
あと一つの技については 「自動人形を完全に沈黙させる秘密の技」 と濁している。
因みに作者はガイドブックでそれについて 「この本を隅から隅まで読めば、きっと『理解』できると思うんです」 と答えている。


サハラの戦いにおいて、しろがね-Oの部隊を引き連れて登場。
登場すぐに顔を伸ばしてふざけたり、副官のナイアがいきなり殺されても楽観的な態度を崩さない等、全開で空気を読まない。

しかし小型の手術室とも言える医療用カプセル「エッグ」を届ける等、ふざけた態度でも役には立つ。

そしてフランシーヌ人形へと続く4つの扉の一つに、部下のコーフとしろがね化した犬を連れて入る。
4つの部屋は自動人形の仕掛けた罠であり、3人が戦って勝った者だけフランシーヌ人形に進めると言うものだった。
構造をいち早く見抜いた鳴海は馬麗娜と壁を破壊して隣の部屋に移る。

そこではフェイスレスと犬だけが生き残っていた。
部下を殺したのではないかと疑う鳴海の疑念を晴らすべく、フェイスレスはリィナだけを逃がし、他のメンバーを救うことを宣言する。

次の部屋ではダールとティンババティが戦わされていたが、彼らを逃がした後、3体の自動人形と巨大な回転粉砕機に苦しめられる鳴海のもとに戻り、「5分だけ生きのび給え」と告げて立ち去る。
奮戦を続ける鳴海が、最後の1体に回転粉砕機に投げ込まれようとした瞬間、回転粉砕機が止まった為鳴海は反撃のチャンスを得て勝利する。
回転粉砕機が止まった理由を知ろうとする鳴海が見たのは回転粉砕機を動かす歯車に自分の身体を巻き込ませたフェイスレスの姿だった。
瀕死の彼は鳴海に自分がしろがねになった理由を語る。


孤児だったフェイスレスは親戚をたらい回しにされるうちにふざけ屋の顔を持つようになった。
しかし愛する幼なじみの前でだけは本当の顔ができ、彼女をかけがえのない存在と思うようになる。

しかしふざけ屋の態度が彼女の母親に嫌われ、仲を引き裂かれる。
そしてようやく再会した時には彼女は人間の真似をする自動人形と結婚させられていた。

彼女を連れて逃げようとするが、"夫"の自動人形に見つかり争いの中で、彼女は井戸に落ちて死んでしまうのだった。

そんな自分の境遇を彼はこう語る。



ナルミ君…僕の好きな言葉にこういうのがある…ジャン・コクトーだったかな…


『運命とは、地獄の機械である』

…面白いよ…本当に僕の運命は―地獄の誰かが設計した巨大な機械のようだよ…
ある日それに何かがはさまって…止まってしまったんだ。あのトゲトゲのようにね…


そして昔話を語り終えたフェイスレスは事切れた。



…なーんてね………
どうも…これをかけてないと…僕は…おしゃべりになって…いかん…な。




























うっそぴょ〜ん!!





黒賀村で白金、そして才賀貞義の記憶をたどったの前に、ピンピンした姿で現れる。






白金、ディーン・メーストル、才賀貞義、フェイスレス司令。

全員同じ人間。



君らにゾナハ病と災厄をばらまいた人間だよーん!



その正体は今作の黒幕『 白金(バイジン) 』。


才賀貞義の姿で暗躍していた際、正二との戦いに敗れ濃硫酸入りのタンクローリーの中に落ちた白金であったが、
なんと濃硫酸のプールの中でタンクローリーを分解して脱出していた。
さすがに無傷ではなく身体の殆どを機械化していたが。回転粉砕機に巻き込まれたのに蘇ったのもその為。
機械化したおかげか戦闘能力も上がっており、ギイを一方的にボコってみせた。

そしてしろがね-Oを完全にサイボーグ化した半機械人間O、自動人形の生き残りを掌握し、勝に今度こそ転送する為に宣戦布告する。
そこまで勝に転送しようとする理由は、200年間ふられ通しだった自分の境遇を 「自分が唯一分解できない地獄の機械に操られた運命」 に例え、そこから脱するには勝に転送してエレオノールに愛されるしかないと思い込んでいる為。

そんなことがうまくいくかと言われても、


だって僕は 『自分を信じている』 もん。

自分を信じて『夢』を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う!

