ニナ・パープルトン

登録日:2011/03/21 Mon 02:35:52
更新日:2024/04/16 Tue 19:26:38NEW!
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1号機をよろしくお願いします…そして2号機を必ず取り戻して下さい。


機動戦士ガンダム0083』の登場人物。
CV:佐久間レイ

アナハイム社の社員で、ガンダム開発計画担当のエンジニアの一人。21歳。
年齢の割にはキャラデザが老けて見えるが、キャラクターの見た目は「年齢+10」がガンダムシリーズのお約束なので気にしない。
お相手のコウは年齢にピッタリの見た目と性格だが気にしない。
自分が関わったガンダムに尋常ではない思い入れがあり、最初はパイロットなどは二の次で『私のガンダムが!!』と叫ぶような非常識な発言も見せた。
しかし別に非道だったりマッドな人物というわけではなく、あくまでも思い入れが凄まじかっただけである。
実際、7話位まではコウばかりでなくニナの成長物語でもあるので、視聴者が気恥ずかしくなるような、
ちょっとずつ関係が近づいていく二人を見て2828するのも『0083』の楽しみ方の一つである(意外に手の速いキースとかもね)。
……7話位までは。

後々考えると、こうした丁寧だったりエキセントリックな描写が、
最終的に視聴者からの印象を余計に悪くする形となってしまった……とも言えるのだが。

ガンダム試作1号機および2号機の重力下実働試験の現場指揮者としてアルビオンに搭乗し、
トリントン基地に降り立ちコウ・ウラキと出会った。
2号機が強奪された後も、追撃任務に加わった1号機のサポートの為に艦に残る。

コウとは当初、自身の気の強さも祟ってか険悪であり、周囲とのトラブルも度々あったが、
次第に戦士として成長していくコウを見守るうちに徐々に彼と親密になっていく。
モーラからの「彼はガンダムから降ろされたとしても、ジムに乗ってでもガトーと戦う事を選ぶ」という叱咤と、コウとの対話を経て親密になっていった。
実は物語開始以前にアナベル・ガトーと交際していたという過去があったという設定が途中で付けられ、
コウとの仲が深まるにつれて、ガトーとコウの激突が彼女を苦しめることとなっていった。


アルビオン隊とデラーズ・フリートの最終決戦の最中、突如として1号機のコア・ファイターで艦を飛び出す。
向かった先は、ガトーが地球に落とそうとしているコロニーであった。
そしてコロニー内で対峙するコウとガトーを見つけ、持っていた銃を取り出す。
銃を向けた先は、敵であり明らかに悪人でもあるガトーではなく、なんとコウであった
この行動はコウと大半の視聴者に衝撃を与えた。
小説版では『無抵抗のガトーを撃ち殺した罪悪感と後味の悪さをコウに与えたくなかった』という、凄く頑張ったフォローが入っており、
実際コウもニナの真意に気づいてそれに気づけなかったことに後悔する、というエンディングを迎えている。

一応補足しておくと、彼女はガトーのコロニー落としに加担しようとしたわけではないし、そもそもガトーのやろうとしていることに対しては否定的である
当時は既にコロニーの最終軌道調整も終わってしまっていたため、彼女が何をしようとあまり関係はなかったと思われる。
ただ、連邦・アルビオンの両方の命令に背きつつ*1、コロニー落としに関する攻防を無視しているということも事実である。
ガトーが生き残りノイエジールを操り続けた結果、連邦艦隊に更なる大被害が出ることとなった。
彼を助ければこうなる可能性は予測できたであろうが、彼女はそこに考えが至らなかった、あるいは無視したということになる。
ただこれに関してもニナの一連の行動はあくまでガトーの凶行を止めるためであり、特攻を支持・支援していたわけではない。*2
このためにコア・ファイターを無断使用した件もどう思っているかは……。

