ひまじん(漫画)

登録日:2012/04/25(水) 07:38:19
更新日:2022/03/10 Thu 23:29:38
所要時間:約 5 分で読めます




ひまじんとは重野なおきが描くマンガ作品。


《概要》

いわゆる4コママンガであり、まんがタイムジャンボに掲載していた後まんがタイムに移籍した重野なおきの代表作品の一つ。

刑事モノ、野球モノ、学園モノ、大家族モノ、麻雀モノ…といった重野氏のコンセプトがはっきりした4コマ作品の中でも、日常生活モノとしてバラエティーに事欠かない自由度からか妙に息が長い作品であり、「たびびと」や「Good Morning ティーチャー」の連載終了後も連載が掲載紙を変えてまで続いていた。

重野氏の作品の中ではシリアスな展開が殆どない。

ちなみにこのマンガは「たびびと」とコンセプトが対になる作品との事で、確かにあらゆる意味で正反対な主人公である。しかしやたら濃い登場人物と勢いのある重野節、何より主人公つぐみの行動力がかなりある事から、実は「暇人」要素は薄いのは内緒。

まんがタイム2012年10月号で最終回を迎えた。単行本は全7巻。


《あらすじ》

主人公森川つぐみは引きこもり。

何があっても決して家から出ようとせず、買い物も通販ですませるどころか職業も内職ですませ運動も室内で完了させる程。
自分の部屋も汚く受信料も滞納しまくりで、友人もなんだかんだダメ女な和久井理沙一人ぐらい。

そんなつぐみだが、性格は根暗でもコミュ障でもなくポジティブで表情豊か。
彼女を取り巻く人物もバイタリティーに溢れる個性派揃いでつぐみの生活を彩る。
将来の不安はとりあえず置いといて、なんだかんだで今はこの生活に満足している、これはそんな話。


《登場人物》

  • 森川つぐみ
引きこもりのダメ人間。
会社を辞めた理由が「冬眠出来ないから」という程に常識より自分の主張を取る性格。
雷が苦手で、押し入れに閉じこもって1話まるまる姿を見せない事もあった。

冷蔵庫の中の牛乳と飲むヨーグルトがヨーグルト化する程放置する位にはダメ女子だが、定期的に部屋の掃除をする程度には思い立って行動出来る。
性格はズボラもいい所で能天気さが目立つが、他の登場人物が何かしらブッ飛んだ側面を押し出してくるので本作では相対的にまともな方。

引きこもり生活には非常に満足しており、縛るものが無い故に思い付いた事には非常にアグレッシブ。
その行動力とモチベーション、表裏の無い性格は時折友人の理沙を羨ましがらせている事も。

収入源である内職には非常に高いプライドを持っており、腕も確か。薔薇みたいな普通の造花からラフレシアまで千差万別に作れる。
理沙が試しに手を付けようとした時は「片手間間隔でやっていいもんじゃない」と厳しい態度を見せた。内職って片手間でやるもんじゃないの?

毎度の如く行われるMHK男との受信料取り立て勝負には全勝している。
最初から無視せずに対策にやたらと凝ったトラップを玄関に仕掛けたりする辺り、割と容赦ない。

母親も若い頃は同じような生活を送っていたらしい。

  • 和久井理沙
喪女であり、ダメ人間2号。
ダメとは言ってもまっとうな仕事に就いている時点でつぐみとは雲泥の差ではあるが。

本作品では一応突っ込み役……なのだが、土産のセンスが絶望的になかったり、ノリが良過ぎて時々無自覚に女を捨ててたりと、彼女は彼女でボケの要素は充分。
男口調が見についており、対人関係で気を許した相手にはガサツでハメを外す面を見せている点から女性的な色気には乏しく、
実際に髪を解いた容姿はつぐみが見惚れる程におっぱいの付いたイケメンなのは確か。その割に乙女チックな面が大きくセンチな部分も目立つ。

面食いで恋愛事に関してはしょうもない事でウジウジするため、そういった男女関係とは無縁のつぐみには呆れられたり馬鹿にされる事も日常茶飯事である。
あとつぐみが悲惨な目に合ってもつまらないからか、単に動かしやすいからか日常でMHK男並みにひどい目に合いやすい。

