NHKにようこそ!

登録日:2009/05/26(Tue) 18:59:57
更新日:2023/07/09 Sun 20:27:17
所要時間:約 2 分で読めます



◆概要

角川書店より出版された滝本竜彦原作のライトノベル小説。
挿絵は安倍吉俊が担当。

タイトルにNHKとあるが、日本放送協会とは何の関係もない
引きこもりが考えたNHK(日本ひきこもり協会)という妄想の組織の頭文字である。

引きこもりが主人公の話であり、それに伴う様々な闇、病みの他、自殺オフ会、ゲーム廃人、薬物中毒、ネズミ講、宗教二世など当時から現代まで続く社会の闇の側面が描かれている。
実際に引きこもり経験がある著者の実体験が節々に活かされており、半自伝かつ代表作と呼べる作品である。
後にアニメ化、マンガ化もされた。

あらすじ

巨大組織の陰謀は、たしかに存在する!

大学中退以来、外出するのはコンビニに行く時だけ。
友人の数はゼロ。
睡眠時間 一日十六時間。

そんな生活が四年目に突入する佐藤達広 22歳。
彼は気づいてしまった。
大学を中退したのも、無職なのも。
六畳一間のアパートから出る事ができないのも。

すべて巨大な悪の組織、NHK(日本ひきこもり協会)の仕業なのだと!

そんな佐藤くんの前に、突如現れた美少女、中原 岬。
「あなたは、私のプロジェクトに選ばれました」
そう言いながら岬ちゃんが差し出したのは、今の生活から脱出し、
社会復帰するためにサポートしてくれるという、信じられない契約書だった!

果たして、佐藤くんは先の見えない現状を打破できるのか?
そして、岬ちゃんの正体とその目的は?
これもまた、N・H・Kの陰謀なのか!?
大学を中退した引きこもりの青年と、それを救うことが目的という少女を軸に、
引きこもりの葛藤する姿を誇張も交えつつ描いた作品。


登場人物

小説・アニメ・マンガ全ての媒体に登場するキャラを抜粋。

  • 佐藤達広
CV:小泉豊
主人公。北海道出身の22歳。大学進学を機に上京するが、
ある日周囲の人間が自分を馬鹿にしているという考えが頭から離れなくなりアパートに引きこもり大学を中退。
その後も働くこと無く親からの仕送りを食いつぶすコミュ障ヒキニートになる。
(本人曰く)合法なクスリで気持ちよくなっている時に自分が引きこもりなのはNHK(日本引きこもり協会)のせいだと考え付き、組織との戦い(という体の引きこもり)を続けている。
宗教勧誘で出会った岬とのカウンセリング、隣室に越してきた高校時代の後輩の山﨑とのゲーム制作により、引きこもりつつ他者とのつながりを再会していくことになる。
アニメ版とマンガ版では結構キャラデザインが違っている。

  • 中原岬 
CV:牧野由依/実写版:森川葵*1
佐藤のひきこもりからの脱出をさせるべくカウンセリングを行う謎の美少女。18歳。
叔母の宗教勧誘に付き添っていた際に佐藤と出会う。その後何度も佐藤と再会してそのたびに奇行を繰り返す彼に対して「自分のプロジェクトにピッタリ」と評して、彼の引きこもり脱却のためのカウンセリングを行う契約書を交わす。
宗教勧誘の手伝いをしているが、叔母の信仰している宗教はかなり胡散臭いものだが本人に信仰心は無く「お世話になっているから」という理由で手伝っている。
初登場時の日傘に長袖のワンピース姿は宗教活動の際の変装であり、それ以外では普通の格好をしている…季節問わず常に長袖なのを除けば。
ラノベ版/文庫版表紙の両方を飾っており、本作の看板的存在である。

  • 山崎薫
CV:阪口大助
佐藤の高校時代の後輩。
寺門通の親衛隊長とは中の人及び眼鏡、髪型などが似ているが、特に関係もない。
中学時代、いじめられていたところを先輩だった佐藤に助けられたのがきっかけで彼を慕っている。
北海道から東京のアニメの専門学校に通うため、偶然佐藤とアパートの隣室に住むことになる。(当人たちは引きこもっており引っ越してすぐには気づかなかった)
おジャ魔女どれみのOPを爆音で流したり、部屋一面にアニメフィギュアやエロゲーを飾っているほどの重度のアニメ&エロゲーオタク。
大人しそうなメガネ青年だが、持論を強く押し出し、他人に対する批判を厭わない性格であり、いじめられていたのもこの性格が災いしたため。
北海道の実家は酪農、ワインを手掛ける農家だが、進路に際して確執がある。

  • 柏瞳 *2
CV:小林沙苗
佐藤の高校時代の文学部の先輩。高校時代はこれみよがしに『完全自殺マニュアル』を読んだり、彼氏に振られた際リスカをして病院に運ばれるなど頭がおかしいふりをする女子高生。現代でも薬物を使用している病んだ危なっかしい人。
高校時代に佐藤に『陰謀』について語っており、現代の佐藤の陰謀論の形成にも影響している。

マンガ

原作を作者の滝本竜彦、作画を大岩ケンヂが担当。月刊少年エースにて2004年2月号から2007年6月号まで連載された。全8巻。
序盤はそれなりに原作に準拠しているが、次第に原作とは異なる独自のストーリーが展開された。

アニメ

アニメ会社GONZOが手掛けた。2006年7月から12月まで放送。全24話(+ドラマCDの20.5話)。前半はマンガ版、後半は小説版をベースに作られている。
NHKの名前をそのまま出せなかったのか「N・H・Kにようこそ!」と間に『・』が付けられた。
原作、マンガ版の薬物描写がほとんどカットされている他、作中にて自殺を試みる方法が変更されるなど放送コードの影響によりアングラ要素は控えめになっている。
第4話、第19話の作画崩壊独特な作画は他の回と比べても浮いたものとなっており有名。
若かりし頃の沢城みゆき羽多野渉がモブ役で登場している。
アニメのOP曲はROUND TABLE feat. Ninoの『パズル』。ED曲は1クール目は大槻ケンヂと橘高文彦の『踊る赤ちゃん人間』。2クール目は岬を演じる牧野由依が歌う『もどかしい世界の上で』。
ちなみに、KADOKAWA繋がりでか『涼宮ハルヒの憂鬱』の後番組として放送された。

余談

宗教二世であり幼少期の体験を元にしたエッセイ漫画を執筆した漫画家のいしいさやはこの小説を読んだことが切っ掛けで所属していた宗教を抜け出すことが出来たとのこと。*3


追記・修正がされていないなら、それはきっと日本Wiki籠り協会の陰謀です。

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最終更新:2023年07月09日 20:27

*1 役者が実写化してほしい作品を持ち寄り、本人がその作品のキャラを演じるテレビ東京のドラマ『このマンガがすごい!』における配役であり、本格的なメディア展開ではない

*2 小説版では名前はででこず、アニメ、マンガ版にて判明

*3 実際に小説版ではそれに関する描写が出てきている。