元恋人という関係を念頭に置けば、こういった行動を取る理由も理解できなくはないし、
「ガトーに未練があった」という言われ方をされがちだが、実際劇中での彼女の心情を読み取ると、フォロー寄りにはなるが「コウ・ガトーのどちらにも死んでほしくなかった」というのが本意であろう。
よって誤解しないように気を付けるべきだが、その行動に好印象を持つ視聴者はまずいないだろう。
リアルっぽい?確かにリアルでも聞かない話ではないけどフィクション目線で嫌過ぎるよ。リアルだと言うならそう言うやつはどんなに不幸な人生歩んでるんだ、と。

そしてその後はコウを置いてガトーの後をついていくも、結局ガトーに気絶させられ、
ジオン軍の兵士によって戦闘区域から脱出させられ、号泣する。

終戦後にはどういう目的があったのか、罪状が消滅しオークリー基地に赴任したコウの前に現れ、
最初は後ろめたそうな表情で俯いたが、最終的には彼に笑顔を見せた

こういった行動により、多くのファンからの反感を買うことになったニナには、
「自己中心的過ぎる」「終盤で主人公裏切って最後ヒロイン気取って笑顔を見せるなんて何様だ」等の批判や非難が殺到し、
『最低女』『尻軽』『悪女』『偽善者』などと罵られ、名字のパープル(紫)トン(豚)にちなんだ『紫豚』という蔑称を付けられ、
「ガンダム三大悪女」として名前が挙げられる存在となってしまった。
現在ではガンダムがらみの話題で「豚」という言葉が出ると、ほぼ彼女の事を指すのが暗黙の了解となっている。

なお、先行公開された劇場版では最後のシーンは入っておらず、後に発売されたOVA版最終巻で付け加えられた。
劇場版で見た人間にとっては悪印象のダメ押しであった。
よほど不評であることが当時から伝わっていたのか、劇場版では最後のシーンは丸々カットされていると言われがちだが時系列が逆。

ちなみに、ガトーの元恋人という設定は前述の通り、監督が交代した後に後付けで設定されたものであり、
そのため、監督が交代する前の1話では、2号機に乗り込んで華麗に強奪しようとするガトーに『誰よ!?』と誰何しているのを始め、
監督が交代して以降の話に入るまでは、ガトーのことを気にしていない……というか、そもそもガトーの事自体知らないような描写がされている。
※小説版ではヘルメットで顔が見えなかったというフォローが入っているが、これも結構厳しい。
仮にその場は分からなかったとしても、その後すぐにガトーだとバレているし、部隊内の話題になってることから、全く気にしていないのはやはり違和感が残る。

ついでに言うなら、後半の今西監督は重度のジオン信奉者であり、ジオンを美化し連邦を卑下する傾向があるので、
監督交代による急な設定と路線変更の煽りを最も食らってしまったと言わざるを得ない部分が大きい。
※因みに、というか知らない人にはダメ押しというか……だが問題とされる後半スタート部分&件の最終決戦にて脚本&演出を担当した大熊朝秀とは今西隆志監督自身の変名である

さらに言えば、ニナの印象が悪すぎてあまり話題に上がらないが、ガトーもガトーでこの設定により、
「朴念仁で思想こそ歪んでいるが実直な青年」という前半までのイメージに傷が付いているという見方もある。
完全なプライベートでニナに近付いたのだとすれば、大事な時に何ヤッてんだという話になるし、
アナハイム関係者だと理解したうえで近付いたのであれば、例え命令によるものだとしても外道過ぎるし、
そもそも命令だというのなら、ガトーよりもよほど適任者が居そうである。