やや天然のケがあり、つぐみへの電話でおみやげを近くの団子屋でと希望された際、団子屋のシャッターが下りていたため見つけられなかったのはまだしも、
あろうことかすぐ傍のお地蔵様へのお供え物として置いてあった団子を持ってきて「見損なったぞ!」と号泣してつぐみを戸惑わせた事も…

特技は花粉症を逆手に取った「風の出所探し」という何ともリアクションに困るもの。
アイススケートも得意で、目をつぶった状態でスピンを難なくこなす程。実践したのはつぐみ宅ベランダで霜の張った花壇だったが。

理沙にとってつぐみの家を訪れる事は、実家に帰ってくる様な安堵を齎す清涼剤にもなっている。
つぐみの将来に対しても「とことんこいつに付き合ってやるか」と心の中で思う程に面倒見の良い姉さん肌。
上記のおっぱいの付いた残念なイケメン的な個性によって、キャラ立ちの面ではぶっちゃけつぐみよりも大分大きい。

  • MHK男
本名不明の集金取り立て人。つぐみから受信料をもらう事に本当に命をかけている熱血漢。
毎回毎回変な取り立て方法を考案してはつぐみにあの手この手であしらわれて門前払いされる。

その情熱は生半可な決意ではなく、北海道に転勤しても週4日は取り立てにくると宣言(それまでは毎日)したり、とある巻では表紙をめくると
天変地異が起きて建物が倒壊している中で必死に受信料取り立てに向かうMHK男のカラーイラストがお出迎えしてくれる。
つぐみに対しては同様にあの手この手で取り立てを図るも、やり方が「ニセのラブレターで呼び出す(落とし穴付き)」だの「魚を焼く匂いでおびき寄せる」だの
「ヘリコプターや竹馬でベランダ側から回り込む」だの、果ては「婚約者が相手なら払わざるを得まいと結婚を迫る」だの、完全に努力の方向音痴である。

受信料を払わない相手への行動・言動は威圧的だが、本質は職務に忠実で真面目。宮本への対応も営業スマイルバッチリ。
つぐみが飼えないと語っていた捨て猫を号泣して代わりに飼うと申し出る情に熱い人物でもある。
ただ忠実が行き過ぎて、婚約した相手が受信料を支払っていないと聞いて自分から振ったりするなど、融通が利かなさ過ぎる部分がある。
そういう意味では作中一番の仕事狂いの狂人かつ動かしやすい滑稽なあしらわれ役である事は間違いない。

その通称の由来は言わずもがな。
連載中期にNHKの強引とも言える契約による裁判が大きく取りざたされていた事への影響を避ける意図があったかは定かではないが、
4巻以降は登場人物紹介に記載されなくなった可哀想な人。まぁ「受信料を払うのは義務じゃない…定めだぁー!!」とか言っちゃう人だから仕方ない。

ちなみにまともな性格の見た目チャラ男な後輩もいる。
最初はバカにされていたが、諦めを知らないMHK男のバイタリティーに感服したのか初回以降は常識的な後輩ポジションとなった。

  • 宮本
借金魔王、いつも借金取りから逃げている。
友人や恋人を売ろうとしたりお金を手に入れても妙な使い方で浪費したり、挙げ句借金自体が自業自得と言う真性のクズ。

  • 緑丸
出落ちの鏡の鉢とセットになったサボテン。
人間ではないが、出る度に破壊される(高値で買い取られたり寒いギャグに萎れたりもする)哀れな役目を果たさなければならない運命を背負った。
この漫画一番の功労者…もとい功労植物。通算新登場回数30回超。
最終的に「次の緑丸が何号か忘れた」というあんまりな理由でフェードアウト(?)。

  • ジョニー
お天気お兄さん。
何故か妙な男気があり一昔前の不良みたいな格好をした変な天気予報をする。
当初はつぐみと理沙はドン引きしてたが最近ははまっている様だ。

  • 炎田鉄平
暑苦しい政治家。
しかしその実体はあまりにもしょうもない政権公約を掲げる庶民的なうるさいおっさん。
ちなみにつぐみとは気が合うのか、つぐみの意見を聞いてしょうもない政権公約が更にしょうもない政権公約になる事も。


追記・修正は引きこもりながら充分充実したライフを送っている諸兄にお願いします。

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最終更新:2022年03月10日 23:29