フランシーヌ人形

登録日 :2011/01/18(火) 02:02:11
更新日 : 2017/08/08 Tue 19:41:11
所要時間 :約 6 分で読めます




からくりサーカスの登場人物。
錬金術を極めた男、白金が病に倒れ死んだ最愛の女性フランシーヌの代わりとして作り上げた自動人形。

デザインはまんまフランシーヌで、身体の殆どが後代の技術者をうならせるほどの技術で作られているが、髪のみ白金が白銀から受け取ったフランシーヌの遺髪を使っている。
他の自動人形と違い、体内に生命の水が流れている為、非常に人間らしく動くことができる。呼吸機能まで作られている。

しかし狂っている白金によって作られた上に間もなく放棄され為、人間の情や道理を知らずに長い時を過ごすことになった。
極めて人間に近いが、どんな手段をもっても微笑むことができなかった為、笑顔が印象的だったフランシーヌの代わりになれないと放棄された。
しかしその件がきっかけで、笑うことができれば造物主が戻ってくるという目的を得る。
目的を完遂する為に、造物主が残した書物等から錬金術を学び、生命の水を模した擬似体液を作り出して最古の四人を再起動させ、真夜中のサーカスを結成して笑う方法を求め旅立った。



【演目】
真夜中のサーカス結成までについては前述の通りである。

しかし旅を続けるうちに見つからない造物主と果たせぬ目的に疲れを感じ、自らの消滅を願うようになる。
その為自分の代わりとなるフランシーヌ人形を作り上げて「真夜中のサーカスの自動人形達を導く」という任務を託し、自らを分解してくれる技術を持つ東洋の人形職人を探して旅立った。
(この偽フランシーヌ人形はその後も任務を続け、サハラでの決戦でフランシーヌ人形の抱えていたジレンマに気づきながら機能停止し鳴海に破壊された。)


明治42年、彼女は東京にたどり着き、そこでしろがね用の操り人形を作る才賀機巧社の社長である才賀正二と出会う。
彼に分解を依頼するが、正二は自分が直接に真夜中のサーカスに苦しめられた者ではない為、その資格はないと、クローグ村の惨劇の当事者であるアンジェリーナに引き渡すまでは破壊しないことにしたので、彼によって人間以下の身体能力にデチューンされる程度にとどめられる。

その後、正二と共に身重のアンジェリーナが静養している黒賀村に到着するが、到着したその時にアンジェリーナが産気づく。
どさくさで出産騒ぎに巻き込まれるが、そこで初めて生命の誕生と、自分を犠牲にしてでも赤ん坊を産もうとする母の自己犠牲の態度を目の当たりにする。
そして誕生の際には産声をあげない赤ん坊(生まれた赤ん坊は泣かないと呼吸を始めることができない)の尻を叩き、産声を上げさせた。

それから生まれた赤ん坊、エレオノールの面倒を見るうちに彼女の成長を見届けたいと願うようになる。
(元ゾナハ病患者であるアンジェリーナもギイも自動人形への憎しみがないわけではないが、彼女のエレオノールへの真摯な態度から破壊しないことにしている)

その後、策略で村を襲った自動人形達を留めようと命令するが失敗(後に分かるが、この時の自動人形は真夜中のサーカスの者ではなかった為)、アンジェリーナからエレオノールを託されて逃走する。
人間以下の身体能力の為、片足を破壊される等苦戦しながらも逃走し続ける。その途中で黒賀村で過ごした日々で人間と触れ合った事を思い出し、「もう自分が笑う事は無いんだ」と思うようになる。

しかし逃走中、誤って井戸に落ちてしまう。
その時エレオノールの体内にあった柔らかい石(賢者の石)が反応し、井戸の水が生命の水に変換されてしまう。
全てを溶かす生命の水にエレオノールが溶けないよう彼女を抱え上げ、怯えないようにエレオノールにべろべろばあする。
笑い返したエレオノールを見て、自分が生まれて初めて微笑みを浮かべていることに気づくことなく水の中に沈み、井戸の底を割って生命の水を流し出した後に完全に溶け去った。

このシーンはからくりサーカスでも五指に入る名最期&泣き回である。

彼女が溶けた生命の水をエレオノールが飲んだことにより、エレオノールはフランシーヌ人形の記憶と、オリジナルのフランシーヌの記憶を受け継ぐこととなった。


カーテンコールでは赤ん坊エレオノールを抱きながら正二やアンジェリーナやギイと共に笑っている。

ちなみに彼女が微笑むシーンは連載時にはカラーで掲載されたが、コミックス収録の際には白黒で収録され、ファンを嘆かせた。



【主な台詞】

「どうか私と来て…私が笑える方法を共に見つけておくれ。」

「どこに行こうとも、造物主は見つかりません。自動人形が人間に苦痛を与えているのを見ても、私はただ笑えぬまま……」
「私は、この世から消滅しようと思います。」

「そうですか…人形は…『罪』なのですね…」

「造物主様!!私が笑えないのがお気に召さないのであれば私は笑うことを学びますから。だから私を一人でこの菜の花畑に置き去りにしないでください。私を棄てないでください。雨が叩き風が唸る夜に、私を一人で朽ち果てさせないでください。私には造物主の御命令が必要なのです。」

「私は…貴方達人間でいうところの、『疲れて』しまった…」
「自動人形達は、常に私を笑わせようとしてくれる。でも私は、きっと百年たっても-」
「笑えることはない。」

「では…人間は…人間を自分の体内で創り出すのですか!」

「エレオノールが……今朝…私の指を…にぎったのです。」
「あんなに小さい指…あんなに…弱い…力で……あんな感触は…初めてでした…」

「でも、私はいつも感じていました。『私には大切な中心の歯車が欠けている』…と。」
「それが、どういう物かは自分でも、よくわかりませんが……それさえあれば私は何かになれる気がして……」

「でも、あの子の前では、そのようなことはどうでもよく思えてきます。」
「エレオノールは、私が機械だろうと人間だろうと関係なく泣き、わめき、そして私の指をにぎってくれました。」
「エレオノールの前でなら私は、ようやく別の何かになれそうな気がするのです。」

「そうだ…私がしてきたことも造物主様がしたこともまちがいだ」
「多くの人間を殺し、苦しめてきた……」
「人間は皆たくさんの過程を経て、成長してきたものなのに。」
「私はなんという恐ろしい存在だったのか…」
「でも、あの人間達は、私にエレオノールを託してくれた!こんな人形を……信じてくれた!」
「だから…私は、それに応えたい!死なせない。エレオノールは。」
「この子だけは私が、守ってみせる!」
「造物主様に会うためにではなく、自分で一度くらいは『笑って』みたかったけれど……今は、自分のことよりも、この子が大事!」

「神様!私は人間になどなれなくていい!」
「笑って…くれたのエレオノール…?こんな恐ろしい人形に…?」
「ほ…ほら、エレオノール…べろべろ…」
「ばあ……星が見えるわ…なんて、いい気持ち。」




そうさ…おまえはエレオノールを見捨てて逃げたりはしないさ。

全てを溶かす「生命の水」の中で、おまえは最期までエレオノールを守り通したんだよな。

「私には大切な『歯車』が欠けているような気がします。それがどういう物かはわかりませんが。それさえあれば、私は何かになれる気がして……」

井戸の底が割れている…
ここから「生命の水」が流れ出て、エレオノールは溶けずに済んだんだ。
何度も打った跡がある……
非力な腕で…最期の最期まで…エレオノールのために……

……おまえの欠けた「歯車」は、埋まったのか…?

おまえは、何かに、なれたのかい……

なあ、フランシーヌ………


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