実際、スタッフの中には矛盾を指摘する人間も居たし、何よりも中の人が「序盤にガトー見てるのに?」と疑問符だらけになったらしい。
重ね重ね、最後のアレだけでウザカワおばさんという評価を地に落としたと言ってもいいのである。
ただ本編を見ればわかるように別にあの場面においても「ガトーのことが忘れられなくてヨリを戻そうとした」ではなく、
二人の戦いを辞めさせようとした、という解釈が一応制作側の意図だと思われる。
行動の筋は全く通ってはいないが、「ガトーと復縁するため、コウとの関係を精算する意図で銃を向けたというわけではない」ことは理解すべきだろう。

当時からしてひたすら叩かれ続けてきた彼女であるが、時代が下るにつれて多少は彼女についても一定の再評価はされるようになっている。
最後のニナの笑顔に関しても、せめてもの救いとして間に「コウの許し」を示唆する描写ぐらい入れておくべくだったのだが、
それを入れなかったがために殊更身勝手な悪女としての印象が決定づけられてしまった。
ここもどう考えても尺配分の悪さと描写不足、ニナの「心情的にはわかるが……」という行動を描くタイミングの悪さ等が原因としか言いようがない。
よって最近ではとにかく本作後半の描写不足と制作中のゴタゴタの被害者である、という同情的な見方もされ始めてはいる。
そもそも当然ながら、制作側の意図としてもニナを尻軽の悪女として描きたかったわけではなかったというのは本編での扱いを見ても明らかである。
あまりにも現実を考えなさすぎたというのはあれど、ニナの目的はあくまで元彼の馬鹿な真似を辞めさせたかった=死に急ぐのを看過出来なかったということに尽きる。

また、ガンダム開発計画に関わっているだけあって、
エンジニアとしては確かな知識と腕があったと思われ、感情面を抜きに考えれば彼女の存在が不要だったというわけではない。(一応はヒロインだし)

リメイク漫画「REBELLION」では無理を押してガトーと戦う事に拘り続けるコウを心配するあまり、
「ガンダムから降ろせば彼を守ることが出来るのではないか」と考えたりと、当初は穏当なフォローが入っていた。
だが……中盤から奴は弾けた。
真っ当なヒロインとして描くのは無理だと考えたのか、エキセントリックな行動を繰り返す暴走ヒロインとして描くことで矛盾を無くす方向へ改変されたのである。
+ ...
  • ガトーの存在を知り、居ても立っても居られずデラーズ・フリートへ潜入。
  • 自殺を仄めかしてガトーが自分をどう思っていたのか問い詰める。興味がないフリをされたため本気で自殺しようとして止められる(なおガトーは内心では気に病んでいた)。
  • ノイエ・ジールの完成に協力。その後ガトーに「私を連れて行かないならコウと一緒にあなたを殺す」とヤンデレまがいの物騒な通信。
  • ガトーが拒否したので有言実行でデンドロビウムを大改造。カテ公?
  • コウの戦いに興奮しすぎてシナプス艦長から心配される。挙げ句、コウへの声援だけで自殺未遂で負った傷が開いて倒れる。
  • 落下するコロニーの制御室で星の屑の目的を調査。それを利用してガトーを誘い出す。
  • コウとガトーの戦いはいよいよ佳境に入るものの、どちらかに肩入れするどころか頭の中にMSのことしか残っていない自分に気付く。
『私のガンダムが!!』発言を中心にしてキャラクターをまとめたのだろうか……
とはいえ原作と違ってガトーとどういう関係だったかコウに話した上でデンドロビウムを強化しており、良くも悪くも自分の関わったことは自分で決着を見ないと気が済まないという形で行動は一貫している。


<他媒体での活躍>
原作で最大の問題点とされたビッチな所はほとんどなく、自己中過ぎるところもそこまでは出ていない。
ただ、ガンダムとか機体愛が凄まじいことは割と多い。


◇第~次大戦シリーズ
SFC版第3次より登場しメカニックとして頻繁に会話に参加する。
ガトーの元恋人設定は健在であるが、既に二ナはガトーを振り切ってコウの恋人である事を強調し
ガトー・コウ・二ナの三者が立ち会っても修羅場にならず、むしろ
ガトーが「ウラキ少尉を頼む」と二ナに託す場面があったりするなどドロドロ下場面は無い。
まぁこのシリーズのガトーは原作と違ってプレイヤー部隊に協力的な部分も多かったので…。