と超絶ポジティブ。台詞だけならすごくいい人です。
つまり自分の為になることは全て正しいと思い込んでおり、勝はそんな彼を 「全てを燃やし尽くして平然とゆらぎもしないどす黒く燃える太陽」 に例えた。

そして2年間、自分が差し向ける刺客から勝がエレオノールを守り続けるゲームを宣告して立ち去る。


その間に勝は修行して強くなり、エレオノールとの絆も深まりつつあった。

遂にフェイスレスは行動に出る。
全世界にゾナハ病をばらまき、最後の4人を含む選り抜きの精鋭を連れてエレオノールを連れ去る。
そして捕らえたエレオノールが自分を憎悪するようにし、追跡してきた勝を捕らえて転送を完了させ、勝をフェイスレスの人格に変えてしまう。
エレオノールの前で勝だった自分がフェイスレスの自分を倒すことで、遂にエレオノールが勝だった自分を愛するように仕向ける。
愛し合う2人はロケットで滅び行く地球を離れ、宇宙ステーションで永遠に仲睦まじく過ごすのだった。


……妄想乙。

勝は柔らかい石により万能の霊薬同然のエレオノールの血を飲んでいた為、転送してきたフェイスレスの人格は病原菌扱いされて排除されてしまったので、戦闘中に勝に戻ってしまい失敗。
勝はエレオノールを連れて脱出し、ロケットに一人取り残され宇宙へと飛ばされた。

宇宙ステーションにたどり着いた彼は老人の肉体を捨てて、クローン技術で造り上げた本来の姿である若い肉体に替える。
そして3度目の失恋を経験した彼は、もはや全てがどうでも良くなり、エレオノールもろとも地球全人類を滅ぼすことを宣告する。

なお、サハラで鳴海に親しくしたのは兄の銀の記憶を持ち、兄と似た雰囲気を持つ彼にエレオノールとの結婚の見届け人になってほしかった為。



そして奮戦の末、宇宙ステーションにたどり着いた勝を出迎える。
勝との激闘の最中、勝がエレオノールに恋していたはずなのに何故鳴海に譲ったのか問いただす。
しかし 「しろがねを最初に好きになったのは、ナルミ兄ちゃんだもん!!」 の言葉に過去を思い出して動揺し敗北する。

そこに追ってきたディアマンティーナの自分への愛を通して自身の愛の醜さを自覚。ディアマンティーナを拒絶し分解するも、逆上した彼女に刺され、爆弾クマちゃんの爆発によって宇宙ステーションが黒賀村へ向けて墜落し始める。

なんとか方向を変えようと奮闘する勝を見ているうちに、叱咤するように勝を指導して2人で協力してブースターを噴射させる作業に取りかかる。
その中、いつも駄目な自分を教え導いてきた兄の気持ち、そして自分が我慢して他人の笑顔が守られるならそれで十分の自己犠牲の心を理解する。

作業を終えた後、自分に唯一残された観客である勝の為に、彼の望みであるゾナハ病をまきちらす虫型の自動人形を止めるカギが、エレオノールの歌う子守歌であることを教える。
そして一緒に脱出しようという誘いを断り、勝を一人で脱出させた。

崩壊する宇宙ステーションに残った彼は、懐かしい子守歌を聞きながら、孤独な自分に付き合って残った自動人形のグリュポンを抱きしめ、恐らく200年もの間、口にしてこなかったであろう反省の言葉を涙を流しながら述べ、人生の幕を閉じた。



本当にバカだよなァ…あのガキ。

僕の大きな計画の、ほんの小さな歯車にすぎなかったヤツが…結局全部ぶち壊してしまった…
…バカのくせにさ

でもな…弟を助けるのが、兄だもんなァ。

銀…兄さん…



僕が、まちがっていたよ。


最終巻末のカーテンコールの最後には、勝や鳴海やエレオノールと共に満面の笑顔で手を振る彼の姿がある。


全くの余談であるが、ディーン・貞義・フェイスレスと、名を変え顔を変え暗躍した彼だが勝に宣戦布告してからはずっと「フェイスレス」の顔をしている。

実は思い入れがある顔なのだろうか?


なお、「三解」の最後の一つの技は 『理解』

自分が造物主であることを自動人形に 『理解』 させ、自分に従わせることだった。


実はガイドブックの時点で、 作者自らによって思いっきりネタバレしていた。 このさり気ないやり方は見事としか言わざるを得ないだろう。





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