スーパーロボット大戦A
テツジンの中にあった多くのゲキ・ガンガーグッズに唖然となる。
ニナ「ゲキ・ガンガーざぶとん…」
この時、ウリバタケやプロから「機械をいじりすぎてどうかしちまったんじゃないのか」だの
「ガンダムガンダム言ってる時点でどうかしているとも思う」だの言われる始末。

スーパーロボット大戦IMPACT
キョウスケアルトアイゼンをノリノリで強化改造する。
OGシリーズでのアルトアイゼン・リーゼは「奇跡のバランス」「操縦者がキョウスケだから成り立つ」
と言われる危なっかしい尖った評価を下される機体になっているが
こちらでは別にそんな評はなく、単純にアナハイムと二ナによる純粋な強化型となっている。

◇ACE2
序盤のシナリオが0083をなぞっており、主人公の母艦がアルビオンであるためゲームオリジナル機体ガンアークの整備にも関わっている模様。
ガンアークの設計者であるバルクホルツ博士が失踪してからは機体の解析を担当しており、ガンアークに自己学習機能が搭載されていることや一部の人間にしか起動できないこと等を突き止めていた。
それ以上の活躍・イベントは特に無く、インターミッション画面において全編通してフルボイスで主人公にいろいろ情報提供をしてくれる親切なお姉さんである。

第2次スーパーロボット大戦α
ドクーガとの交戦中、ガンダムそっくりのドスハードを見て…
コウ「もしや、ガンダ……」
ニナ「やめて、コウ!お願いだからそれだけは言わないで!」
うん、気持ちは分かるが落ち着け。

◇SDガンダム外伝 聖機兵物語
主人公・騎士ガンダムGP01の所属する『ダバード王国』の女王ニナとして登場。
原作以上にガンダムに囲まれてウハウハ……ということは一切なく、敵方であるネオジオン族との戦いにおいて陣頭指揮を執る誇り高く勇敢な君主として活躍。
一時はダバードを占領されて国外に落ち延びる憂き目に遭うも、騎士アムロ率いるラクロア王国騎士団やキングガンダムⅡ世率いるブリティス円卓騎士団の援軍、
そしてスペリオルドラゴンの助力を受けて見事祖国を奪還する。
本人の活躍シーンは少なめだが、決めるところは決め、敵に追い詰められても剣を抜き最期まで戦う姿勢を見せる等、
女王としても、指揮官としてもかっこいいシーンもある。

このため原作でのニナを知るファンからは「綺麗なニナ、もといニナ様」「俺の知ってる紫豚と違う」「誰だお前」と絶賛(?)された。
ただしボンボン漫画版ではワガママなダメ女王に改変されてしまった。そっちの方がニナらしいとか言わない
ちなみにコウはニナ女王の婚約者・アルビオン国の王子として出演。本人は空気だがニナとはラブラブらしい。よかったね。
え、ガトー? ただの敵将その1ですが何か?


嫌ぁぁ!私の追記・修正がぁぁ!!

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最終更新:2024年04月16日 19:26

*1 「軍法や軍法会議」とは「罪を犯した軍人を裁くもの」ではなく「軍に対して罪を犯した者を裁くもの」なので、彼女くらいの権限や裁量を与えられた人間があの状況で連邦軍の兵器を奪っている時点で、民間人であろうと軍法で極刑がありうるコースである。もしガトーを庇った件がバレていた場合は言うまでもない。

*2 無理やり気絶させられたことからもガトーもその真意に気づいて引き離したのであろう。とはいえガトーのこれまでの行動原理から言ってその可能性を考えなかったのはあまりにも理想主義過ぎたのだが。